炉開きや 火箸にかかる 鬼の豆 許六 冬季に入って、家々では炉を開いて防寒の用意をする。また茶道では、晩秋の風呂名残(ふろなごり)の茶会を催し、翌年の晩春まで炉を開き釜を開く。
零れ話: シチゴサン[七五三]
子どもの無事な発育を喜び、なおいっそうの成長を願う、親心から始まった行事である。 昔の赤ん坊は、三歳まで髪を剃る習慣があったが、これより髪を伸ばす「髪置(かみおき)」、 五歳は、男の子が初めて袴をつける「袴着(はかまぎ)」、七歳は女の子が、それまでの紐付きの着物に代わって、本仕立ての着物と丸帯という大人の装いをする「帯解(おびとき)・紐落(ひもおとし)」の名残りである。
今日の歳時記: タケウマ[竹馬]
竹馬の 影近づきし 障子かな たかし 長い青竹に、薪などで横木を結びつけて、それに足を踏みかけ、竹の上端を握り、歩行してあそぶ。以前は、冬の子どもの代表的な遊びだったが、近頃は、あまり見かけなくなっている。高馬、鷺馬とも言っていた。 幼き頃、横木を高くして歩くことを競った思い出が懐かしい。
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今日の歳時記: カレオバナ[枯尾花]
狐火の 燃えつくばかり 枯尾花 蕪村 穂も葉も枯れはてた冬の薄(すすき)である。 白く枯れた穂が、風に吹かれているさまは哀れげである。枯薄。 「俺は河原の枯れすすき」という『船頭子唄 』が大正末期に流行り、切々とした哀感のこもった名曲であった。
零れ話: ナギナタコウジュ[薙刀こうじゅ]
シソ科ナギナタコウジュ属に分類される一年草本。北海道から本州にかけて分布する日本在来種。生薬として古くから利用されてきたが、北海道では畑地の主要害草の一つに。 名のナギナタは、小さな花が花穂の片側にびっしりと付き、弓なりになっており、薙刀の刃をイメージして名付けられた。また、コウジュは、中国の同名の薬草に似ていることに由来するらしい。
今日の歳時記: サザンカ[山茶花]
花まれに 白山茶花の 月夜かな 万太郎 初冬、白色か淡紅色の五弁花を開く。椿に似ているので姫椿ともいう。椿は春にさくのに対し、これは初冬に花開き、それだけに花の姿は清らかである。 サザンカの名は、山茶花の本来の読みである 「サンサカ」が訛ったものと言われる。
零れ話: 改暦騒動
日本が"太陽暦"の採用を決定したのは、明治5年11月9日である。その年の12月3日をもって、"明治6年1月1日" と定めた。 ところがこのとき、こんな布告が出た。 「このたびの改暦については、本年12月1日 、2日の両日を、いま11月30日、31日と定む 」→つまり大陰暦の11月は29日までしかないので、これに余分の2日をくっつけて、12月をなくしてしまったのだ。何故こんなことをしたのかというと、たった2日とはいえ、12 月があることになれば、政府は役人に12月の給与を払わなければならなかったためらしい。
今日の歳時記: カエリバナ[帰り花]
うかうかと 咲き出でしこの 帰り花 虚子 小春日和のあたたかさが続くと、桜・山吹・ 梅などが、時ならぬ花を咲かせることがある 。これを帰り花という。 人の忘れた頃に咲くので、返り咲き、狂い咲き、二度咲き、また忘れ花とも。 "返り花"とも書く。
零れ話: りっとう[立冬]
今日は立冬、二十四節気の一つ。字の通り冬の気が初めて立つという意。暦の上では冬の気候に入る時季であるが、実際には、秋の気配が強く残っている頃である。しかし、朝夕には寒さを覚え、木枯しの吹く地方もある。 湯気のたつ、温かいものが欲しくなってくる 。
今日の歳時記: ちゃのはな[茶の花]
茶の花 黄にも白にも おぼつかな 蕪村 茶はつばき科の常緑灌木。秋末から初冬にかけて、直径3センチ内外の白い五弁花を開く。 ふっくらした感じでつつましやかである。花のなかにたくさんのおしべがあって、その先端が黄色くて、とくに目をひく。花として小さいながら、ワビ・サビといったものを感じさせる。
零れ話: おはこ[十八番]
十八番とは、最も得意とするものとか、得意な芸といった意味に使われる言葉。 此は、もともと歌舞伎十八番から出た言葉で、市川家の「家の芸」、市川団十郎が、お箱にしまっておいたような秘蔵の技芸ということからいわれたことらしい。
今日の歳時記: ひいらぎのはな[柊の花]
柊の 花一本の 香かな 素十 高さ3メートル前後の常緑樹で、葉の先がトゲ状になっているのが特色。此にふれると疼痛を覚えるので"疼木"とも呼ばれる。 初冬に白い小花を密生して開き、よい匂いを放つ。
零れ話: 文化の日
"文化の日"は国民の祝日で、自由と平和を愛し 、文化を育む日である。 昭和21年のこの日に、戦争放棄・主権在民を宣言した"新憲法"が公布され、これを記念し、平和への意思を基盤とする文化を発展、拡大させようというのが、その主旨である。
今日の歳時記: そぞろさむ[そぞろ寒]
そぞろ寒 鶏の骨打つ 台所 寅彦 「やや寒」に対し、「そぞろ寒」は、何となく、じいんと身の内に覚える寒さであり、また、膚にも感じる秋の寒さである。そろそろ 、冬の近ささえ伝わってくる冷たさである。
零れ話: 十一月の異名
十一月の和風月名は「霜月」とし、霜の降りる月とする、字義通りの説が有力である。 又、「凋(しぼむ)月」あるいは「末つ月 」 のなまったもの、「食物(おしもの)月」の略であるとも。他には、神帰(かみき)月、神楽月 、雪見月、雪待月、露隠端(つゆこもり)月の呼び名がある。
零れ話: いざ、鎌倉
「押っ取り刀で駆け付ける」とは、「ゆっくり、のんびりと行く」ことではない。 急な事態に、刀を腰に差す間もなく、急いで手に持って、駆け付ける様子を指す。どうも 、「おっとり」との言葉から連想して、勘違いしているようだ。 「備えあれば、憂いなし」。昨今の自然災害 ・等を鑑みると、日々、備えに真剣に取り組んでおくにこしたことはないようです。
今日の歳時記: ふゆあさし[冬浅し]
冬浅し 遠き風景 詩に似て 綾子 此のところ、朝晩の冷え込みが厳しくなってきており、暖房が恋しくなり、使い始めた家庭も多いことだろう。 富士山の初冠雪の便りも伝わってきた。 収穫のすんだ田畑をみると、冬めいた姿におどろく。 「年ぐれに としがゆくとは思ふなや としは毎日毎時ゆくなり」の理を痛感するばかり。
零れ話: どくしょのあき[読書の秋]
読書週間が27日よりスタートしている。 「燈下親しむ候」。日頃忙しくて読書の機会のない方も、秋の夜長に本を開いて楽しみたいものです。 但し、面白ければ読めば良いし、つまらないと思ったら直ぐ閉じて、次の本を探せば良い 。空の本箱に何を並べようか、好奇心がふくらむ。
今日の歳時記: やまよそう[山粧う]
滝になる 水湛へたり 山粧ふ 裸馬 「春山淡治にして笑うが如く、夏山蒼翠にして滴るが如く 、 秋山明浄にして粧うが如く、冬山惨淡として眠るが如し 」 。 「臥遊録」の一節で、"山粧う"は山の化粧を示す。 山を鮮やかに彩る紅葉を指すが、雪の白さが加われば、 又、 趣も増すだろう。紅葉シーズンはこれから佳境を迎える。 "山眠る"冬ごもり前の賑わいである。