第三部の末尾に次の叙述があります。
川に向かって繰り返し彼の名を呼んでいると、数十匹の魚が重なって激しくぶつかり合いながら川面に渦を起こした。そうか、これが魚たちの不器用なタンゴの舞いなのだ。群れのなかに魚になった凭也もいる、名もない魚になった凭也がいる。
新宿区内の路上で写真の光景を目にしたとき、僕が考えたのはヒトの死骸に食らいつく魚(うを)たちの群れだった。小説では肉食魚としたが、あるいは猛禽でもよいかもしれない。その場合、河葬(かそう)ではなく風葬か鳥葬にしなければなるまい。
第三部の末尾に次の叙述があります。
川に向かって繰り返し彼の名を呼んでいると、数十匹の魚が重なって激しくぶつかり合いながら川面に渦を起こした。そうか、これが魚たちの不器用なタンゴの舞いなのだ。群れのなかに魚になった凭也もいる、名もない魚になった凭也がいる。
新宿区内の路上で写真の光景を目にしたとき、僕が考えたのはヒトの死骸に食らいつく魚(うを)たちの群れだった。小説では肉食魚としたが、あるいは猛禽でもよいかもしれない。その場合、河葬(かそう)ではなく風葬か鳥葬にしなければなるまい。