源氏物語のあらすじ

WAKOGENJI 和子/源氏物語より転載し、一部編集しました。

第1部 光源氏の愛と栄華の物語: 誕生-39歳
第1帖 桐壺 光源氏誕生; 源氏の君元服; 葵と結婚
いつの御代のことでしょう。女御・更衣など大勢お仕えする宮中に、桐壺帝の愛情を一身に受ける更衣(身分の低い女官)がおりました。位の高い女御たちの嫉妬の中、やがて皇子(源氏の君)を産みますが、皇子三才の時、病死してしまいます。帝は、悲しみの中、亡き更衣に生き写しの藤壷(先帝の内親王)を後宮に迎えます。源氏の君は亡母の面影を藤壷の宮に重ね、心から慕うようになります。源氏の君は元服の夜、左大臣の皇女(葵)と結婚します。(源氏誕生-12歳)
第2帖 帚木
長雨の降り続く頃、源氏の君は頭中将たちと、「女性とは、上流でなくむしろ中流階級にこそ素晴らしい人がいるものだ」などと話し合っておりました。(雨夜の品定め) 梅雨の晴れ間、紀伊の守の家に方違えのため泊まることになり、その妻と契りを結びます。まさしく中流で凛とした女性に源氏の君はすっかり心惹かれてしまいます。(源氏17歳)
第3帖 空蝉
源氏の君は紀伊の守の御邸を再び訪れ、心惹かれたその妻の部屋に忍び入りますが、気付かれて逃げられてしまいます。後に残された衣を持ち帰り「空蝉のような…」と恋しく思います。継娘の軒端萩(のきばのおぎ)と契ります。
第4帖 夕顔
源氏の君が、六条の御息所のところにお忍びで通う頃、夕顔の花の咲く家に住む美しい姫君に心惹かれ愛しあいますが、姫は御息所の生霊につかれ急死します。夕顔の姫君を失って悲しみにくれ、源氏の君は病の床につきます。
第5帖 若紫 少女(紫上)と出逢う; 藤壷と契る
熱病を病んだ源氏の君は、祈祷のため京都北山の寺にでかけます。藤壷の中宮(義母)を心から慕う源氏の君は、そこで藤壷に大層よく似た面影の少女に出逢います。藤壷恋しさに、その少女を手元に引き取り理想の女性に育てたいと思いますが、一方、妻・葵の上とは、今だに心打ち解けることがありません。藤壷の中宮は、源氏の君との初めての逢瀬に、懐妊してしまいます。不義を知らぬ桐壺帝は、藤壷の懐妊を大層喜び、二人は自らの運命に恐れおののきます。(源氏18歳)
第6帖 末摘花
常陸の姫君は、父親王に先立たれ後見もなく惨めに暮らしておりました。それを聞いた源氏の君は、大輔命婦の手引きで忍んでお逢いになりますが、いくら話しかけても全く返事を返さぬ姫に苛立ち、せめて美しいご容貌ならばと、ある雪の日、姫君の姿をご覧になりますと、その鼻が紅く長く垂れ下がり、大層醜い様子でした。源氏の君は、姫君を末摘花(紅花)と呼び、見るのも厭な気がしましたが、契りを結んだ姫君としてずっと後見することを決めます。 
第7帖 紅葉賀 藤壷が不義の子を出産
朱雀院の行幸が催され、源氏の君が紅葉の下で舞う雅楽・青海波は、比類ない美しいものでした。二月になり、藤壷の宮は皇子を出産なさいました。父帝は源氏の君に似た美しい皇子を大層可愛がり、藤壷は罪の重さに心痛めます。一方、北山の少女(若紫)は、日毎に美しく成長します。(源氏18-19歳)
第8帖 花宴 朧月夜と出逢う
桜の宴が催された夜、源氏の君はほろ酔い心地で、弘徽殿の細殿の辺りを歩いておられますと、「朧月夜に…」と古歌を詠って来る美しい姫君に逢います。二人は愛し合い、その証しに扇を交わします。後にこの姫君(朧月夜)が敵対する弘徽殿の女御の妹君と分かり、源氏の君の運命を大きく変えることになります。(源氏20歳)
第9帖 葵 桐壺帝譲位; 葵の上の出産・死去; 若紫と結婚
桐壺帝の譲位があり、弘徽殿の春宮・朱雀帝が即位されました。賀茂の祭の日、葵の上は祭見物に出かけます。大路は混んでいて御車を止める所がありません。古びた網代車と所争いになり遂に押し退けてしまいますが、それは六条の御息所の御車でした。その日から御息所の心は大層乱れ、悔しさから生霊となって葵の上に取り憑いて苦しめます。源氏の君はようやく、妻・葵の上を愛しく思いますが、御子を出産した後、葵の上はあっけなく亡くなってしまいます。源氏の君は悲しみのあまり、若紫を心の慰めに可愛がります。恋しい藤壷に似て、ますます愛らしくなられた姫君と、遂に新枕を交わしてしまいます。(源氏22-23歳)
第10帖 賢木 桐壺院ご崩御; 藤壷の出家; 朧月夜との密会発覚
六条御息所の姫君が斎宮として伊勢に下る日が迫り、同行する御息所を引き留めようと、源氏の君は野宮を訪れますが、御息所のご決意は固くやがて出立なさいます。神無月に入り、桐壺院のご病気が重くなり、遂にご崩御なさいます。源氏の君は、里下がりの藤壷の中宮に熱い想いを訴えますが、中宮は強く拒否なさいます。源氏の君の愛を負担に感じた中宮は出家を決意し、故桐壺院の一周忌の法事の後、春宮に心を残しながら、黒髪を切り出家してしまいます。朱雀帝の御代となり右大臣の勢力下で、源氏の君は全てが厭にお思いになります。その頃、朱雀帝の寵愛を受ける尚侍の君(朧月夜)は源氏の君と忍んで逢瀬を重ねていました。ある雨の激しい夜、二人は右大臣に見付かってしまい、弘徽殿の女御の逆鱗にふれます。弘徽殿の女御は、これを機会に憎い源氏の君を政界から葬ることを考えます。(源氏23-25歳)
第11帖 花散里
ある日、麗景殿の女御の妹君(花散里)を訪ねる途中、中川の辺りで美しい琴の音に耳を留め、それが昔愛した女性の家だと思い出している折、ほととぎすが鳴いて渡ります。昔を懐かしみ、逢いたいと申し入れますが、逢えずに引き下がります。麗景殿の女御の御邸で、橘の花の薫るなか、故桐壺院のことがしみじみと偲ばれ、女御と昔話をして心慰めます。そして妹の姫君と愛を交わします。
第12帖 須磨 離京(須磨へ)
朧月夜の姫との密会が露見して、源氏の君は官位を剥奪され、更なる流刑などを怖れて、自ら須磨へ退く決心をします。都から隔絶された海辺の須磨で源氏の君の侘びしさは募るばかりでした。ある日激しい暴風雨に襲われました。明け方見た夢に怪しい物影が現れ、源氏の君は須磨を離れたいと思われました。(源氏26-27歳)
第13帖 明石 (明石へ) 明石の上と契る; 帰京
故桐壺院のお告げどおり、源氏の君は入道に迎えられて、明石に行かれました。京では帝が病気になられ、遂に源氏の君をお許しになる宣旨が下りました。その頃、源氏の君は入道の娘と契り、懐妊のご様子に、明石を離れることを嘆かれましたが、必ず都に迎えると約束して、京にお帰りになりました。朱雀帝からお召があり、権大納言になられました。
第14帖 澪標 冷泉帝即位; 明石の姫君誕生; 御息所病死
朱雀帝は病が重くなられ、春宮(桐壺院と藤壷の御子・実は源氏の子)に帝の位を譲り、都に戻られた源氏の君は、内大臣になられました。明石の上には女御子が誕生し、源氏の君は紫上に隠れて、姫君の誕生を喜びます。紫上は明石の君に嫉妬を感じ、取り残される我が身に不安を抱くようになります。六条の御息所は帰京してまもなく病床につき亡くなります。その遺言通り、源氏の君は斎宮を養女に迎えます。(源氏28-29歳)
第15帖 蓬生
源氏の君が須磨に退いていた間、末摘花は大層貧しく惨めにお過ごしでした。叔母からの九州に下る誘いも断り、ただ源氏の君のお帰りを待ち続けておりました。ある日、源氏の君は大層荒れ果てた御邸で末摘花と再会します。信じて待ち続けた末摘花を愛しく想った源氏の君は、ずっと援助することを決めます。
第16帖 関屋
昔、源氏の君は伊予介の妻・空蝉に心惹かれ、たった一度の契りを結びました。しかし空蝉は、その後源氏を拒み続け、夫の任地に下って行きました。今、京に戻ることになり、逢坂の関に一行がさしかかった時、石山詣に向かう源氏の君の一行と出逢います。再び出逢った二人は、昔を忍び切ない思いを込めて、歌を交わすのでした。
第17帖 絵合
冷泉帝は大層絵がお好きで、絵の上手な梅壺の女御をご寵愛なさいました。一方、相対する弘徽殿の女御も優れた絵を収集していました。ある日、冷泉帝の御前で「絵合」が催されました。梅壺の義父である源氏の君もご出席なさいました。絵の見事さを競い合いますが、なかなか勝負がつきません。最後に源氏の君が須磨で描かれた絵が出されまして、遂に梅壺方が勝ちました。(源氏31歳)
第18帖 松風 明石の君上洛
源氏の君は、身分の違いを理由に上洛をためらう明石の上に、盛んに姫君と京都に来られるようにお勧めなさいました。都の明石入道の旧邸を修復して、そこに呼び寄せなさいましたが、紫上に気兼ねをして、なかなかお通いになることができませんでしたが、ある松風の吹く中、三年ぶりに明石の上と再会を果たします。そして紫上に全てをうちあけ、幼い姫君を紫上のもとで養育することを頼みなさいます。
第19帖 薄雲 明石姫君を養女に; 藤壷の死去
源氏の君は明石の姫君を引き取り、紫上の養女として迎えます。翌年、藤壷の入道の宮が重い病気になられ、遂に死去されます。ここで初めて、冷泉帝はご自分の出生の秘密を知り、大層驚かれます。
第20帖 朝顔
源氏の君のいとこにあたる朝顔の姫君は、父君を亡くされ、頼る人もなく寂しくお過ごしでした。若い頃からこの姫に好意を持ちながら拒まれていた源氏の君は、今一層愛しくお思いになります。ある時、源氏の君は紫上にご自分の女性遍歴を語り、紫上は大層傷つき心痛めます。その夜、夢の中に藤壷が現れ、源氏の君を強くたしなめます。(源氏32歳)
第21帖 少女 夕霧の元服
夕霧は12歳になり、元服の儀を迎えました。左大臣邸で大切に養育された夕霧は、これを機に源氏の君の御邸に移り、学生として勉学に励み、源氏の君の教育方針のもとに、大層厳しく辛い日々を送ることになります。内大臣(もと頭中将)の娘・雲居雁(くもいのかり)は夕霧と幼なじみで、将来を約束した仲でありながら、父の反対に遭い二人は引き離されてしまいました。(源氏33-35歳)
第22帖 玉鬘
頭中将と亡き夕顔との娘である玉鬘(たまかずら)は、3歳の時に預けられた乳母と共に九州の筑紫に下っておりましたが、大層美しく成人して上洛することになりました。途中、観音さまにお参りに行くその宿で、かつて夕顔の侍女であった右近に出逢います。右近は今、源氏の君にお仕えしていることから、上京しても身よりのない玉鬘は、六条院に引き取られることになりました。
第23帖 初音
新年を迎え、源氏の君は、六条院で紫の上とお祝いの言葉を交わし、権勢に満ちあふれ、華やかな日々をしみじみと感じ入っておられました。そして、明石の姫君、花散里、玉鬘、明石の上、更に、末摘花、空蝉などを訪問します。(源氏36歳)
第24帖 胡蝶
玉鬘の美しさが評判になり、蛍宮(源氏の異母弟)、柏木(もと頭中将の子)や、鬚黒など、多くの男性が恋心を抱くようになります。源氏の君も親代わりという立場ながら、亡き夕顔を思い出させる玉鬘の美しさにすっかり心惹かれてしまいます。玉鬘は、親代わりの源氏の君の御心に、大層困惑しておりました。
第25帖 蛍
玉鬘に思いを寄せる蛍宮は、源氏の君の計らいで、玉鬘に逢うことができました。ほのかにまたたく蛍の光に照らされた美しい玉鬘の姿に、ますます恋心を募らせていきました。そして源氏の君も玉鬘への愛に苦悩しておりました。また夕霧は雲居雁への恋に大層心悩ませておりました。一方、内大臣(もと頭中将)は、幼く行方不明になった夕顔との子の行方を捜していました。
第26帖 常夏
内大臣は娘の近江君(おおみのきみ)を引き取りますが、その愚かな振る舞いに大層手をやいていました。また、夕霧と雲居雁の関係も思うように進みません。源氏の君には、養女として引き取った玉鬘への愛情が募るばかりでした。
第27帖 篝火
秋の夜、篝火に照らされた玉鬘の美しい姿は、源氏の君の心を魅了してしまいました。源氏の君は世間から悪い評判がたたないように乱れる心を抑え、玉鬘のもとから帰らなければなりません。和歌を詠み交わしまして、近くに来ていた柏木たちを呼び寄せ、琴の合奏をして心慰めました。
第28帖 野分
美しい六条院も激しい野分(台風)のため、すっかり荒れてしまいました。夕霧はお見舞いに訪れ、そこで紫の上の姿を垣間見て、その美しさに感動してしまいます。翌朝、夕霧は源氏の君のお供をして、六条院の中を見舞って回ります。
第29帖 行幸
12月になり、大原野に行幸がありました。玉鬘はここではじめて、実父・内大臣の姿を見つけます。更に、冷泉帝の気品の高い、清らかなお姿に感動します。源氏の君は内大臣に逢い、玉鬘を養育することになった経緯をすべて語ります。内大臣は心から感謝し、源氏の君に玉鬘のことを頼みます。翌年、玉鬘と実父・内大臣との対面が実現します。
第30帖 藤袴
玉鬘は、宮仕えの話を、大層悩んでおりました。夕霧は美しい玉鬘が実の妹でないことが分かり、恋心が芽生えたようでした。一方、柏木も玉鬘に想いを寄せていましたが、異母妹と分かり自分の思いを反省していました。蛍宮や鬚黒は今もなお玉鬘に思いを寄せて、恋文を送り続けておりました。(源氏37歳)
第31帖 真木柱
玉鬘はなんと、鬚黒に嫁ぐことになりました。鬚黒は正妻にかまわず、玉鬘に夢中になり、自宅に引き取ろうと、思い巡らします。源氏の君の恋心はまたしても実を結ぶことなく、ままならぬ男女の仲を思い知らされるのでした。
第32帖 梅枝 明石姫君の裳着
源氏の君のお住まいである六条院は、美しい女君たちで誠に華やいでおりました。明石の姫君の裳着(女性の成人式)の準備に忙しく、紫の上もこの上なくお心遣いをなさっておられました。そして、明石の姫君の入内は、4月と決まりました。
第33帖 藤裏葉 夕霧結婚; 明石姫君入内; 源氏は準太上天皇に
亡き夕顔の娘(玉鬘)のことがあってから、内大臣(もと頭中将)の態度がすっかり優しくなられ、遂に夕霧と雲居雁の結婚の許しがでます。明石の姫君は入内し、源氏の君は明石の上と再会して、しみじみと想いを込めてお話をなさいました。源氏の君は、準太上天皇(じゅんだじょうてんのう)という天皇の次に高い位を授かり、ここに栄達を極めたのでございます。(源氏39歳)
第2部 光源氏晩年の物語: 41-52歳
第34帖 若菜上 女三宮が源氏に嫁ぐ
朱雀院は最愛の娘・女三宮を準太上天皇の源氏の君に嫁がせることをお望みになり、源氏の君もこれを承諾しました。女三宮(13歳)は六条院の春の寝殿に移ってまいりました。そこは、源氏の正妻である紫上がお住まいの所でしたが、身分の高いこの姫君は最高の待遇で迎えられ、紫上は衝撃を受けられました。一方、源氏の君は朧月夜の君と久しぶりにお逢いになりました。また、明石の女御は皇子を出産なさいました。六条院で蹴鞠(けまり)を催した際、柏木(内大臣の長男)は、猫の飛び出した御簾の影に女三宮の姿を見て、その美しさに一層想いを募らせました。(源氏41歳)
第35帖 若菜下 冷泉帝譲位; 紫上病む; 女三宮は柏木と契る
初老の源氏の君は、幼い妻・女三宮のご機嫌をとることに気をとられ、紫上は大層辛く思い悩んでおられました。冷泉帝の譲位がありました。女楽の催された日、遂に紫上は重い病に倒れ、二条院にお下がりになりました。驚いた源氏の君は熱心に紫上を看病しました。若い頃からここ二条院で過ごした日々を思い出し、二人だけで過ごす幸せから、紫上は少しづつ快方に向かわれました。一方、源氏の君が不在となった六条院では、ある日柏木が忍び込み、女三宮と契りを結びます。女三宮は懐妊し、それを見舞った源氏の君は、布団の下から柏木からの恋文を見つけ、二人の密会を知ることになります。柏木は良心の呵責に悩み、病に倒れます。(源氏41-47歳)
第36帖 柏木 女三宮は薫を出産; 柏木病死
柏木の病気が重くなる一方で、女三宮は不義の御子(薫)を出産なさいました。源氏の君はその真実を知りながらも、わが子として薫を養育しますが、内心大層疎ましく思っておりました。女三宮は大層思い悩み、出家を希望します。源氏の君も父・朱雀院も思い止まるよう説得なさいますが、決心は固く、遂に出家してしまいます。一方、柏木は、親友の夕霧に真実をほのめかし、妻の落葉宮(おちばのみや)を託して亡くなります。やがて、薫の誕生50日目のお祝いが盛大に催されました。(源氏48歳)
第37帖 横笛
柏木の一周忌を終え、源氏の君は次第に薫を慈しむようになります。夕霧は、何度も落葉宮を訪ね、慰めるうちに、やがて心惹かれてゆきます。ある夜、夕霧は落葉宮の母から、亡き柏木が大切にしていた笛を譲り受けます。帰宅後、柏木の亡霊を夢に見て、心をこめて供養をおこないます。夕霧が落葉宮に思いを寄せていることを知った妻・雲居雁は嫉妬を覚えます。
第38帖 鈴虫
出家した女三宮の持仏供養が盛大に行われ、源氏の君は女三宮を訪ねて、しみじみと語り合います。夕霧をはじめ、多くの公卿たちも集まり、庭の鈴虫の声を聞きながら、琴や笛などを奏して楽しみます。源氏の君は六条の御息所の娘・秋好中宮(あきこのむちゅうぐう)を訪ねます。中宮は亡き母が成仏できないでいることに心痛め、出家を望みます。源氏の君は六条の御息所の冥福を祈り、法華御八講を催すのでした。(源氏50歳)
第39帖 夕霧
落葉宮は母君が病に倒れ、加持祈祷のため小野の山荘に移りました。落葉宮の母は、夕霧の本心を知りたいと手紙を送りますが、夕霧からの返事もなくすっかり悲嘆にくれて、亡くなってしまいます。夕霧の落葉宮への思いは募るばかりで、妻・雲居雁は実家に帰ってしまいます。
第40帖 御法 紫上死去
紫上はすっかり病気がちになられ、出家を望みますが、源氏の君には紫上のいない生活は考えられませんので、決してお許しになりません。夏の暑さに加えて、紫上はますます衰弱してしまいます。そして、庭の萩におりた露のように、はかなく息をひきとります。最愛の人を失った源氏の君の悲しみは、誠に深いものでございました。(源氏51歳)
第41帖 幻 源氏出家
紫上が亡くなって一年、源氏の君は六条院に篭もり、次第に出家の意志を固めていきます。春になり、明石の上や女三宮が訪ねてきますが、源氏の君の心は晴れず、紫上への追憶は深まるばかりです。やがて出家の準備をはじめ、紫上と交わした手紙もすべて燃やし尽くして…。(源氏52歳) [この帖を最後に、源氏の君は物語から姿を消す]
第3部 薫をめぐる匂宮と宇治三姉妹の愛の物語
第42帖 匂宮 ここから薫の物語
源氏の君が亡くなられた後、これに代わる方は匂宮(におうのみや)と薫(かおる)であると、人々は噂しておりました。匂宮が陽気で軽薄な性格なのに対して、薫は誠実で暗い性格の方でした。その上、薫は自分の出生に疑問を抱き、大層思い悩んでおられました。源氏の子として育てられた薫は、実は幼い妻・女三宮と柏木との不義の御子でした。(薫14-20歳)
第43帖 紅梅
鬚黒の娘の真木柱は、夫の死後一人娘を連れて、紅梅の大納言と再婚いたしました。匂宮はこの美しい娘に関心を持つのでした。(薫24歳)
第44帖 竹河
鬚黒が亡くなり、妻の玉鬘と二人の美しい娘(大君・中君)が残りました。大君に思いを寄せる薫は、玉鬘の邸を訪れます。梅の枝で鶯が鳴く念誦堂で、薫は宰相の君(玉鬘の侍女)に大君への思いを伝えます。三月になり、中庭に咲く桜の木を賭けて、二人の姫君が碁を打っていますと、やはり大君に思いを寄せる蔵人少将が垣間見をしています。しかし、結局大君は冷泉院に嫁ぎ、また妹の中君は、今上帝(きんじょうてい)の尚侍になりました。(薫14-23歳)
第45帖 橋娘 以降「宇治十帖」
源氏の君の異母弟である八宮(はちのみや)は政権争いに敗れ、二人の美しい娘と宇治の山荘に隠棲しておりました。薫はこの八宮を慕い宇治を訪れまして、二人の娘が琴と琵琶を合奏する姿を垣間見ます。月が雲間から現れ、美しい姿が浮かび上がり、薫は強く心打たれます。しばらくして、再び宇治を訪れた薫は、ご自分の出生の秘密を知らされます。(薫20-21歳)
第46帖 椎本
宇治に住む美しい二人の姫君の話を聴いた匂宮は、大層興味を持ちます。やがて八宮が亡くなり、薫は大君に遺言を伝え、自分の恋心を打ち明けなさいましたが、大君は薫を受け入れようとしません。(薫23-24歳)
第47帖 総角
宇治の大君は、妹の中君を薫の相手にと考えておりました。ある夜、薫は二人の部屋に忍び込みますが、大君はその気配に身を隠し、中君とも結ばれませんでした。薫は匂宮を宇治に案内し、匂宮は中君と契ります。一方、夕霧は娘・六の君と匂宮との結婚を望みます。それを聞いた中君は、ただ匂宮を信じ思い悩みますが、大君は妹を心配するあまり、病みついてこの世を去ります。(薫24歳)
第48帖 早蕨
父の八宮が亡くなり、姉の大君をも失った中君は、失意の日々を送っておられます。匂宮はこの中君を二条院に引き取ることにします。薫はこの艶やかで美しい中君を、匂宮に譲ったことを後悔し心乱れておりました。(薫25歳)
第49帖 宿木
今上帝は娘の女三宮を薫に嫁がせたいと考えておりましたが、中君に思いを寄せる薫は、気がすすみません。一方匂宮は、夕霧の娘・六の君と結婚します。中君は懐妊していて、匂宮の心が離れていくことを大層思い悩み、懐かしい宇治の日々を思い出して、薫と手紙を交わします。中君は異母妹の浮舟のことを、薫に話します。久しぶりに宇治を訪れた薫は、浮舟の姿をみて、亡き大君に似た美しい姫に心惹かれるのでした。(薫24-26歳)
第50帖 東屋
浮舟を哀れに思う母・中将の君は、中君に浮舟を託しました。匂宮は中君の妹とは知らずに、美しい浮舟に言い寄りましたが、危うく逃れて、三条辺りの隠家に忍んで移り住みます。宇治の大君に似た浮舟に思いを寄せる薫は、この事情を知り、隠家を訪れて夜明けとともに、浮舟を宇治に連れ帰ってしまいました。(薫26歳)
第51帖 浮舟
匂宮は薫が浮舟を宇治にかくまっていることを知ると、薫を装って浮舟を訪れ、思いを遂げてしまいます。二人の男に愛された浮舟は苦悩し、やがて死を決意することになります。(薫27歳)
第52帖 蜻蛉
浮舟は深く思い悩んで、宇治川に身を投げようと家を出ていきます。残された人々は、それぞれに浮舟を思って、嘆き悲しみます。         
第53帖 手習
浮舟は宇治川で倒れているところを横川僧都の一行に救われ、小野で看病されていました。すっかり記憶を失っていましたが、やがて回復し僧都を頼って出家する事になりました。浮舟の生存を知った薫は大層喜び、横川僧都を訪ねます。(薫27-28歳)
第54帖 夢浮橋
薫は浮舟の弟に手紙を託し、浮舟への熱い気持ちを伝えようとしましたが、浮舟は、ようやく得た心の平静を乱されることを怖れ、弟にも逢おうとせず、人違いだとして手紙にお返事も書きません。こうして薫の思いをきっぱり断ち切り、浮舟は平穏に生きることを選ぶのでした。(薫28歳)[完]
(c) wakogenji

 

わきびとたち

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