ふりがな一茶発句集の試み

「七番日記」文化11年3月27日 晴雰雨

一峨文通エド一日ヨリ十二日迠大雨つゞくよし来る、去十三日松本領ノ富民小又村大和又兵衛、松本[の]斎藤九良兵衛、仝(同)安西好兵衛三人ケノ(毛野?)泊という前書きがあり、

江戸で10日以上大雨が続いている、柏原にいるであろう一茶は春の雪に遭う。「うしろから冷(ひや)〳〵したる櫻哉」の句があり、「降しける雪のなげきの七ころびやをら八起の花に逢ふ哉」という和歌が続く。春だというのに雪まじりの花が散ったが、雪にもめげず櫻の花がけなげに咲いている。そんな情景が浮かぶ。

待てよ、当日の天気は晴霧雨としていて雪が降ったとは記していない。なぜ「降しける雪」なのだろうか。霧雨に濡れた花びらを「冷〳〵したる櫻」と表現したのかもしれない。だとすると、上の和歌は別の日の情景か想像のなかの雪を詠んだことになろうか。

俳句を季語ごとにほぼ作句の時期順に読んでいたのでは見えない情景だ。それを伝えようとするのがふりがな一茶発句集(春11)の試みである。この作業はまだ端緒についたばかりだ。2年半かかってようやくここまで来た。

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