「一茶発句集」の編集・制作

Written by

縦書き文庫版「一茶発句集」は信濃教育会編「一茶全集」(1979年、以下[全])を底本とし、小林一郎編「一茶発句全集」(2005年、新年・春・ 秋/動物まで、以下[発])と「一茶の俳句データベース」(2014年、秋/植物と冬・雑、以下[俳])のデジタル資料に基づいて編集し、逐一底本[全]と照合しました。

ただ、[発]と[俳]では編集方針が異なり、一つの句に類似の句や異本がある場合、[発]は[全]と同じく異なる部分をその句に注記します。これに対し、[俳]は異本を含め、それぞれの出典の句を別の句として扱って載せるので類似の句が並び、全体の句数が多くなります。

他方、[全]以降に発見された句を追加していることは[発] [俳]2014とも共通しています。このような点を認めつつ縦書き文庫版を制作しました。スタイルは[全]に揃え、以後に発見された句は季語ごとに【2005】【2014】を付してまとめました。

なお、縦書き文庫版制作に際し[全]と「七番日記」(2003年、岩波文庫)で記載が異なる場合は同日記に従いました。具体例は次のとおりです。

縦書き文庫版「一茶発句集」の編集事例
例1
2003では次の二句を併記している。
 「カンキンは鴫に任せて冬籠」
 「冬籠鶯与二郎と呼れけり」
1979秋は次の一句のみ載せている。
 「かんきんは鶯与二郎と呼れけり」
1979年版編集の際に二つの句が合体され、「かんきんは鶯与二郎と呼れけり」になったと推測される。
【語の解釈】
1) カンキン: 漢琴の意、江戸期の文人が好んだ
2) 鴫に任せて冬籠: 自ら琴を弾かず、鴫の声を琴に見立てゝ冬籠すること
3) 鶯与二郎: 一茶の知人(里人・友人)か
4) …と呼れけり: 冬籠の座敷に鶯与二郎と呼ぶ声が聞こえたか、その人をもじったものか、二つの解釈あり
縦書き文庫版(秋6)の記載
秋2722
 かんきん(漢琴)しぎまかせて冬籠ふゆごもり
秋2722a
 冬籠ふゆごもりうぐひす与二郎よじらうよばれけり
(いずれも七番日記 文化11年、秋2722aは冬の部に移動)
参照: 縦書き文庫版「一茶発句集」秋6

Leave a comment