8月の初日、炎天下のもと、大阪総領事館主催により民団の大講堂で朝鮮半島情勢に関する公開講演会を開催しました。テーマは「南北首脳会談後の朝鮮半島情勢と新たな日韓・日朝関係の展望」です。米朝会談が実現する前、事前準備のなかで考えたテーマですが、タイトルに「米朝サミット」が入ればさらによかったと思います。
講師はチョン・セヒョン前統一部長官(南北首脳会談後の朝鮮半島情勢)とソウル大学日本研究所のナム・ギジョン教授(日韓・日朝関係)という、韓国内外で最高レベルの専門家を招聘しました。
南北首脳会談の日程が決まったのを見て、6月初めに講演会の予定を組みました。ところが、6月12日に米朝サミットが実施されることになったため、一度6月21日に延期しました。そして、6月18日にまったく予期しなかった地震が起き、再び8月1日に日程調整を行ったのです。再三の調整の末ようやく日取りを決めましたが、今度は40度近い猛暑が続き、参加者がどれほど集まるか不安でした。
ところが、いざ蓋を開けてみると大講堂に用意しておいた席が足りないほどの盛況を呈しました。日本における朝鮮半島情勢に対する関心が高く、最高レベルの講演者を招聘して熱心に広報したことが、相乗効果を産んだと考えています。特に、今回の講演会では、いつもあまり参加しない、さまざまな分野の在日コリアンと日本人が来場して会場に賑わいを添えました。
チョン前長官は、南北・米朝サミットの歴史的意味を説明し、これによって朝鮮半島の冷戦解体の流れが元に戻せない趨勢になったと述べました。ナム教授は、北東アジア情勢の変化に参画していない日本は「国際政治の蚊帳の外」ではなく「歴史の蚊帳の外」にいるのだと言い、韓国と北東アジアの平和づくりに参画すべきだと力説しました。
2時間余りの講演を聞いて満足したようすで帰っていく参加者の姿を見て、日韓のこのようなコミュニケーション機会の重要性をあらためて痛感しました。
「日本は『国際政治の蚊帳の外』ではなく『歴史の蚊帳の外』にいる」という指摘はきついけれども、大いに考えさせられます。韓国・中国がいう「歴史(認識)問題」について日本の政治関係者が的を射た対応をできない状況と不可分の関係にあると理解します。明治期以降の歴史の流れを踏まえた議論が必要ですね。
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