実南天 二段に垂れて 真赤かな 風生 南天の美しさは、何と言っても真赤な丸い実であろう。この赤は霜にあい、寒さにさらされてと、いっそう美しさを増すという。 南天はメギ科の植物で、六月頃、雨にぬれて白い花を開き、その後、丸い小さな実を、かたまって穂のようにつける。晩秋から冬の間、紅く熟して美しい。 また、「難を転じる」の語呂合わせから、「難を転じて福となす」ともいわれ、正月の生花などに用いられる事が多い。
零れ話: 阿吽(あうん)・陰陽
神社仏閣に、一対の「阿吽の像」が置かれている。よく見ると、一体は口を開いた「阿の形」、もう一体は口を閉じた「吽の形」になっている。 私たちは、息を吸い、そして、吐いて生きている。 古代の人々は、吸い込みのような「内側に向かう流れ」を「陰」、吐くときののような「外側に向かう流れ」を「「陽」と表し、息を吸い(陰)続けても、吐き(陽)続けても、命は絶えることを諭している。 呼吸にかぎらず、食べて排泄するなど、私たちの生命は、このような「陰陽」の間に存在していることが分かる。 要は、「陰陽」のバランスの大切さを痛感する。
今日の歳時記: お歳暮
歳暮とも つかず贈りて 恋に似る 占魚 年の暮の贈物のこと。この一年世話になった礼の意味で贈るもの。 本来、親・里親・親方などに贈るのか普通であったが、最近は、知人や得意先まで広がり、中には、ご自分への“ご褒美”として、自宅に送る方もいらしゃるという。 “結び目”を巡らし、絆を確認するという効果もある。
零れ話: イ[イグサ]
畳表に使われているイグサの原種です。畳表は書院造りとともに広がり、江戸時代に急速に普及、それに伴いイグサの栽培が盛んになった。 イグサの髄は弾力性に富み、行灯や和ろうそくの芯に使われてきた。そのため、トウシンソウ(灯芯草、燈心草)ともいう。 畳表は、中国産 7割、日本産 2割、化学表 1割 という。
今日の歳時記: 大根干す
干大根 ひる見夕見て 暮れにけり 林之助 沢庵漬にする大根を干すこと。まず、大根を洗って土を落し、10本ぐらいずつ束ね、木や垣根、等に掛け、10日ほど日に干す。 田舎でも、少なくなったとはいえ、初冬の頃の風物誌である。 後日、美味しさが濃縮されて、食卓を賑わすことになる。
零れ話: 十二月の異名
十二月の和風名は「師走」である。これは、一年の終わりで、皆忙しく、師匠も趨走(すうそう・ちょこちょこ走る意)するので、「師趨」 という、というのが一般的見解である。 「師」を法師の意とし、十二月は、僧を迎えて読経していただくので、師がはせ走る「師馳月 (しはせづき)」とし、それが略されたとする。 他には、極月、春待月、梅初月、等がある。 たび寝よし 宿は師走の 夕月夜 芭蕉
今日の歳時記: マスク
マスク洩る 愛の言葉の 白き息 三鬼 既に、インフルエンザの流行期に入っているらしい。白いマスクで鼻や口をおおっている人を多くみかける。清潔なマスクは爽やかな印象を与えるが、口許が隠れるので、顔が無表情になってしまいがちなのが、難点である。 でも、世の中、何かと、遮りたい"もの"もあるにで、手元に置いておきたい。
零れ話: 干支[申⇀酉]
酉はバトンゾーンで、申からのバトン手渡しを待っていますが、"申"は「樹木の実が熟して固まっていく様子」の意、"酉"は「収穫した果実から、酒を造る行為」の意で、2年越しで成果を出そうという期間とも言える。 と言って、予定進捗率の悪さへの"言い訳"をしています。
今日の歳時記: フユナ[冬菜]
桶踏んで 冬菜を洗ふ 女かな 子規 冬の菜類の総称。白菜、小松菜、水菜など。 9月頃に種をまいて、冬から春にかけて収穫する。あらゆる草花が枯れはてた野に、冬菜畑だけが目に沁みるように、美しい緑をくりひろげている。"トウナ"の異名もあり、冬の食卓を彩る。
零れ話: おでん
「煮込み田楽」の愛称である。現在のような "おでん"が生まれたのは、江戸時代の中頃のこと。当時は、コンニャク、ヤツガラシ、焼き豆腐などを、竹串にさしたまま煮込んだといわれる。主に,「おでん燗酒」の看板をかかげた、盛り場の屋台で売っていた。 なお、"おでん"につきもののカラシには、強力な殺菌作用がある。衛生設備の整っていなかった昔の屋台などでは、合理的な配慮ともいえるだろう。
今日の歳時記: ヤキイモ[焼薯]
焼芋屋の あたりの夜の あたたかに 青芳 以前は、石焼薯といえば荷車を引いて売り歩いていたが、今は、小型トラックの荷台で焼いている。底の浅い鉄鍋に、胡麻塩をまいて蒸し焼きした、ほっこりした焼薯の香ばしい匂いが、 冬の街角の何処からともなくただよってくる。 他に農村では、焚き火の灰に埋めたり、囲炉裏であぶったりして食べる。幼いき頃の、懐かし記憶がよみがえる。
零れ話: ハタハタ[鰰]
ハタハタ科の魚。全長15㎝ぐらいで、ウロコがない。東北地方の太平洋岸以北、および、山陰地方以北の日本海に広くすむ。 特に、秋田県では11月中旬以降、産卵のために沿岸へ群来する。このハタハタを季節の野菜と煮込んで食べるのが、秋田名物の「しょっつる」。これは「塩汁」がなまったものらしい。 この時期、雷がよく鳴ることから「カミナリウオ」とも呼ばれている。
今日の歳時記: ラグビー
ラグビーの 今終わりたる 笛高し 蒼水 正式にいえば、ラグビー・フットボール。冬の競技として、サッカーとともに、近年さかんである。厳冬、雪の中でも、また正月などにも競技が行われる。 昨日の"早慶"戦は、最後まで、手に汗握る接戦であった。更に、12月早々、"早明"戦があり 、 こちらも見逃せない。
零れ話: 勤労感謝の日
国民の祝日の一つ。 勤労を尊び、生産を祝い、国民が互いに感謝し合う日。 この日は、元々は〈 新嘗祭 〉で、新穀感謝の行事が行われていた。 ところで、最近のニュース、等を聞くにつけ、 "働く"とは…と考えさせられる。
今日の歳時記: スミヤキ[炭焼]
炭を焼く 長き煙の 元にあり 草田男 ガス・灯油 等の普及で、木炭を用いる家庭は少なくなりましたが、やはり、炭火の温もりは心地よいものである。 真冬の澄んだ空に、炭焼の紫煙がゆらゆらと立ち上がっている様は美しい。
零れ話: ヤツメウナギ[八ツ目鰻]
姿はウナギに似ているが、ウナギとは異なる。 目のうしろにエラ穴が七つあり、目が八つあるように見えるところから、この名がある。 河川を主に世界中に分布している。 なお、ヤツメウナギにはビタミンAが多く、 「鳥目」を治す効果があると言われる。
今日の歳時記: カザヨケ[風除]
立ちかぞふ 風除越しの 時計の音 楸邨 冬構えの一つ。多くは北西の季節風の強い日本海沿岸地方で、家の北側に、板や葭(よし) 、 芦 、芒、わらなどで、塀ほどの高い囲みをする 。 風除の準備が終ると、やがて、北国は厳しい冬を迎えることになる。
零れ話: タチウオ[太刀魚]
タチウオ科の魚。「太刀魚」と書くように、扁平で細長く、全身が銀白色に輝いている。本州中部以南にすみ、瀬戸内海および朝鮮近海が主な漁場。 タチウオは素焼きにし、熱いうちに酢醤油で食べるのがおすすめらしい。
今日の歳時記: シシャモ[柳葉魚]
浜凪や シシャモの目刺 どの家も 銀冬 北海道産の淡水魚で、11月になると産卵の為、 群れをなして海から上ってくる。 アイヌの伝説によると、柳の葉が川に落ちてシシャモになったという。これより柳葉魚と書く。 薄塩にして天日に干し、味は淡白で、特に、雌は沢山の腹子をもっていて美味しい。
零れ話: タケニグサ[竹似草]
ケシ科の多年草で日当たりのよい草原、空地などによく見られる。茎を折ると黄褐色の汁が出る。子どもたちは、この汁を脚に塗れば、かけっこが速くなる、と競って塗った。でも、この汁は有毒で、かっては、有毒成分を煮出し 、殺虫スプレーに使ったという。場合によっては、皮膚につけると、皮膚かぶれのおそれがあったらしい。昔の子は、皮膚の皮が厚かったのが、被害の報告はなかった…。 漢字で書くと"竹似草"。茎が空洞で竹に似ていることからの命名らしい。