一茶: つばめ

ふりがな小林一茶発句集春6 乙鳥つばめに次の80句がある。これらを読みながら思うのは一茶とつばめとの近さであり、ほとんど距離がないことである。読めばよむほど作者でもつばめでもない不思議な感官に襲おそわれるのだ。

ぜひ縦書き文庫版で読んでほしい、どうか横書きではなく縦書きで読んでいただきたいのです(なお、春6-11は現代かな遣いを歴史的かな遣いに修正中です、ご了承ください)。

noふりがな小林一茶発句集春6より
2148湯ゆの里さととよび(呼)初そむる日ひやむら(群)燕つばめ
享和二句記 享2
2149浅艸あさくさや乙鳥つばめとぶ(飛)日ひの借木履かりぼくり
文化句帖 化2
2150片里かたざとや宿やどなし乙鳥つばめ暮くれいそ(急)ぐ
文化句帖 化2
2151艸くさの葉はのひた〳〵汐しほやとぶ乙鳥つばめ
文化句帖 化2
2152艸くさの葉はや燕つばめ来初きそめてうつく(美)しき
文化句帖 化2
2153さし(差)汐しほも朝あさはうれし(嬉)やとぶ乙鳥つばめ
文化句帖 化2
2154乙鳥つばくらのけぶ(煙)たい顔かほハせざりけり
文化句帖 化2
2155乙鳥つばくらもことし(今年)嫌きらひし葎むぐら哉
文化句帖 化2
2156乙鳥つばくらや叟おきなが膝ひざハふすぼ(燻)れと
文化句帖 化2
2157乙鳥つばくらや野のべ(辺)ハまづ(先)むぎ(麦)先まづ小家こいへ
文化句帖 化2
2158巣す乙鳥つばめや艸くさの青山あをやまよそ(余所)にして
文化句帖 化3
2159とぶ(飛)燕つばめ君きみが代よならぬ艸くさもなし
文化句帖 化3
2160遅蒔おそまきの菜なもな也けり飛とぶ乙鳥つばめ
文化句帖 化4
2161来くる日ひから人見ひとみしり(知)せぬ乙鳥つばめ哉
文化句帖 化4
2162島しま〴〵も佛法ぶつぽふありて燕つばめ哉
文化句帖 化4
2163巣す乙鳥つばめの目めを放はなさぬや暮くれの空そら
文化句帖 化4
2164とぶ(飛)乙鳥つばめ庵いほのけぶり(煙)のあらめでた(目出度)
化三-八写 化4
2165山里やまざとは乙鳥つばめの聲こゑも祝いはふ也
文化句帖 化4
2166夕燕ゆふつばめ我われには翌あすのあてはなき
文化句帖 化4
2167巣す乙鳥つばめや何なにをつぶや(呟)く小こくら(暗)がり
文化句帖 化5
2168乙鳥つばくらも待心まちごころなる柱はしら哉
文化句帖 化5
2169今来いまきたと㒵かほを並ならべる乙鳥つばめ哉
七番日記 化9
2170乙鳥つばくらにきそ(木曽)のみそ(味噌)搗つき始はじまりぬ
七番日記 化9
2171乙鳥つばくらや小屋こや[の]博奕ばくちをべちやくちやと
七番日記 化9
2172 浜藻
乙鳥つばくらよ紅粉べにがたら(足)ずば梅うめの花はな
株番 化9
2173久ひさしぶりの㒵かほもつ(持)て来くる燕つばめ哉
七番日記 化10
2174餅もちつ(搗)かぬ宿やどとしり(知)て[や]おそ(遅)燕つばめ
七番日記 化10
2175今植いまうゑた木きへぶら下さがる乙鳥つばめ哉
七番日記 化11
2176今いましがたさし(挿)た柳やなぎへ乙鳥つばめ哉
七番日記 化11
2177臼哥*うすうたを聞きき〳〵並ならぶ乙鳥つばめかな
七番日記 化11 *臼挽き歌
2178起おきよ〳〵アコ(吾子)が乙鳥つばくら鳩はとすゞめ(雀)
七番日記 化11
2179甲斐かひ信濃しなの乙鳥つばめのしら(知)ぬ里さともなし
七番日記 化11
2180乙鳥つばくらよ是これはそなたが桃ももの花はな
七番日記 化11
2181乙鳥つばくらよ先まづ見みてたもれ梅うめの花はな
七番日記 化11
2182乙鳥つばめとぶ(飛)や二度にどとふたゝ(再)び来こぬふり(振)に
七番日記 化11
2183とび下手べたは菴いほの燕つばめぞ〳〵よ
七番日記 化11
2184なぜややら脇わきの乙鳥つばめはとく(疾)に来きぬ
七番日記 化11
2185婆ゝばば見みやれあれよ乙鳥つばめがまめ[な]㒵かほ
七番日記 化11
2186まめ*な尻けつつい**と並ならべる乙鳥つばめ哉 七番日記 化11
*丈夫な **何気なしに
2187飯前めしまへに京きやうへい(往)て来くる乙鳥つばめ哉
七番日記 化11
2188めん(面)〳〵におの(己)が乙鳥つばめのひいき(贔屓)哉
七番日記 化11
2189我庵わがいほや先まづは燕つばめのまめな㒵かほ
七番日記 化11
2190明暮あけくれにけむ(煙)い㒵かほせぬ乙鳥つばめ哉
七番日記 化12
2191いざこざをじつと見みて居ゐる乙鳥つばめ哉
七番日記 化12
2192急度*きっとした宿やどもなく夕ゆふ乙鳥つばめ
七番日記 化12 *確かな
2193京きやうも京きやう京きやうの五条ごでうの乙鳥つばめ哉
七番日記 化12
2194乙鳥つばくらの我われを頼たのみに来きも来きたよ
七番日記 化12
2195乙鳥つばくらやゆき(往)[き]の人ひとを深山木みやまぎに
七番日記 化12
2196目を覚さませアコ(吾子)が乙鳥つばめも参まゐつたぞ
七番日記 化12
2197やよ燕つばめい(去)ねとは立たてぬけぶり(煙)ぞよ
七番日記 化12
2198やよ燕つばめ細ほそいけぶり(煙)を先まづ祝いは[へ]
七番日記 化12
2199世よがよいぞ〳〵野の燕つばめ里さとつばめ(燕)
七番日記 化12
2200野のに門かどに打うつちら(散)かるやぬれ(濡)乙鳥つばめ
七番日記 化11
2201又またおせわ(世話)になりまするとや鳴なく燕つばめ
七番日記 化14
2202乙鳥つばくらを待まつてミそ(味噌)つく(搗)梺ふもと哉
風間八番 政2
2203乙鳥つばくらもおれ(己)が門かどをばけふ(今日)げこふ(下向)
風間八番 政2
2204八兵衛はちべえがぼん(盆)のくぼ(窪)より乙鳥つばめ哉
梅塵八番 政2
2205口軽くちがるに気きがる(軽)にさくい乙鳥つばめ哉
八番日記 政4
2206日本ひのもとニ来きて紅べにつけ(付)し乙鳥つばめ哉
風間八番 政4
2207紅粉べに付つけてずらり並ならぶや朝あさ乙鳥つばめ
八番日記 政4
2208親おやの㒵かほに泥どろぬつ(塗)てとぶ(飛)乙鳥つばめ哉
文政句帖 政5
2209大佛だいぶつの鼻はなから出でたる乙鳥つばめ哉
文政句帖 政5
2210田たを打うつニよし(良)といふ日や来くる乙鳥つばめ
文政句帖 政5
2211乙鳥つばめ来くる日ひを吉日とあるひの味噌煮みそに哉
文政句帖 政5
2212どれも〴〵〴〵口くちまめ乙鳥つばめ哉
文政句帖 政5
2213豆蔵まめざうが口くちまね(真似)もするつばめ(乙鳥)哉
文政句帖 政5
2214居並ゐならんで切口上きりかうじやうの乙鳥つばめ哉
文政句帖 政7
2215今参いままゐりましたぞ夫婦めをと乙鳥つばめ哉
文政句帖 政7
2216神國かみぐにのふり(振)や乙鳥つばめも紅べにつけ(付)る
文政句帖 政7
2217常留主じやうるすの門かどぞ出でよ〳〵むら(群)燕つばめ
文政句帖 政7
2218鶏にはとりの隣となりをかり(借)るつばめ(乙鳥)哉
文政句帖 政7
2219鼠ねずみとハ隣となりずからの乙鳥つばめ哉
文政句帖 政7
2220紅べにつけ(付)た㒵かほを並ならべる乙鳥つばめ哉
文政句帖 政7
2221頬紅ほほべには乙鳥つばめの秘蔵ひざう娘むすめ哉
文政句帖 政7
2222店たなかり(借)て夫婦めをとかせぎ(稼)の乙鳥つばめ哉
文政句帖 政7
2223 南都
朝起あさおきの古風こふうを捨すてぬ乙鳥つばめ哉
文政句帖 政8
2224朔日ついたちをしざ(退)り出だしける乙鳥つばめ哉
文政句帖 政8
2225乙鳥つばくらやぺちやくちやしやべ(喋)るもん(紋)日*び哉
文政句帖 政9 *遊女が客を取らねばならない日、物日
2226乙鳥つばめ子このけいこ(稽古)にとぶ(飛)や馬うまの尻けつ
文政句帖 政9
これらの句はまだ未校閲です

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