一茶発句集 秋5

2024年から総ルビ付きの縦書き文庫版を制作中で、その作業の一部として以下の資料(未定稿)を掲載しています。同文庫版はすでに夏と新年の部の句に旧かなルビを振りました。25年後半に春の部の修正を終えて秋と冬雑の部に取りかかり、26年中に完成する予定です。

一茶発句集 秋5/5
秋の草
秋の草鶴見る人も年のよる 文化句帖 化2
葎の花
馬柄杓にちよいと葎(の)咲にけり 八番日記 政2
草の花
けふも死に近き入りて草の花 享和句帖 享3
草花をかこつけにして里居哉 享和句帖 享3
洪水をことともせぬや草の花 享和句帖 享3
昔〳〵妻こもりしよ草の花 享和句帖 享3
やけ石のこけ重りて草の花 享和句帖 享3
雨落に生へ合せたり草(の)花 文化句帖 化1
草花や行よい門のいく所 文化句帖 化1
五六日居過す門や草の花 文化句帖 化1
草の花人から先へ夕べ哉 文化句帖 化2
草花にけぶりも添へて見度哉 文化句帖 化2
草花や追付誰も夕けぶり 文化句帖 化2
蔵陰も草さへあれば秋の花 文化句帖 化2
げに誠浦の苫屋の草の花 文化句帖 化2
四十から露でくらせ草の花 文化句帖 化2
空に迄仏まし〳〵て草の花 文化句帖 化2
吹出され〳〵けり草の花 文化句帖 化2
草花に汁鍋けぶる祭哉 文化三-八写 化3
冬枯にどれが先立草の花 文化句帖 化3
焼杭ははや秋風よ草の花 文化句帖 化3
寝にくても生在所の草の花 連句稿裏書 化4
入相にたじ(ぢ)ろぎもせず草の花 文化五六句記 化5
狼の毛ずれの草の咲にけり 文化五六句記 化5
草の花人の上には鐘がなる 文化五六句記 化5
草の花よんどころなく咲にけり 文化五六句記 化5
草花や鳥さへ立ば鴫らしき 文化五六句記 化5
草花や漸さけば又も水 文化五六句記 化5
草花や夕立の夜の墓の番 文化五六句記 化5
咲ば水〳〵也草の花 文化五六句記 化5
どら猫のけふもくらしつ草の花 文化五六句記 化5
鳥鳴て貧乏草も咲にけり 文化五六句記 化5
夕暮れを恨むがごとし草の花 文化五六句記 化5
草の花地蔵の身にも果報哉 句稿断片 化6
とかくして螢に荒る草の花 文化五六句記 化6
草花やいふもかたるも秋の風 七番日記 化7
ふくろふよ鳴ばいくらの草の花 七番日記 化7
行先やどれが先だつ草のはな 物の名集 化7
石仏誰が持たせし草の花 七番日記 化8
かつしかやなむ廿日月草の花 我春集 化8
来よやかかる小草も花ぢやもの 七番日記 化8
草の花妹がささげは老にけり 七番日記 化9
草花に蠅も恋するさはぎ哉 七番日記 化9
草花に縄も恋するさはぎ哉 七番日記 化9
一祭りさつと過けり草の花 七番日記 化9
灰汁桶のもやうに成や草の花 七番日記 化10
親の日と思(ふ)ばかりぞ草の花 七番日記 化10
草花やけふも芥を引かぶる 七番日記 化10
草花や立臼程の尻の迹 志多良 化10
痩草のよろ〳〵花と成にけり 七番日記 化10
草花で児まねいたる日暮哉 七番日記 化11
群蠅のふんし所や草の花 七番日記 化11
雀等がはたらきぶりや草の花 七番日記 化11
まけぬ気やあんな小草も花が咲 七番日記 化11
あはう草花も苦味はなかりけり 七番日記 化12
馬の子や横に加へし草の花 七番日記 化12
門口や折角咲いた草の花 七番日記 化12
蚊のさ(わ)ぐ替りにさくや草の花 七番日記 化13
ななし草き京が原に咲込ぬ 七番日記 化13
一寸の草にも五分の花さきぬ 七番日記 政2
入相の聞処なり草の華 発句類題集 政3
先ぐりに人はけぶりて草の花 八番日記 政3
人の世や先操にちる草の花 八番日記 政3
花らしき物が白いぞ小草原 八番日記 政4
庇から引つゞく也草の花 八番日記 政4
朝〳〵の目覚し草よ花に花 文政句帖 政5
門畠や今むしらるゝ草の花 文政句帖 政5
草の花菌のゆへに踏れけり 文政句帖 政5
草花や露の底なる鐘の声 文政句帖 政5
八丈へ向いて流する草の花 文政句帖 政5
家むねや鳥が蒔いたる草の花 文政句帖 政6
耳にずずかけて折也草の花 文政句帖 政6
御地蔵や握てござる草の花 文政句帖 政8
草の実
風吹て草の穂にさへ祭哉 化三八写 化4
草の穂も物思ふさまの夕哉 化五六句記 化5
赤い実に根のない草のげんき哉 八番日記 政4
見事也根のない蔓のごて〴〵実 八番日記 政4
草の実も人にとびつく夜道哉 文政句帖 政5
赤い実は鳥も目につくかきね哉 文政句帖 政8 重複595
草紅葉
魚汁のとばしる草も紅葉哉 文化句帖 化1
神世にもさたせぬ草の紅葉哉 文化句帖 政5
末枯
末枯や木辻も古き山つゞき 文化句帖 化1
末枯やむごひ直踏の柱員 文化句帖 化1
末枯も一番はやき庵哉 文化句帖 化2
末枯におくれ祭のけぶり哉 文化句帖 化3
末枯や新吉原の小行灯 七番日記 化10
吉原も末枯時の明りかな 七番日記 化10
末枯や諸勧化出さぬ小制札 七番日記 政1
末枯や諸勧化入れぬ小制札 文政版 異
人ならば四十白髪ぞ末枯るゝ 七番日記 政1
末枯や木の間を下る天狗面 八番日記 政4
末枯れや木の間を下る天狗哉 梅塵八番   異
末枯や垣に縄張る這入口 文政句貼 政5
人足(の)末がれにけり王子道 文政句貼 政5
末枯て明り過たる御寺哉 文政句貼 政7

しら菊に秘蔵の猫のたまく哉 西紀書込 寛中
染総のつゝぱりとれて菊の花 享和句帖 享3
魚どもの遊びありくや菊の花 文化句帖 化1
菊薗につゝと出たる葎哉 文化句帖 化1
菊の寝たなりに日(の)さす首哉 文化句帖 化1
菊の花咲せる迄の坂屋哉 文化句帖 化1
着残した袷を泣か菊の花 文化句帖 化1
菊畠やさらし画に見し上わらは 文化句帖 化1
九日にもさし構なし菊の花 文化句帖 化1
紫門の藪の中迄小菊哉 文化句帖 化1
さが山の這入口より菊の花 文化句帖 化1
さが山や這入口より菊の花 発句鈔追加 異
さが山の這入口から菊の花 発句鈔追加 異
白菊に拙き手水かゝる也 文化句帖 化1
たやすくも菊の咲けり川の縁 文化句帖 化1
手序に松をもいぢる花(の)花 文化句帖 化1
なまじいに植だてしたり菊の花 文化句帖 化1
なよ竹も植交ゆべし菊(の)花 文化句帖 化1
半日も見ておはさぬぞ菊(の)花 文化句帖 化1
痩土にぼつ〴〵菊の咲にけり 文化句帖 化1
我時はふさはぬ家や菊の花 文化句帖 化1
糸屑も手一尺也菊の花 文化句帖 化2
糸屑を捨てゝも菊は咲にけり 文化句帖 化2
菊咲て朝梅干の風味哉 文化句帖 化2
菊咲や赤袖口も日のさして 文化句帖 化2
菊の花茄子序にぬかれけり 文化句帖 化2
薄菜汁菊も追〳〵咲にけり 文化句帖 化3
たやすくも菊の咲たる川辺哉 文化三-八写 化3
作り人は見ぬふりしたり菊の花 文化句帖 化3
はづかしの庇葺けり菊の花 文化句帖 化3
籾殻の藪下ぎくも咲にけり 文化句帖 化3
わらの火や夕越来れば菊の花 文化句帖 化3
咲過し〳〵けり名なし菊 文化三-八写 化4
咲直し〳〵けり祭り菊 連句稿裏書 化4
里犬の尿をかけけり菊の花 連句稿裏書 化4
菊咲や臼井(碓氷)を越るしなの花 文化五六句記 化5
けふの日は役なし菊も咲にけり 文化五六句記 化5
福の神逃給ふなよ菊の花 文化五六句記 化5
菊の花都の鬼が是を喰う 文化三-八写 化6
浮島に流とゞまる菊の花 七番日記 化7
菊の香を引くるんだるふとん哉 七番日記 化7
大菊の生夕暮よ〳〵 七番日記 化8
おほけなや大僧正の菊の花 七番日記 化8
かつしかやかやの中から菊の花 七番日記 化8
閑居して薬看板菊の花 七番日記 化8
菊さくや我に等しき似せ隠者 七番日記 化8
と(ん)うほのはこしているや菊の花 七番日記 化8
はるゞとまかり出でたるかさい菊 七番日記 化8
故郷や菜に引そへる菊の花 七番日記 化8
貧か油せうじや菊の花 七番日記 化8
髻に筆つゝさして菊の花 七番日記 化8
夕暮にむしろちれ〳〵菊の花 七番日記 化8
夕飯やせうゆかけても菊の花 七番日記 化8
行暮の行留り也菊の花 七番日記 化8
夜あらしや菊と云れぬ迄も花 七番日記 化9
馬蠅の遊び所也きくの花 七番日記 化10
門口や赤い子菊も一むしろ 七番日記 化10
菊さくや馬糞山も一けしき 七番日記 化10
けふとてもたゞ一人也菊の花 七番日記 化10
栗のいがに押付られて菊の花 七番日記 化10
汁鍋にむしり込だり菊の花 七番日記 化10
どう寝よとまゝの皮也菊(の)花 七番日記 化10
飯過や菊から先へ寝ころびぬ 七番日記 化10
者どもや足ぬぐうたか菊の花 七番日記 化10
夕暮や馬糞の手をも菊でふく 七番日記 化10
大菊や負るそぶりはなかりしが 七番日記 化11
片隅や去年勝たる菊の花 七番日記 化11
勝菊を白眼んでもつや供奴 七番日記 化11
勝菊にほろりと爺が涙哉 七番日記 化11
勝菊に餅を備て置きにけり 七番日記 化11
勝菊やそよりともせずおとなしき 七番日記 化11
勝菊や力み返て持奴 七番日記 化11
勝声や花咲爺が菊の花 七番日記 化11
門口を犬に預けて菊の花 七番日記 化11
門番が菊も油せうじ哉 七番日記 化11
金蔵を日除にしたり菊の花 七番日記 化11
菊垣にちよいとさしたり小脇着 七番日記 化11
菊咲や茂介仏も願がきく 七番日記 化11
けふの日や信濃育も菊の花 七番日記 化11
生涯に二度とはなき負たきく 七番日記 化11
小便の香も通ひけり菊の花 七番日記 化11
何某の院とも見ゆる菊の花 七番日記 化11
役目とて咲も咲たりかぢけ菊 七番日記 化11
菊の花責からされもせざりけり 七番日記 化12
菊畠さらに四角でなかりけり 七番日記 化12
何とかにさいなまるゝぞ菊の花 七番日記 化12
入道(に)してやられけり菊の花 七番日記 化12
まけ(な)とや御神酒並べる菊の花 七番日記 化12
我菊や形にもふりにもかまはずに 七番日記 化12
むづかしや菊も売るゝ評判記 七番日記 化13
今の世や菊も売るゝ評判記 八番日記 政4 異
藪菊や押合へし合露の世と 七番日記 化13
あやからん七百余歳の菊の水 七番日記 化14
うるさしや菊の上にも負かちは 七番日記 化14
狼よたのみ申(す)ぞ菊の花 七番日記 化14
菊さくや山の天窓も白くなる 七番日記 化14
下戸庵がきずぞ白菊赤い菊 七番日記 化14
下戸庵と見けなされてもきくの花 七番日記 化14
こりやどうだえど紫の菊の花 七番日記 化14
根性のやうに曲りし菊の花 七番日記 化14
さま〴〵に責られてさく菊の花 七番日記 化14
白菊やきせるの脂が十すじ程 七番日記 化14
大名を味方にもつやきくの花 七番日記 化14
鳥どもに邪魔にさるるな菊の花 七番日記 化14
長生の真似して汲や菊の水 七番日記 化14
菜畠や気楽に見ゆる菊の花 七番日記 化14
人間がなくば曲らじ菊の花 七番日記 化14
猫蔵が鼻あぶる也菊の花 七番日記 化14
筆持た童子いくつぞ菊の花 七番日記 化14
負てから大名の菊としられけり 七番日記 化14
負馴て平気也けりきくの花 七番日記 化14
御仏と天窓くらべや菊の花 七番日記 化14
群蠅よ糞すべからず菊の花 七番日記 化14
山菊に成とも花を忘るゝな 七番日記 化14
楽〳〵と寝聳てさく菊の花 七番日記 化14
楽〳〵と寝かしもせぬ菊の花 文化句帖 政7 異
我菊や向たい方へつんむいて 七番日記 化14
いざなめん胴忘にも菊の露 七番日記 政1
田舎菊無調法にもなかりけり 七番日記 政1
うら町(や)咲捨てある菊の花 七番日記 政1
大菊は大ぎくだけの夜雨哉 七番日記 政1
勝菊の馳走に向ル手燭哉 七番日記 政1
勝菊は大名小路もどりけり 七番日記 政1
勝た菊大名小路もどりけり 文政版 異
勝菊の大名小路帰りけり 八番日記 政3 異
勝菊は大名小路通りけり 文政版 異
菊ぞのや女ばかりが一床几 七番日記 政1
酒臭し小便くさし菊の花 七番日記 政1
女人禁制にはあらず菊の花 七番日記 政1
人声の江戸にも慣れて菊の花 七番日記 政1
人に人人にもまれてきくの花 七番日記 政1
負菊(の)叱られて居る小隅哉 七番日記 政1
やくざ菊ふんばたがつて乱れけり 七番日記 政1
山寺や茶の子のあんも菊の花 七番日記 政1
好(い)菊(と)云れて菊を喰いけり 七番日記 政1
赤菊の天窓(の)ねきや隠居道 八番日記 政2
井筒から日本風ぞ菊の花 梅塵八番 政2
大菊や責らはのもけふ迄ぞ 八番日記 政2
大菊や責めらはのもけふ許 梅塵八番 異
大菊や人の拾いし栗のいが 梅塵八番 政2
大菊は縄目を恥と思はずや 八番日記 政2
大菊は縄目の恥とおもはぬや 梅塵八番 異
開山は芭蕉さま也菊の花 八番日記 政2
菊園や歩きながらの小盃 八番日記 政2
菊園や歩きながらの小酒盛 嘉永版 異
菊作(り)きくより白きつむり哉 八番日記 政2
菊作(り)きくより白きつぶり哉 梅塵八番 異
鍬を杖につくづく菊の主哉 八番日記 政2
鍬を杖に突〳〵菊の主哉 梅塵八番 異
鍬さげて新農顔やきくの花 八番日記 政2
鍬の柄に小僧の名有菊の花 八番日記 政2
鍬の柄に小僧が名あり菊の花 梅塵八番 異
下戸庵が疵也こんな菊の花 八番日記 政2
小隠居や菊の中なる茶呑道 八番日記 政2
小菊なら縄目の恥はなかるべし 八番日記 政2
小ぶりなは小僧がくわや菊の花 八番日記 政2
幸にらく〳〵咲や屋草菊 八番日記 政2
幸いに遅〳〵さくややたら菊 梅塵八番 異
垣並に楽〳〵と咲く屋草菊 希杖本 異
酒臭き紙屑籠やきくの花 八番日記 政2
猿の脈も見る顔付やきくの花 八番日記 政2
枕先で画解する也菊の花 八番日記 政2
殿よりも少上坐や菊の花 八番日記 政2
入道の大はち巻できくの花 八番日記 政2
寝る連に瓢もごろり菊の花 八番日記 政2
隙村や菊の中なる朝茶道 八番日記 政2
町うらや菊の中なる朝茶道 希杖本 異
向たい方へつん向て菊の花 八番日記 政2
籔菊のこつそり独盛りけり 八番日記 政2
藪菊のこっそり独さかりかな 梅塵八番 異
藪菊や畠の縁(の)茶呑道 八番日記 政2
山寺や糧の内なる菊の花 八番日記 政2
らく〳〵と寝て咲にけり名無菊 八番日記 政2
ろく〳〵に露も呑さぬ菊の花 八番日記 政2
ちく〳〵な露も呑さず菊の花 梅塵八番 異
我やうにどつさり寝たよ菊の花 おらが春 政2
えどの末又其末の菊の庵 八番日記 政3
縁の猫勿体顔や菊の花 八番日記 政3
大きさよ去年は勝た菊ながら 八番日記 政3
大菊よ去年は勝た菊ながら 梅塵八番 異
菊咲くや山は本間の雪の花 だん袋 政3
菊園やしかうして後でかい月 八番日記 政3
去年勝た〳〵と菊を披露哉 梅塵八番 政3
茶代取とてならぶ也菊の花 八番日記 政3
はづかしや勝きのぬけた菊の庵 八番日記 政3
はづかしや勝気のぬけぬ菊の庵 梅塵八番 異
負けたとてしたゝか菊をしかりけり 八番日記 政3
京都(で)は菊もかむるや綿いぼし 八番日記 政3
京都(で)は菊もかぶるや綿いぼし 梅塵八番 異
山菊の生れ(た)まゝや真直に 八番日記 政3
山菊の生けたまゝなり真直に 梅塵八番 異
山菊の生れ(た)まゝや直に咲く だん袋
山菊の直なりけらしおのずから 八番日記 政3
此きくの直なりけらしおのずから 梅塵八番 異
山の菊曲るなんどはしらぬ也 八番日記 政3
権槌に尻つゝかけて菊の花 八番日記 政3
綿きせて十程若し菊の花 八番日記 政3
綿きせて叉引立や菊の花 文政句帖 政6 異
大菊や今度長崎よりなどゝ 八番日記 政4
片隠に日向ぼこりや隠居菊 八番日記 政4
片隠に日向ぼこして隠居菊 発句鈔追加 異
菊茶屋のてんでに云ふや一番と 八番日記 政4
菊主や触状廻して見て貰う 八番日記 政4
菊主や触状出して見て貰う 梅塵八番 異
菊の日は過て揃ふた菊の酒 八番日記 政4
菊の日は過て揃ふや菊の酒 梅塵八番 異
客帳にことしも付や菊の花 八番日記 政4
酒買て見て貰ひけり菊の花 八番日記 政4
酒買て見てもろふ也菊の花 八番日記 政4 異
汁の実の足に咲けり菊の花 八番日記 政4
捨た世も何菊か菊むづかしや 八番日記 政4
草の庵は菊迄杖を力哉 八番日記 政4
草庵は菊迄杖を力哉 八番日記 政4 異
念入て尺とる虫や菊の花 八番日記 政4
人の為にのみ作りしよ菊の花 八番日記 政4
人の為にのみ作りしや菊の花 梅塵八番 異
古巣へと志候きくあんぎや 八番日記 政4
見てくれる人に馳走や菊の花 八番日記 政4
六あみだの代や巣鴨の菊巡り 八番日記 政4
あちこちと贔負のつくや菊の花 文政句貼 政5
入口に見せ菊立り正風院 文政句貼 政5
上屋から先へ見込やきくの花 文政句貼 政5
大菊や杖の陰にて花もさく 文政句貼 政5
かくれ家の糧にもなる(や)きくの花 文政句貼 政5
門の菊立やこちらへ〳〵と 文政句帖 政5
看板も菊也おくの菊の花 文政句帖 政5
菊咲や二夜泊りし下ゝの客 文政句帖 政5
菊園や下向は左へ〳〵と 文政句帖 政5
菊園や下向はおのづから 文政句帖 政5 異
けふの日も相つとむるやきくの花 文政句帖 政5
元気也上家をもたぬ菊の花 文政句帖 政5
斯来よと菊の立けり這入口 文政句帖 政5
いざ斯うと菊の立けり這入口 文政句帖 政5 異
斯う〳〵と菊の立けり這入口 文政句帖 政5 異
斯う通れ〳〵とや門の菊 文政句帖 政5
此のおくへ通れ〳〵とや門の菊 文政句帖 政5 異
斯う通れとや門に立菊の花 文政句帖 政5
こぞのけふ勝たりしをき(く)の花 文政句帖 政5
小作(り)な菊にまんまと勝れたり 文政句帖 政5
酒呑まぬ者入(べか)らず菊の門 文政句帖 政5
侍にてうし持たせて菊の花 文政句帖 政5
三番とおちぬなどゝや作り菊 文政句帖 政5
白妙の山も候きくの花 文化句帖 政5
捨菊におく白露もひいき哉 文化句帖 政5
素通りをさせぬ印や門の菊 文化句帖 政5
其門に(天)窓うつなよ菊畠 文化句帖 政5
どこそこと菊も贔負〳〵哉 文化句帖 政5
贔負菊ころ(り)とまけて仕廻けり 文化句帖 政5
贔負分の露(の)多さよ日陰菊 文化句帖 政5
一畠喰て仕廻けりきくの花 文化句帖 政5
負菊をじつと見直す独かな 文化句帖 政5
負菊を仡と見直す独りかな 発句題叢他 異
負菊をひとり見直すゆふべ哉 版本題叢他 異
最う一度どこぞで勝よきくの花 文化句帖 政5
藪菊や庵の三九日相つとむ 文化句帖 政5
山里は小便所さへ(きくの)花 文化句帖 政5
山は雪のはつ花咲けり菊の花 文化句帖 政5
今の世や菊一本も小ばん金 文化句帖 政6
大菊の天窓がぶらりしやらり哉 文化句帖 政6
大菊のてつぺんに寝る毛虫哉 文化句帖 政6
大菊や花と成る迄小判金 文化句帖 政6
九日も寝て仕れきくの花 文化句帖 政6
草庵に金をかす也菊の花 文化句帖 政6
大名と肩並べけりきくの花 文化句帖 政6
藪菊や親にならふてべたり寝る 文化句帖 政6
おとなしく負ていろ〳〵菊の花 文化句帖 政7
捨菊迄まけ気(の)ぬけぬ親爺哉 文化句帖 政7
捨菊やおしあひへし合花となる 文化句帖 政7
菜畠やひよい〳〵〳〵や菊の花 文化句帖 政7
見よふ見まねに藪菊と成にけり 文化句帖 政7
山おくも育がら也菊の花 文化句帖 政7
捨られた形に咲けりきくの花 文化句帖 政8
菜畠(の)もやうにひよい〳〵菊の花 文化句帖 政8
真直や人のかまはぬ菊の花 文化句帖 政8
客好や節句仕直す菊の花 文政九十句写 政9
門に立菊や下戸なら通さじと 遺稿
酒臭き黄昏ごろや菊の花 嘉永版
所〴〵菊につたなき木札かな 発句鈔追加
猫の鈴夜永の菊の咲にけり 発句鈔追加
蛤や細工過たる菊の花 自筆本
痩菊もよろ〳〵花となりにけり 希杖本
大菊の秋もずんずとくれにけり 発句鈔追加
山の菊うまれた郷や直にさく 発句鈔追加
野菊
足元に日のおちかゝる野菊哉 文化句帖 化1
雨風にしすましげなるのぎく哉 文化句帖 化1
僧も立鶴も立たる野菊哉 文化句帖 化1
鶴下りて一倍寒きのぎく哉 文化句帖 化1
鳥のねも我国でなし野菊咲 文化句帖 化1
はなやかに旭のかゝる野菊哉 文化句帖 化1
松苗にわざとならざるの菊哉 文化句帖 化1
人里に植れば曲る野菊哉 八番日記 政3
紫苑
栖より四五寸高きしをに哉 西紀書込 寛中
タ月につんと立たるしをん哉 文化句帖 化5
桔梗
きり〳〵しやんとしてさく桔梗哉 七番日記 化9
きり〳〵しやんで咲く桔梗哉 発句題叢他   異
朝鐘に封のはなれし桔校哉 文化句帖 政7
朝顔
朝顔にとゞく旅店の灯影哉 寛政句帖 寛6
朝顔や横たふはたが影法師 題葉集 寛12
朝顔に賎しきけぶりかゝる也 享和二句記 享2
朝顔の二軒前咲く浦か哉 享和二句記 享2
二軒して花朝顔を見たりけり 享和二句記 享2
ニ軒前花朝顔(の)吹れけり 享和二句記 享2
寄合に朝顔うへし浦半哉 亭和二句記 享2
朝顔の大所の濃かりけり 享和句帖 享3
朝顔の濃く咲にけり余所の家 享和句帖 享3
朝顔や大吹降もあがりロ 享和句帖 享3
朝顔や女車の毛唐人 享和句帖 享3
朝顔やしたゝかぬれし通り雨 享和旬帖 享3
朝顔や花見るうちもいく度立 享和句帖 享3
行って来て朝顔見るやゆる〳〵と 享和句帖 享3
蕣の葉がくれ木(の)間がくれ哉 文化句帖 化1
蕣やたぢろぎもせず刀禰の水 文化句帖 化1
朝顔や藪蚊の中にりんとして 文化句帖 化1
蕣を見ても居らるゝ齢哉 文化句帖 化2
蕣に入口もないしだら哉 文化句帖 化2
蕣におつつぶされし庇哉 文化句帖 化2
蕣に片肌入れし羅?(らかん)哉 文化句帖 化2
蕣に子供の多き在所哉 文化句帖 化2
あさがほに咲きなくさるゝ小家哉 文化句帖 化2
蕣に雫拵へて居りけり 文化句帖 化2
蕣に背中の冷り〳〵哉 文化句帖 化2
朝顔にほか〳〵として寒哉 文化句帖 化2
蕣に又(一)際の柳哉 文化句帖 化2
蕣に水だらけなる木立哉 文化句帖 化2
蕣に名利張たる住居哉 文化句帖 化2
蕣のうられて行や風の吹 文化句帖 化2
蕣のかゝさず咲や市の門 文化句帖 化2
蕣のかぞへる程に成にけり 文化句帖 化2
蕣の花をまたぐや這入口 文化句帖 化2
朝顔の花をもせつく翁哉 文化句帖 化2
蕣の花となる日も榎哉 文化句帖 化2
蕣の花なき家もさが野哉 文化句帖 化2
朝顔のひざへ(も)咲て来べき也 文化句帖 化2
蕣の水〳〵しさを売れけり 文化句帖 化2
蕣のわか〳〵しさよ長の留主 文化句帖 化2
蕣も愛ひ想に咲す酒屋哉 文化句帖 化2
朝顔や下水の泥も朝の様 文化句帖 化2
あさがほや仕舞に成て小沢山 文化句帖 化2
蕣や花一ぱいの人の皺 文化句帖 化2
蕣や花一倍の人の皺 発句題叢他 異
蕣や再生もおくれじと 文化句帖 化2
朝顔や我おこたりの目に見ゆる 文化句帖 化2
蕣は一番がけに濡るゝ哉 文化句帖 化2
朝露の舜売るやあら男 文化句帖 化2
外聞に蕣咲す町家哉 文化句帖 化2
かいわいの蕣持の庵哉 文化句帖 化2
鐘の声蕣先へそよぐ也 文化句帖 化2
気に入ぬのり出て蕣(咲)にけり 文化句帖 化2
気に入ぬのり出て蕣過分 文化句帖 化2 異
是程の蕣も見ぬ隣哉 文化句帖 化2
取込みの門も蕣咲にけり 文化句帖 化2
人しらぬ蕣も朝な〳〵哉 文化句帖 化2
留主のうちに大蕣は過にけり 文化句帖 化2
我宿の悪蕣も夜明哉 文化句帖 化2
朝顔や再生と秋を咲 文化句帖 化3
蕣やまだ片づかぬやけ瓦 文化句帖 化3
咲たりなどの蕣も家の跡 文化句帖 化3
ほちや〳〵と藪蕣の咲にけり 文化句帖 化3
朝〳〵の蕣好やけふも咲 文化句帖 化3
蕣のうら見る宿にとまりけり 文化句帖 化3
蕣のうるさがられて咲にけり 文化句帖 化3
朝顔の咲くたびれもせざりけり 文化句帖 化3
蕣の下谷せましと咲にけり 文化句帖 化3
蕣のつや〳〵しさよ家の跡 文化句帖 化3
朝顔の花色衣きたりけり 文化句帖 化3
朝顔やかくれかねたる焼柱 文化句帖 化3
蕣やけさも隣にむしらるゝ 文化句帖 化3
蕣や引切捨し所に咲 文化句帖 化3
蕣や日よけの足に引ぱりて 文化句帖 化3
蕣に下国に見へぬ垣ね哉 連句稿裏書 化4
蕣に我は露けもなかりけり 連句稿裏書 化4
蕣や露けのがれし人の顔 連句稿裏書 化4
蕣や人から先に秋の雨 連句稿裏書 化4
朝顔やひとつ咲ても風が吹 鹿島集 化4
雪国の大蕣の咲にけり 連句稿裏書 化4
蝶とぶやそれ蕣の花の時 文化三-八写 化6
蕣の花もきのふのきのふ哉 七番日記 化7
蕣のはら〳〵星(の)きをひ哉 七番日記 化7
蕣や朝な〳〵のあはれ咲 七番日記 化7
蕣やさい鳥さしが竿の先 七番日記 化7
咲たて(の)朝顔直ぎり給ふ哉 七番日記 化7
蕣やあかるゝころは昼も咲 七番日記 化8
蕣やうつとしければ昼も咲 我春集
我庵は蕣の花の長者哉 七番日記 化8
我顔は蕣の花の長者哉 七番日記 政1
蕣の花で鼻かむ女哉 七番日記 化9
蕣の花で葺たる庵哉 七番日記 化9
蕣の花で家根ふく庵哉 希杖本 異
朝顔やだまって居たら天窓へも 株番 化9
狗の朝顔さきぬ門先に 七番日記 化9
狗の朝顔さきぬ店の先 株番 異
蕣や朝〳〵蚤の逃所 七番日記 化10
角力取の花蕣よ〳〵 七番日記 化10
蕣の隠居小路よやよかにも 七番日記 化2
朝顔の花の大福長者哉 七番日記 化2
蕣の一からげぞよ家と家 七番日記 化2
朝顔も銭だけひらくうき世哉 七番日記 化2
蕣に出し抜れたぞけふも又 七番日記 化12
朝顔の先から銭のうき世哉 七番日記 化12
朝顔の花ともしらで暮す世ぞ 七番日記 化12
朝顔の花に顔出す鼠かな 七番日記 化12
雷鉢の音に朝顔咲にけり 七番日記 化12
欲面の朝顔たんと咲にけり 七番日記 化12
咲たりな我蕣のかぢけ花 七番日記 化13
朝顔にをしつぶされし扉かな 長櫃 化14
蕣をざぶとぬらして枕哉 七番日記 政1
蕣の上にもはれやはやり花 七番日記 政1
蕣の黒く咲けり我髪は 七番日記 政1
蕣の花にけかちはなかりけり 七番日記 政1
蕣の花や一寸先は闇 七番日記 政1
蕣もはやり花かよ世にあれば 七番日記 政1
朝顔やなむあゝ〳〵と一時に 七番日記 政1
朝顔や世につながれてはやり花 七番日記 政1
木がくれや白蕣のすまし顔 七番日記 政1
白赤のあらそひも只蕣ぞ 七番日記 政1
な(が)らへば絞蕣何のかのと 七番日記 政1
人の世や新蕣のほだし咲 七番日記 政1
蕣にかして咲する庇かな 八番日記 政2
蕣にかして咲せる庇かな 梅塵八番 異
朝顔や一霜過てぱっと咲 八番日記 政2
朝顔や(まだ)精進の十五日 八番日記 政3
朝顔や一霜そって十五日 梅塵八番
朝顔や一霜添て十五日 嘉永版
赤くてもあゝ朝顔はあさ顔ぞ 八番日記 政4
蕣を一ぱい浮す茶椀哉 八番日記 政4
蕣をふはりと浮す茶碗哉 だん袋他
朝顔といほ相待の小家哉 八番日記 政4
朝顔の上から取や金山寺 八番日記 政4
朝顔の外からよぶや径山寺 八番日記 政4 異
朝顔や上から買ふや金山寺 だん袋他
蕣の大花小花さは〳〵し 八番日記 政4
あさがほや大花小花さは〳〵し 発句鈔追加 異
朝顔の花やさら〳〵さあらさら 八番日記 政4
朝顔も蕣色は咲ぬ世ぞ 八番日記 政4
朝顔もぶじで咲也我も又 八番日記 政4
あさがほやいつをいつ迄すだれ花 八番日記 政4
朝顔や瘧のおちし花の顔 八番日記 政4
朝顔やそろり〳〵と世を送り 八番日記 政4
朝顔やさらり〳〵と世を送る 梅塵八番
朝顔や這入口まであはれ咲 八番日記 政4
朝顔や吹倒されたなりでさく 八番日記 政4
朝顔や吹倒されたなりに咲 梅塵八番 異
うす垣やうす朝顔が大ざかり 八番日記 政4
うす垣や薄朝顔も大ざかり 梅塵八番 異
おとなしや白朝顔のつんと咲 八番日記 政4
金時が色を咲ても朝顔ぞ 八番日記 政4
しめやかに浅黄朝顔おとなしや 八番日記 政4
花並におくせもせぬや小朝顔 八番日記 政4
むだ花はけがにもない(ぞ)朝顔は 八番日記 政4
むだ花はけがにもない(ぞ)朝顔に だん袋 異
留主垣や大朝顔の大盛 八番日記 政4
朝顔の善尽し美を尽しけり 文政句帖 政5
朝顔に水切町と見へぬ也 文政句帖 政6
朝顔の花(に)皺顔並べけり 文政句帖 政6
朝顔やつぶりにけぶるは湯手拭ひ 文政句帖 政6
朝顔や人の顔にはそつがある 文政句帖 政6
朝顔や湯けぶりのはふぬれ肱 文政句帖 政6
朝顔や湯けぶりのはふ濡からだ 希杖本他 異
朝顔に涼しくくふやひとり飯 文政句帖 政7
朝顔とおつゝかつゝや開帳がね 文政句帖 政8
朝顔にまくしかけたる湯霧哉 文政句帖 政8
朝顔のかせぎて咲やいかな日も 文政句帖 政8
朝顔のかせぎて咲やも少と 文政句帖 政8 異
朝顔のさも水〳〵しすが〳〵し 文政句帖 政8
朝顔もおあいそおくや店の先 文政句帖 政8
朝顔やうしろは市のやんさ声 文政句帖 政8
朝顔や貧乏蔓も連に這ふ 文政句帖 政8
蕣を花に迄して売や人 文政九十句写 政9
朝顔や浅黄絞りの何のかのと 文政九十句写 政9
八丈の大蕣よ〳〵 文政九十句写 政9
蕣やぞくり〴〵と二番生へ 文政九十句写 政10
朝顔は座敷にさくも垣根哉 文政九十句写 政10
鈴がらりがらり蕣ひとつさく  発句鈔追加
拍子木で朝顔咲や上屋敷 希杖本
女郎花
あけぼのや吹古されし女郎花 文化句帖 化1
女郎花さしでがましく咲にけり 文化句帖 化1
女郎花仁和の御代も野に咲か 文化句帖 化1
女郎花仁和このかた野に咲か 文政句帖 化1 異
女郎花けぶりの形にくねりけり 文化句帖 化3
山鳥に寝ようをならへ女郎花 文化句帖 化3
鉄砲の先に立たり女郎花 文化五六句記 化5
山の夜や木実かやのみ女郎花 文化五六句記 化5
山箸は桔?(ききょう)かるかや女郎花 文化五六句記 化5
女郎花きらはゞ嫌へ月を友 句稿断片 化6
じやらつくや誰待宵の女郎花 文化三-八写 化6
しらつゆや誰待宵の女郎花 文化五六年句日記 異
女郎花そよぎ盛ははや過ぬ 七番日記 化7
雷の焦し給ひぬ女郎花 七番日記 化7
雷の側に立けり女郎花 七番日記 化7 異
よろ〳〵は我もまけぬぞ女郎花 七番日記 化7
一日も卅日もないか女郎花 七番日記 化8
何事のかぶり〳〵ぞ女郎花 七番日記 化8
墓原や一人くねりの女郎花 七番日記 化8
大原やせりふの里の女郎花 七番日記 化9
御地蔵と蓼すりこぎと女郎花 七番日記 化9
じゃらつくもけふ翌ばかり女郎花 七番日記 化9
なけなしの露を棄るや女郎花 七番日記 化9
世の中はくねり法度ぞ女郎花 七番日記 化9
雷も焦しはせじな女郎花 七番日記 化10
雷もそっとおちにき女郎花 七番日記 化10
雷もそつとおちしか女郎花 七番日記 異
じゃらつくなどっこいそこな女郎花 志多良 化10
七転び八起の花よ女郎花 七番日記 化2
我塚にたんとさけよ女郎花 七番日記 化2
うら門や花とも云ぬ女郎花 七番日記 化12
神山や末の末迄女郎花 七番日記 化12
寝むしろやたばこ吹かける女郎花 七番日記 化12
古郷や貧乏馴し女良(郎)花 七番日記 化12
女郎花あっけらこんと立りけり 七番日記 化13
女郎花からみ付けり皺足に 七番日記 化13
我家をくねり倒(す)な女郎花 七番日記 化13
粟飯は爰に有りとや女郎花 七番日記 政1
片隅につとんと立けり女郎花 七番日記 政1
鬼茨に添ふて咲けり女郎花 八番日記 政4
ほ芒の下ざながらも女郎花 八番日記 政4
女郎花なぶるなむしがいぼをつる 文政句帖 政5
松の木に少かくれて女郎花 文政句帖 政5
大雨をくねり返すや女郎花 文政句帖 政6
夕立をくねり返すや女郎花 真蹟 異
女郎花角力草もともそよぎ 文政句帖 政6
明がた〔や〕吹くたびれし女郎花 文政句帖 政8
女郎花一夜の風におとろふる 文政句帖 政8

今時の人とは見へず窓の蔦 亭和句帖 享3
蔦紅葉も一つ家をほしげ也 享和句帖 享3
松の蔦紅葉してから伐られけり 享和句帖 享3
蔦紅葉朝から暮るゝそぶり也 文化句帖 化1
蔦紅葉口今つけし庇也 文化句帖 化1
豆蔦もまけぬ気になる紅葉哉 文化句帖 化1
手一合むかごくれけり蔦の家 文化句帖 化2
はら〳〵と朝茶崩や蔦の窓 文化句帖 化2
わが宿の貧乏蔦も紅葉哉 文化句帖 化2
山川や赤い蔦程いそがしき 文化五六句記 化5
我が秋蔦は紅葉の時も有 文化五六句記 化5
山主にしたしき蔦も紅葉哉 文化五六句記 化6
門の蔦さが念仏のしなん哉 八番日記 政2
さが流の大念仏や蔦紅葉 八番日記 政2
念仏の指南所や庵の蔦 八番日記 政2
くふ飯に蔦ぶら下る山家哉 文政句帖 政5
塩入れ(し)貧乏樽や蔦の家 文政句帖 政5
関東の嵯峨とも申(す)つたもみぢ 発句鈔追加
(木萩)
ざぶ〴〵と萩起直る夜半哉 題葉集 寛3
ざぶ〴〵と萩のきこゆる夜半哉 発句鈔追加 異
一かぶに道をふさげり萩の花 西紀書込 寛中
奥州の百里ほど庭の木萩哉 西紀書込 寛中
タあらしあたかも萩の小ー支 西紀書込 寛中
雨の萩風の真秋とゆふべ哉 享和句帖 享3
御馬の屁流れけり萩の花 享和句帖 享3
萩ちりぬ祭も過ぬ立仏 享和句帖 享3
萩もちり祭も過ぬ立仏 享和句帖 享3 異
乱れ萩門の葎におとらじと 享和句帖 享3
痩はぎに雫見せけり萩(の)花 享和句帖 享3
痩萩や松の陰から咲そむる 享和句帖 享3
雨好の灯のとぼりけり萩の花 文化句帖 化1
小笠きて東坡めく也萩の花 文化句帖 化1
寺嗅き夕べではなし萩の花 文化句帖 化1
むら萩や古井がなくも小淋しき 文化句帖 化1
雨降やあさつての月翌(の)萩 文化句帖 化2
萩の原鹿の盒子もかくれぬぞ 文化句帖 化2
させる夜もなくてふりゆく萩(の)花 文化句帖 化3
させる夜もなくて更行く萩(の)花 発句鈔追加 異
柴焚や仏の顔も萩の雨 文化句帖 化3
萩咲(や)赤ふんどしの盆も過 文化句帖 化3
萩の葉の吹古されし柱哉 文化句帖 化3
一本の萩に荒行住居哉 文化句帖 化3
門なり(に)咲癖(付)て萩の花 連句稿裏書 化4
きたないといふまゝ萩の咲にけり 連句稿裏書 化4
咲日から足にからまる萩の花 文化三-八写 化4
玉川や杵にからまる萩の花 連句稿裏書 化4
調布の引ずり萩の咲にけり 連句稿裏書 化4
萩の陰小藪の下や喰祭 連句稿裏書 化4
萩の末芒の下や喰祭 希杖本 異
目出度さはさ萩も立〔る〕けぶり哉 連句稿裏書 化4
痩萩やぶくり〴〵と散にけり 連句稿裏書 化4
タ暮や萩一本を窓のふた 連句稿裏書 化4
狗のかざしにしたり萩の花 文化五六句記 化5
子供等が鹿と遊ぶや萩の花 文化五六句記 化5
せい出して散とも見へず萩の花 文化五六句記 化5
萩の花大な犬の寝たりけり 文化五六句記 化5
宮ぎのや一ッ咲ても萩の花 文化五六句記 化5
宵〳〵に古くもならず萩の花 文化五六句記 化5
糸染よ〳〵かし萩の花 文化五六句記 化6
草萩の咲ふさげけり這入ロ 文化五六句記 化6
萩咲や常(盤)御前が尻の迹 文化五六句記 化6
萩の末ききやうの下になく蚊哉 文化五六句記 化6
萩の花ふんどし染て吹せけり 文化五六句記 化6
道ばたへ乱(れ)ぐせつく萩の花 文化五六句記 化6
さほしかの黙礼したり萩の花 七番日記 化8
のら猫も宿と定る萩の花 七番日記 化8
山里や昔かたぎの猫と萩 七番日記 化8
一本に門をふさげる木萩哉 七番日記 化10
こぼれ萩はらばふ鹿のもやう哉 七番日記 化10
咲やいな縄目に及ぶ木萩哉 七番日記 化10
我宿は萩一本の野と成ぬ 七番日記 化10
此所またげと萩の咲にけり 七番日記 化11
さをしかにかりて寝にけり萩の花 七番日記 化11
露の世を押合へし合萩の花 七番日記 化11
猫の子のかくれんぼする萩の花 七番日記 化11
ぶち猫も一夜寝にけり萩の花 七番日記 化11
萩咲や子にかくれたる鹿の顔 七番日記 化12
鹿の子はとつていくつぞ萩(の)花 七番日記 化13
山の井を花で埋る小萩哉 七番日記 化13
小玉川是にさあさけ萩の花 七番日記 化14
ばか犬が夜の気どりぞ萩(の)花 七番日記 化14
我庵や竹には鳥萩に猫 七番日記 化14
我家や竹には鳥萩に猫 七番日記 化14 異
さをしかの喰こぼしけり萩の花 八番日記 政2
萩寺や鹿のきどりに犬が寝る 八番日記 政3
我萩や鹿のかはりに犬が寝る 八番日記 政3
秋我や一斗こぼれて一斗咲 八番日記 政4
秋萩やきのふこぼれた程は咲 八番日記 政4
秋はぎやこぼしたよりはたんと咲 八番日記 政4
秋はぎやこぼれたよりはたんと咲 梅塵八番 異
荒縄で引くゝつても萩の花 八番日記 政4
爰に一箕あれ(に)一箕や乱れ萩 八番日記 政4
こぼれ萩凡壱斗ばかり哉 八番日記 政4
芥取の箕に寝る犬や乱れ萩 八番日記 政4
速に萩のはね泥かゝる也 八番日記 政4
玉川を鼻にかけてや乱れ萩 八番日記 政4
玉川や臼にしかるゝ萩の花 八番日記 政4
玉川や臼の下にも萩の花 連句稿裏書 異
猫の子(に)萩とら(れ)てはとら(れ)ては 八番日記 政4
猫の子や萩を追なりおわれたり 八番日記 政4
萩の花爰をまたげと乱れけり 梅?八番 政4
萩の花爰をまたげと咲にけり 希杖本他 異
呼猫の萩のうら(から)にやん〳〵哉 八番日記 政4
編笠の窓から見るや萩の花 文政句帖 政6
あやにくに通り道也乱れ萩 文政句帖 政8
存の外俗な荼屋有萩の花 文政句帖 政8
見かけより古風な門や萩の花 文政句帖 政8
乱(れ)萩でも歌よみに縛らるゝ 文政句帖 政8
木兎は行儀崩ず乱(れ)萩 文政句帖 政8
乱(れ)萩鹿のつもりに寝た猫よ 希枝本
けんかする相手もあらば萩の月 真蹟 政6 一茶館
(葛の花)
葛の花水に引する夜明かな 与播雑詠 寛中
葛の花水に引するあらし哉 題葉集 異
膳先へのさばり出たり葛紅葉 享和句帖 享3
水上も秋になしたり葛? 享和句帖 享3
葛蔓の手にしてまとふ柱かな 八番日記 政2
世の中の人には葛も掘れけり 八番日記 政4
我垣やうき世の葛の花盛り 文政句帖 政5
みそはぎ
みそ萩や水につければ風の吹 文政句帖 化1
みそ萩や水に浸せば風の吹 発句題叢 異
みそ萩や水につければ風が吹 発句題叢
みそ萩がかぶりしてさく門田哉 七番日記 化13
みそ萩がかぶにして咲門田哉 志多良 異
みそ萩や縁もゆかりもない塚へ 文政句帖 政6
鼠尾花や手にとるからに秋は立 発句鈔追加
吾木香
吾木香さし出て花のつもり哉 七番日記 化9
白粉の花
白粉の花ぬつて見る娘哉 八番日記 政4
祭りとて白粉も花咲にけり 八番日記 政4
鶏頭
鶏頭に向ひあふたる野守哉 西紀書込 寛中
一本の鶏頭ぶつゝり折にけり 享和句帖 享3
ぼつ〴〵と痩けいたうも月夜也 文化句帖 化1
墓原や赤鶏頭のひとり咲 句稿断片 化6
四五寸の鶏頭づらり赤らみぬ 七番日記 化10
ぞく〴〵と自然生たる鶏頭哉 七番日記 化10
古垣の足に並ぶ(や)小鶏頭 七番日記 化10
一本で秋引受る鶏頭哉 八番日記 政4
野畠や大鶏頭の自然花 八番日記 政4
千日紅
折釘にかけられながら千日紅 八番日記 政4
そばの花
信濃路はそば咲けりと小幅綿 文化句帖 化1
そばの花咲くや仏と二人前 文化句帖 化1
そばの花二軒前程咲にけり 文化句帖 化1
近い比しれし出湯やそばの花 文化句帖 化1
痩山にぱつと咲けりそばの花 文化句帖 化1
かくれ家や一人前のそばの花 七番日記 化13
塞張らん外山のそばが白くなる 七番日記 化14
しなのじやそばの白さもぞつとする 七番日記 化14
山畠やそばの白さもぞつとする 文政句帖他 政7 異
そば咲やその白さゝへぞつとする 七番日記 化14
徳本の腹をこやせよ蕎麦(の)花 七番日記 化14
はや山が白く成ぞよそばでさへ 七番日記 化14
国がらや田にも咲するそばの花 八番日記 政4
国がらや田にも咲かせるそばの花 梅塵八番 異
日の入のはやき辺りを蕎麦の花 発句鈔追加
蓼の花
新しい流潅頂や蓼の花 八番日記 政2
蘭の花
下戸庵が疵也こんな蘭の花 梅塵八番 政2
いづゝから日本風ぞ蘭の花 八番日記 政4
日本の蘭のなりつゝいく世ふる 八番日記 政4
蘭のかに上国めきし月夜哉 八番日記 政4
蘭のかや異国のやうに三ヶの月 八番日記 政4
蘭のかや異国のやうな三ヶの月 梅塵八番 異
蘭の葉や花はそちのけ〳〵と 八番日記 政4
芭蕉
寺烏やどり習ひしばせを哉 文政句帖 政7
の烏の上手にとまるばせを哉 文政句帖 政7
曼珠沙華
なむだ仏なむあみだ仏まんじゆさ花 文化五六句記 化6
零余子
蜘の巣の中へ這かゝるぬかご哉 西紀書込 寛中
仕合せは藪にこけ込むむか子哉 文政句帖 政5
重箱をあてゝゆさぶる零余子哉 文政句帖 政5
汁鍋にゆさぶり落すぬか子哉 文政九十句写 政9

あさぢふに選のけられし芋の親 文化句帖 化2
しは虫と人なとがめそ芋畑 七番日記 化8
芋の安売ぞ嚔んも八九升 八番日記 政2
小便も玉と成りけり芋畠 文政句帖 政6
親芋や緑かねてこを(ろ)ころ 文政句帖 政8
門川や栄ように洗ふきゝん芋 文政句帖 政8
貰人がくさる程ある小芋哉 文政句帖 政8
秋茄子
美しい中に茄子も九日哉 霞の碑 寛2
月さすや嫁にくはさぬ大茄子 七番日記 化3

象潟や島がくれ行刈穂船 蚶満旅客集 寛1
神風のはや吹給ふ稲葉哉 寛政三紀行 寛3
鳥数万舞ゆくや千町田刈人 寛政句帖 寛5
水かくや稲の花迄いまいく夜 書簡 寛9
稲こきの戸板四五枚の夕日哉 西紀書込 寛中
稲の香のすき腹に入む日影哉 与播雑詠 寛中
只居よふよりはぼくぼく落ぼ哉 西紀書込 寛中
通るほど橋をのこしてかりほ哉 西紀書込 寛中
きのふ入し田とは見へざる莠哉 享和句帖 享3
稲かけし夜より小藪は月よ哉 文化句帖 化1
稲こきの相手がましき家鴨哉 文化句帖 化1
稲の穂に犬蓼迄の夜明哉 文化句帖 化2
稲の穂のかゝる目出度榎哉 文化句帖 化2
稲の穂や窓へとび入る須磨の鶴 文化句帖 化2
ぬれ色の天に風吹刈穂哉 文化句帖 化2
籾殻の秋のさま也草の雨 文化句帖 化2
おく露は馬の涙か稲の花 文化句帖 化3
小烏も嬉し鳴する稲ほ哉 連句稿裏書 化4
昼比やはしと鴨と稲の花 文化五六句記 化5
我植た稲を見知てしたりけり 文化五六句記 化6
我門は稲四五本のタ哉 文化五六句記 化6
有明や親もつ人の稲の花 七番日記 化7
稲の香やかさい平のばか一里 七番日記 化7
四五本の稲もそよそよ穂に出ぬ 七番日記 化7
茶けぶりや丘穂の露をただ頼む 七番日記 化7
名月の大事として稲の花 七番日記 化7
夕月や大大として稲の花 文化三-八写 化7
われひとり月夜かましやみなし稲 春秋篇 化7
青稲や薙倒されて花の咲 我春集 化8
かくれ家やあなた任せの稲の花 七番日記 化10
かたみ也なむ稲の花稲の露 七番日記 化10
古藪や小すみの稲も五六尺 七番日記 化10
稲妻のせはがひもなきおか穗哉 七番日記 化11
犬に迄いたゞかせたる刈穂哉 七番日記 化11
犬に迄いたゞかせたる稲穂かな 随斎筆紀 異
尻敷の刈穗もあるぞ鳰の海 七番日記 化11
ちさい子がきせる加へて刈穂哉 七番日記 化11
天皇の袖に一房稲穂哉 七番日記 化11
仏神のいかい御世話ぞ稲(の)花 七番日記 化12
庵の田やどうやら斯うやら穂に出る 七番日記 化13
それ〴〵に花の咲けり日やけ稲 七番日記 化14
日やけ田も花で候とてそよぐぞよ 七番日記 化14
刈迹や一穂(も)とらばなむあみだ 七番日記 政1
鶺鴒がふんで流るゝおち穂哉 七番日記 政1
代官の扇をのせるおち穂哉 七番日記 政1
日本の外ヶ浜迄おち穂哉 七番日記 政1
拾へとて鳥がおとしたおち穂哉 七番日記 政1
馬のくび曲らぬ程の稲穂哉 八番日記 政2
かりる田や三遍舞て雁おりる 八番日記 政2
首出して稲付馬の通りけり 八番日記 政2
蜻蛉もおがむ手つきや稲の花 八番日記 政2
まけぬきに畠もそよぐ稲穂哉 八番日記 政2
夕月や刈穂の上の神酒徳り 八番日記 政2
三か月や刈穂の上の神酒徳り 八番日記 政3
いくばくの人の油よ稲の花 八番日記 政3
稲の花大の男のかくれけり 八番日記 政3
狗も腹鼓うて稲の花 八番日記 政3
狗も腹つゞみうつ稲の花 梅塵八番 異
常留主の堂の小溝に稲穂哉 八番日記 政3
常留主の堂を小楯に稲穂哉 梅塵八番 異
十筋程犬に背せる稲穂哉 八番日記 政3
刀禰川や稲から出て稲に入る 八番日記 政3
二三本涼しき足や稲の花 八番日記 政3
寝聳て門田の稲の花見哉 八番日記 政3
あながち(に)たてをもつかぬ岡穂哉 八番日記 政4
畔行(の)四点二点ぞ稲の花 八番日記 政4
畔行や四点二点の稲の花 梅塵八番 異
一斉にそよぐ畠の稲穂哉 八番日記 政4
御祝義を犬にも負す刈穂哉 八番日記 政4
御祝儀と犬にも負す刈穂哉 梅塵八番 異
藪原やてく〳〵とした稲一穂 八番日記 政4
夕やけと背(中)合せの岡穂かな 八番日記 政4
生役にわざと拾んをち穂哉 文政句帖 政5
草花と握り添へたるいな穂哉 文政句帖 政5
子どもらが犬に負せる稲穂哉 文政句帖 政5
旅人が藪にはさみし稲穂哉 文政句帖 政5
半分は汗の玉かよ稲の露 文政句帖 政5
あらましは汗の玉かよ稲の露 だん袋 異
半分は人の油か稲の露 真蹟
わせのかや東上総のばか一里 文政句帖 政5
早稲の香や夜さりも見ゆる雲の峰 文政句帖 政5
神風や畠の稲(の)五六尺 文政句帖 政6
神風や畠の稲穂そよぐ也 文政句帖 政6
実なし穂や虫よけの札所〳〵に立 文政句帖 政6
虫よけの札迄かけて秕かな 文政句帖 政6
稲のほや天地天王袖の上 文政句帖 政7
御駕より御声のかゝるおち穂哉 文政句帖 政7
草原にてくゝ一ッいな穂哉 文政句帖 政7
御出世のしめさすいなほすへいづこ 真蹟
ことし米我等が小菜も青みけり 発句鈔追加
新わら(早稲わら)
わせわらや猫から先へ安堵顔 文化五六句記 化5
新わらにふはり〳〵と寝楽哉 七番日記 政1

何をあてに山田のひつぢ穂にいづる 文政句帖 政7
ひつぢ田や青みにうつる薄氷 文政句帖 政7
ひつぢ穂(の)そよ〳〵五尺ゆたかかな 文政句帖 政7

いやな風穂のない黍のによき〳〵と 七番日記 化14
煙草
二番のむつくり見ゆるたばこ哉 享和句帖 享3
老らくもことしたばこのけぶり哉 八番日記 政4
赤くてもことしたばこのけぶり哉 梅塵八番 異
けぶりともならでことしのたばこ哉 八番日記 政4
けぶりともならでことしのたばこ吹 文政句帖 異
小けぶりも若ひ匂ひのたばこ哉 八番日記 政4
小けぶりの若ひ匂ひのたばこ哉 梅塵八番 異
江戸へ出る迄はまだ〳〵わかたばこ 文政句帖 政7
若たばこ入らざるけぶりくらべ哉 文政句帖 政7
わかたばこくさきけぶりを自まん哉 文政句帖 政7
ほほづき
弟子尼の鬼灯植ておきにけり 八番日記 政3
鬼灯を取てつぶすやせなかの子 八番日記 政3
鬼灯を膝の小猫にとられけり 八番日記 政3
鬼灯の口つきを姉が指南哉 八番日記 政3
鬼灯の口つきの妹が指南哉 梅塵八番 異
鬼灯や七ツ位の小順礼 梅塵八番 政3
鬼灯の指南をするや隣の子 八番日記 政4
髻に鬼灯さしてもどりけり 八番日記 政4
唐辛子
酒好の藪とてことにとうがらし 西紀書込 寛中
寒いぞよ軒の蜩唐がらし 句稿消息 化中
居酒(屋)やあいそに植し番椒 八番日記 政3
居酒(屋)や人くひかけの番椒 梅塵八番 異
小粒でも武(士)也けり唐がらし 八番日記 政3
人は武士有小つぶでもたうがらし 八番日記 政3
番椒や悪魔払ふといふ山家 八番日記 政4
番椒で悪魔払ふといふ山家 梅塵八番 異
蕃椒もあくまを払ふ山家哉 八番日記 政4
な畑のあいそに立や唐がらし 梅塵八番 政4
草畠にけしきつけゝり唐がらし 文政句帖 政6
小粒でもりきんで立や唐がらし 文政句帖 政6
唐辛子終に青くて仕廻けり 文政句帖 政6
山陰や山伏むらの唐がらし 文政句帖 政6
おく山や子(ど)も(ゝ)かぢるたうがらし 文政句帖 政7
男といはれて涙ほろ〳〵たうがらし 文政句帖 政7
小粒でも見よ〳〵えどのたうがらし 文政句帖 政7
膳のもやうや鉢植たうがらし 文政句帖 政7
強い気で膳におく也たうがらし 文政句帖 政7
鉢植にうるや都のたうがらし 文政句帖 政7
ひよどり上戸
酒神の垣やひよ鳥上戸とて 八番日記 政4
人はさら(に)草もひよ鳥上戸哉 八番日記 政4
ひよ鳥を上戸にしたり草の蔓 八番日記 政4
ひよ鳥を上戸にするや草の蔓 文政句帖 政5 異
ひよ鳥の先へ上戸となる草よ 八番日記 政4
ひよ鳥の先へ上戸と成にけり 梅塵八番 異
よい世中草もひよ鳥上戸哉 八番日記 政4
赤い実がひよを上戸にしたりけり 文政句帖 政5
雀らがかするひよ鳥上戸哉 文政句帖 政5
待うけたやうなひよ鳥上戸かな 文政句帖 政5
(花芒 穂芒 尾花)
蛤の汁かけ薄穂に出ぬ 文化句帖 化3
闇よ月よ芒きたなく成にけり 文化句帖 化3
片袂芒の風に荒れにけり 真蹟 化5
さりながら月をば待ぬ芒哉 文化五六句記 化5
穂芒やひらと附木の釣法度 七番日記 化7
人並や芒もさはぐはゝき星 七番日記 化8
豊年を招き出したる芒哉 我春集 化8
穗芒やおれがつぶりもともそよぎ 七番日記 化8
穂芒やおれが小びんもともそよぎ 我春集他 異
穂芒やおれが白髪もともそよぎ 発句鈔追加
我庵は江戸のたつみぞむら尾花 七番日記 化8
誰ぞ来よ〳〵とてさ(わ)ぐ芒哉 七番日記 化9
芒疵苅萱きずや?臑に 七番日記 化10
釣人の小だてにとりし芒哉 七番日記 化10
のらくらに寒をし(ふ)る芒哉 七番日記 化10
餅つくや芒の中のいく在所 七番日記 化10
油断すな〳〵とやすゝき吹 七番日記 化10
我庵の太刀より切る芒かな 七番日記 化10
入相をふはりとうける芒哉 七番日記 化11
雷をまねき落した芒哉 七番日記 化11
鶴の間も亀も皆〳〵芒哉 七番日記 化11
山(の)児や芒のきずもまめの数 七番日記 化11
一雨を招(き)当たる芒哉 七番日記 化12
今の世は芒も縞を吹れけり 七番日記 化13
はやるとて芒も縞を吹れけり 七番日記 化13 異
縞もしま大名じまの芒哉 七番日記 化13
あだち原芒も人を切にけり 七番日記 化14
此上に貧乏まねくな花芒 七番日記 化14
芒からにょっと出たる坊主哉 七番日記 化14
穂芒に《赤》昔赤鬼出たとさ 七番日記 化14
花ならばなほ引立ん縞芒 八番日記 政2
一念仏申(す)程して芒哉 八番日記 政2
一念仏申すだけしく芒哉 だん袋他
むら芒庵の柱をすりきるな 八番日記 政2
ゆう〳〵と大名縞の芒かな 八番日記 政2
子どもらが狐のまねも芒哉 八番日記 政3
古郷や近よる人を切る芒 八番日記 政3
古郷や近よる人も切る芒 梅塵八番 異
穗すゝきに下手念仏のかくれけり 八番日記 政3
向ふずねざぶと切たる芒かな 八番日記 政3
向ふずねざぶとなぐりし芒かな 書簡 異
幽霊と人は見るらんすゝき原 八番日記 政3
幽霊と人の見るらむすゝき原 梅塵八番 異
草の戸やおどり替りに吹芒 八番日記 政4
猫の子のまゝ事をするすゝき哉 八番日記 政4
猫の子のまゝ事をする李かな 梅塵八番
庵をふくたしにー株すゝき哉 文政句帖 政5
うら窓に雨打つけるすゝき哉 文政句帖 政5
今様の大立縞のすゝき哉 文政句帖 政7
しよげ(る)なよつめば芒も血が出る 文政句帖 政7
法の世やつめば芒も血が出る 文政句帖 政7
山にさへ今のはやりのしま芒 文政句帖 政7
今様をそよぎ出しけり縞芒 希杖本
穂芒にまねき出さるゝ法師哉 書簡
穂芒や細き心のさはがしき 遺稿
芦の花(芦の穂)
月頭昔ながらの芦の花 西紀書込 寛中
芦の穂を小楯にとって平家蟹 西紀書込 寛中
大豕の顔出しけり芦の花 享和句帖 享3
鶴を待起なれやあしの花 文化句帖 化1
芦の穂やあん(な)所にあんな家 七番日記 化11
芦の穂や五尺程なるなにはがた 七番日記 化11
芦吹や天つ乙女もかうまへと 七番日記 化11
式人の着られし芦のほ綿哉 七番日記 化11
日の暮や芦の花にて子をまねく 七番日記 化11
釣人は這入べからず芦の花 八番日記 政4
狗子草
よい秋や犬ころ草もころ〳〵と 八番日記 政4
角力取草
男山草も角力をとりにけり 七番日記 政1
門先や角力草のひとり立ち 文政句帖 政6
神風や草も角力取る男山 文政句帖 政8
いかめしや草も角力取る男山 文九・十年句帖写 異
秋風や草も角力取る男山 文政版
荵草
しのぶ草庇にうへよふわの関 西紀書込 寛中
今様に染ずもあらなん葛忍 享和句帖 享3
紅葉
山紅葉入日を空へ返す哉 寛政句帖 寛4
タ紅葉谷残虹の消へかゝる 西紀書込 寛中
川下は知職の門よタ紅葉 享和句帖 享3
来る〳〵も待人でなしタ紅葉 享和句帖 享3
日の暮の背中淋しき紅葉哉 享和句帖 享3
ふまぬ地をふむ心也タ紅葉 享和句帖 享3
うぢ〳〵と出れば日暮(る)紅葉哉 文化句帖 化1
木啄も日の暮かゝる紅葉哉 文化句帖 化1
しひて来る鳥とも見へ(え)ぬ紅葉哉 文化句帖 化1
それ切にしてもよいぞよ薄紅葉 文化句帖 化1
なまじい(ひ)に鳥来ぬ前の紅葉哉 文化句帖 化1
初紅葉どれも榎のうしろ也 文化句帖 化1
松切に鳥も去けり夕紅葉 文化句帖 化1
箕をかつぐ人と連立紅葉哉 文化句帖 化1
紅葉ゝにま一度かゝれ今の雨 文化句帖 化1
片枝は真さかさまに紅葉哉 文化句帖 化2
紅葉して百姓禰宣の出立哉 文化句帖 化2
山畠は鼠の穴も紅葉哉 文化句帖 化2
狗の寝所迄も紅葉哉 文化句帖 化3
小男鹿の枕にしたる紅葉哉 文化句帖 化3
袖寒き川も聞へ(え)て夕紅葉 文化句帖 化3
紅葉して朝茶の道を作りけり 文化句帖 化3
朝〳〵の塩茶すゝりが紅葉哉 文化三-八写 化4
小(男)鹿の水鼻拭ふ紅葉哉 文化三-八写 化4
さをしかゞ水鼻拭ふ紅葉哉 発句題叢 異
近づけば魚に淋しき紅葉哉 文化三-八写 化4
近づけば急にさびしき紅葉哉 発句鈔追加 異
盗み月我の寝所も紅葉哉 連句稿裏書 化4
見定て急に淋しき紅葉哉 連句稿裏書 化4
紅葉ゝや近付程に小淋しき 連句稿裏書 化4
紅葉ゝやふぐりもめでた朝寝坊 連句稿裏書 化4
鶯がさく〳〵歩く紅葉哉 文化五六句記 化6
栗塚しちらする紅葉哉 文化五六句記 化6
立田姫尿かけたまふ紅葉哉 文化五六句記 化6
宮鴫の見て居る紅葉拾ひけり 文化五六句記 化6
宮の鳩見て居る紅葉拾ひけり 句稿断片 異
大寺や片〳〵戸ざす夕紅葉 七番日記 化7
大寺の方戸さしけり夕紅葉 文政版 遺稿
紅葉たく人をじろ〴〵仏哉 七番日記 化8
紅葉ばや爺はへし折子はひろふ 我春集 化8
夕紅葉芋田楽の冷たさよ 七番日記 化8
びんずるは撫なくさるゝ紅葉哉 七番日記 化9
夕陰(や)いだ天さまの大紅葉 七番日記 化9
門の森渋紙色で果るげな 七番日記 化10
黄ばむ真似したばかり也榎哉 七番日記 化10
紅葉ゝにまだけぶる也たばこ殻 七番日記 化11
東人紅葉にかぶれ給ひけり 七番日記 化12
京人紅葉にかぶれ給ひけり 七番日記 化15 異
馬番から投り出したる紅葉哉 七番日記 化12
さをしかの尻にべったり紅葉哉 七番日記 化12
ちよぽ〳〵と茶(の)子焼るゝ紅葉哉 七番日記 化12
とつ付に先紅葉ゝや竜田村 七番日記 化12
焼みそをちよぼ〳〵乗せる紅葉哉 七番日記 化12
夕飯(の)中からはさむ紅葉哉 七番日記 化12
鰐口にちよいと加へし紅葉哉 七番日記 化14
一寸の木もそれ〴〵に紅葉哉 七番日記 政1
としよれぬかぶれもやらぬ紅葉哉 七番日記 政1
紅葉ゝのかはらぬうちに誰ぞ来よ 七番日記 政1
門紅葉茶色でらちを明にけり 八番日記 政2
百連の豆ぶら下る紅葉哉 八番日記 政2
百連の豆びらさげる紅葉哉 梅塵八番 異
紅葉して千蘭四五連なる木哉 八番日記 政2
紅葉して千菜四五連なる木哉 梅塵八番 異
一時雨持かね山の紅葉哉 八番日記 政3
一時雨待かね山の紅葉哉 梅塵八番 異
折〳〵に小滝をなぶる紅葉哉 文化句帖 政5
欠椀も同じ流れや立田川 文政句帖 政5
谷川の背に冷つくや夕紅葉 文政句帖 政5
掃溜も又一入の紅葉かな 文政句帖 政5
さをしかにせ負する紅葉俵哉 文政句帖 政8
竈の下へはき込む紅葉哉 文政句帖 政8
紅葉火のへら〳〵過る月日哉 文政句帖 政8
山寺のみな堂下へ紅葉哉  文政句帖 政8
小一升紅葉明たり水車 書込
柿紅葉
砂よけのきのふは見へず柿紅葉 享和句帖 享3
二軒して作る葱や柿紅葉 享和句帖 享3
乙松(も)朝茶仲間や柿紅葉 連句稿裏書 化4
渋柿も紅葉しにけり朝寝坊 連句稿裏書 化4
仲のよい煙三(つ)四(つ)柿紅葉 文化五六句記 化6
柿の葉(に)小判色なる木(の)葉哉 七番日記 化10
柿の葉や真赤に成て直にちる 七番日記 化10
柿の葉や仏の色に成るとちる 七番日記 化12
立臼よ寝臼よさては柿紅葉 七番日記 化12
茶仲間のぶつきり棒や柿紅葉 七番日記 化12
馬の子や口さん出すや柿紅葉 七番日記 政1
綿の穂
綿殻もきて寝る程は吹にけり 文化句帖 化2
野ゝ宮や吹ちりもせぬ綿初穂 七番日記 化2
我国や藪の仏も綿初尾 七番日記 化12
新綿や子の分のけてみんな売 八番日記 政4
野社に吹もちらぬや綿初穂 八番日記 政4
畠からつまんでやるや綿勧化 八番日記 政4
畠からつかんでやるや綿勧化 発句鈔追加 異
鉢の子の中も浮世ぞ綿の虫 八番日記 政4
鉢の子の中も浮世よ綿の虫 梅塵八番 異
ほけ綿や人の畠でも福々し 八番日記 政4
綿ちるや小藪小社小溝迄 八番日記 政4
綿の虫書入に来る雀哉 八番日記 政4
綿の虫どこをたよりに這廻る 八番日記 政4
綿の虫何処をたのみに這廻る 梅塵八番 異
綿の虫裸で道中がなるものか 八番日記 政4
綿の虫本ン(の)間へ逃入ぬ 八番日記 政4
柳散る
身持よきタや柳ちりそむる 文化句帖 化2
雲低きタ〳〵や柳ちる 文化句帖 化2
桐一葉
あらかんと二人寝て見る一葉哉 享和句帖 享3
活過し脛を打けばー葉哉 享和句帖 享3
起〳〵に片ひざ抱ば一葉哉 享和句帖 享3
白露のおき所也梧一葉 享和句帖 享3
月影のさゝぬ方より一葉哉 享和句帖 享3
人去て行灯きえて桐一葉 享和句帖 享3
ふは〳〵としていく日立一葉哉 享和句帖 享3
?臑を抱合せけり桐一葉 享和句帖 享3
夕暮やひざをいだけば又一葉 享和句帖 享3
秋蝉の終の敷寝の一葉哉 文化五六句記 化5
朝ぐせのばらばら雨や桐一葉 文化五六句記 化5
狗のどさりとねまる一葉かな 書簡 化5
桐一葉終の敷寝によれよけん 文化五六句記 化5
ちる一葉葎は痩もせざりけり 文化五六句記 化5
一日の人の中より一葉哉 文化五六句記 化5
むづかしや桐の一葉の吹れやう 文化五六句記 化5
懐の猫も見て居る一葉哉 文化五六句記 化6
懐の猫が見てゐる一葉哉
三ヶ月の御若い顔や桐一葉 文化三-八写 化7
天の川流留りの―葉哉 七番日記 化9
あらましに涼しく候と一葉哉 七番日記 化9
きりー葉とてもの事に西方へ 七番日記 化9
きり一葉二は三は四はせはしなや 七番日記 化9
けさ程やこそりとおちてある一葉 七番日記 化9
御隠居に何ぞ書けとの一葉哉 七番日記 化9
さをしかの角にかけたり一葉哉 七番日記 化9
念仏に拍子のつきし一葉哉 七番日記 化9
三ヶ月の細き際より一葉哉 七番日記 化9
大闇にやみを添たる一葉哉 七番日記 化11
唐鳥の渡らぬ先へ一葉哉 七番日記 化11
桐の木やてきぱき散てつんと立 七番日記 化11
只一葉あたり八間目覚しぬ 七番日記 化11
寝た犬にふはとかぶさる一葉哉 七番日記 化11
妹が子の引かつぎたる一葉哉 七番日記 化14
鳴蝉も連てふはりと一葉哉 七番日記 化14
涼しさのたらぬ所へ一葉哉 句稿消息 化中
そつくりと蛙(の)乗し一葉哉 七番日記 政1
一葉づゝ終にくり〳〵坊主哉 七番日記 政1
一葉づゝ終のくり〳〵坊主哉 希杖本 異
箕(に)一葉臼に二葉やいそがしき 七番日記 政1
狗が敷てねまりし一葉哉 文政句帖 政5
桐の木や散らぬ一葉は虫の穴 文政句帖 政5
きり一葉珠数の置所と成り(に)けり 文政句帖 政5
幸に珠数のせておく一葉かな 文政句帖 政5
虫の穴ないのからちる一葉かな 文政句帖 政5
梧一葉後はくわら〳〵くはあら〳〵 文政句帖 政8
桐の木や一葉所かくはあらくはあら 文政句帖 政8
きり一葉蠅よけにして寝たりけり 文政句帖 政8
手廻しや一度に桐の百葉程 文政句帖 政8
手廻しや一度に桐のくはあら〳〵 文政句帖 政8 異
ひいやりと一葉の上の安坐哉 文政句帖 政8
冷〴〵と一葉の上の安坐哉 文政句帖 政8 異
引がへる一葉の上に安置哉 文政句帖 政8
老僧が団扇(に)つかふ一葉哉 文政句帖 政8
老僧が団扇(に)したる一葉哉 文政句帖 政8
狗がかぶって歩く一葉かな 文政九十句写 政9
幸にやきもちくるむー葉かな 発句鈔追加

柿を見て柿を蒔けり人の親 七番日記 化7
胡麻柿や丸でかぢりし時も有 七番日記 化7
渋い柿灸をすへて流しけり 七番日記 化12
浅ましや熟柿をしやぶる体たらく 七番日記 化13
くやしくも熟柿仲間の坐につきぬ 七番日記 化13
御所柿の渋い顔せぬ罪深 七番日記 化13
渋柿をはむは鳥のまゝ子哉 七番日記 化13
高枝や渋柿一つなつかしき 七番日記 化13
生たりな柿のほぞ落する迄に 七番日記 化13
庵の柿なり年もつもおかしさよ 七番日記 化14
頬べたにあてなどするや赤い柿 八番日記 政2
頬べたにあてなどしたり赤い柿 梅塵八番 異
甘いぞよ豆粒程も柿の役 八番日記 政3
甘いぞよ豆粒程でも柿の役 梅塵八番 異
柿の木であえ(と)こたいる小僧哉 八番日記 政3
狙丸が薬礼ならん柿ふたつ 八番日記 政3
師の坊は山へ童子は柿の木へ 八番日記 政3
渋柿をこらへてくうや京の児 八番日記 政3
渋い柿こらへてくうや京の児 梅塵八番 異
渋い所母が喰いけり山の柿 八番日記 政3
渋柿と鳥も知て通りけり 八番日記 政3
京の児柿の渋さをかくしけり 八番日記 政3
山柿も仏の目には甘からん 八番日記 政3
大柿のつぶれる迄も渋さ哉 八番日記 政4
大柿のつぶるゝ迄も渋さ哉 梅塵八番 異
大〳〵渋と柿盗人の笑哉 八番日記 政4
柿の木の番しがてらの隠居哉 八番日記 政4
柿の木の番しながらの隠居哉 梅塵八番 異
柿の木の弓矢けおとす烏哉 八番日記 政4
客ぶりや青柿渋くない〳〵と 八番日記 政4
渋柿もあれば苦になる夜さり哉 八番日記 政4
渋柿はあれば苦になる夜さり哉 梅塵八番 異
栗柿は猿の薬礼でありしよな 文政句帖 政5
さか柿烏の分ンは残しけり 文政句帖 政5
つぶれ柿犬もかゞずに通りけり 文政句帖 政5
紅の柿が一山五文かな 文政句帖 政6
湯上りの拍子にすゝむ熟柿哉 文政句帖 政6
柿の実や幾日ころげて麓迄 嘉永版
ざくろ
さあ来いと大口明しざくろ哉 七番日記 化11
我味にかはらぬ柘榴あてがふぞ 八番日記 政3
我味の柘榴に這す虱かな 八番日記 政3
人味の柘榴に這す虱かな 文政九・十年句帖写 化10
人味の柘榴へ這す虱かな 八番日記 政3
いんま大王と口あくざくろ哉 八番日記 政4
いんま大王と口を明くざくろ哉 梅塵八番 異
鬼の子〔と〕云虫もなしざくろ哉 八番日記 政4
鬼の子〔と〕虫もなくざくろ哉 梅塵八番 異
紅の舌をまいたるざくろ哉 八番日記 政4
妙法の声(に)口あくざくろ哉 八番日記 政4
木槿
朝霞中も違ひに花むくげ 西紀書込 寛中
あつぱれに咲揃う昼のむくげ哉 西紀書込 寛中
あつぱれの山家と見ゆる木槿哉 西紀書込 寛中
朝ばかり日のとゞく溪のむくげ哉 西紀書込 寛中
小一時日のけば〳〵し花木槿 西紀書込 寛中
小一丁家不相応の木槿哉 西紀書込 寛中
三四丁家不相応の木槿哉 西紀書込 異
小一丁梵論練返スむくげ哉 西紀書込 寛中
てふ〳〵のいまだにあかぬ木槿哉 西紀書込 寛中
虹折(れ)て一丁ばかりむくげ哉 西紀書込 寛中
花木槿家不相応の垣ね哉 西紀書込 寛中
花木槿里留主がち(に)見ゆる哉 西紀書込 寛中
木槿しばし家不相応のさかり哉 西紀書込 寛中
うか〳〵と出水に逢し木槿哉 文化句帖 化1
寝る外に分別はなし花木槿 文化句帖 化1
不平な垣もむくげは咲にけり 文化句帖 化1
秋霜に又咲ほこるむくげ哉 文化句帖 化2
浦向に咲かたまりし槿哉 文化句帖 化2
遅咲の木槿四五本なく蚊哉 文化句帖 化2
酒冷すちよろ〳〵川の槿哉 文化句帖 化2
木槿さへすがれになるをなく蚊哉 文化句帖 化2
木槿咲く凸ミ凹ミや金谷泣 文化句帖 化2
柳迄淋しくしたる槿哉 文化句帖 化2
夜〳〵はよい風の吹く槿哉 文化句帖 化2
あふみのやけなり祭も木槿時 文化句帖 化3
けぶりして寒い蝉なく木槿哉 文化句帖 化3
蔓草におしつけられし槿哉 文化句帖 化3
花木槿鳥叱りてながらふる 文化句帖 化3
ぼろ〴〵が妻もうもれし木槿咲 文化句帖 化3
赤木槿咲くや一人涼む程 断片 化6 句稿
孤が朝時の木槿咲にけり 断片 化6 句稿
咲仕廻忘れて居るか花木槿 七番日記 化8
七尺の粟おし分て木槿哉 七番日記 化9
貧(乏)神宿参らせん花木槿 七番日記 化9
木槿さくや親代々の細けぶり 七番日記 化9
朝寒をことしもせぬや花木槿 七番日記 化14
朝寒を引くり返す木槿哉 七番日記 化14
諸勧進這入べからず木槿垣 七番日記 化14
代〴〵の貧乏垣の木槿哉 七番日記 化14
火のふけぬ家(を)とりまく木槿哉 七番日記 化14
それがしも其日暮しぞ花木槿 八番日記 政4
それがしも其日ぐらしの花木槿 梅塵八番 異
洪水になくなりもせぬ花木槿 文政句帖 政5
洪水の泥の一花木槿かな 文政句帖 政5
沙汰なしに咲て居る也木槿哉 文政句帖 政7
長咲の恥もかゝぬぞ花木槿 文政句帖 政7
初花も盛ももたぬ木槿哉 文政句帖 政7
花ごてら鋏れにけり花木槿 文政句帖 政7
からたちの不足な所へ木槿哉 文政句帖 政8
からたちの不足な所へ花木槿 文政句帖 政8
からめては木槿でかたむ関所哉 文政句帖 政8
からめては木槿でかたむ関屋哉 文政句帖 政8
崩れ家の花〴〵しさや花木槿 文政句帖 政8
こちやはさむあちやうらむ也木槿垣 文政句帖 政8
隣から花(を)にくむや木槿垣 文政句帖 政8
ぶだう
一番の不二見所や葡萄棚 文政句帖 政7
色黒いのが幸ひぞ山葡萄 文政句帖 政7
色白は江戸へ売らるゝ葡萄哉 文政句帖 政7
黒葡萄天の甘露(を)うらやまず 文政句帖 政7
のら葡萄里近づけば小つぶ也 文政句帖 政7
梅もどき
梅の木に見せびらかすや梅もど木 八番日記 政4
梅もどき御花の名代つとめけり 八番日記 政4
御花の御名代也梅もどき 八番日記 政4
釣されてから赤らむや梅もどき 八番日記 政4
みかん
大みかん天から〳〵と降りにけり 文政句帖 政6
上々のみかん一山五文かな 文政句帖 政6
金柑
金かんや南天もきる紙袋 七番日記 化11

それが木も家尻に見へて梨を売る 文化句帖 化1
初梨の天から降た社だん哉 文政句帖 政8
百里来た梨のころげる社哉 文政句帖 政8

影法師の畳にうごくふくべ哉 西紀書込 寛中
雨三粒おちてもぬれし瓢哉 文化句帖 化1
うき〳〵と草の咲そふ瓢哉 文化句帖 化1
かはる〴〵草花過し瓢哉 文化句帖 化1
見覚して鳥の立らん大瓢 文化句帖 化1
闇(の)夜に段〴〵なるぞ種瓢 文化句帖 化1
家葺ん瓢は黄ばむ鳥は鳴 文化句帖 化2
小瓢も二ッはなりもせざりけり 文化句帖 化2
どの方(が)瓢の表なりけらし 文化句帖 化2
瓢にもなりはぐれたる垣根哉 文化句帖 化2
曲り目に月の出たる瓢哉 文化句帖 化2
山〳〵も年よるさまや種瓢 文化句帖 化2
大瓢拝んでもどるさが野哉 文化五六句記 化5
老たりな瓢と我が影法師 七番日記 化9
馬なりと出なばとく〳〵種瓢 七番日記 化11
蓑を(を)着てうそ〳〵寒き瓢哉 七番日記 化11
老が世に桃太郎も出よ捨瓢 七番日記 化13
馬の沓尻にあてごふふくべ哉 八番日記 政4
正面に尻つん向し瓢哉   八番日記 政4
貰人の丸書てある瓢哉 八番日記 政4
やくそくや千なり瓢千人に 八番日記 政4
朔日のあとになりゆく瓢かな 発句鈔追加  
糸瓜
今の世は糸瓜に皮もうれにけり 七番日記 化12
さばてんにどうだと下る糸瓜哉 七番日記 化12
惣領の甚太郎どのゝ糸瓜哉 七番日記 化12
踏込で糸瓜の皮のだん袋 八番日記 政2
踏込や糸瓜の皮のだん袋 梅塵八番 異
老の身や糸瓜は糸瓜の役に立 八番日記 政4
はづかしや糸瓜は糸瓜の役に立 文政句帖 政6 異
二本目の桶はおさんが糸瓜哉 梅塵八番 政4
美人等に水しぼらるゝ糸瓜哉 八番日記 政4
世の中は何(の)糸瓜とのたるかよ 八番日記 政4
花ながら水しぼらるゝ糸瓜かな 文政句帖 政7
へちまづる切て支舞ば他人哉 発句鈔追加
西瓜
正直[値]段ぶ[つ]つけ書の西瓜哉 文政句帖 政8
南瓜
割かけて半月あまり南瓜哉 西記書込 寛中
鶺鴒がたゝいて見たる南瓜哉 八番日記 政2
鳥瓜
古きてそ屁はよけ行烏瓜 享和句帖 享3
秋風の吹ともなしや鳥瓜 文化五六句記 化6
溝川や水に引るゝ烏瓜 文政九十句写 政9
山椒
山椒をつかみ込んだる小なべ哉 享和句帖 享3
君が世は山椒も子を持にけり 八番日記 政3
南天の実
日当りや南天の実のかん袋 八番日記 政4
あけび
愛相(想)にぱかり口明く木通哉 文政句帖 政8
釣棚にぱつかり口を木通哉 文政句帖 政8
一夜(さ)に棚で口あく木通哉 文政句帖 政8
棚へ来てぱくり口明木通哉 文政90句写 政9
棚へ来てぱかり口明く木通哉 希杖本 異
木の実
門口の木(の)実に見るや木曽の雨 文化句帖 化1
くやしくも過し山辺や木(の)実散 文化句帖 化1
ちる木(の)実赤ふんどしがうれしいか 文化句帖 化1
爪先にいく日馴たる木(の)実哉 文化句帖 化1
山姫の袖より落る木(の)実哉 七番日記 化7
ばんぼりにはつしとあたる木(の)実哉 七番日記 化10
尼君の畠を塞(ぐ)木の実哉 七番日記 化11
金が咲け〳〵とて埋る木(の)実哉 七番日記 化11
なつかしと吉野の木の実煎る夜哉 七番日記 化11
升とりの升にころりと木の実哉 七番日記 化14
猫又の頭こつきり木の実哉 八番日記 政4
夕やみや木の実も人を宇津の山 文政句帖 政5
夕やみや木の実が笠を宇津の山 文政句帖 政5 異
栃の実
栃だん子うたがふらくは是仙家 題葉集 寛3
栃の子やいく日転げて麓迄 七番日記 化11
栃の実やいく日転げて麓迄 版本題叢 異
栃の実や人もとち〳〵とび歩く 八番日記 政4
栃餅や天狗の子供など並 八番日記 政4
栃餅や天狗の子分など並ぶ 梅塵八番 異
椎の実
落椎のあくまでぬれし旭哉 文化句帖 化1
団栗
団栗や而(うして)後露時雨 文化五六句記 化5
団栗がむけんの鐘をたゝく也 八番日記 政2
団栗の寝ん〳〵ころり〳〵哉 八番日記 政2
とるとしや団栗にまでおつころぶ 八番日記 政4
団栗とはねつくらする小猫哉 八番日記 政4
団栗と転げくらする子猫哉 文政句帖 異
団栗やころり子共の云なりに 八番日記 政4
団栗や流れ任せの身の行衛 八番日記 政4
団栗や三べん巡って池に入 文政句帖 政7

栗おちて一ツ〳〵に夜の更る 文化句帖 化3
樒桶落ぬ日はなし峯の栗 文化句帖 化3
柴栗(の)いく度人に踏れけり 文化句帖 化3
柴栗や馬のばりしてうつくしき 文化句帖 化3
くり〳〵と栗をふみ行流哉 文化五六句記 化6
柴栗のえむといふ日もなかりけり 文化五六句記 化6
おち栗やきのふ(は)見えぬ茶呑橋 七番日記 化7
大栗や漸とれば虫の穴 七番日記 化10
からめては栗で埋りし御堀哉 七番日記 化10
草原や子にひろはする1つ栗 七番日記 化10
栗埋てはつ雪を待用意哉 七番日記 化10
栗の峰ひたとおち込坐敷哉 七番日記 化10
拾れぬ栗の見事よ大きさよ 七番日記 化10
虫喰が一番栗ぞ一ばんぞ 七番日記 化10
焼栗や吉次や三太むさし坊 七番日記 化10
山陰に心安げよ実なし栗 七番日記 化10
立田姫坐とり給へや杓子栗 七番日記 化12
我門の猫打栗よ〳〵よ 七番日記 化12
我宿の猫打栗よ〳〵よ 七番日記 化13 異
翌ありと思ふや栗も一莚 七番日記 化13
いけ栗や我塚も今あの通り 七番日記 化13
大栗や旅人衆に拾はるゝ 七番日記 化13
け起(せ)ばみんな殻也栗のいが 七番日記 化13
茹栗と一所に終るはなし哉 七番日記 化13
茹栗や胡坐功者なちいさい子 七番日記 化13
大栗やとげの中にも虫の住 七番日記 化14
拾はれぬ栗がざつくりざくり哉 七番日記 化14
二子栗仲よく別ろと計に 七番日記 化14
いが栗のいが出ぬうちは見事也 七番日記 政1
妹が子にそれゆづるぞよ杓子栗 七番日記 政1
落栗や先へ鳥に拾はるゝ 七番日記 政1
落栗や島に先へ拾はるゝ 七番日記 政1
落栗や叉旅人に拾はるゝ 希杖本
栗の虫どこ(へ)たのみに行畳 七番日記 政1
三度栗おがむ握しへ落にけり 七番日記 政1
山栗の飯祝るゝ都かな 七番日記 政1
山寺や畳の上の栗拾ひ 七番日記 政1
迹の人三ッ栗三ッひろひけり 八番日記 政2
剰(へ)二子なりけりすがれ栗 八番日記 政2
剰(へ)三ツ子なりけりすがれ栗 梅塵八番 異
大きさや人の拾ひし栗のいが 八番日記 政2
大栗は猿の薬礼と見へにけり 八番日記 政2
落る葉もちら(り)ほふ(り)やすがれ栗 八番日記 政2
流るゝに苦はなかりけり栗ならば 八番日記 政2
流るゝに苦はなかりけり実なし栗 梅塵八番 異
人ちゝり木の葉もちゝりすがれ栗 八番日記 政2
焼栗やへろ〳〵神の向方に 八番日記 政2
焼栗やへら〳〵神の向方に 梅塵八番 異
娘事をせよとはたすや杓子栗 八番日記 政2
いが栗も花の都へ出たりな 八番日記 政3
いが栗も花の都へ出たりけり 梅塵八番 異
いが栗や嫌ろふ門田に小山程 八番日記 政3
いが栗や嫌ふ門田へ小山程 梅塵八番 異
紫の栗一人はぢけて居たりけり 八番日記 政3
柴栗の一人はぢけて居たりけり 梅塵八番 異
鼠等も娘事するか杓子栗 八番日記 政3
鼠等も娘取するか杓子栗 梅塵八番 異
はずかしやとられぬ栗の目にかゝる 八番日記 政3
いがぐりやどさりと犬の枕元 八番日記 政4
今が世に爺打栗と呼れけり 八番日記 政4
今の世に爺打栗と呼れけり 梅塵八番 異
枝のいが(両)手を張るやなし〳〵と 八番日記 政4
大味のなどゝ大栗撰れけり 八番日記 政4
大味のなんのと大栗撰れけり 梅塵八番 異
大味の何かは減るや丹波栗 八番日記 政4
大味の何のとへるや丹波栗 梅塵八番 異
大栗や我が仲間もいが天窓 八番日記 政4
おち栗や仏も笠をめして立 八番日記 政4
笠のおち栗とられけり迹(後)の人 八番日記 政4
栗壱ツとるに挑灯さわぎ哉 八番日記 政4
栗壱ツ二ツにたい松さわぎ哉 八番日記 政8 異
爺打た栗と末代言れけり 八番日記 政4
爺打た栗と三代言れけり 梅塵八番 異
杓子栗もつも自然ぞ女の子 八番日記 政4
誰にやるくりや地蔵の手の平に 八番日記 政4
誰にやる粟や地蔵の手の平に 発句鈔追加
ばか猫や逃たいが栗見にもどる 八番日記 政4
ぱち〴〵は栗としらるゝ雨夜哉 八番日記 政4
ぱら〴〵は栗としらるゝ雨夜哉 梅塵八番 異
都でも引はとらぬや丹波栗 八番日記 政4
もちよふも女の子ぞよ杓子栗 八番日記 政4
やきぐりを噛んでくれろと出す子哉 八番日記 政4
山出しのまゝや御前へ丹波栗 八番日記 政4
今の世や山の栗にも夜番小屋 文政句帖 政5
うら壁に打つける也峰の栗 文政句帖 政5
栗拾ひねん〳〵ころり云ながら 文政句帖 政5
まけ(ぬ)きに栗の皮むく入歯哉 文政句帖 政5
焼栗に必隣る茶の子哉 文政句帖 政5
やき栗の成る木もあらん御寺哉 文政句帖 政5
焼栗もにくい方へはとばぬ也 文政句帖 政5
ゆで栗や入り坐敷より寝ばけ客 文政句帖 政5
ゆで栗や夜番の小屋の俄客 文政句帖 政5
竈の栗者ども来よとはねる也 文政句帖 政6
あくせくと起せば殻よ栗のいが 文政句帖 政7
大栗や流れとゞまるばゝの前 文政句帖 政7
おち捨の栗にてぬかる木そ路哉 文政句帖 政7
栗とんで惣鶏のさはぎ哉 文政句帖 政7
さく〳〵と栗でぬかるや木曽の山 文政句帖 政7
そと置て子に捨ろはすや栗庭 文政句帖 政7
夜咄の下へゆで栗小粒也 文政句帖 政7
おち栗や足で尋る夜のみは 文政句帖 政8
栗番や只(有)体を大の声 文政句帖 政8
栗虫のくりを出歩行栄よう哉 文政句帖 政8
子どもらや鳥も交る栗拾ひ 文政句帖 政8
外堀におち栗ぽかん〴〵哉 文政句帖 政8
大木や子ら(が)踏んでも栗落る 文政句帖 政8
生栗をがり〴〵子ども盛哉 文化句帖 政8
いがごてら都へ出たり丹波栗 文政九十句写 政10
馬の子の踏潰しけり野良の栗 文政九十句写 政10
大栗や大味などと先帰る 文政九十句写 政10
せま庭の横打栗やどろぼ猫 文政九十句写 政10
ほし栗のほしべり立やげつそりと 希杖本
色変えぬ松
神世より色替ぬ哉松と浪 寛政句帖 寛6
松笠
松笠を升にてはかるうき世哉 文政句帖 政8
きのこ
雨上り柱見事にきのこ哉 西紀書込 寛中
扇にてしばし教るきのこ哉 西紀書込 寛中
御身足の下にいつも茸哉 西紀書込 寛中
こぼれ種草(に)によき〳〵茸哉 西紀書込 寛中
松原に作ったやうにきの子哉 西紀書込 寛中
川曲へつゝつき落す茸哉 享和句帖 享3
手の前に蝶の息つく茸哉 享和句帖 享3
松茸にむされて立か山兎 享和句帖 享3
ぞく〴〵と人のかまはぬ茸哉 文化五六句記 化5
念仏のころりと出たる茸哉 文化五六句記 化5
松茸にかぶれ給ひし和尚哉 文化五六旬記 化5
松散や茸の時は誰かある 文化五六旬記 化5
山の神木子盗人おがむ也 文化五六旬記 化5
あさぢふや門の口からきのこがり 文化五六旬記 化6
虻よぶや必茸ある通り 文化五六旬記 化6
此方に茸ありとや虻のとぶ 文化五六旬記 化6
ぞく〴〵と鼠の穴もきのこ哉 文化五六旬記 化6
うつくしやあら美しや毒きのこ 七番日記 化10
うつくしや人とる木の子とは見へぬ 七番日記 化10
御子達よ赤い木(の)子に化されな 七番日記 化10
御児達赤い木(の)子に化さうな 書簡 異
折〳〵(や)庵の柱の茸狩 七番日記 化10
青芒さゝれたうちがはつ茸ぞ 七番日記 化13
穂芒にさゝれたうちがはつ茸ぞ 希杖本 異
茸狩子どもに先ンを取られけり 七番日記 化14
尻餅をついた手でとる茸哉 七番日記 化14
尻餅を搗ながらとる茸哉 文政句帖 政5 異
背(中)から児が声かける茸哉 七番日記 化14
一人前柱にもあるきのこ哉 七番日記 化14
茸とり刀で分る芒かな 八番日記 政2
木末から猿がをしへる茸哉 八番日記 政2
小坊主に高名されし茸哉 八番日記 政2
五六人只一ッ也きの子がり 八番日記 政2
五六人只ひとつきりきの子がり 梅塵八番 異
猿の子に酒くれる也茸狩 八番日記 政2
旅の子に酒くれる也茸狩 梅塵八番 異
茸がりのから手でもどる騒かな 八番日記 政2
宿おりが笠にさげたる茸哉 八番日記 政2
余そ並につら並べけり馬糞茸 八番日記 政2
大茸馬糞も時を得たりけり 発句題叢 政3
人をとる茸はたしてうつくしき 発句題叢 政3
狼の穴の中より鼠茸 八番日記 政4
買茸とつたふりしてもどりけり 八番日記 政4
茸をば付たりにしてさわぎ行 八番日記 政4
茸をば付たりにして騒ぎ哉 梅塵八番 異
くらま山茸にさい(へ)も天狗哉 八番日記 政4
ころんでも掴で起る木の子哉 八番日記 政4
尻もちをついて尻にも木の子哉 八番日記 政4
茸がりの下手や一抱草の花 八番日記 政4
茸がりの下手や一把の草の花 梅塵八番 異
天狗茸立けり魔所の入口に 八番日記 政4
天狗茸立けり魔所の這入口 文政句帖 異
化されな茸も紅を付(て)出た 八番日記 政4
化されな茸も紅をつけて出る 梅塵八番 異
初茸を握りつぶして笑ふ子よ 八番日記 政4
初茸を?みつぶして笑ふ子よ 梅塵八番 異
初茸の無きづに出るやた袂から 八番日記 政4
初茸や持遊び箱に壱ツ哉 八番日記 政4
初茸の持遊び箱に壱ツ哉 梅塵八番 異
初茸や根こそげ取た迹が又 八番日記 政4
初茸や根こそに取た跡に叉 梅塵八番 異
初茸や一ツは吾子が持遊び 八番日記 政4
初茸や二人見付て粉みぢん 八番日記 政4
初茸や二人見付てまあ〳〵と 八番日記 政4 異
初茸や踏みつぶしたをつぎて見る 八番日記 政4
初茸や見付た者をつき倒し 八番日記 政4
松茸や犬のだくなも嗅歩く 八番日記 政4
海見る芝に坐とるや焼菌 文政句帖 政5
えんま王笑ひ菌をちと進れ 文政句帖 政5
茸狩女に勝をとられけり 文政句帖 政5
茸さへ蠅をとるのに白髪哉 文政句帖 政5
辷りても只は起ぬや木の子がり 文政句帖 政5
先達の手首尾わるさや茸山 文政句帖 政5
茸狩やお(の)がおちたるおとし穴 文政句帖 政5
鶏のかき出したる茸かな 文政句帖 政5
此おくは魔所とや立る天狗茸 文政句帖 政7
身を知て犬もかゞぬや捨茸 文政句帖 政8
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一茶の俳句データベースより抜粋掲載
「一茶の俳句データベース」は一茶全集第1巻(信濃毎日新聞社1979)の18,700句、一茶発句総索引(信濃毎日新聞社1980)の追加198句を底本に、その後に発表された文献等により異形句を含む全てを収録しようとするものです。これまでに入力した句の数は21,000句を越えましたが、まだ未収録の句は少なくても200句程度はあるものと思われます。点検、校正作業もまだまだ不十分ですが、一茶185回忌の2011(平成23)年11月19日に公開しました。
このデーターベース構築を進めているスタッフは一茶研究家でもなく、俳句研究家でもない中学生を含む素人によるものです。また、作成開始から試験公開までわずか6ヵ月という極めて短期間で進めたため、内容に誤りが多いことは否めません。 このデータベースを研究用に利用される場合は検索結果を「一茶全集」等の信頼ある文献で確認していただくようお願いいたします。
V1.3公開にあたって
一茶の俳句データベースは、多数の誤りがあることを承知で構想から半年間という極めて短期間で公開しました。その後、約2年間点検修正作業を行い、一茶187回忌(新暦)の2014(平成26)年1月5日にV1.3(収録句数22057)を公開しました。 本会ではさらに修正作業を続けます。一茶の俳句データベースの問題点や新情報などご意見をお願いいたします。
注意点等(本資料に関連する注意点のみ掲載)
・□で表示されるものは不明な文字です。
・季題1に重と表示される句は一茶全集第1巻に重複して収録されている句の後のページに掲載されている句です。
企画制作 一茶研究会、一茶弐萬句データーベース作成プロジェクト
協力 須坂市立日滝小学校*・長野市立芋井中学校(2012年長野市立西部中学校に統合された)軽井沢町立軽井沢中学校小布施町立小布施中学校*・中野市立南宮中学校高山村立高山中学校*の生徒職員および小林一茶を楽しむ会(KIT)のみなさん[* httpsによる安全な接続をサポートしていない]
2011年11月 一茶研究会(翌年12月 一茶に学ぶ会に改称) 
資料: 一茶の俳句データベース詳細表示

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