一茶に魅せられて(1)

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昨年末に母が他界したあと「めでたさもちう位なりおらが春」という句が気にかかり、一茶の俳句を読み直そうと思った。文庫本で読むことはできるが、スマホでいつでもどこでも読みたい。そう考えていたとき、長野郷土史研究会のサイトで小林一郎氏編の「一茶発句全集」に出会い、「あっこれだ」と思わず叫んだ。すぐ作業を始め、1月初めに同全集新年の句をこのブログに非公開で載せた。それをサンプルとして提示し、同研究会にスタイルを一部編集して転載することにつき許諾をお願いしたところ、快諾していただいた。すべてはそこから始まった。どれだけ感謝しても足りない。

そして、菊地明範氏の日本語縦書き論に触発され、縦書き文庫に掲載することにした。同文庫は青空文庫に掲載された作品を読みやすい縦書きにして載せるとともに創作作品を発表する場を無償で提供している。無名の者にとってこの上なくありがたいサイトだ。縦書き文庫版「一茶発句集」制作に着手して約3ヵ月、新年と春で合わせて5,218句をアップした。橋本信明氏による校閲あったればこそだ。

縦書き文庫版「一茶発句集」を通じて一人でも多くの人が一茶という人とその句に触れることを心から願う。少し休んだあと夏の句の制作に着手するつもりだ。

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  1. shaw Avatar

    一茶の句はどれも独特の哀愁を感じさせる。とくに老境に入ってからの句からは寂寥感と孤立感がひしひしと感じられる。だからといって悲しみ沈んでいくのではない、どこか達観している。自分の姿を客観し、他者のように扱っている。だから、蛙や犬のような小動物、雀や雁のような鳥たちに自分に投影できるのだ。読者も類似の感官を得て、彼の創った世界にしばし遊ぶことができるのだ。

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