メディアは連日のように全国各地の最高気温と熱中症患者の数を伝え、エアコンを使い「不要不急」の外出を控えろという。まるで戦時中のようだ。そして、世界各国の猛暑や山火事の映像を流して異常気象がもたらす危機だとくり返す。ハリウッド映画まがいの状況づくりに追随しているだけではないか。
自転車で1時間ほど走ったあと、日陰で腰をおろして60年前の夏を思う。「昨今の暑さは昔と変わらないよ」、僕の記憶がいう。昔と今で夏の暑さが大きく違うとは云わないのだ。自転車で幹線道路を走っていて一番熱いのは、信号待ちで停まっているクルマの近くを通るときだ。昔はこれほどクルマが多くなかった。
少年時代によく遊んだ神社の境内の木陰がなつかしい。激しい耳鳴りのように蝉が鳴いていた八幡宮の雑木のなかで、ずっと涼んでいたい。山奥の清流のそばでひんやりした大きな岩に凭れていたい。
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