はつ氷

ふりがな一茶発句集冬1にある次の句が引っかかる。氷が溶けるとも知らずに大事そうに文庫(箱)にしまう、何ともあどけない子の仕種をじっと見ている年老いた作者がいる。

冬168* をさな子や文庫ニ仕廻しまふはつ氷 文政句帖 政7 (異)『文政句帖』政7 中七「文庫へ仕廻ふ」 *仮番号

文政7年といえば一茶の最晩年である。文政6年5月に妻菊が37歳の若さで死に、同年12月に三男の金三郎こんざぶろうが2歳半で死んでしまう。「をさな子」は金三郎を思っているのだろう。

初氷は季語だが、幼児が初めて触れていると解釈できなくもない。「文庫ニ仕廻ふ」と「文庫へ仕廻ふ」は助詞一文字の違いだが、子の仕種が異なって見える。文庫ニ文庫へと読んでいると、動画のように画面が動き出す。

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