一茶発句集 秋2

2024年から総ルビ付きの縦書き文庫版を制作中で、その作業の一部として以下の資料(未定稿)を掲載しています。同文庫版はすでに夏と新年の部の句に旧かなルビを振りました。25年後半に春の部の修正を終えて秋と冬雑の部に取りかかり、26年中に完成する予定です。

一茶発句集 秋2/5
盆の月
盆の月木綿裾のうれしいか 文化句帖 化1 「裾」→「袷」?
子をもたば盆〴〵〴〵の月よ哉 七番日記 化9
蚯諷ひ蚊が餅をつく盆の月 七番日記 化9
小柱もせんだくしたり盆の月 七番日記 政1
立臼に子を安置して盆の月 七番日記 政1
笛吹てはせ山越る盆の月 七番日記 政1
浴して我[身]となりぬ盆の月 八番日記 政3
片里は盆の月夜の日延かな 八番日記 政4
戸せうじの洗濯したり盆の月 八番日記 政4
盆の月今夜切とや人通り 八番日記 政4
峯越る越後道者や盆の月 八番日記 政4 「同」→「道」
もろこしをあぶり焦すや盆の月 八番日記 政4 (異) 同日記(政4) 中七「堤であぶるや」
うら山もくり〳〵掃て盆の月 文政句帖 政5
盆の月参る墓さへなかりけり 文政句帖 政5
けふ翌の盆さへ欠る月夜哉 文政句帖 政6
盆の月猫も御墓を持にけり 一茶園月並裏書
盆の月地獄の種を蒔に出る 発句集続篇
三日月
我もいつあのけぶりぞよ三ヶの月 文化句帖 化1
三ヶ月の朧作りてはや入ぬ 化五六句記 化6
翦鞠の松にかゝりて三ヶの月 七番日記 化10
むだ草も穂に穂が咲ぞ三ヶの月 七番日記 化11 (異)『梅塵八番』(政4) 真蹟 中七「穂に穂が咲て」
三ヶ月をにらみ付たる蝉の殻 八番日記 政3 (異)『梅塵八番』中七「白眼つめたり」
窓ぶたのつゝ張りとれて三ヶの月 文政句帖 政6
待宵
名月は翌と成けり夜の雨 享和句帖 享3
松かげや月待つよひの夢ざうり 甲子発句集 化2
待宵の松葉焚さへさが野哉 文化句帖 化2
待宵や芒刈かや寝草伏 化五六句記 化5
待宵や寝て草伏し花すゝき 化五六句記 化5
草の穂は雨待宵のきげん哉 七番日記 政1
八月や雨待宵の信濃山 八番日記 政3 (異)『発句題叢』『希杖本』上五「必や」『版本題叢』下五「しのぶ山」
待宵やきたぬ雨ふるしなのやま 八番日記 政3 「き」→「ま」 (異) 同日記(政3) 中七下五「またぬ大雨ざぶ〴〵と」
翌の夜の月を請合ふ爺かな 八番日記 政4 (出)『だん袋』『文政版』
里人はかぶき芝居を待宵や 文政句帖 政6
子ども衆は餅待宵の月見哉 政九十句写 政9 (出)『希杖本』
江戸川や月待宵の芒船 文政版
名月(今日の月、芋名月、十五夜、月今宵、月一夜、閏名月、雨名月、月見)
名月をかさねつこけつ波の間 百名月 天8
 樹下石上を栖となすは雲水斗藪の常ならなくに今よひ諸風土と共に蝸牛庵に会す
人並に畳のうへの月見哉 遺稿 寛8 「え」→「へ」 (出)『月の会』真蹟
名月のこゝろとなれば夜の明る なにはの月 寛10
海のなぎおもひやる月見哉 西紀書込 寛中
此あたり我顔海に月見哉 西紀書込 寛中
さぞ今よひ古郷の川も月見哉 西紀書込 寛中
月今よひ古郷に似ざる山もなし 西紀書込 寛中 (異) 同書込 中七下五「古郷に似たる山はいくつ」
月今よひ山は古郷に似たる哉 西紀書込 寛中
月やこよひ舟連ねしを平家蟹 西紀書込 寛中
古郷に似たる山をかぞへて月見哉 西紀書込 寛中
名月や与市が的もかゝる夜は 西紀書込 寛中
よ所からは嘸此島を月見哉 西紀書込 寛中
姥捨の山のうらみる今宵哉 享和句帖 享3
草の雨松の月夜や十五日 享和句帖 享3 (異) 同句帖(享3) 下五「かへる雁」
十五夜や無疵の月はいつのまゝ 享和句帖 享3
 揚止水
白石のしろき心の月見哉 享和句帖 享3
名月もそなたの空ぞ毛唐人 享和句帖 享3
名月や後にして行あさぢ原 文化句帖 化1 「役」→「後」
名月や雨なく見ゆるよ所の空 文化句帖 化1
名月や石のあはひの人の顔 文化句帖 化1
名月や誰〴〵ばかり去年の顔 文化句帖 化1
名月や都に居てもとしのよる 文化句帖 化1
雨降らぬ空も見えけり月一夜 文化句帖 化2 「へ」→「え」
雨ふるや名月も二度角田川 文化句帖 化2
雨降も角田河原や月一夜 文化句帖 化2
家かりて先名月も二度目哉 文化句帖 化2 (異) 同句帖(化2) 中七「から名月も」
大雨や月見の舟も見えてふる 文化句帖 化2 「へ」→「え」
けふの月我もむさしに住合[せ] 文化句帖 化2
十五夜にふれ<し>と祈し雨なるか 文化句帖 化2
十五夜に持込雨の柳哉 文化句帖 化2
十五夜の月霞家も我世哉 文化句帖 化2
十五夜の二度目も雨の角田川 文化句帖 化2 (異) 同句帖(化2) 中七「二度目も雨か」
十五夜や田を三巡の神の雨 文化句帖 化2
月見荒それさへもないことし哉 文化句帖 化2
鶴の首あるべかゝりの月よ哉 文化句帖 化2
年よりや月を見るにもなむあみだ 文化句帖 化2
武蔵野ゝ名月も二度逢ふ夜哉 文化句帖 化2 (異) 同句帖(化2) 上五「店かりて」
名月をさしてかまはぬ草家哉 文化句帖 化2
名月の二度迄ありと伏家哉 文化句帖 化2
名月の二度目も軒の雫哉 文化句帖 化2
持こたへこたへし雨や月一夜 文化句帖 化2
名月や頓て嫌ひな風の吹 文化句帖 化3
名月にかまはぬ家も祭り哉 連句稿裏書 化4
臀に石あたゝまる月よ哉 化五六句記 化5
石とならば此名月ぞ其女 化五六句記 化5
名月にすつくり立し榎哉 化五六句記 化5
名月の御覧の通り屑家也 化五六句記 化5 (異)『随斎筆紀』『文政版』『発句類題集』『繋橋』『古今百句集』『万家人名録』『月百句』真蹟 下五「屑家哉」
名月も脇へつんむく小家哉 化五六句記 化5
芥藪そも名月の夜也けり 化五六句記 化6
けふといふ今日名月の御側哉 化三-八写 化6 (出)『菫草』『発句題叢』『文政版』『発句鈔追加』真蹟 (異)『文化五・六年句日記』(化6)俳額 下五「御山哉」
名月のさしかゝりけり貰餅 句稿断片 化6
名月や下戸が植たる松の木に 化五六句記 化6
名月やそも〳〵寒きしなの山 化五六句記 化6
名月やどこに居ても人の邪魔 化五六句記 化6
名月[や]深草焼のかぐや姫 化五六句記 化6
名月やにぎ〳〵したる赤子哉 七番日記 化7 (異)『発句鈔追加』下五「わらは哉」
名月の御顔あでかな茶のけぶり 七番日記 化7 (異) 同日記(化7) 下五「御急ぎ」真蹟 上五中七「けふの月あなたもさ程」
名月や旅根性の萩すゝき 七番日記 化7 「生」→「性」
名月や汐に流るゝ小舟かな 七番日記 化7
名月や女だてらの居酒呑 七番日記 化8 (異)『我春集』下五「頬かぶり」
名月[や]門から直にしなの山 七番日記 化8
 去廿日花川戸六兵衛喜兵衛妻ちよ親孝行銀五枚公より賜る
名月や暮ぬ先から角田川 七番日記 化8
名月や高観音の御ひざ元 七番日記 化8 (出)『我春集』
名月や藪蚊だらけの角田川 七番日記 化8 (出)『我春集』『発句題叢』『希杖本』『仙都紀行』
名月やおれが八まん大菩薩 七番日記 化9
明がたに本んの名月と成り[に]けり 七番日記 化10
丸一夜名月にてはなかりけり 七番日記 化10
名月を取てくれろと泣く子哉 おらが春 化10 (出)『文政版』真蹟(異)『七番日記』(化10)『志多良』書簡 上五「あの月を」
 病中
名月[や]とばかり立ゐむつかしき 七番日記 化10 「い」→「ゐ」(出)『志多良』『文政版』
名月や明て気のつく芒疵 七番日記 化10
名月や家より出て家に入 七番日記 化10
名月や上座して鳴きり〴〵す 七番日記 化10 (出)『句稿消息』
名月やきのふと成りし大荒日 七番日記 化10
名月や草の下座はどこの衆 七番日記 化10
名月や寝ながらをがむ体たらく 七番日記 化10 「お」→「を」 (出)『志多良』『句稿消息』
山里は汁の中迄名月ぞ 七番日記 化10 (出)『句稿消息』(異)『八番日記』(政3) 中七「小鍋の中も」
仇藪も貧乏かくしぞけふの月 七番日記 化11
名月や焼飯程のしなの山 七番日記 化11
木母寺は反吐だらけ也けふの月 七番日記 化11 「吐反」→「反吐」
藪原やばくちの銭も名月ぞ 七番日記 化11
壁穴に我名月の御出哉 七番日記 化12
名月やあなたも先[は]御安全 七番日記 化12 (異)『文政版』書簡 中七「まづはあなたも」
名月や西に向へばぜん光寺 七番日記 化12 (出)『発句鈔追加』前書き「長沼にて」
 松島
名月や松ない島も天窓数 七番日記 化12
破壁や我が名月の今御座る 栗本雑記五 化12
あがくなよ二度目もこんな名月ぞ 七番日記 化13 
 二階
月見梁の横にさしても名月ぞ 七番日記 化13
君が代は二度も同じ名月ぞ 七番日記 化13 (出)『希杖本』前書き「閏十五夜」
 閏良夜
人声やおくれ月見も所がら 七番日記 化13 (出)『希杖本』
 漂泊四十年
ふしぎ也生た家でけふの月 七番日記 化13 (類)『浅黄空』『俳諧寺抄録』下五「けさの春」『自筆本』真蹟 下五「けふの春」
寝むしろも是名月ぞ名月ぞ 真蹟 化13
 十五夜雨
ぼんやりとしてもさすがに名月ぞ 七番日記 化13
名月とお[つ]つか[つ]つや通り雨 七番日記 化13
名月にけろりと立しかゞし哉 七番日記 化13
名月に引ついて出る藪蚊哉 七番日記 化13
名月も二度逢にけりさりながら 七番日記 化13
 閏十五夜 「壬」→「閏」
名月も二度迄御目[に]かゝりけり 七番日記 化13
名月や石の上なる茶わん酒 七番日記 化13
名月や芒の陰の居酒呑 七番日記 化13 (出)『希杖本』前書き「さらしな山」 (異) 同日記(化13)『発句鈔追加』真蹟 中七「芒に座とる」
名月や箕ではかり込御さい銭 七番日記 化13 (出)『希杖本』『発句鈔追加』前書き「男山」 真蹟
名月や山のかゞしの袂から 七番日記 化13
土でつくねた西行も月見哉 七番日記 化14
名月や芒へ投る御さい銭 七番日記 化14
数珠かけて名月拝む山家哉 梅塵抄録本 化中 「珠数」→「数珠」 (出)『発句鈔追加』
究竟の雨といふ也けふの月 七番日記 政1
十五夜や祈ばなしの山の雨 七番日記 政1
 良夜
十五夜や丁どもち込祈り雨 七番日記 政1 (出) 書簡 前書き「六月より片でり、所々雨乞もしるしなかりければ」 (異) 同日記(政1) 中七「村もつて来て」
名月の小すみ[に]立る芦家哉 七番日記 政1
名月や大道中へおとし水 七番日記 政1名
月やおんひら〳〵の流し樽 七番日記 政1
庵のかぎ松にあづけて月見哉 八番日記 政2
姥捨た罪も亡んけふの月 八番日記 政2
金上戸と金聾と月見哉 八番日記 政2 「見月」→「月見」
御祝儀[に]月見て閉る庵かな 八番日記 政2 「義」→「儀」
酒尽て真の座に付月見哉 八番日記 政2 (出)『おらが春』『発句鈔追加』
十五夜の月や我家に寝たならば 八番日記 政2 (異) 同日記(政2) 上五「是程の」
そば所のたんを切つゝ月見哉 八番日記 政2 (異)『おらが春』前書き「おのが味噌のみそ嗅をしらず」 上五「蕎麦国の」『発句鈔追加』上五「蕎麦の花」
古郷の留主居も一人月見哉 八番日記 政2 (出)『おらが春』前書き「十五夜は高井野梨本氏にありて」
名月やあたりにせまる壁の穴 八番日記 政2 (異)『梅塵八番』中七「当にはせざる」『嘉永版』中七「あてにもせざる」
名月や下戸はしん〳〵しんの座に 八番日記 政2
名月や五十七年旅の秋 八番日記 政2 (異)『句稿断片』中七下五「四十七年後し秋」
 祝
名月やことに男松のいさみ声 八番日記 政2 (異) 真蹟 上五「出る月よ」『文政版』前書き「春耕孫祝」 上五「門の月」
名月や膳に這よる子があらば 八番日記 政2 (異) 同日記(政2) 中七「膝[を]枕の」
名月や松に預ける庵の鍵 八番日記 政2
籾蔵の陰の小家も月見哉 八番日記 政2
此秋は精じん酒の月見哉 八番日記 政3 「正」→「精」 (異)『梅塵八番』上五「秋風は」
名月に乗じてかつぐ鉄砲哉 八番日記 政3 「炮」→「砲」
名月に任せて置や家の尻 八番日記 政3
名月やおれが外にも立地蔵 八番日記 政3
名月やしやうじん酒は常なれど 八番日記 政3 「せ」→「しや」
名月や目につかはれて夜も終 八番日記 政3
名月や山の奥には山の月 発句類題集 政3
目の役に拙者もならぶ月見哉 八番日記 政3 (異)『梅塵八番』(政4) 中七「犬も並んで」
虻もとらぬ蜂[を]もとらぬ月見哉 八番日記 政4
 仏ので子にはあらねど
有合の臼の上にて月見哉 八番日記 政4 (出)『発句鈔追加』
 姥捨などゝ草臥るも詮なければ
有合の山ですますやけふの月 八番日記 政4 (出)『文政版』『終焉記』『飛濃紀佳散』
御の字の月に成たよ成つたぞよ 八番日記 政4
十五夜の祝儀に出たり三足ほど 八番日記 政4 「義」→「儀」
十五夜の月やあなたも御安全 八番日記 政4
出ず入らぬ座につらなりて月見哉 八番日記 政4
手拭をつむりに乗せて月見哉 八番日記 政4
二番小便から直に月見哉 八番日記 政4
 大円寺
松が枝の上に座どりて月見哉 八番日記 政4 (出)『発句鈔追加』
松の木のてつぺんにざす月見哉 八番日記 政4
名月のさつさと急ぎ給ふ哉 八番日記 政4 (出)『文政句帖』(政8)『文政版』『茶翁聯句集』
名月や梅もさくらも帰り花 八番日記 政4 (異)『文政句帖』(政6) 中七「八重山吹の」
名月や出家士諸商人 八番日記 政4
名月や住でも見たき小松島 八番日記 政4
名月や茶碗に入れる酒の銭 八番日記 政4
名月や八文酒を売あるく 八番日記 政4
名月や横に寝る人をがむ人 八番日記 政4 「お」→「を」
雨どしや十五夜とても只の山 文政句帖 政5
大雨や此十五夜も只の山 文政句帖 政5
大井[戸]も小井戸[も]かへて月見哉 文政句帖 政5
御の字の月と成りけり草の雨 文政句帖 政5 (出) 遺稿 (異)『だん袋』『あつくさ』中七「月夜也けり」『発句鈔追加』中七下五「月夜なりけり草の花」
十五夜とさへ申さぬや二度目には 文政句帖 政5
十五夜の萩に芒に雨見哉 文政句帖 政5 (異)『あつくさ』中七「萩も芒も」
十五夜や月にもまさる山の雨 文政句帖 政5
十五夜や月のかはりに雨がもる 文政句帖 政5
名月に来て名月を鼾かな 文政句帖 政5
名月や生[れ]たまゝの庭の松 文政句帖 政5
名月や隅の小すみの小松島 文政句帖 政5
名月や山有川有寝ながらに 文政句帖 政5 (出) 遺稿
小言いふ相手もあらばけふの月 文政句帖 政6 (出)『文政版』前書き 「やかましかりし老妻ことしなく」 (異) 同句帖(政7) 下五「花筵」『だん袋』下五「菊の酒」芝居迄降つぶしたりけふの月 文政句帖 政6
十五夜のよい御しめりよよい月夜 文政句帖 政6 (異)『だん袋』『発句鈔追加』上五「十五夜は」
 良夜雨
十五夜や雨見の芒女郎花 だん袋 政6 (異)『発句鈔追加』上五中七「十五夜の雨見や芒」
名月やつい指先の名所山 文政句帖 政6 (出)『文政版』前書き「筑摩川舟留」
夕立やしかも八月十五日 文政句帖 政6
渡られぬ川や名月くわん〳〵と 文政句帖 政6 「は」→「わ」
 思遠国旅人
えいやつと来て姨捨の雨見哉 書簡 政7
姨捨や二度目の月も捨かねる 文政句帖 政7
十五夜に姨捨山の雨見哉 文政句帖 政7 (異) 同句帖(政7) 上五「百里来て」「逗留して」
屁くらべや芋名月の草の庵 文政句帖 政7
壁穴で名月[を]する寝楽哉 文政句帖 政8
壁穴の御名月を寝坊哉 文政句帖 政8
十五夜や窓一ぱいの雨明り 文政句帖 政8
なむ〳〵と名月をがむ子ども哉 文政句帖 政8 「お」→「を」
名月を一つうけとる小部屋哉 文政句帖 政8
隠れ家は気のむいた夜が月見哉 政九十句写 政9 (出)『希杖本』書簡
名月に尻つんむける草家哉 政九十句写 政9 (出)『希杖本』
 赤間関
名月や蟹も平を名乗り出 政九十句写 政9 (出)『文政版』真蹟
名月や抔とは上べ稲見かな 政九十句写 政9 (出)『希杖本』(異)『発句鈔追加』『梅塵抄録本』中七「とはいふものゝ」
世直しの大十五夜の月見かな 政九十句写 政9 (出)『希杖本』
 良夜姨捨雨
十五夜もたゞの山也秋の雨 真蹟
何となく生れた家の月見哉 真蹟
 姥捨月
一夜さは我さらしなよ〳〵発句鈔追加
名月をおつゝかつゝの御船哉 発句鈔追加
名月を針の穴から見る子かな 発句集続篇
 日々眼力うとく
明月や去々年までも針の穴 発句集続篇
名月や羽織でかくす欲と尿 発句鈔追加
 石上
名月や仏のやうに膝をくみ 真蹟
 八幡の御手洗
川名月や流れに投る嗽銭 真蹟
月蝕(蝕名月、闇十五夜)
半分も又名月ぞ〳〵 七番日記 化11
石山や蝕名月の目利役 八番日記 政2 (異)『あつくさ』上五「下戸役に」
欠際のいさぎよいのも名月ぞ 八番日記 政2
欠様の立派もさすが名月ぞ 八番日記 政2
かけるなら期してかけとやけふの月 八番日記 政2
是[夜]に又は逢れじ闇今宵 八番日記 政2
十五夜や又有年の闇迄は 八番日記 政2
十五夜や闇に成のも待遠き 八番日記 政2
生がいに二度見ぬ山やかけた月 八番日記 政2 「かた」→「かけ」
生がいに見ぬ月も日もかけにけり 八番日記 政2
世話好が蝕名月の目利哉 八番日記 政2 (異) 同日記(政3) 上五「金下戸や」
僭上に月の欠るを目利かな おらが春 政2 「潜」→「僭」
忽に無病な月と成にけり 八番日記 政2
誰か有闇十五夜の又あらば 八番日記 政2
出直して大名月ぞ名月ぞ 八番日記 政2
二度と見ぬ山の名月欠けにけり 八番日記 政2
二番目の大名月[ぞ]一きはに 八番日記 政2 「わ」→「は」
人数は月より先へ欠にけり 八番日記 政2 (出)『おらが春』『だん袋』
人の声闇でもさすが十五夜ぞ 八番日記 政2
人の世へ月[も]出直し給ひけり 八番日記 政2
人の世は月もなやませたまひけり 八番日記 政2 「い」→「ひ」 (出)『おらが春』『だん袋』『希杖本』『発句鈔追加』
月の御名代か白うさぎ 八番日記 政2 (異)『梅塵八番』中七「御名代かよ」
 名月
名月も出直し給ふ浮世哉 八番日記 政2
名月や欠けしまうたが山の雨 八番日記 政2 「ふ」→「う」 (異)『梅塵八番』中七「欠仕舞頃」
名月や人出そろへばかけはじめ 八番日記 政2 「を」→「出」
もとの名月と成にけり明にけり 八番日記 政2
世は斯うと月も煩ひ給ひけり 八番日記 政2
欠るなら斯う欠よとや秋の月 文政句帖 政8
立待月
さらぬだに月に立待惣稼哉 寛政句帖 寛5
月見よと立草臥し仏哉 化五六句記 化5
寝待月
又ことし松と寝待の月出ぬ 七番日記 化11
後の月(栗名月、名残の月、十三夜)
荒日〳〵荒しまへば月もなごり哉 寛政句帖 寛5 (出)『仮名口訣』
月を名残る人心哉世の中の 寛政句帖 寛5
後の月片山かげのくひ祭 文化句帖 化2
雨がちに十三夜とは成にけり 文化句帖 化2
そば花は山にかくれて後の月 文化句帖 化2
ころび寝や庵は茶の子の十三夜 七番日記 化14
二度目には月とも云はずしなの山 七番日記 化14 (出)『希杖本』前書き「十三夜」
みたらしやすみ捨てある後の月 七番日記 政1
雁どもの腹もふくれて十三夜 八番日記 政2 (出)『発句鈔追加』
若いぞよ月の御年の十三夜 八番日記 政2
姨捨やをばとも云ず十三夜 八番日記 政3 「お」→「を」
積薪の一つ二つや後の月 梅塵八番 政3
盗めとの庇の餅や十三夜 八番日記 政3 (出)『だん袋』『発句鈔追加』
蕣の再咲や後の月 八番日記 政4
あてにした餅ははずれて十三夜 八番日記 政4
月の顔としは十三そこら哉 八番日記 政4 (出)『文政版』遺稿
萩の垣など趣向して後の月 八番日記 政4 「旨」→「趣」
むし立の栗名月の座敷哉 文政句帖 政7
藪の家や鍋つき餅の十三夜 文政句帖 政7
わせ餅も芒の雨や十三夜 文政句帖 政7
うそけかちすんで而後の月 文政句帖 政8
けかちでも餅[に]なる也十三夜 文政句帖 政8
門川やすみ捨てある後の月 政九十句写 政9 (出)『発句鈔追加』『希杖本』『梅塵抄録本』
秋の空(秋の天)
 両国茶店にて
橋見えて暮かゝる也秋の空 文化句帖 化1 「へ」→「え」
やけ石に腰打かけて秋の空 文化句帖 化1
秋の天小鳥一のひろがりぬ 化五六句記 化5
何にしろ云ぶんの有秋の空 七番日記 化12
はづかしやおれが心と秋の空 七番日記 化13
 二百十日
秋の空願へば荒もなかりけり 七番日記 化14
秋の雲
夕暮や鬼の出さうな秋の雲 七番日記 化7
飛鳥をこえて行なり秋の雲 璧玉集
秋日和
刈株のうしろの水や秋日和 享和句帖 享3
 菱沼氏の老母身まかりけるに
行先も明るかるべし秋日和 享和句帖 享3
秋日和負うて越るや箱根山 七番日記 政1 「ふ」→「う」
秋日和とも思はない凡夫かな 七番日記 政1 (出)『文政版』
順礼が馬にのりけり秋日和 七番日記 政1
なぐさみのはつち〳〵や秋日和 七番日記 政1 (出)『梅塵八番』『文政版』書簡
箕の中の箸よ御札よ秋日和 八番日記 政2
仏さへ御留主しにけり秋日和 八番日記 政3 (異)『梅塵八番』中七「御留主なりけり」 
 夜る〳〵寒く成り行くまゝに虫はつゞれさせとすゝめて鳥
秋日和糊つけほゝん〳〵哉 あつくさ (異) 真蹟 上五中七「梟がのりつけおほん〳〵」
秋の雨(秋雨)
秋雨やともしびうつる膝頭 享和句帖 享3
秋の雨つひ夜に入し榎哉 享和句帖 享3 「い」→「ひ」
馬の子の故郷はなるゝ秋の雨 享和句帖 享3
片袖の風冷つくや秋の雨 享和句帖 享3
喰捨の瓜のわか葉や秋の雨 享和句帖 享3
口明て親待鳥や秋の雨 享和句帖 享3
田の雁の古郷いかに秋の雨 享和句帖 享3
野あらしの縛られし木や秋[の]雨 享和句帖 享3
膝節に灯のちらめくや秋[の]雨 享和句帖 享3
ひよろ長[き]草四五[本]に秋の雨 享和句帖 享3
平安はうしろになりぬ秋の雨 享和句帖 享3
松の木も在所めきけり秋の雨 享和句帖 享3
秋雨やいたゞく桶もなれぬ顔 文化句帖 化1
秋雨や餉かしがば宇治の山 文化句帖 化1
秋雨やさのみさし出ぬ山の家 文化句帖 化1
秋雨や人けも見えぬうらの門 文化句帖 化1 「へ」→「え」
秋雨や我にひとしきかたつぶり 文化句帖 化1
秋の雨乳ばなれ馬の関こゆる 文化句帖 化1
秋の雨松一本に日の暮るゝ 文化句帖 化1
売馬の親かへり見る秋の雨 文化句帖 化1
越後節蔵に聞えて秋の雨 文化句帖 化1 「へ」→「え」
かつしかや遠く降ても秋の雨 文化句帖 化1
御秘蔵の蔦三筋程秋の雨 文化句帖 化1
手の皺の一夜に見ゆる秋の雨 文化句帖 化1
ばさ〴〵と木曽茶をはかる秋[の]雨 文化句帖 化1 (異)『発句鈔追加』上五中七「どさ〴〵と木曽茶煎けり」
山里や秋の雨夜の遠歩き 文化句帖 化1
我のみか山もふりゆく秋の雨 文化句帖 化1
秋雨のこぼれ安さ<さ>よ片山家 文化句帖 化2 (異)『発句鈔追加』『梅塵抄録本』上五「秋の雨」
翌の茶の松葉かくらん秋[の]雨 文化句帖 化2
御仏供の摺古木かよ秋の雨 文化句帖 化2 「洪」→「供」 「木古」→「古木」
殻桶に鹿の立添ふ秋の雨 文化句帖 化2
草切の足にひつゝつく秋の雨 文化句帖 化2
けふも〳〵秋雨す也片山家 文化句帖 化2
鹿の椀こつけありくや秋[の]雨 文化句帖 化2
花持は四五丁暮て秋の雨 文化句帖 化2
ほろ〳〵とむかご落けり秋[の]雨 文化句帖 化2
山畠や鳩が鳴ても秋の雨 文化句帖 化2
秋雨や乳放[馬]の市に行 化五六句記 化6 (異)『七番日記』(化14) 下五「旅に立」
蝸牛何をかせぐぞ秋の雨 化五六句記 化6 (異)『文化句帖』(化5) 下五「秋の暮」
薬呑馬もありけり秋の雨 化五六句記 化6
さらしなもそろ〳〵 秋の雨よ哉 化五六句記 化6
祭小屋皆も払はず秋の雨 化五六句記 化6
餅草のほた〳〵ほけて秋の雨 化三-八写 化6 「り」→「け」 (異)『八番日記』(政4) 中七「ほちや〳〵ほけて」
秋の雨小き角力通りけり 七番日記 化7
牛の子が旅に立也秋の雨 七番日記 化8
秋雨や人を身にする山烏 七番日記 化10
秋の雨いやがる蚤をとばせけり 七番日記 化10
放たる蚤の又来る秋の雨 七番日記 化10
又ものうも雨よあらしよ秋の雨 七番日記 化12 (異) 同日記(化13) 中七「我山里の」
藪垣もちりに成したり秋の雨 七番日記 化12
小庇や砂利打やうな秋[の]雨 七番日記 化13
笹の家や猫も杓子も秋の雨 七番日記 化14 (異)『希杖本』中七「猫も仏も」
もちの蠅生て流て秋の雨 七番日記 化14 (出)『希杖本』
雷に焼かれし山よ秋の雨 七番日記 政1
夕暮や其上に又秋の雨 七番日記 政1
堂守としゆきに寝たり秋の雨 八番日記 政2
二軒やは二軒餅つく秋の雨 八番日記 政3 (異)『文政版』上五「二軒家や」
秋雨や稲の葉分の付木札 八番日記 政4
雷は夏のとほりぞざんざ雨 八番日記 政4 「ふ」→「ほ」
口重の烏飛也秋の雨 八番日記 政4
つり針のれうぢ所や秋の雨 八番日記 政4 「りうじ」→「れうぢ」
夕がほの十ばかり咲く秋の雨 茶翁聯句集 政中 (出)『発句鈔追加』
二度生の瓜の花咲秋の雨 発句鈔追加
秋時雨
鉄網の窓も秋也時しぐれ 文化句帖 化2
秋風
秋風や水かさ定る大井川 寛政句帖 寛5
青空や夜さりばかりの秋の風 書簡 寛9
うち水のかわかぬ内を秋の風 西紀書込 寛中
住吉の灯また消る秋の風 西紀書込 寛中
常に見る煙ながらも秋の風 西紀書込 寛中
野山ぢやけふうけ初[る]秋の風 西紀書込 寛中
日あたりや草の秋風身にあたる 与播雑詠 寛中
 洪水
古への水もみし人秋の風 享和二句記 享2
洪水の尺とる門よ秋の風 享和二句記 享2
 陟岵(山偏に古)
秋の風親なきに我を吹そぶり 享和句帖 享3
秋[の]風二夜過しつゝ去行 享和句帖 享3
大根の二葉うれし秋の風 享和句帖 享3 (異) 同句帖(享3) 中七「二葉にしれや」
一人づゝ皆去にけり秋の風 享和句帖 享3
日の暮や人の顔より秋の風 享和句帖 享3
 うしろに
夕月のけば〳〵しさを秋の風 享和句帖 享3 (出) 同句帖(享3) 前書き「月出」
秋風や手染手おりの小ふり袖 文化句帖 化1 「を」→「お」
秋の風芸なし狙も夜の明る 文化句帖 化1
秋の風乞食は我を見くらぶる 文化句帖 化1
 留別
秋の風蝉もぶつ〴〵をしと鳴 文化句帖 化1 「お」→「を」
 大乗寺地獄画
秋の風劔の山を来る風か 文化句帖 化1
秋の風我が参るはどの地獄 文化句帖 化1 「我は」→「我が」
あや竹の袂の下を秋の風 文化句帖 化1
姥捨し国に入けり秋の風 文化句帖 化1
松苗のけば〳〵しさよ秋の風 文化句帖 化1
浴せぬ腕を見れば秋[の]風 文化句帖 化1
秋風にあなた任の小蝶哉 文化句帖 化2
秋風の吹けとは植ぬ小松哉 文化句帖 化2 (出)『発句題叢』『文政版』『希杖本』『都鄙日記』
秋風の吹夜〳〵や窓明り 文化句帖 化2 (異)『句稿消息』下五「あばら骨」
秋風や家さへ持たぬ大男 文化句帖 化2
秋風や草より先に人の顔 文化句帖 化2
秋風は命冥加の藪蚊哉 文化句帖 化2
穴底の仏の顔も秋の風 文化句帖 化2
うら口は小ばやく暮て秋[の]風 文化句帖 化2
水打し石なら木なら秋の風 文化句帖 化2
見る度に秋風吹や江[戸]の空 文化句帖 化2
秋風に蝉さす人も通りけり 文化句帖 化3
秋風に吹なれ顔の山家哉 文化句帖 化3
秋風の朝から吹くややけ瓦 文化句帖 化3
秋風の葎にかけん水五石 文化句帖 化3
秋風や脇はけぶりもかゝらぬに 文化句帖 化3
秋の風人の顔より吹そむる 文化句帖 化3
うしろから秋風吹やもどり足 文化句帖 化3
桶の𥶡ゆるがぬはなし秋の風 文化句帖 化3 (竹冠に輪)
笠紐にはや秋風の立日哉 文化句帖 化3
どの星の下が我家ぞ秋の風 文化句帖 化3
古垣や朔日しまの秋の風 文化句帖 化3
水かけて草を見て居る秋の風 文化句帖 化3
 (前略)あはれ己しれる松本平介といふ書林など商ひの道におろかならねば、市姫の恵みやありけん福ひに幸ひ日の昇るがごとく松の茂るがごとく日にまして栄へければ年に月に貯へたるからの大和の書のしば〳〵なる只一時の灰とぞなりける、ことしといふ三度迄かゝる責に逢んとは、よ所にさへにが〳〵しく主の心はかられてと[み]に胸を冷しぬ
焼杭を伸して見たり秋の風 文化句帖 化3
焼杭をとく吹さませ秋の風 文化句帖 化3
焼杭を見とめて見れば秋の風 文化句帖 化3
焼柱転げたなりに秋の風 文化句帖 化3
欲捨[よ]〳〵よ[と]吹か秋の風 文化句帖 化3
 (前略)あはれ忠のため身を損ふは常也といへども或は親の悲をすくひ又は子孫の栄花をねがふ…思ひきや、此人私の宿意にうはべを覆ひて蓮の泥の汚れたる名を残んとは彼道家の真人ともいふべし
秋風に御任せ申浮藻哉 化五六句記 化5
秋風にことし生たる紅葉哉 化五六句記 化5
秋風や軒さへあればみその玉 化五六句記 化5
 (前略)誠にけふの法筵に逢ふことのうれしくありがたくかくいふけふをさへ老婆の守り給ふにや
秋風や仏に近き年の程 化五六句記 化5
秋風や剃損ひし五十髪 化五六句記 化6
秋風や山のはづれの灯ろより 化五六句記 化6
なけなしの歯を秋風の吹にけり 化五六句記 化6
なけなしの歯をゆるがしぬ秋の風 化五六句記 化6 (異)『句稿断片』中七「歯に吹あたる」
わらでゆふ髪もめでたし秋の風 化五六句記 化6
秋風の吹行多田の薬師哉 七番日記 化7 「太」→「田」
秋風の藪から例のけぶり哉 七番日記 化7
秋風やあれも昔の美少年 七番日記 化7
秋風や腹の上なるきり〴〵す 七番日記 化7
御従衆の游ぐ中より秋[の]風 七番日記 化7
草原やとうふの殻に秋の風 七番日記 化7
誰どのゝ星やら落る秋の風 七番日記 化7 (出)『文化三-八年句日記写』
秋風に何して暮す島の友 七番日記 化8
秋風や門田[の]鷺も夕顔 七番日記 化8
秋風や壁のへまむしよ入道 七番日記 化8 (出)『我春集』『嘉永版』
秋風や皮を剥れしかんばの木 七番日記 化8 (異) 同日記(化14)『希杖本』中七「裸にされし」
秋風や松苗うゑて人の顔 七番日記 化8 「へ」→「ゑ」
秋の風一茶心に思ふやう 七番日記 化8 (出)『我春集』
牛の子の旅に立也秋の風 我春集 化8
さぼてんの鮫はだみれば秋の風 我春集 化8 (異)『七番日記』(化8)(化11) 下五「夜寒哉」
秋風やつれても行かぬ貧[乏]神 七番日記 化9
秋風やのらくら者のうしろ吹 七番日記 化9 (異) 同日記(化11) 下五「とぼけ顔」
秋風やよこに車の小役人 七番日記 化9
 小児
泣く者をつれて行とや秋の風 七番日記 化9 (異)『株番』中七「連ていぬとや」
秋風に歩行て逃る蛍哉 七番日記 化10 (出)『志多良』『八番日記』(政2)『おらが春』『嘉永版』
秋風に長逗留の此世哉 七番日記 化10
秋風やそとば踏へてなく烏 七番日記 化10
 立秋 病中
秋風やまだか〳〵と枕吹 志多良 化10
秋[の]風俄にぞつとしたりけり 七番日記 化10
御子達や都の空も秋の風 七番日記 化10
門並や臼の秋風草の月 七番日記 化10
鉄釘のやうな手足を秋の風 句稿消息 化10 (出)『志多良』『文政版』『終焉記』(異)『希杖本』下五「秋の暮」
熊坂が大長刀を秋の風 七番日記 化10 (異) 同日記(化10)『志多良』下五「あられ哉」
飯汁のあらめづらしや秋の風 七番日記 化10
行先も只秋風ぞ小巡礼 七番日記 化10
秋風に烏も畠祭りかよ 七番日記 化11
秋風や馬も出さうな大瓢 七番日記 化11
秋風や櫛の歯を引おく道者 七番日記 化11
秋風やひよろ〳〵山の影法師 七番日記 化11
秋風や曲〳〵て門に入 七番日記 化11
嘘つきの何の此世を秋の風 七番日記 化11
江戸立の身がまへしたり秋の風 七番日記 化11
膝節の古びも行か秋の風 七番日記 化11
秋風が吹くにものらりくらり哉 七番日記 化12
秋風の一もくさんに来る家哉 七番日記 化12
秋風や我うしろにもうそり山 七番日記 化12
尻居れば吹侍りぬ秋の風 七番日記 化12
むだ人や花の都も秋の風 七番日記 化12
流さるゝ蚕の蝶を秋の風 七番日記 化12
秋風の袂にすがる小てふ哉 七番日記 化13
秋風や御宿なしの小あみ笠 七番日記 化13
秋風や鶏なく家のてつぺんに 七番日記 化13
のらくらや花の都も秋の風 七番日記 化13
 老人に云
ばかいふな何の此世を秋の風 七番日記 化13
青嗅きたばこ吹かける秋の風 七番日記 化14 (類)『花見の記』下五「桜哉」
秋風や翌捨らるゝ姨が顔 七番日記 化14 (出)『希杖本』書簡
秋風や壁をきて寝る坊主宿 七番日記 化14
秋風や戸を明残すうら座敷 七番日記 化14
秋の風宿なし烏吹かれけり 七番日記 化14
片暮た人の門より秋の風 七番日記 化14
空つ坊な徳本堂や秋の風 七番日記 化14
秋風や小さい声の新乞食 七番日記 政1 (類)『文政句帖』(政5)『文政版』下五「あなかしこ」
 松宇夫人没 「婦」→「夫」
秋風やつみ残されし桑の葉に 七番日記 政1
 旅
秋風や磁石にあてる古郷山 八番日記 政2(出)『おらが春』『文政版』前書き「高井野の高みに上りて」
 さと卅五日 墓
秋風やむしりたがりし赤い花 おらが春 政2 (異)『文政版』中七「むしり残りの」
秋風の吹ぬく四条通り哉 八番日記 政3
秋風や如来の留主の善光寺 八番日記 政3
秋風や蓮生坊が馬の尻 八番日記 政3
開帳の降つぶされて秋の風 八番日記 政3
乳放れの馬の顔より秋の風 八番日記 政3
秋風[に]ふいとむせたる峠かな 八番日記 政4 (異)『梅塵八番』中七「ふつとむせたる」
秋風や谷向ふ行影法師 八番日記 政4
秋風やどの焼打の火打石 八番日記 政4
秋風や虫[に]なりても孫太郎 八番日記 政4 (出)『発句鈔追加』
 長沼の渡場
角力取が立て呉けり秋の風 梅塵八番 政4
葬礼の見物人や秋の風 八番日記 政4
秋風によわみを見せぬ藪蚊哉 文政句帖 政5 「は」→「わ」
秋風の吹かためたる子ども哉 文政句帖 政5
秋風やさつさと進む田舎飯 文政句帖 政5
秋風や小さい声のあなかしこ 文政句帖 政5 (類)『七番日記』(政1) 下五「新乞食」 (出)『文政版』前書き「正見寺の上人十ばかりなる後住を残して遷化ありし哀れさに」
秋風ややでも応でも人に吹 文政句帖 政5
あながちに吹となけれど秋の風 文政句帖 政5
逢坂や行もかへるも秋の風 文政句帖 政5 「相」→「逢」
草の葉の釘のとがるや秋の風 文政句帖 政5
草の葉も人をさす也秋の風 文政句帖 政5
墨染の蝶もとぶ也秋の風 文政句帖 政5 (異) 同句帖(政5) 中七「蝶と成りけり」『文政九・十年句帖写』『文政版』『発句鈔追加』『希杖本』中七「蝶が飛なり」
西方をさした指より秋の風 文政句帖 政5 (異) 同句帖(政5) 上五中七「西方と気づく空より」
でゝ虫の捨家いくつ秋の風 文政句帖 政5
秋風や団扇[も]よわる手もよはる 文政句帖 政6 「は」→「わ」
秋風や角力の果の道心坊 文政句帖 政6
唐紙の引手の穴を秋の風 文政句帖 政6
秋風や西方極楽浄土より 文政句帖 政8 (異) 同句帖(政8) 下五「世界より」
 旅立
親里は見えなくなりて秋の風 文政句帖 政8 (出)『発句鈔追加』『梅塵抄録本』
常に打錀なりながら秋の風 文政句帖 政8 金偏に侖
秋風やせどやうらやのくり〳〵子 政九十句写 政10 (出)『希杖本』
神前に子供角力や秋の風 政九十句写 政10 (出)『希杖本』
吹たばこたばこの味へ秋の風 政九十句写 政10 (異)『希杖本』中七「たばこの味は」
秋風の小早くつげる庵かな 発句鈔追加
 戸隠山九頭竜権現は女人嫌はせたまへるをむかし何某の比丘尼しひて行んとせし時直に石になりけるとぞ
秋風のふきもへらさず比丘尼石 発句鈔追加
秋風の吹やひは〳〵日割戸に 希杖本
 神前
秋風や草も角力とる男山 文政版
秋風や藻に鳴虫のいくそばく 発句鈔追加
 一所不住桑門けふは善竜精舎にあそべど
あすはどこの入相聞に秋の風 遺稿
鳥飛や人は藻に鳴秋の風 発句鈔追加
秋風や五あみだとてで日の暮る 一茶園月並裏書
初嵐
五六度やばか念入て初嵐 七番日記 政1
野分
東西南北吹交ぜ〳〵野分哉 寛政句帖 寛4
芦の穂[の]波に屯す野分哉 西紀書込 寛中
一門をおもひ出す舟の野分哉 西紀書込 寛中 (異) 同書書込 上五中七「一門の昔もかたらん」
内に居ばおどり盛りのの分哉 西紀書込 寛中
蟹と成て八島を守野分哉 西紀書込 寛中
ざぶ〴〵と暖き雨ふる野分哉 西紀書込 寛中
ぬくき雨のざぶり〴〵と野分哉 西紀書込 寛中
野分して又したゝかのわか葉哉 西紀書込 寛中
マヤの雲捐[て]やうやう野分哉 西紀書込 寛中 「ふ」→「う」
山は虹いまだに湖水は野分哉 西紀書込 寛中
赤椀は種はかるらん野分吹 文化句帖 化1
垣際の足洗盥野分哉 文化句帖 化1
是切の野分とばしな思れな 文化句帖 化1
爪先の冷たしといふ野分哉 文化句帖 化1
刀禰川の下り口作る野分哉 文化句帖 化1
ぽつ〴〵と馬の爪切る野分哉 文化句帖 化1
豆殻のぱちり〴〵と野分哉 文化句帖 化1
山本の祭の釜に野分哉 文化句帖 化1
蕣のぞく〴〵生て野分吹 文化句帖 化3
汁なべの夕暮かゝる野分哉 文化句帖 化3
せい出して山湯のけぶる野分哉 文化句帖 化3 (出)『文化三-八年句日記写』(化4)『発句題叢』『発句鈔追加』『希杖本』
壁土も笠をかぶりて野分哉 七番日記 化8
小簾や蠅よけ草の野分吹 七番日記 化8
月ちら〳〵野分の月の暑哉 七番日記 化8生
あつい月がちら〳〵野分哉 七番日記 化8 (異)『我春集』上五中七「なまあつき月のちら〳〵」
蚤の迹二人吹るゝ野分哉 七番日記 化8
粟ひえが家より高き野分哉 七番日記 化10 「へ」→「え」
膳先は葎雫や野分吹 七番日記 化10
裸児と烏とさわぐ野分哉 七番日記 化10 「は」→「わ」
赤椀のだぶ〴〵酒を野分哉 七番日記 化11
幣振て赤飯下る野分哉 七番日記 化11
世[の]中や祈らぬ野分きつと吹 七番日記 化11
寝むしろや野分に吹かす足のうら 句稿消息 化中 (出)『発句題叢』『発句鈔追加』『希杖本』(異)『嘉永版』中七「野分を吹かす」
こやし塚そよ〳〵けむる野分哉 八番日記 政4 (異)『だん袋』『発句鈔追加』中七「かまはずけぶる」
吹あらしどこが萩の間桔梗の間 八番日記 政4
我ものは手足ばかりも野分哉 発句鈔追加
黒雲や野分横切るむら燕め 連句編補遺
(露の玉、白露、朝露、夕露、夜露、秋の露、芋の露、露時雨、露の身)
露の間や二十四年のみやこあと 寛政句帖 寛4
萩の露茶に焚くほどはあらん哉 寛政句帖 寛6
露の野にかた袖寒き朝日哉 寛政句帖 寛6
笠の露眠むらんとすれば犬の声 西国紀行 寛7
いつぞやがいとま[ご]ひ哉墓の露 西紀書込 寛中
白露に片袖寒き朝日哉 与播雑詠 寛中 (異)『しぐれ会集』上五中七「白露の片袖に入」
灰ふむも恐れおほさよ石の露 与播雑詠 寛中
 廿三日
 暁灰よせなりとておの〳〵卯木の箸折て仇し野にむかふ(下略)
生残る我にかゝるや草の露 終焉日記 享1
朝露の袖からけぶり初めけり 享和句帖 享3
活過し脛をたゝくや草の露 享和句帖 享3
川と見え露と見たり夜明番に 享和句帖 享3
大名の笠にもかゝる夜露哉 享和句帖 享3
あさ露のきほう折けんつくもがみ 文化句帖 化1
おく露になつかしがらす榎哉 文化句帖 化1
おく露やことしの盆は上総山 文化句帖 化1
土器のほどこし粟や草の露 文化句帖 化1 「栗」→「粟」?
国の父に申分なき夜露哉 文化句帖 化1
長松も手拱くや草の露 文化句帖 化1 「挫」→「拱」?
ちゝ母は夜露うけよとなでやせめ 文化句帖 化1
人は旅日は朝朗けさの露 文化句帖 化1
人は旅見度なうても草の露 文化句帖 化1
人は旅見なれし草や秋の露 文化句帖 化1
秋はたゞ三足出ても夜露哉 文化句帖 化2
うそ〳〵と人も頼まぬ夜露哉 文化句帖 化2
 (前略)今宵は嫡子初七夜の祝ひに其党を集て子孫長久いのるなるべし
赤子からうけならはすや夜の露 化三-八写 化3
翌は我はけぶりとしらで草の露 文化句帖 化3
 九月廿四日夜酉の下刻ばかりおのれ住める相生町五丁目にて按摩ひねりの盲人を何者ともしらず鑓もてしたゝかに通して逃さる(下略)
今に見よ人とる人も草の露 文化句帖 化3
おく露や丘は必けぶり立 文化句帖 化3
おく露や武張た門の草の花 文化句帖 化3
垣越の小言に露のかゝりけり 文化句帖 化3
門の露雀の声もさえにけり 文化句帖 化3 「へ」→「え」
草の露先うれしさよ涼しさよ 文化句帖 化3
白露としらで笛吹隣哉 文化句帖 化3
白露に気の付年と成にけり 文化句帖 化3
露時雨草も心の有げ也 文化句帖 化3
露時雨仏頂面へかゝりけり 文化句帖 化3
露の玉一つ〳〵に古郷あり 文化句帖 化3
おく露に心明るき夜さり哉 化五六句記 化5
おく露やおの〳〵翌の御用心 化五六句記 化5 (出)『発句鈔追加』
草の露人を見かけてこぼるゝか 化五六句記 化5
白露を何とおぼすぞかゝし殿 化五六句記 化5
白露にお花の種を蒔ばやな 花見の記 化5 「お」→「を」 (出)『発句鈔追加』
白露に仏供かしぐ人も有 化五六句記 化5 「洪」→「供」
白露や家を持身のはづかしき 化五六句記 化5
白露や〳〵とて腮に杖 化五六句記 化5
露置てうれしく見ゆる蛙哉 化五六句記 化5
露おけと立給ひたる庵哉 化五六句記 化5
毒虫もいつか一度は草の露 真蹟 化5
白露は価の外のさうぶ哉 化五六句記 化6
朝露や蝶は大なゝりをして 七番日記 化7
草の葉[や]雨にまぎれぬ秋の露 七番日記 化7
 としま町なるうら家に住る壁の大工といふ者七月のころより金毘羅の呪文となへてあらゆる望み[を]叶へるたかや(下略)
白露をいかに是なる俗行者 七番日記 化7
白露にそよ〳〵例のけぶり哉 七番日記 化7 (出)『希杖本』
白露[に]つぶ〳〵並ぶ仏哉 七番日記 化7 (出) 同日記(化8)
白露[に]何やら祈る隣哉 七番日記 化7
白露に鉢をさし出す羅漢哉 七番日記 化7
白露にまぎれ込だる我家哉 七番日記 化7 (異)『発句鈔追加』下五「庵かな」
白露は康よりどのゝ宝かな 七番日記 化7
涼しさに忝さの夜露哉 七番日記 化7 (出)『文化三-八年句日記写』(化7)
露ちるや後生大事に鳴雀 七番日記 化7 (異)『文化三-八年句日記写』(化7)上五「白露や」露〳〵に流さうなる柱哉 七番日記 化7
 阿弥陀仏
露の世と世話やき給ふ御舟哉 七番日記 化7
露の世の露の中にてけんくわ哉 七番日記 化7 (出)『文化三-八年句日記写』(化7) (異)『八番日記』(政4) 上五中七「露の世とおしやる口より」
露ほろり〳〵と鳩の念仏哉 七番日記 化7
露見ても酒は呑るゝことし哉 七番日記 化7
遠くからくゝり支度や竹の露 七番日記 化7
ひきの顔露のけしきになりもせよ 七番日記 化7
欲ばるや夜の田[の]露草の露 七番日記 化7
我門の宝もの也露の玉 七番日記 化7
おく露のはり合もなき念仏哉 七番日記 化8
御地蔵や何かの給ふ露しぐれ 七番日記 化8 (出)『我春集』
かつしかや拝れ給ふ竹の露 青ひさご 化8
門の露雀がなめて仕舞けり 七番日記 化8
杭の鷺いかにも露を見るやうに 七番日記 化8  
 八朔 「朝」→「朔」
けさ程や目出度員に草の露 七番日記 化8
けぶりして露ふりて無我な在所哉 七番日記 化8 (異)『我春集』中七「露おりて無我の」
白露にざぶとふみ込む烏哉 七番日記 化8
露見ても活て居るゝ住居哉 我春集 化8
世[の]中は少よす[ぎ]て玉の露 七番日記 化8
赤玉は何[の]実ならんけさの露 七番日記 化9
有明や露にまぶれしちくま川 七番日記 化9
老蛙それ〳〵露がころげるぞ 七番日記 化9
口利や今に我等も草の露 七番日記 化9
くよ〳〵と露の中なる栄花哉 七番日記 化9
けさ程は草家も露の化粧哉 七番日記 化9
下の露末の雫やにぎはしき 七番日記 化9 (異)『株番』上五中七「末の露もとの雫や」
小便の露のたし也小金原 七番日記 化9
白露のてれん偽なき世哉 七番日記 化9
涼しさは露の大玉小玉哉 七番日記 化9 (出)『株番』(異) 同日記(化10) 上五「しづかさは」
蓼喰ふ虫も好〴〵の夜露哉 七番日記 化9
露おりて四条はもとの川原哉 七番日記 化9 (出)『株番』
露時雨如意りんさまも物や思ふ 七番日記 化9
露の世や露の小脇のうがひ達 七番日記 化9 (異)『句稿消息』下五「鵜がひ村」
露の世や露のなでしこ小なでしこ 七番日記 化9 (出)『句稿消息』
露はらり〳〵大事のうき世哉 七番日記 化9 (出)『茶翁聯句集』前書き「五十過ては」『株番』『文政版』『発句鈔追加』『流行七部集』真蹟
露はらり〳〵世[の]中よかりけり 七番日記 化9
露三粒上野ゝ蝉の鳴出しぬ 七番日記 化9
蜂どもや蜜盗れて露けぶり 七番日記 化9 「密」→「蜜」
笛吹て白露いはふ在所哉 七番日記 化9
ふんどしと小赤い花と夜露哉 七番日記 化9
朝霧に浄土参りのけいこ哉 七番日記 化10 (出) 書簡 (異)『句稿消息』『志多良』『文政版』『希杖本』上五「白露に」
芋の葉や親椀程の露の玉 七番日記 化10
後からぞつとするぞよ露時雨 句稿消息 化10
越後馬夜露払て通りけり 七番日記 化10
をがまるゝ露にならんとしたりけり 七番日記 化10 「お」→「を」
置露に蝶のきげんの直りけり 七番日記 化10
白露と仲<間>よく見ゆる影ぼふし 七番日記 化10
露を吸ふたぐひ也けり草の庵 七番日記 化10
 玉祭 「玉」→「魂」「霊」
露ちるや已におのれもあの通 七番日記 化10
露ちるやむさい此世に用なしと 七番日記 化10 (出)『句稿消息』『志多良』『文政版』
露の玉いくつ入たる土瓶哉 七番日記 化10
二文菜にかさいの露のまだひぬぞ 七番日記 化10
火ともして生おもしろや草の露 句稿消息 化10 (出)『文政版』(異)『志多良』中七「生おもしろき」 (類)『七番日記』(化10) 中七下五「生おもしろき夜寒哉」
古壁の草もたのみや露の玉 七番日記 化10
世[の]中[は]よ過にけらしけさの露 七番日記 化10 (出)『句稿消息』『希杖本』(異)『志多良』『文政版』前書き「二百十日」 下五「草の露」 (類) 同日記(化8) 下五「鳴藪蚊」
我打た畠もやれ〳〵けさの露 遺稿 化10
朝顔の花に何盃けさの露 七番日記 化11
いざゝらば露と答よ合点か 七番日記 化11 「露よ」→「露と」 (異)『文政版』前書き「男女私にちぎりて夜ひそかに逃行を教訓して」上五「人問ば」
大なは乙にやらうぞ露の玉 七番日記 化11 「ふ」→「う」
くよ〳〵とさわぐな翌は翌の露 七番日記 化11 「さは」→「さわ」
白露の丸く成るにもいそがしや 七番日記 化11 (異)『発句鈔追加』上五「露の玉」『芭蕉葉ぶね』『発句類題集』中七「丸く見へても」『栗本雑記四』中七「丸いながらも」
白露や乞食村の祭り客 七番日記 化11
白露や茶腹で越るうつの山 七番日記 化11 (異)『文政版』上五「露置や」
 或云花
只頼め〳〵と露のこぼれけり 七番日記 化11
露ざぶ〴〵ことしも楽に寝と哉 七番日記 化11
露ざぶ〴〵愛度御代の印かや 七番日記 化11
露ちるな弥陀が御苦労あそばさる 七番日記 化11
露ちるや地獄の種をけふもまく 七番日記 化11 (出)『文政版』(異)『希杖本』上五「白露や」
露の玉どう転げても目出度ぞ 七番日記 化11
露ほろり気の短さよ〳〵 七番日記 化11
盗人も身につまさるゝ夜露哉 七番日記 化11
呑め喰へと露がざぶ〴〵ざぶり哉 七番日記 化11 (出)『希杖本』
蕗[の]葉や立臼程のけさの露 七番日記 化11 (出)『希杖本』
細けぶり立ばや翌は翌の露 七番日記 化11 (異)『希杖本』上五「畠けぶり」
身の上の露とは更にしらぬ哉 七番日記 化11
痩畠もそれ相応に秋の露 七番日記 化11 (出)『希杖本』
朝夕の露で持たる世界哉 七番日記 化11 「夕朝」→「朝夕」
よい世ぢやと露がざんぶり〴〵哉 七番日記 化11 「じ」→「ぢ」
世[の]中へおちて見せけり草の露 七番日記 化11
蓬生や露の中なる粉引歌 七番日記 化11
楽〳〵と喰うて寝る世や秋の露 七番日記 化11 「ふ」→「う」
いびつでも露の白玉〳〵ぞ 七番日記 化12
おく露や草葉の陰の七在所 七番日記 化12 (出)『栗本雑記五』
おく露や猫なで声の山烏 七番日記 化12
白露のどつちへ人をよぶ烏 七番日記 化12
捨てられたをばが日じややら露しぐれ 栗本雑記五 化12 「お」→「を」 (異)『雁の使』上五「姨捨の」
玉になれ大玉になれけさの露 七番日記 化12
丸い露何の苦もなく居直りぬ 七番日記 化12 (出)『栗本雑記五』(異)『浅香市集』『流行七部集』上五下五「草の露…居直りし」
朝〳〵や庵の茶をけの草の露 七番日記 化13 「お」→「を」 (異) 真蹟 中七「おれが茶おけの」
あばら家やむだ骨折て露のおく 七番日記 化13
けふからは見るもをがむも草の露 七番日記 化13 「お」→「を」
白露のむだぶりしたる庇哉 七番日記 化13
露の身は同じ並びぞ仏達 七番日記 化13
降れつもれ金の露よ此島に 七番日記 化13
身の上の露ともしらでほたえけり 七番日記 化13 「へ」→「え」 (異)『希杖本』真蹟 下五「さはぎけり」
見よとてやでかい露から散じたく 七番日記 化13 (異) 同日記(化13) 下五「先おつる」真蹟 下五「先おちる」
世[の]中よでかい露から先おつる 七番日記 化13
一升でいくらが物ぞ露の玉 七番日記 化14
うれしさはことしの露も浴みけり 七番日記 化14
姨捨た奴もあれ見よ草の露 七番日記 化14 (異)『八番日記』(政3) 中七「奴はどこらの」
姨捨た奴もあれ見よ草の露 七番日記 化14 (異)『八番日記』(政3) 中七「奴はどこらの」
三絃のはらり〳〵や蓮の露 七番日記 化14
白露の上も大玉小玉から 七番日記 化14 (異) 書簡 中七「身にも大玉」
白露やいさくさなしに丸く成る 七番日記 化14 (異) 同日記(化14) 中七「どう転んでも」
 わらぢながら墓参
息災で御目にかゝるぞ草の露 七番日記 化14 「才」→「災」 (出)『文政版』
露だぶりおくやことしも米の飯 七番日記 化14
露だぶり世がよい上に又よいぞ 七番日記 化14
露の玉ざくりと分んじ給ひけり 七番日記 化14 (異)『あつくさ』上五中七「蓮の露ころ〳〵 分じ」
 悼
露の世は得心ながらさりながら 七番日記 化14 (異) (下22句参照)
露一つ一つ集てたく茶哉 七番日記 化14
徳本の念仏ともなれ石の露 七番日記 化14
丸[い]露いびつな露よいそがしき 七番日記 化14
痩菜にも置てくれるや秋[の]露 七番日記 化14
我庵は露の玉さへいびつ也 七番日記 化14
我庵は露[の]でかいを自慢哉 七番日記 化14
けふ迄は人の上ぞよ露時雨 七番日記 政1
上人の目には御舎利か草の露 七番日記 政1
しら露のどつちへ人を呼からす 十六夜集 政1
白露も見やう[に]よりて御舎利哉 七番日記 政1 (異)『あつくさ』中七「御僧の目には」
 七ツ目
露ちるや是から永き夜の段 七番日記 政1 「夜き」→「永き」
露ちるやすは身[の]上の一大事 七番日記 政1
露ほろりまてもしばしもなかりけり 七番日記 政1
仏法がなく[ば]光らじ草の露 七番日記 政1
万灯も貧の一灯も露時雨 七番日記 政1
露打や青松[が]枝のにはか垣 八番日記 政2
露の玉遊び所や茶のけぶり 八番日記 政2
露の玉袖の上にも転げけり 八番日記 政2 「転り」→「転げ」 (異) 同日記(政2) 中七「袖に受けても」
露の玉つまんだ時も仏哉 八番日記 政2 (異) 同日記(政2) 中七下五「つまんだ所仏也」
露の玉つまんで見たるわらべ哉 八番日記 政2 (出)『おらが春』書簡
露の身[の]一人通るとかくはしら 八番日記 政2
 楽しみ極りて愁ひ起るは、うき世のならひなれど(下略)
露の世は露の世ながらさりながら おらが春 政2 (異) (上22句参照) (出)『文政版』前書き「愛子を失ひて」『発句鈔追加』『終焉記』
 馳走砂
露も又干ぬや小松の馳走垣 八番日記 政2
蓮の露転かし込だる茶瓶哉 八番日記 政2 (異) 同日記(政2) 中七「かけて入たる」『梅塵八番』中七「転び入たる」
蓮の露一つもあまる朝茶哉 八番日記 政2 (異)『文政句帖』(政5) 上五下五「芋の露…茶びん哉」
蓮の葉に此世の露はいびつ也 八番日記 政2 (異)『おらが春』下五「曲りけり」
夕やけや唐紅の露しぐれ 八番日記 政2 (出)『嘉永版』(異) 同日記(政2) 下五「初氷」
朝霧と一所に仕廻花屋哉 八番日記 政3
朝霧の流れ出けり山の町 だん袋 政3 (出)『発句鈔追加』
味あらば喧嘩の種ぞ露の玉 八番日記 政3
甘からばさぞおらが露人の露 八番日記 政3
おく露の晴天十日つゞくとて 八番日記 政3
御目[出]度存候けさの露 八番日記 政3 (出)『文政版』(異) 同日記(政3) 下五「今朝の秋」
腕にも露がおく也御茶売 八番日記 政3 (異)『梅塵八番』下五「朝茶売」
狩好の其身にかゝる夜露哉 発句題叢 政3 (出)『嘉永版』『発句鈔追加』『希杖本』
けさの露顔洗にはありあまる 八番日記 政3
拵らへた露もたる也馳走垣 八番日記 政3
逆さまのしやうじんするや草の露 八番日記 政3 「せ」→「しや」 (出)『発句鈔追加』前書き「愛子を失ひて」
上出来[の]浅黄ぞら也秋の露 八番日記 政3
茶土瓶やあゝ〳〵一盃秋の露 八番日記 政3
柘垣や四角に暮て露時雨 八番日記 政3
露ちるやかき集たる米と砂 八番日記 政3 (異)『梅塵八番』下五「米と銭」
露ちるや五十以上の旅人衆 八番日記 政3
露ちるや我しやうじんはやがて誰 八番日記 政3 「せ」→「しや」
露に蜉蝣いつ迄小田の手にかゝる 八番日記 政3
露の世の露の並ぶやばくち小屋 八番日記 政3
釣鐘は草に咲せて石の露 八番日記 政3
寝てくらせ此上降らば甘い露 八番日記 政3
野の馬の天窓干也秋の露 八番日記 政3
蓮の露仏の身には甘からん 八番日記 政3
花うりのかざりにちるや今朝の露 八番日記 政3
 仇野
夕露やいつもの所に灯の見ゆる 発句題叢 政3 (出)『塵窪』(異)『文政版』上五「しら露や」
行秋や畠の稲も秋の露 八番日記 政3 (異)『梅塵八番』上五中七「行雲や鼻先の稲も」
若い衆のむりに受たる夜露哉 八番日記 政3 「へ」→「い」
朝露や虫[に]貰うて面あらふ 八番日記 政4 「貰ふ」→「貰う」
朝やけに染るでもなし露の玉 八番日記 政4
芋の露こぼして迹を丸めけり 八番日記 政4
芋の葉や我作りたる露の玉 八番日記 政4
植た菊せわでも頼む露よ露 八番日記 政4 (異)『梅塵八番』下五「露とつゆ」
大鐘にびくともせぬや蓮の露 八番日記 政4
おく露のいかい御世わぞ日陰草 八番日記 政4
瓦屋に古び付るや露時雨 八番日記 政4
草となる小草も露の御世話哉 八番日記 政4
品玉に取らんとしたり草の露 八番日記 政4
白露もちんぷんかんのころり哉 八番日記 政4
白露やどつと流るゝ山の町 八番日記 政4 「ふ」→「つ」
忙しなの世や上る露下る露 八番日記 政4 「世話」→「忙」 「夜」→「世」 (出)『だん袋』真蹟(異)『発句鈔追加』中七下五「世や■■」
露霜
露しもや丘の雀もちゝとよぶ 享和句帖 享3
露霜をえひしてなめる御馬哉 八番日記 政2 「ゑ」→「え」
稲妻(稲光)
いなづまにもりつなどのゝ抜身哉 西紀書込 寛中
稲妻や貫が男をこし刀 西紀書込 寛中
 震為雷
軒だれのはやかわきけり電り 享和句帖 享3 「かは」→「かわ」
稲妻[や]罪なく見ゆる蟾の顔 文化句帖 化2
稲妻や人住ぬ野も秋の風 文化句帖 化2
水打ていなづま待や門畠 文化句帖 化2
稲妻やむら雨いはふ草の原 文化句帖 化2
稲妻をとらまへたがる子ども哉 七番日記 化9 (出)『希杖本』書簡
稲妻や蚊にあてがひし片足へ 七番日記 化9 (異)『株番』下五「足ながら」
稲妻を浴せかけるや死ぎらひ 七番日記 化11
稲妻にけら〳〵笑ひ仏哉 七番日記 化11
稲妻の入ら[ぬ]おせわよ三井の鐘 七番日記 化11 「は」→「わ」
稲妻の打力なき草家哉 七番日記 化11
稲妻やうつかりひよんとした顔へ 七番日記 化11 (出)『文政版』『希杖本』
稲妻やまだとしよらぬ野なでしこ 七番日記 化11
稲妻やあつけとられし犬の顔 七番日記 化12
稲妻や一もくさんに善光寺 七番日記 化12
稲妻や芒がくれの五十顔 句稿消息 化中 (異)『句稿消息』中七「人にかくれぬ」
手枕や稲妻かゝるうり茄子 句稿消息 化中
稲妻や三人一度に顔と顔 七番日記 政1
稲妻や屁とも思ぬひきが顔 七番日記 政1
石川はぐはらり稲妻さらり哉 梅塵八番 政2 (出)『おらが春』
稲妻にへな〳〵橋を渡りけり 八番日記 政2
稲妻や門に寝並ぶ目出度顔 八番日記 政2
稲妻や一切づゝに世がなほる 梅塵八番 政2 「を」→「ほ」 (出)『おらが春』
稲妻に並ぶやどれも五十顔 八番日記 政3
稲妻に実を孕む也葎迄 八番日記 政3
稲妻や狗ばかり無欲顔 八番日記 政3
豊年の大稲妻よいなづまよ 八番日記 政3 (出)『文政句帖』(政8)
稲妻のちよいとあしらふ綱火哉 八番日記 政4 「ろ」→「ら」
稲妻やかくれかね[た]る人の皺 文政句帖 政5
稲妻や畠の中の風呂の人 文政句帖 政5
稲妻や浦のをとこの供養塚 文政句帖 政6 「お」→「を」
稲妻やぞろり寝ころぶ六十顔 文政句帖 政8
稲妻や田になれそばになれ〳〵と 文政句帖 政8
稲妻や茶の泡のちるすゝき原 文政句帖 政8 「を淡」→「の泡」 (異)『句稿消息』中七「茶の淡こぼす」
稲妻やちら〳〵例の鳥辺山 文政句帖 政8
稲妻やよい御しめりぢやしめりぢやと 文政句帖 政8 「じ」→「ぢ」
川縁の夜茶[屋]は引て小稲妻 文政句帖 政8
笹の葉に稲妻さらり〳〵哉 文政句帖 政8
いなづまに躓つまづきけり曲り角 発句集続篇
稲妻に泣もありけり門すゞみ 発句鈔追加
いなづまに貰ひ鳴して夕すゞめ 発句集続篇
(霧雨、朝霧、夜霧、秋霧、山霧、霧時雨)
雨を分て夕霧のぼる外山哉 寛政句帖 寛4
朝霧にあはたゞし木の雫哉 西紀書込 寛中
どちらかの霧ものがさぬ榎哉 享和句帖 享3
わらすぐる人や夕霧吹かゝる 享和句帖 享3
秋霧やあさぢを過る水戸肴 文化句帖 化1
秋霧や河原なでしこ見ゆる迄 文化句帖 化1 (出)『発句鈔追加』(異)『連句稿裏書』下五「りんとして」『発句題叢』『希杖本』下五「ぱつと咲」
朝霧の皆迄はれな小菜畠 文化句帖 化1
筏士の又も下れよ深山霧 文化句帖 化1
仰山に霧のはれけり附木突 文化句帖 化1
樒さす手からも霧は立にけり 文化句帖 化1 (異) 同句帖(化1) 上五「樒桶」『秋暮集』中七「こぶしを霧の」
何祭か祭霧の遠里小野哉 文化句帖 化1
山霧と一つゆふべの都哉 文化句帖 化1 (出)『一茶園月並』
山霧のかゝる家さへ祭哉 文化句帖 化1
朝霧の引からまりし柳哉 文化句帖 化2
朝霧の又改てかゝる也 文化句帖 化2
川沿や蝶も見えつゝ霧かゝる 文化句帖 化2 「添」→「沿」 「へ」→「え」
霧晴て胡麻殻からり〳〵哉 文化句帖 化2
草の家や霧がふは〳〵蟹がはふ 文化句帖 化2
草原やわらさへあれば霧かゝる 文化句帖 化2
そなた衆も何ぞ侍れうぢの霧 文化句帖 化2
なかんづく夜霧がかゝる芦火哉 文化句帖 化2
一藪は別の夕霧かゝる也 文化句帖 化2
霧雨にあらのゝ百合のさきぬべし 文化句帖 化3 「へ」→「き」
霧雨に低くもならぬ葎哉 文化句帖 化3
草原や[わが]袂より霧の立 連句稿裏書 化4
又しても晴そこなふや山の霧 連句稿裏書 化4
山霧や声うつくしき馬糞かき 化三-八写 化4 (出)『連句稿裏書』
霧雨や草木もとしのよるやうに 化五六句記 化5
山寺や霧にまびれし鉋屑 化五六句記 化6
夕暮や今売槇に霧の立 七番日記 化7 (出)『文化三-八年句日記写』(化7) 前書き「清水槇市」
うす霧の引からまりし垣ね哉 七番日記 化8
馬のせの桔梗かるかや霧はれぬ 七番日記 化8
有明や浅間の霧が膳をはふ 七番日記 化9 (出)『株番』前書き「軽井沢」書簡 遺稿
朝〳〵や茶がむまく成る霧おりる 七番日記 化10 (出)『句稿消息』『志多良』
袖からも霧立のぼる山路哉 七番日記 化10
山霧に穴の狐もむせやせん 七番日記 化10
山霧のさつさと抜る座敷哉 七番日記 化10 (異)『句稿消息』『志多良』中七「さつさと通る」
朝ぎりのろくには晴ぬ草家哉 七番日記 化11
大仏の鼻から出たりけさの霧 七番日記 化11 (類) 同日記(政1) 下五「煤払」『文政句帖』(政5) 中七下五「鼻から出たる乙鳥哉」
つりがねの中から霧の出たりけり 七番日記 化11
山霧や瓦の鬼が明く口へ 七番日記 化11
夕暮やおばゝが松も霧が立 七番日記 化11
牛もう〳〵〳〵と霧から出たりけり 七番日記
化13大仏や鼻の穴から霧が出る 七番日記 化13 (異 )同日記(化13) 中七下五「鼻より霧はふは〳〵と」
古郷をとく降かくせ霧時雨 七番日記 化13
山霧の通り抜たり大座敷 七番日記 化13
山霧の足にからまる日暮哉 七番日記 化13
磯寺や座敷の霧も絶〳〵に 七番日記 政1
夕されば袖から霧の立田山 七番日記 政1
霧雨や夜霧昼霧我庵は 八番日記 政2
さむしろや一文橋も霧の立 八番日記 政2 (異)『文政句帖』(政6) 中七「三文槇も」
夕霧や馬の覚し橋の穴 八番日記 政2 (出)『おらが春』
翌も〳〵〳〵天気ぞ浅間霧 八番日記 政4
霧晴て足の際なる仏かな 文政句帖 政5
雲霧がいで半身の我ならん 文政句帖 政5
雲霧が袂の下を通りけり 文政句帖 政5 (出) 遺稿
人の吹く霧も寒いぞえぞが島 文政句帖 政5 (異) 同句帖(政5) 中七「霧もかすむや」
吹かける霧にむせけり馬の上 文政句帖 政5
山霧のまくしたてたる目口哉 文政句帖 政5 (異) 遺稿 中七「まくしかけくる」
山寺や仏の膝に霧の立 文政句帖 政5 (出) 遺稿
山犬や鳴口からも霧の立 文政句帖 政6
山寺や破風口からも霧の立 文政句帖 政6
みちのくや霧をふみ〳〵坂越る 文政句帖 政8
 霧下中山八宿
我宿は朝霧昼霧夜霧哉 文政句帖 政8
山ぎりに草履かけたる座舗かな 発句集続篇
底本: 信濃教育会編『一茶全集』(信濃毎日新聞社1979年刊 第1巻「発句」)、資料: 小林一郎氏編「一茶発句全集」(2005年)、参照: 縦書き文庫版「一茶発句集」(2024年から制作 26年に完成予定)、くの字点表記: 〳〵〴〵

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