今日の歳時記: セイメイ[清明]

清明や 墨吸ふ和紙の 息づかひ 高橋 あゆみ 二十四節気の第五。 春分の後十五日目にあたる。 清明というのは清浄明潔、春さきの万物清らかで、生き生きしている様をいう。 肌寒さをまだ少し残る頃のさわやかな感じを伝えている。 また、新学期・等、新たなものを学ぼう…、一歩踏み出そう…との内奥からの叫びが生じる時なのかもしれない。 “顏晴”で歩みましょう…

零れ話: リンジン[隣人]

人はみな違い、基準や普通の人間などというものはない…し、 また、鋳型に入ったような“悪人”はあるはずもないでしょう。 平生は、みな善人なのです…と聞いたことがある。 其れが、いざという間際に、急に悪人に変わるから恐ろしいのです。 だから、油断ができないともいえるのでしょう。 しかし、性善・性悪説を踏まえたとしても、本人をそうさせた何かがある訳で、一方的に責める気にはなれない… 場合によったら、周り(私…、あなた…)が追い込んでいる…仕向けている…かなとの視点を持って、初めて、正気な判断ができるように思う。 甘すぎると、笑われるかもしれないが…

今日の歳時記: キッテ[切手]

ゆく春や あまき切手の 舌ざわり 石岡 実 何か、よき便りなのだろうか… 切手の糊は、勿論、「あまい」わけはないが、手紙の内容によっては「にがく」舌にしみることもある。 進学先・転勤先からの、これからの“己の意気込み”を伝えるものだろう…か。 “喜愛”を込めた“顔晴”の様子がにじむ。 舌でぺろりとなめてぺたんと貼る。 そこに、行儀は悪いが、何か気持ちのこもった決意表明が感じられる。 「 初心忘れず、頑張れ… 」と声を掛けたい。

零れ話: スバコ[巣箱]

動物にもいろいろな仲間がいるが、巣の構造は似通っているように思う。 「 外側は頑丈に、内側は柔らかに。」 巣の内部は次の命をはぐくむ場所だからだろう…か。 小鳥たちの巣箱もそうで、柔らかくて暖かな羽毛や枯葉が敷きつめられている。 親鳥の懐のように… 長年、家という“巣”を築き、守ってきたが、果たして、家族にとって、“憩いの場”であったのか振り返る…

今日の歳時記: ドウソシン[道祖神]

春の日の 背な膨らんで 道祖神 今村 俊三 日本には神も仏もある国。 道ゆけば地蔵がたたずみ、道祖神がほほえみ、村人を、外からくる魔・災いから遮り防いでくださっている。 草が茂り、花が咲き、水が温むころ、こころ安らかになってゆく。 他力本願とはなるが、何か大きなものに包み込まれていことに感謝し、新たなスタートを切るにあたって、己も努めることを誓う。  

零れ話: フトウ[不盗]

先人が、「私たち誰もが、盗みの罪を犯している」旨の話をしていた。 例えば、子供たちに内緒で、何かをコッソリ食べている親だったり、要りもしない食材を、必要以上にもらうこと、物を粗末に扱うことは盗みだと… 「この世界の悲惨な貧困は、多くの場合、不盗の原理の不履行に起因する」と述べている。 少し前のデータであるが、我が国で捨てられている年間量の食料があれば、世界の貧困層、飢餓に苦しむ人々を救うことができるとの話を聞いたことがある。 物欲を、一概に、否定はできないが、大事な視点でもある。 要は、“もったいない”… でも、彼方立てれば、此方が立たず…か。  

今日の歳時記: エッフェル塔

春夕焼 音立て囓る フランスパン 宮津 昭彦 パリの名物は、1889年の本日、グスタフ・エッフェルの設計によって、万国博覧会を控えるなか完成した。 312メートルの大鉄塔の頂上にフランス国旗を掲げて、「300メートルの旗ざおをもっているのは、フランスだけだ」と、彼は自慢したらしい。 又、パナマ運河の水門を設計したことでも知られる。 科学技術の進歩・等で、その後も、背の高い塔が建てられ、各地で、世の中を俯瞰出来るようにはなったが、そのわりに、社会の動きが滞りがちなのは、何故だろう…  

零れ話: ハイトウレイ[廃刀令]

明治9年(1876)3月28日、廃刀令が発布された。 帯刀は武士の特権の象徴でもあり、その取り扱いに明治政府は慎重だった。 先ず、明治3年に庶民の帯刀を禁じ、翌4年「散髪脱刀令」をだすたが、士族の間では依然として守られなかった。 そこで、9年のこの日、遂に太政官布告を以って、大礼服着用者、軍人、警察官以外の帯刀を厳禁した。 腰がふらついて困った士族の中には、刀を袋に入れて持ち歩いたり、太い煙管を腰にさして歩いたという笑い話も伝わっている。 いつの世も、権利・栄誉をひけらかす、おもねる姿勢はなくならないようだ…  

今日の歳時記: ツミクサ[摘草]

山里の 摘草料理 春匂ふ 後藤 克彦 今や昔、春の行楽に、竹べらや籠などを持って野原や堤に出て、よもぎ、つくし、のびる、よめな、せり、など食用になる野草、または、たんぽぽ、すみれ、などの草花を摘むことがあった。 要は、“地産地消“であり、本来の“ご馳走”ではあったが、現在、季節感も無くなり、食材はコンビニ・スーパーで購入する事が多くなり、寂しい限りである。

零れ話: ツバキ[椿]

開花時期は、冬〜春にかけて…、だから「春を告げる」ということで、「 木へんに春 = 椿 」となったらしい… 更に、椿は鳥に花粉を運んでもらう( 鳥媒花 )なので、冬季なら鳥の餌も少ないし、他の花に鳥をとられることもないという背景があり、椿の葉も花びらも、普通の花より分厚くなっていて、保水力が高いので枯れる事を防げるとのこと。 また、種子にエネルギー(椿油)を蓄えているなど、厳しい環境を乗り越える工夫がなされているのだ。 自然の生命維持に対する、計り知れない仕組みを痛感する。 人類は、地球上(自然界)では間借り人。 ルール(約束事)を破っていると、そのうちに、地球から追放されかねない…  

今日の歳時記: サクラソウ[桜草]

我が国は 草も桜と 咲きにけり 一茶 樹上では、桜の開花の北上が話題にあがっているが、地面にも、桜草が、北は北海道から南は九州まで分布している。 かっては、東京に近い隅田川上流地域に大群落があったが、今や、野生の群落はまれになってしまった。 花は桃色で、五弁の花びらの先が少し切れ込んで、サクラの花に似ている。 地域開発、自然環境の変化(悪化)のなかで、生態系が激変していることに留意し、既存種の保護を考えてゆきたい。  

零れ話: デンキキネンビ[電気記念日]

明治11年の今日、我が国初めての電気が点灯され、その後、昭和2年9月、この日を記念日と定めた。 初めて輝いた電気の光、それはまばゆいばかりの光であった。 東京の中央電信局の開業式祝宴が、虎ノ門の工部大学で行われ、その席上、同校のエルトン教授の指導によって灯された。 それはアーク灯で、現在の電灯より光は弱いが、ガス灯しか知らなね当時の人々には驚異であったらしい… 更に、我々の行き先(望ましい社会…)を、明るく照らし・示して欲しいと願うことは、求めすぎか…  

今日の歳時記: ソツギョウ[卒業]

一を知って 二を知らぬなり 卒業す 虚子 三月に入ると、小学校から大学(院)まで卒業式が行われる。 皆、卒業証書という「通行手形」をいただくが、これは万能ではない。 他の部門、より高度な分野にむかうには、更なる学びが求められる。 「生きている限り、自分で自分を育てていかなければなりません」との先人の言葉もある。 また、「無駄なことも学ばなければ、何が大事か分からない…」との理もある。 各々、志高く…、“遠望楽観”で歩んでいただきたい…  

零れ話: コーヒー[珈琲]

原産地はエチオピア高原というのが、一応の定説になっているようだ。 桜草に似た、白い五弁の花の種子である。この種子を砕いて、熱湯に浸して飲む方法を発明したのが、1000年前のアラビア人である。 イスラムの戒律で飲酒を禁じられていたので、一種の興奮をもたらす飲料として、代用したものの様である。 その後、種子を炒って挽き、香りや味を楽しむ術も覚えていった。 今では、「お茶でも…」と、人々が集い合う場所となった。 是非、“結び目”を巡らす機会として大事にし、時には、ご自分の憩いの時としたい…  

今日の歳時記: ホウソウキネンビ[放送記念日]

まだましか 敗れし年の 覚えあり よみ人知らず 大正14年(1925)のこの日、日本のラジオが初めて産声をあげた。 東京・芝浦の東京高等工業学校の中に設けられた仮スタジオから放送が行われたが、出力220ワットと弱く、場所によってはやっと聞き取れるくらいだった。 その後、大阪、名古屋、東京で放送が始まり、翌年に三局が統合され、日本放送協会が設立された。 立場の違いにより、いろいろと批判されてはいるが、お立場によって主張には差が出てくるのは、やむを得ない… あとは、己の足、目・耳を活かして情報を精査し、己の頭で判断し、行動するしかないのでは…  

零れ話: タネマキ[種蒔]

種まきといえば、苗代にモミ種をまくことだが、穀類や草花の種子をまくこともいう。 春の彼岸から八十八夜前後の間にまくことが多い。 「畑を耕す人、種をまく人、水をやる人」 の如く、世の中の何事も、手間と時間がかかり、経験則はあっても、「正解」がないこともある。 せっかくの種まき( 気付き、提案•要望…)を、大事に育んでいきたい…と思う。  

今日の歳時記: セリ[芹]

浮草に あらず芹ひく ちから哉 言水 都会では店で買うものになってしまったが、昔は田園で摘んできた覚えのある方もいらっしゃるだろう… 小川の芹を摘もうとしたら、思いのほか力が要って、やはり、浮き草とは違うなあと驚くこともあったのでは… 芹には白く長い根があり、“根白草”ともいう。 「根深ければ 葉繁し…」の理もある。 見習って、しっかりと根を張って、“デラシネ”と言われないようにしたいものだ。

零れ話: アホになれんやつが ほんまのアホや…

関西では優等生は嫌われるらしい… もう少し解説すると、優等生然とした振る舞いは小ばかにされるというか、成績(見かけ)が良い事は、それ程は評価されない… 時には、自分をあえてさらけだし、笑われ役に徹することで、周りの一人ひとり言い分を聴き、その上で、課題を「しゃあないな」と一つにまとめ上げる事の出来る人が、本当に賢い奴と認められるという。 おもろい奴、頼りになる奴のほうが、顔役( リーダー)の資質として求めれれるのかもしれない。

今日の歳時記: テンピョウ[天平]

天平仏 野遊びの子に 拝まるる 井上 弘美 天平は奈良時代半ば。 唐の影響のもとに国際的な文化が開いた。 その頃の仏像が祀ってあるのだろう。 春ののどかな一日、ときおり、子どもが来ては、覗き、佇み、見入っているのだろう…か。 「てんぴょう」という大らかな調べから、ふくよかな仏様を連想する… 未来を託す子らには、安心・安寧な社会を残したいものだ。  

零れ話: カラシナ[芥子菜・辛子菜]

アブラナ科の野菜。 アジアの原産で、葉や種子に辛味があり、高さは1メートルに達する。 カラシナの種子を乾燥させたものが、いわゆる「芥子(からし)」である。 このカラシを製粉し、ふるいを通して精製すると、カラシ粉が出来る。 日本のカラシは外国のそれとは異なり、脂肪を抜かない。 その為に、長時間貯蔵すると辛味が消失する事がある。 何事も、ピリッと辛みを効かしたものであって欲しい…