この「実験的小説」の仮説について述べておこうと思います。一部、本文の序章と重複しています。
このサイトは、「実験的小説」の一部を発表するため、筆者が制作し運営しています。ふつうの小説とは異なり、時代設定が特定されないで時間軸が前後することから、「実験的」な小説と呼びます。仮の主人公XU(シュー)は記憶が時間軸の上を行ったり来たりしているのを自覚できません。彼の担当医または助手がそう認識するだけです。文体や時制の不一致なども、この小説の「実験的」な性格によります。
主題とする「ンヴィニ教」という語は便利(convenience)至上主義の類語で筆者がかつて「コンビニ教」と呼んだものと、ほぼ同じ意味で使います。あえて日本語には稀な ng 音から始まる語にしました。本文は時間軸(time base)にもとづく四部構成になっています。認知症における記憶の乱れを、記憶を構成する風景と意識内の時間軸との関係のずれや崩壊によるものとし、「風景のゆれと時間(軸)のゆらぎ」について仮説を提示したつもりです。