縦書き文庫版の一茶発句集夏(7)には蝸牛の句が60句ありますが、他の小動物とはおもむきが異なります。どこか超然としていて「それなりに成仏とげよ」と語りかけ「古郷や仏の顔のかたつむり」と詠むのです。
三村大明神鎮ず、寺を密乗山大念寺と云、(中略)寺領八十石、毎年六月御祓の御旅処門前にあり
3726 御旅所を吾もの顔や蝸牛 西国紀行 寛7
薬相応したりければしば〳〵進め参せ度炭火煽ぎつゝ心ちよげなる寝すがたを倩守り奉るに顔色うるはしく脈をうかゞふに一つとして不足なければ十に九つは本腹[復]ならめ[と]祝び侍けり、末に思へ[ば]快気あれかしとおもふ欲目の見る所也
3727 足元へいつ来りしよ蝸牛 終焉日記 享1
3728 朝地震と成けり蝸牛 享和句帖 享3
3729 石原や照つけらるゝ蝸牛 文化句帖 化1
3730 宵越の茶水明りや蝸牛 文化句帖 化1
3731 朝やけがよろこばしいか蝸牛 文化句帖 化2 (出)『発句類題集』
3732 蝸牛気任せにせよ草の家 文化句帖 化2
3733 蝸牛蝶はいきせきさわぐ也 文化句帖 化2
3734 ぬれたらぬ草の月よや蝸牛 文化句帖 化2
3735 馬の子も同じ日暮よ蝸牛 文化句帖 化3
3736 蝸牛鯉切る人に馴そむる 文化句帖 化3
3737 蕣ははや風の吹かたつぶり 文化句帖 化4
3738 鶯と留主をしてをれ蝸牛 文化句帖 化4
3739 蝸牛我なす事は目に見えぬ 化五六句記 化6
3740 渋笠を張ぞゝこのけかたつぶり 化五六句記 化6
3741 蝶が寝て又寝たりけり蝸牛 化五六句記 化6
3742 ともかくもあなた任せかかたつぶり 化五六句記 化6
3743 御仏の雨が降ぞよかたつぶり 化五六句記 化6
3744 朝雨やすでにとなりの蝸牛 七番日記 化7
3745 蝸牛壁をこはして遊ばせん 七番日記 化7
3746 それなり[に]成仏とげよ蝸牛 七番日記 化7
3747 かたつぶりうろ〳〵夜もかせぐかや 七番日記 化10
3748 蝸牛[仏]ごろりと寝たりけり 七番日記 化10
3749 でゝ虫や莚の上の十文字 七番日記 化10
3750 何事の一分別ぞ蝸牛 七番日記 化10
3751 古郷や仏の顔のかたつむり 七番日記 化10
3752 山草に目をはじかれな蝸牛 七番日記 化10
3753 夕月や大肌ぬいでかたつぶり 七番日記 化10 (出)『文政版』
3754 蝸牛見よ〳〵おのが影ぼふし 七番日記 化11 (出)『句稿消息』『発句鈔追加』真蹟 前書き「狗いけんしていふ」
3755 でゝ虫や赤い花には目もかけず 七番日記 化11
3756 並んだぞ豆つぶ程な蝸牛 七番日記 化11
3757 一ぱしの面魂やかたつむり 七番日記 化12 (出)『句稿消息』
3758 柴門や錠のかはりの蝸牛 七番日記 化12
3759 雨一見のかたつぶりにて候よ 七番日記 化13
3760 いざかさん膝に這へ〳〵蝸牛 七番日記 化13 (出)『希杖本』
一向寺
3761御朝時角かくしせよ蝸牛 七番日記 化13
3762 家なども捨てどちらへ出いろ哉 八番日記 政4
3763 縁はなや上手に曲る蝸牛 書簡 政4
3764 蝸牛気がむいたやらごろり寝る 八番日記 政4
3765 元政の垣に昼寝やかたつむり 八番日記 政4
3766 笹つ葉に雨一見のでいろかな 八番日記 政4 (出)『発句鈔追加』
3767 でゝ虫の其身そのまゝ寝起哉 八番日記 政4
3768 でゝ虫や誰に住とて家捨し 八番日記 政4
3769 わら垣や上手に落るかたつむり 八番日記 政4
3770 蝸牛こちら向く間にどちへやら 文政句帖 政5
3771 芋の葉の露の小脇のかたつむり 文政句帖 政7
3772 芋の葉や露の転るかたつむり 文政句帖 政7
3773 大天狗の鼻やちよつぽりかたつむり 文政句帖 政7
3774 木の雫天窓張りけりかたつむり 文政句帖 政7
3775 此雨の降にどつちへでいろ哉 文政句帖 政7 (出)『嘉永版』前
3776 笹の葉になるや小粒のかたつむり 文政句帖 政7
3777 戸を〆てずんずと寝たり蝸牛 文政句帖 政7
3778 練塀や廻りくらするかたつむり 文政句帖 政7
3779 野らの人の連に昼寝やかたつむり 文政句帖 政7
3780 鉢の子の中より出たり蝸牛 文政句帖 政7
3781 小粒なは心安げぞ蝸牛 文政句帖 政8
3782 笹の葉や小とり廻しの蝸牛 文政句帖 政8
3783 鮓のおしの足し[に]寝るかよ蝸牛 文政句帖 政8
3784 雨の柳でゝ虫ほろり〳〵かな 発句集続篇
3785 夕立がよろこばしいかかたつぶり 希杖本
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