a barking dog and the peach blossoms

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「文政句帖」文政8年2月24日晴夜雨 田中ニ入駕四百五十文
 かどの犬なぐさミほゆや桃の花

<吼や>を<ほゆや>と読んでみた。信濃毎日新聞社版の全集では<ぼえや>と読んでいる。

作者は駕籠に乗っていたか、少し前まで乗っていたろう。近くで犬の吼え声が聞こえた。それがどこか自分を慰めてくれるようだ。こんなふうに解釈してみた。ちなみに文政8年前後の一茶をめぐる状況は次のとおりだ。

…妻菊との死別、子どもたちの夭折、再婚相手との離婚、2度の中風と、一茶は様々な家庭的、身体的不幸の中で晩年を迎えていた。しかし2度の中風で身体的に不自由となり言語障害にも見舞われたものの、幸いにも知的能力は障害を受けなかった。文政8年、63歳の一茶は、不自由な体ながら竹駕籠に乗り204日と年の半分以上俳諧師匠としての北信濃の門人巡りをこなした。[245] [Wikipedia]

前書きに田中ニ入駕四百五十文とあるので、駕籠のなかの作者を想定したが、駕籠に乗っていなくても同じ解釈が成り立つだろう。

あるいは、朔太郎の「月に吠える」のように門の犬が桃の花に向かって吼えている情景を想像することもできよう。この場合、犬は作者自身でもあり桃の花に吠えることで自らを慰めるのだろう。

いずれの場合も中七の読み方は、音感的には<なぐさミほゆや>がいゝように思う。

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