惜(お)しかった、本当にくやしかった。帰り道、いつまでも去り難いほどだった。
大阪総領事館の管轄地域にある民族学校三校の一つ京都国際高等学校が甲子園進出の一歩手前で夢を果たせなかったのです。
28日午前、京都市の若狭スタジアム球場で行われた第101回日本高校野球選手権大会(甲子園大会)の京都大会決勝戦で京都国際高等学校が立命館宇治高等学校と接戦の末、2対3で惜しくも敗れました。7回まで2-0でリードし、8回に2-2の同点を許したあと、9回裏に点を入れられ<さよなら負け>を喫したのです。1回と2回に1点ずつ入れ、ずっとリードしていながら逆転負けしたので、選手だけでなく応援の生徒や教師、在日コリアンたちは本当にくやしがっていました。
甲子園の出場権がかかった京都大会の決勝戦は、もともと27日午後1時に開かれる予定でしたが、台風6号の影響で一日延期され、28日午前10時から行われました。27日、私は応援のため家を出ましたが、途中で延期を知り、引き返しました。翌朝、出直して教育担当領事と一緒に応援に出かけました。球場に到着すると、学校関係者だけでなく、地域のコリアンたちが応援席を埋め尽くし熱っぽく応援していました。
結果的には総合的な力が及ばなかったのでしょうが、京都国際が甲子園に出場していたら、在日コリアンの歴史に新たなページを記したはずだと思うと、この上なく悔しいのです。甲子園大会に日本の高校に通う在日コリアンの選手が出場したことは以前にもありますが、民族学校のチームが出たことはありません。最近、日韓関係が良くないためコリアンも心配が多く、そんなストレスを解消する絶好の機会を眼前で逃したという思いも少なからずあります。
1947年、在日コリアンが民族教育のために設立した京都国際学園は、2003年に日本政府から高校教育課程の一条校*として認可されました。現在、中高課程を運営し、日本の教育課程に沿った教育のほかに韓国語・韓国文化・韓国史を教えています。韓国籍と日本国籍の生徒が一緒に通っており、校歌は設立時の韓国語の校歌を歌っています。甲子園では試合が終わった後に勝った高校の校歌をNHKが生中継で流しますが、その「歴史的な」機会も次回まで延期されることになりました。
[*学校教育法第1条に定める幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学(短期大学および大学院を含む)、高等専門学校]
でも、失望してはいません。京都大会に出場した77校のなかで準優勝しただけで大したことなのです。京都国際はことしの春季京都大会でもすでに優勝しています。他校より歴史も浅く野球部員も特に選ばれた者ではない、限られた劣悪な環境のなかでつかんだ成果なので、なおさら貴重です。韓国の諺に雲多ければ雨降るというとおり、これまでの実績があれば次は甲子園の地を踏むに違いない、と私は見ています。今回の惜しくも悔しい敗北がより大きな成長の肥(こや)しになると信じて疑いません。
冒頭の日本語訳で悩まされました。次のようにしましたが、追って修正するかもしれません。あらためて翻訳のむずかしさと自分の力不足を感じます。
惜(お)しかった、本当にくやしかった。帰り道、いつまでも去り難いほどだった。
文章全体は「ですます体」ですが、この2行だけ、あえて「である体」にしています。
LikeLike