以下、縦書き文庫「一茶発句集」夏より引用する。
47 短夜を継たしてなく蛙哉 文化句帖 化5
66 短夜やにくまれ口をなく蛙 七番日記 化10
88 短夜をよろこぶとしと成にけり 八番日記 政2
| …..かつて夜は一日のはじまりであった。現在と違って日没から一日が始まると考えられていた。「あした」ということばが、現在の「翌日」ではなく、もとは「朝、夜明け」を意味していたのもそのためである。日没から翌朝までがひとつづきの時間と意識されていたのである。なぜなら夜は百鬼夜行する神々の時間、聖なる時間、神話的時間だったからである。その時間が過ぎてからでなければ、世俗の人間の時間はやってこない。神話的世界を経てはじめて人間の世界が成り立つと考えるのが近世以前の庶民の世界観であった….. [Japanknowledgeより] |
夏の夜は短い、その短夜を継ぎ足すようにしてなく蛙、憎まれ口をなく蛙、一茶の脳裏に何が去来していたのだろう。それを想像するだけで楽しいではないか。
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