Tokyo Ueno Station by Yu Miri

米国 National Book Awards (NBA)の Translated Literature Winner に柳美里の “Tokyo Ueno Station”(原題: JR上野駅公園口)が選ばれた。在米コリアン Min Jin Lee の Pachinko が NBA 小説部門で Finalists に選ばれたのも記憶に新しい。米国で日本でコリアンの作家が英語圏の読者に伝わることを単純に喜びたいと思う。

日本語で書かれた文学作品が英語等に翻訳されることで複言語の読者を獲得するのもうれしい。逆にリーミンジンのパチンコが日本語に翻訳されたことも日本語の世界を豊かにする。日本語で書かれた作品のテーマや問題意識が外国語読者にも通じることの証左になるからだ。とりわけ英語版の影響力は大きい。

柳美里の原作『JR上野駅公園口』を読んでみた。なぜか、ピンとこない。作者の感性に忠実な描写だろうが、ホームレスである主人公の前を通り過ぎていく裕福そうな老婦人の会話とバラの図譜から引用したような記述が長々と続くことの意味をよく理解できなかった。主人公と現実界との距離感を描いたということなのか。原発に汚染された主人公の郷土の葬儀のようすを阿弥陀経の引用と南無阿弥陀仏の唱和で記述する手法をほめることもできるだろうが、やや冗長だ。僕の感性に問題があるのかもしれない。

一方で、作者の感受性に僕のそれと共通するものを感じる。たとえば、随所に表れる日本社会の発する案内や指示(カッコ内に太字で表示される)や機械音と雑音の描写だ。

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