完成のない一茶発句集 완성이 없는 잇사 하이쿠집
「一茶発句集」春の部の終りに季語<柳>の句が133句載っている。そのなかで「文化句帖」文化3年12月と同5年正月の句について考える。
- 柳さすうしろを終のけぶり哉 03/12/17
- 賣家にきのふさしたる柳哉 03/12/17
- 日本ハ柳の空となる夜哉 03/12/17
- 柳さす我をさミする烏哉 05/01/01
1番だけ読むと<終(つい)の煙>は火葬を連想させる。他方、ほかの句を読むと正月を迎える挿し柳の風習が知られる。今も正月に見かける紅白の飾りだろうか。3番の<柳の空>という表現に至って、村々に飾られ作者の侘びしい草庵でも柳を挿していたことが想像される。<終の煙>は年の瀬に日の本(全國)の村々に立つ煙で、正月を迎えるハレの気分を描いているのだ。
一茶の没後に門人たちが散佚した句を収集し季語ごとに編集した。だが、文政版(1829年)で521句余り、嘉永版(1848年)で822句しか集まらなかった。ずっと時代は下り、信濃毎日新聞社版(1979年 18,700句)を経て、いまや2万句を超える句が確認されている。
そんな一茶発句集なのだが、上の<さし柳>の例のとおり元の作品集で句の前後を読むと理解がさらに深まる。こんなことを考えながら、誰もが手軽にどこでも読める発句集をめざして、縦書き文庫版の「ふりがな一茶発句集」を作成している。試行錯誤しながらの作業だから完成できるかどうか。
表1 書籍版「一茶発句集」作成の歴史
| 年 | 作成者 | 事業概要 |
|---|---|---|
| 1829 | 信濃門人14名 | 文政版、一茶の三回忌、2巻[521句] |
| — | 山岸梅塵 | 天保弘化期、文政版続編、出版されず |
| 1848 | 墨芳・一具 | 嘉永版、山城屋佐兵衛、増補[822句] |
| 1925 | 荻原井泉水 | 嘉永版を校訂、春陽堂一茶文庫[838句+和歌18] |
| 1926 | 勝峯晋風 | 嘉永版を校訂、古今書院 |
| 1930 | 栗生純夫 | 文政版を校訂 |
| 1979 | 小林計一郎・丸山一彦・宮脇昌三・矢羽勝幸 | 信濃毎日新聞社版 「一茶全集」第1巻、信濃教育会編[18,700句] |
| すべて縦書き |
表2 公開中のデジタル版「一茶発句集」
| 年 | 作成者 | 資料名と事業概要 |
|---|---|---|
| 2005 | 長野郷土史研究会 小林一郎 | 一茶発句全集(秋の植物・冬雜なし) 「一茶全集」を基に後の成果を追加 |
| 2014 | 一茶研究会 一茶弐萬句データーベース作成プロジェクト | 一茶の俳句データベース 「一茶全集」を基に長野県小中学校の生徒職員・小林一茶を楽しむ会の協力で制作、読み等の確認要 |
| 2027 | 縦書き同好会 小栗章 菊地明範 橋本信明 (50音順) | ふりがな一茶発句集 「一茶全集」・先行デジタル資料・表1資料等を基に制作 新年・春の部 夏の部 秋の部 冬・雜の部 (27年春) |
| 「ふりがな一茶発句集」のみ縦書き、他は横書き |

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