11月26日の午後、大阪で世宗研究所と韓国国際交流財団が共同主催する「大阪日韓関係シンポジウム」が開かれました。10月末の韓国大法院(最高裁)における強制徴用工判決と11月中旬の和解治癒財団の解散以降における日韓の緊張ムードのためか、在日コリアンだけでなく、日本人も少なからず参加しました。終始、聴衆の集中度が非常に高いようにみえました。
第1部で、ムン・ジェイン政権初期に青瓦台安保室第2次長を務めたキムギジョン教授が「韓半島情勢の変化と東北アジアの平和」と題して講演を行い、続いて関連の討論が行われました。第2部では、全パネリストが日韓協力のあり方をめぐって議論を交わしました。
南北が主導し、首脳たちがリードし、経済的利益を中心にして動くパラダイム転換という視点について朝鮮半島情勢を解説したキム教授の講演は大いに注目を浴びました。ただ、第2部における討論の焦点は、自ずと最近の日韓関係を反映し、どのように両国関係を改善していくかに絞り込まれていきました。
特に、強制徴用工に関する判決の衝撃が甚大で、容易には解決できないとする悲観論、対立調整と協力拡大論、時間が経てば解決されるとする楽観論など、さまざまな意見が出されました。
この困難な時期に、何が正解とは言い難い難題について、多くの日韓市民の前で討論すること自体、そして中座する聴衆がいなかったということだけでも、有意義なシンポジウムだったと思います。第1部の司会だった世宗研究所のペクジョンチョン理事長は最後に、まさに民間外交の現場を見るようだったと評しました。
私も祝辞のなかで、韓国政府は大法院の判決を尊重し、日韓関係の悪化を防ぐという二つの原則のもとに対策を講じていることを明かしました。そして事実に基づかないまま日本国内で噴出している大法院判決に対する批判の間違いを指摘しました。
今回の判決が政権交代の影響だとする主張に対し、今回の判決は李明博大統領時代の2012年に出された大法院1部の判決の再確認だとして、1965年の日韓請求権協定を否定するものだとする主張に対しては、(大法院判決は)日韓請求権協定を認めた基盤の上で適用範囲を判断したものだと述べたイ・ナギョン首相の発言を伝えました。