帰る家 が見つかったかい つばめさん 如月 はつか 春、日本に渡って来て、夏の間、巣を営み子を育て、身近に飛んでいた燕も、九月には、また大海を越えて南方に帰ってしまう。 帰る日が近づくにつれ、燕を見るとどことなく寂しいものである。 更に、いつの間にか空になった巣に、秋風がわたっていく様にも哀愁を感じる。
雑題: ガチョーン[我町]?
「実るほど 頭を垂れる 稲穂かな」 いや、一部、其れも外側だけ、誰かが触れたか…、風の仕業か… 今年の作況指数、この地域は、「平年より、やや劣る」とのこと。 最近の日照不足、気温の低さが影響しているらしい。 ご多聞にもれず、農事作業者の高齢化、後継者不在、から働き手が少なく、手がまわらない状況下にもあるらしい。 「衣・食・住」の三本柱の一つ。 食料自給率が喧しいが、より根本的な部分から考え、再構築しなければならないのだろう。 “限界集落”から抜け出すためには…
今日の歳時記: リンゴ[林檎]
山積み林檎の 笑いこらえて いる数個 池田 澄子 笑いをこらえているリンゴ。 そう言われると、どのリンゴも笑いをこらえているかに見える。 芯からこみ上げてくる笑いを、顔を真っ赤にしてこらえている。 山積みされたリンゴのなかには、そっと笑みをもらしているリンゴもある。 多くのリンゴは、これから出会う我々を、どのように見ているのかが気になる。
雑題: ガチョーン[我町]?
町民に限らず、関東・中部地域から集う「歴史学習会」 南部藩のルーツをたどると、山梨県に行き着くという。 依って、ご自分の系図を埋めようとして、遠方からも馳せ参じる方が多いのだろうか… 山の麓の小さな町の“知の泉”とも言えるのだろう。 隣接市町村からも、大きな駐車場がうまるほどの同好者が集い、熱心に耳を傾けている姿に、町の再生(最盛期)を重ねる。 当方も、月二回、“自分育て”になればと参加している。
零れ話: ニヒャクトウカ[二百十日]
立春から数えて210日目をいう。陽暦では、今年は本日。 稲の開花期に当たり、台風の襲来時期でもあるので、農家の厄日として警戒される。 徳川幕府の暦編纂係、保井(渋川)春海は海釣好きで、品川の沖に船を乗り出そうとしたら、老漁師から、「海上に雲がみえる。今日は立春から数えて210日にあたる、長年の体験から、このような時は海が荒れる恐れがある」と止められ、実際に、その後、大暴風雨になったという。 後日、暦を編んだ時に、この事を暦のなかでとりあげ、人の口にのぼるようになったらしい。
今日の歳時記: ホウシゼミ[法師蝉]
法師蝉 鳴く新学期 始まれり 秋櫻子 地域にもよるが、夏休みは終わりつつある。 つくつく法師(法師蝉は別名)という蝉はツクツクと鳴く。 それは日本人の耳には「つくづく」ともきこえる。 同じことを何度も思い返すこという。 休み期間を振り返り、新学期に際して、何を省みるのか… 其れを踏まえ、大きな飛躍を願う。
零れ話: アワ[泡]
街のなかで海の声が聞こえることがある。 波の音にまじるカモメの声、海中を立ちのぼる泡たちのささやき。 目を閉じれば、自分自身もその泡の一粒となる。 夏という大きな世界に包まれている「小さな泡」として漂う、心地よさがしみてくる。 なんという幸福感…
今日の歳時記: ハチガツ[八月]
曳航と いうかたちして 八月は 坪内 稔典 八月は、夏の終わりの月であるとともに、秋の初めの月である。 夏の間、頭の真上にあった太陽はやや退き、黄ばんだ光を投げかける。 偉大な夏が役目を終え、大空という舞台の袖に消え去ろうといている。 舟に曳かれる大きな物体のように。 今朝は、その露払いのように、不審飛翔体が、日本上空を切り裂くが如く、赤い曳光を残して、飛び越えていった。
今日の歳時記: トウガン[冬瓜]
ウリ科の一年生つる草。 「冬瓜」と書くように、本来は「トウガ」と呼んでいたが、これがなまって「トウガン」となったらしい。京都辺りでは「カモウリ」という異称もある。 いかにも夏の食品らしく、淡白な味が喜ばれる。 適当に切って皮をむき、うま煮にしてそぼろをかけたり、クズ仕立ての汁の身にしたりする。
今日の歳時記: ウマオイ[馬追]
すいっちょの たやすく入り来 里の家 阿部 陽子 馬追は、秋鳴く、緑色の、バッタ目キリギリス科の昆虫。 体よりはるかに長い羽を持つ。 はじめ、ジーと鳴き、続いて、スイッチョン、スイッチョンと鳴く。 この鳴き声が、馬を追う声に似ていることから、馬追の名がある。 夜、灯火を慕って、家の中に入ってきたりする。
零れ話: フジバカマ[藤袴]
秋の七草の一つ。 七草のうち、最も香りの高い花である。 山林・河川などに自生し、更に、広く庭園にも栽培される。 高さ 一メートル余、葉は三つに裂けていて、ふちには鋸歯をもち、一種の芳香がある。 秋になると、淡紅紫色の小花が茎の梢に群がり咲く。 香草・香水蘭ともいい、古くは「あららぎ」ともいった。
今日の歳時記: ハギ[萩]
萩に立ち なにのかげかと あふぎたり 渡辺 春輔 秋の七草の一つ。 多くは初秋の頃、紅紫色の可憐な花をいっぱい開く。 秋の花を代表する草との意からか、草冠に秋と書いてハギと読む。 昔は、芽子、芳宣 、鹿鳴草などとも書いた。 山野に広く自生し、戦後まもなくまでは、家畜の冬季の飼料として、萩の葉が利用された。 また中秋の名月には、萩、薄を月見団子とともに、月に供える風習がある。 日本では、歌、等にも詠まれて、身近かな植物である。
零れ話: 8/24ベスビオ山大噴火の日
ナポリに近いポンペイは、紀元79年8月24日に、ベスビオ山が大噴火を起こし、その火山灰の下に埋められ、滅んだ。 しかし、18世紀中頃から、次第に発掘され、再び地上に姿を現した。 今は、その遺跡は「ポンペイ、ヘルクラネウム及びトッレ・アンヌンツィアータの遺跡地域」の主要部分として、ユネスコの世界遺産に登録されている。 日本も地震国、最近、地殻変動、火山活動が頻発している。 気をつけたい…
今日の歳時記: ナデシコ[撫子]
野の草に まぎれて撫子 ゆれをりぬ 朝妻 力 秋の七草の一つ。 晩夏から咲き始め、高原などでは七月初めが盛りのため、夏の花とされることもある。 ナデシコという名は、『大和本草』に「撫子とは花の形も小さかにて、其愛すべきを以て名く」とあるとおりで、この花の可憐さが母性愛にもにもつながったものであろう。 葉は細く線状で、淡紅色の5弁の花が、枝の先に咲き続ける。 桔梗とともに秋らしい花である。
零れ話: キリヒトハ[桐一葉]
秋になり、風もないのに、大きな桐の葉がふわりと散ることがある。 これを「桐一葉」または「一葉」という。 『淮南子(えなんじ)』にある「一葉落ちて、天下の秋を知る」という言葉からきている。 今まさに、野党の代表者選挙が始まり、与党も、これまでの一強から、潮目が変わったと言われている。 しかし、最後に評価を下すのは有権者。 秋風・等に惑わせられないように、各々、眼力を磨いておきたい。
今日の歳時記: ハゼ[鯊]
このような 人もをりけり 今年鯊 鯊の顔はつくづくおもしろい。 鯛の気品には遠く、鯰の図太さもない。いわば愛すべき顔である。 春に生まれ、秋口には、鯊と呼べるほど大きくなる。これが今年鯊。 まだ小ぶりだが元気はいい。 その顔を眺めながらどこかの誰かを思い出している。 尚、現代中国語では、「鯊」という漢字はサメ(鮫)類を指すらしいが…
零れ話: カイタイシンショ[解体新書]
「解體新書」は杉田玄白、前野良沢らの労苦によって生み出された西洋医学の紹介書であり、本書の刊行により我が国の医学は大きく開かれ、更に、蘭学への理解が進み、鎖国下の日本において西洋の文物を理解する下地ができたと言われる。 但し、翻訳の際に適切な日本語がなく、“神経、口蓋、虹彩”などの医学用語を作字したのは、彼等であるらしい。 よって、誤訳も多かったため、後に、大槻玄沢が訳し直し、「重訂 解體新書」が出されている。
今日の歳時: カブトムシ[兜虫]
静かなる 雄々しい姿 かぶとむし 寿々 「昆虫の王」とも呼ばれ、クワガタムシと並び人気の高い昆虫である。 かっては日本最大の甲虫されていたが、1983年に沖縄本島でヤンバルテナガコガネが発見され、その座を譲った。 成虫になると雌雄ともに、興奮したり・求愛行動の際に腹部を伸縮させ上翅の内側との摩擦によって、「シューシュー」「ギュウイン・ギュウイン」といった音を立てる。 但し、周囲1m以内でないと聞きとれない程度らしい。
零れ話: ショウチュウ[焼酎]
焼酎は、酒類のうち蒸留酒の一種。 酒税法には原料、製法等の定義があり、アルコール度数は連続式蒸留しょうちゅう(旧甲種)で36度未満、単式蒸留しょうちゅう(旧乙種)で45以下と定められている。 大衆酒として広く飲用されてきた歴史があり、米焼酎、麦焼酎、芋焼酎、黒糖焼酎、そば焼酎、栗焼酎、泡盛などの種類がある。 戦国時代に日本にやってきた中国人及び南蛮人が、その製法を伝えたといわれる。 「酎」が2010年まで常用漢字に含まれていなかったため、法令・その他の公的文章では「しょうちゅう」あるいは「しょうちゆう」と平仮名表記になっている。
今日の歳時記: イトトンボ[糸蜻蛉]
水色の 水まばゆかり 糸蜻蛉 津山 類 水に色があるわけではない。 無色透明だからこそ、さまざまのものの姿とその色を映し出す。 山を映せば緑に、雲を映せば鉛色に。水色は青空の色が映っているのだ。 その青く反射する水の面をまばゆがりながら、ひらひらと漂う糸蜻蛉。