peer pressure

同調圧力どうちょうあつりょく(peer pressure)が強く働く村社会では欧米型の民主主義は成り立たないのではないか。政治の門外漢もんがいかんながら、民主主義の根幹には欧米型の個人主義と私有財産制があると考える。それらを持たない人々のあいだでは民主主義を支える議論が成り立たないからだ。類似のものがあっても似て非なるものにならざるを得ない。19世紀後半にドイツ型の君主制をモデルとして天皇制国家を作った大日本帝國(1868-1945)は、19世紀末から20世紀半ばまで戦争につぐ戦争で経済産業を拡充し版図はんとを拡大した。

戦争を通じてその臣民しんみんと台湾・朝鮮・満州・中国・東南アジア・太平洋の島々に住む人々に塗炭とたんの苦しみを与えた。最後はロシアに「北方四島」を取られ米国に沖縄の施政権を取られて、GHQのもとで「民主化」を強いられたといわれる。こうして大日本帝國(1868-1945)は瓦解がかいしたかにみえるが、そうではない。

大日本帝國の天皇制をでも温存するべく、日本国は「象徴制」という名の平和国家像を創出した。けっして米国に強制されただけではなかったろう。日本国をつくる過程で、かつて大日本帝國の臣民・皇民こうみんとして扱われ、兵卒へいそつとして戦地にかされた台湾や満州・朝鮮の人々を切り捨てた。こうして成立した日本国にどんな民主主義が根づいたのだろうか。ただ、欧米型の民主主義が本来で他の形は亜流に過ぎないと云うつもりはない。それぞれの社会の歴史をふまえた形があるべきだと考える。

それは欧米型の民主主義とは似て非なるものになることは当然である。日本国憲法だけをみても、前文に続き、第1章天皇、第2章戦争の放棄に続いて、国民については第3章国民の権利及び義務で定められる。大日本帝國憲法を引き継いでいることは明らかだ。第4章以下は、国会・内閣・司法・財政・地方自治などと続く。学校教育で教え込まれた民主主義とか三権分立が本来の形になっているようには見えない。

この国に住む者のひとりとして民主主義をうたい、個人主義ならぬ同調型個性を礼讃らいさんすることに少なからず不満と疑問を感じる。その度合どあいは年齢とともに強くなりこそすれ弱まることはない。

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