一茶 春12

桃の花

4645 桃咲ももさくやおくれ年始ねんしのとまり客きゃく 寛政句帖 寛6
4646 桃ももところ〴〵何思出なにおもいだして餅もちの音おと 西国紀行 寛7
4647 桃ももの明あけすさ切男ぎりおとこ眠気ねむげ也 西国紀行 寛7
4648 祈いの[りし]はしらぬ里さと也桃ももの花はな 享和句帖 享3
4649 半蔀はじとみにおつかぶさるや桃ももの花はな 享和句帖 享3
4650 不相応ふそうおうの娘むすめもちけり桃ももの花はな 享和句帖 享3
4651 福蟾ふくびきものさばり出でたり桃もも[の]花はな 文化句帖 化1
4652 伏見ふしみのや桃ももなき家いえもな[つ]かしき 文化句帖 化1 「水」→「見」
4653 桃ももの門かど猫ねこを秤はかりにかける也 文化句帖 化2
4654 桃苗ももなえは花はなを持もちけり数珠嫌じゅずぎらい 文化句帖 化5
4655 苦桃にがももの花はなのほちや〳〵咲さきにけり 化三-八写 化6 (出)『文化六年句日記』『発句鈔追加』『万里歳旦』(異)『発句集続篇』中七「花のごて〴〵」
4656 桃ももさくや先まづ祝いわうるゝ麦むぎの露つゆ 化五六句記 化6
4657 老おいが世よに桃太郎ももたろうも出でよ桃ももの花はな 七番日記 化13 (出)『句稿消息』(類)同日記 (化13) 下五「捨瓢」
4658 なぐさみに馬うまのくはへる桃ももの花はな 七番日記 化13 (出)『浅黄空』『自筆本』
4659 留主るす寺でらにせい出だしてさく桃ももさくら 句稿消息 化13 (異)『七番日記』(化13)『浅黄空』『自筆本』下五「桜哉」『七番日記』(化13) 上五下五「留主寺や・・・山桜」
4660 大藪おおやぶの入いりの入いりなる桃ももの花はな 七番日記 政1
4661 苦桃にがももとさらに見みえぬぞ花盛はなざかり 八番日記 政3 「へ」→「え」
4662 迹次あとつぎの桃ももの生はえけりことし塚づか 文政句帖 政8 「へ」→「え」
4663 門かどの犬いぬなぐさみ吼ほえや桃ももの花はな 文政句帖 政8
4664 立馬たつうまの尻しりこする也桃ももの花はな 文政句帖 政8 「午」→「馬」
4665 苦桃にがももの花はなにけかち(飢渇)はなかりけり 文政句帖 政8 (類)『七番日記』(化11) 上五「山桜」『七番日記』(政1) 上五「蕣の」
4666 苦桃にがももの花はなはだしさの盛さかり哉 文政句帖 政8
4667 麦むぎなどもほちや〳〵肥こえて桃ももの花はな 文政句帖 政8
4668 桃咲ももさくやぽつぽとけぶることし塚づか 文政句帖 政8
4669 桃咲ももさくや犬いぬにまたがる悪太郎あくたろう 浅黄空 (異)『自筆本』下五「桃太郎」

海棠

4670 海棠かいどう[の]日陰ひかげ育そだちも赤あかきかな 八番日記 政4

小米花

 小田原
4671 白水はくすいの流ながれた跡あとや小米花こごめばな 五十三駅 天8

山吹

4672 山吹やまぶきや神主かんぬしどのゝ刀持かたなもち 文化句帖 化3
4673 山吹やまぶきに大宮人おおみやびとの薄着うすぎ哉 文化句帖 化4
4674 山吹やまぶきや蠣かきむく人ひとに古ふるさるゝ 文化句帖 化4 (異) 遺稿 下五「起さるゝ」
4675 山吹やまぶきや馬柄杓まびしゃく提さげし御姿おんすがた 文化句帖 化4
4676 山吹やまぶきや柳やなぎの雨あめは古ふりたれど 文化句帖 化4
4677 蚊所かどころの八重やえ山吹やまぶきの咲さきにけり 文化句帖 化5 (異) 遺稿 中七「八重山吹は」
4678 咲さきたりな山々吹やまやまぶきの日陰花ひかげばな 文化句帖 化5
4679 山吹やまぶきや家近いえちかき松まつは果報焼かほうやけ 文化句帖 化5 (異) 同句帖 (化5) 下五「日和負」
4680 山吹やまぶきや培つちかふ草くさは日ひまけして 文化句帖 化5
4681 山吹やまぶきは時鳥ほととぎす待まつつもり哉 文化句帖 化5
4682 まじ〳〵と竹たけのうしろや小こ山吹やまぶき 化五六句記 化6
4683 山吹やまぶきや草くさにかくれて又またそよぐ 七番日記 化7 (出)『文化三-八年句日記写』(化7)
 根岸
4684 山吹やまぶきをさし出だし顔がおの垣かきね哉 七番日記 化8 (出)『発句集続篇』(異)『我春集』『文政版』『とりのみち』前書き「根岸にて」 中七「さし出しさうな」
4685 山吹やまぶきややがてさしたる五日汐いつかじお 七番日記 化8
4686 鍬くわかぢの山吹やまぶき咲さきぬそれさきぬ 七番日記 化9
4687 山吹やまぶきや馬うまつながるゝ古地蔵ふるじぞう 七番日記 化9 「午」→「馬」
4688 山吹やまぶきにぶらりと牛うしのふぐり哉 七番日記 化9
4689 とりとめた盛さかりもなしや小こ山吹やまぶき 七番日記 政1
 八功徳水
4690 山吹やまぶきの花はなのはだへ(膚)の蛙かえる哉 七番日記 政1 (出)『自筆本』
4691 山吹やまぶきや四月うづきの春はるもなくなるに 七番日記 政1
4692 山吹やまぶきよちるな蛍ほたるの夕迄ゆうべまで 七番日記 政1 (出)『発句集続篇』
4693 川かわは又また山吹やまぶき咲さきぬよしの山やま 八番日記 政3
4694 山吹やまぶきに手てをかざしたる鼬いたち哉 八番日記 政4 (出)『発句集続篇』(異)『自筆本』中七「手をかけて立」
4695 山吹やまぶきや出湯いでゆのけぶりに馴なれて咲さく 八番日記 政4 (異)『梅塵八番』中七「出湯のけぶり」
4696 山吹やまぶきや茶椀ちゃわんの欠かけも乗のせて咲さく 八番日記 政4
4697 我門わがかどは山吹やまぶきのすこしあちらかな 発句集続篇【2005】

辛夷こぶし

4698 さほ(佐保)姫ひめの御目おんめの上うえのこぶし哉 七番日記 化9

樒しきみの花

4699 古桶ふるおけや二文にもん樒しきみも花はなの咲さく 発句題叢 政3 (出)『希杖本』『発句類題集』(異)『発句鈔追加』下五「花が咲く」

榛はんの木の花

4700 はんの木きのそれでも花はなのつもり哉 七番日記 化9 (出)『株番』

柳

4701 振ふり替かえる柳やなぎの色いろや雨あめあがり 柳の友 寛1
4702 掃溜はきだめに青あおむねりそ(練アサ)の柳やなぎ哉 寛政句帖 寛5 「留」→「溜」
4703 茶ちゃの煙けぶり柳やなぎと共ともにそよぐ也 寛政句帖 寛6
4704 振向ふりむけばはや美女びじょ過すぐる柳やなぎ哉 西国紀行 寛7
4705 雨あめあがり朝飯あさめし過すぎのやなぎ哉 花見二郎 寛12 (出)『題葉集』
4706 薄月うすづきの礎いしずえしめる柳やなぎ哉 享和二句記 享2
4707 青柳あおやぎと慥たしかに見みたる夜明よあけ哉 享和句帖 享3 (異)『文化句帖』(化1) 上五中七 「青柳の慥にみゆる」『文化句帖』(化1) 上五中七「青柳のづゝくりみゆる」
4708 青柳あおやぎの先さき見みゆ[る]ぞや角田川すみだがわ 享和句帖 享3 (出)『文化句帖』(化1)
4709 油火あぶらびに宵雨よいあめかゝる柳やなぎ哉 享和句帖 享3 (出)『文化句帖』(化1)
4710 看板かんばんの団子だんご淋さびしき柳やなぎ哉 享和句帖 享3
4711 是これからは大日本だいにっぽんと柳やなぎ哉 享和句帖 享3 (出)『文化句帖』(化1)
4712 青柳あおやぎや蛍ほたるよぶ[夜よ]の思おもはるゝ 文化句帖 化1
4713 青柳あおやぎややがて蛍ほたるをよぶところ 文化句帖 化1
4714 青柳あおやぎや世よを臼うすの目めと𥶡たがかけと 文化句帖 化1
4715 行灯あんどんにおつかぶさりし柳やなぎ哉 文化句帖 化1
4716 石臼いしうすに月つきさしかゝる柳やなぎ哉 文化句帖 化1
4717 笠かさからん柳やなぎも見みなん妹いもが家いえ 文化句帖 化1
4718 しるよしの郷さとの鐘かねなる柳やなぎ哉 文化句帖 化1
4719 鳥とりどもに糞くそかけられし柳やなぎ哉 文化句帖 化1
4720 独ひとり寝ねるつもりの家いえか柳やなぎ陰かげ 文化句帖 化1
4721 無細工ぶさいくの西行さいぎょう立たてり柳やなぎかげ 文化句帖 化1
4722 蛍ほたるよぶ夜よのれうとやさし柳やなぎ 文化句帖 化1 (異)『嘉永版』上五中七「蛍飛ぶ夕をあてや」
4723 身みじろぎもならぬ塀へいより柳やなぎ哉 文化句帖 化1
4724 三筋程みすじほど松まつにかくれし柳やなぎ哉 文化句帖 化1
4725 柳やなぎ見みえ東寺とうじも見みえて昔むかし也 文化句帖 化1 「へ」→「え」
4726 六月みなづきの月つきのさ(挿)せとてさし柳やなぎ 文化句帖 化1(異) 同句帖 (化1) 中七「ゆふべをあてや」
4727 青柳あおやぎや二軒にけんもやひの茶呑橋ちゃのみばし 文化句帖 化2
4728 青柳あおやぎや柱はしらの苔こけも時ときめきて 文化句帖 化2
4729 朝あさやけも又まためづらしき柳やなぎ哉 文化句帖 化2
4730 入相いりあいを待遠まちどおしがる柳やなぎ哉 文化句帖 化2
4731 入口いりぐちに柳やなぎの立たちし都みやこ哉 文化句帖 化2
4732 うと(疎)ましき片壁かたかべかくす柳やなぎ哉 文化句帖 化2
4733 さし柳やなぎ翌あすは出でて行ゆく庵いおり也 文化句帖 化2
4734 土染つちぞめもうれしく見みえて柳やなぎ哉 文化句帖 化2 「へ」→「え」
4735 願ねがひ有ある身みとなとが(咎)めそさ(挿)し柳やなぎ 文化句帖 化2
4736 売家うりいえにきのふさしたる柳やなぎ哉 文化句帖 化3
4737 日本にっぽんは柳やなぎの空そらとなる夜よ哉 文化句帖 化3
4738 柳やなぎさすうしろを終ついのけぶり哉 文化句帖 化3
4739 夕山ゆうやまに肩かたを並ならぶる柳やなぎ哉 文化句帖 化3
4740 里さとの子こが柳やなぎ掴つかんで寝ねたりけり 文化句帖 化4
4741 垂柳たれやなぎ其それくらゐにてあれかしな 文化句帖 化4 「い」→「ゐ」
4742 青柳あおやぎのかゝる小隅こすみも都みやこ哉 文化句帖 化5
4743 鶏とり〆しめる門かどの柳やなぎの青あおみけり 文化句帖 化5
4744 柳やなぎさす我われをさ(狭)みする烏からす哉 文化句帖 化5
4745 青柳あおやぎや荒神こうじん松まつに日ひのさして 化五六句記 化6
4746 青柳あおやぎや十とおづゝ十とおの穴あな一ひとつに 化五六句記 化6
4747 かりそめにさし申もうされし柳やなぎ哉 化五六句記 化6
4748 観音かんのんの心こころをそよぐ柳やなぎ哉 化五六句記 化6
4749 気きに入いらぬ人ひともかすむぞさし柳やなぎ 化五六句記 化6
4750 さし柳やなぎ涼すずむ夕ゆうべは誰だれか有ある 化五六句記 化6
4751 又六またろくが門かどの外そとなる柳やなぎ哉 化五六句記 化6
4752 雁鴨かりかものづう〴〵しさよ門柳かどやなぎ 七番日記 化8
4753 けろりくわんとして雁かりと柳やなぎ哉 七番日記 化8 (出)『我春集』(異)『文政版』『希杖本』中七「として烏と」
4754 下総しもふさへ一ひとすぢかゝる柳やなぎかな 我春集 化8 「じ」→「ぢ」 (異)『発句集続篇』中七「半分たるゝ」
4755 柳やなぎさし〳〵ては念仏ねぶつ哉 七番日記 化8 (出)『我春集』
4756 楽々らくらくと家鴨あひるの留主るすの柳やなぎ哉 七番日記 化8
4757 蝶ちょう来くるや門かどに柳やなぎをさすやいな 七番日記 化10
4758 苗代なわしろにかくておきたしさし柳やなぎ 七番日記 化10
4759 柳やなぎから梅うめから御出おんでる狐きつね哉 七番日記 化10 (出)『句稿消息』前書き「題五百崎」
4760 柳やなぎからもゝんぐわとて出でる子こ哉 七番日記 化10 (出)『おらが春』(異)『自筆本』中七「もゝんぐわあゝと」『発句鈔追加』前書き「よりよりの思ひよせる小児をも娘の遊び連にもと爰に集ぬ」 中七「もゝつくはとて」
4761 青柳あおやぎや梅若うめわかどのゝお茶ちゃの水みず 七番日記 化11
4762 犬いぬの子この咥くわへて寝ねたる柳やなぎ哉 七番日記 化11 「加」→「咥」 (異)『句稿消息』『文政版』中七「踏まへて眠る」
4763 大坂おおさかの人ひとにすれたる柳やなぎかな 七番日記 化11
4764 門柳かどやなぎ仏頂面ぶっちょうづらをさする也 七番日記 化11 (出)『自筆本』
4765 観音かんのんのやうに人眠ひとねむる柳やなぎ哉 七番日記 化11 (出)『希杖本』
4766 さし捨すてし柳やなぎの陰かげの住居すまい哉 七番日記 化11
4767 ちよんぼりと不二ふじの小脇こわきの柳やなぎ哉 七番日記 化11
4768 縄なわ[に]すれ人ひとにすれたる柳やなぎかな 七番日記 化11 (出)『発句集続篇』
4769 寝ねる隙すきにふいとさしても柳やなぎ哉 七番日記 化11 (異)『句稿消息』中七「さし並たる」
4770 畠打はたうちの内股うちまたくぐる柳やなぎかな 七番日記 化11 (出)『発句集続篇』
4771 引ひかぬ気きのお江戸えど育そだちも柳やなぎ哉 七番日記 化11
4772 柳やなぎからなびきつゞくや上総山かずさやま 七番日記 化11
4773 我前わがまえのかじけ柳やなぎも青柳あおやぎぞ 七番日記 化11 「ぢ」→「じ」 「ぬ」→「ぞ」
4774 青柳あをやなぎ弥勒みろく十年じゅうねんの小家こいえ哉 七番日記 化12
4775 蛇へびに成なるけいこにくねる柳やなぎかな 七番日記 化12
4776 目めに這[入はい]るやうな門かどでも青柳あおやぎぞ 七番日記 化12
4777 我門わがかどにしやつきり張はりし柳やなぎ哉 七番日記 化12
4778 石下戸いしげこの門かども青柳あおやぎと成なり[に]けり 七番日記 化13
4779 大犬おおいぬをこそぐり起おこす柳やなぎ哉 七番日記 化13
4780 悴坊かじけぼうが門かどもそよ〳〵青柳あおやぎぞ 七番日記 化13 「汚」→「悴」
4781 かじけ(悴)坊ぼうが門かどもはらりと青柳あおやぎぞ 七番日記 化13 「ぢ」→「じ」
4782 きかぬ気きの江戸えどの門かどにも柳やなぎ哉 七番日記 化13
4783 咥くわへぎせる無用むようでもなし門柳かどやなぎ 七番日記 化13 「加」→「咥」
4784 倒たおれ家やといほ相あいもちの柳やなぎ哉 七番日記 化13
4785 垂柳たれやなぎ門かどの曲まがりはかくれぬぞ 七番日記 化13
4786 青柳あおやぎのあいそう(愛想)付つける我家わがや哉 七番日記 政1
4787 穴一あなひとつの穴十あなとおばかり柳やなぎ哉 七番日記 政1
4788 ぢゝむさい庵いおりも今いまは青柳あおやぎぞ 七番日記 政1
4789 通とおりぬけせよと柳やなぎから柳やなぎ哉 七番日記 政1 (異)『おらが春』中七「せよと垣から」
4790 ひよい〳〵とぶつ切棒きらぼうの柳やなぎ哉 七番日記 政1 (出)『発句鈔追加』
4791 我わが柳やなぎしだるゝ芸げいはなかりけり 七番日記 政1
4792 青柳あおやぎに金平きんぴら娘むすめ立たちにけり 八番日記 政2
 京島原
4793 入口いりぐちのあいそ(愛想)になびく柳やなぎかな おらが春 政2 (出)『文政版』『発句集続篇』
4794 江戸えどもえど〳〵真中まんなかの柳やなぎ哉 八番日記 政2 (出)『自筆本』(異)『文政句帖』(政7) 中七「江戸生えぬきの」 (類)『八番日記』(政2) 下五「冬ごもり」
4795 門柳かどやなぎ天窓あたまで分わけて這入はいりけり 八番日記 政2 (出)『嘉永版』
 善光寺堂前
4796 白猫しろねこのやうな柳やなぎもお花はな哉 八番日記 政2 (出)『嘉永版』(異)『おらが春』上五「灰猫の」
4797 たつた今いまつゝさ(挿)したれど柳やなぎ哉 八番日記 政2
4798 野雪隠のせっちんのうしろをかこふ柳やなぎ哉 八番日記 政2 (出)『発句鈔追加』真蹟
4799 人声ひとごえにもまれて青あおむ柳やなぎかな 八番日記 政2 (出)『嘉永版』『発句集続篇』
4800 一吹ひとふきにほんの柳やなぎと成なりにけり 八番日記 政2
4801 我門わがかどはしだれ嫌ぎらひの柳やなぎ哉 八番日記 政2 (出)『発句鈔追加』真蹟 (異)『発句集続篇』上五「我門に」
4802 庵いおの錠じょういらぬ事こととや柳やなぎ吹ふく 八番日記 政3
4803 馬うまの子こが柳やなぎ潜もぐりをしたりけり 八番日記 政3
4804 皮剥かわはぎが腰こしかけ柳やなぎ青あおみけり 発句題叢 政3 (出)『発句鈔追加』『嘉永版』
4805 ち(散)り込こむや柳やなぎが糸いとにねまる程ほど 八番日記 政3
4806 蛍ほたるとぶ夕ゆうべをあてやさし柳やなぎ 発句題叢 政3 (出)『嘉永版』『発句類題集』『発句集続篇』
4807 頬杖ほおづえは観音顔かんのんがおや柳やなぎかげ 八番日記 政3
4808 青柳あおやぎやよらずさはらず門かどに立たつ 八番日記 政4
4809 入水じゅすいした僧そうが菰こもかけ柳やなぎ哉 八番日記 政4
4810 灯ともしびや柳やなぎがくれのわかい声こえ 文政句帖 政5
4811 目めざはりになれど隣となり[の]柳やなぎ哉 文政句帖 政5
4812 柳やなぎは緑みどり花はなは紅くれないのうき[世よ]かな 文政句帖 政5
4813 浅緑あさみどり柳やなぎのあいそ(愛想)こぼれけり 文政句帖 政6
4814 大柳おおやなぎ村むらの印しるしと成なりにけり 文政句帖 政6
4815 どのやうな下手へたがさしても柳やなぎ哉 文政句帖 政6
4816 よい所とこの片膝かたひざ瘤こぶや垂たれ柳やなぎ 文政句帖 政6
4817 夜よに入いれば遊女ゆうじょ袖引そでひく柳やなぎ哉 文政句帖 政6
4818 御花おんはなの代かわりをつとむ柳やなぎ哉 文政句帖 政7 (異) 同句帖 (政8) 中七「名代つとむ」
4819 切きれても〳〵さて柳やなぎ哉 文政句帖 政7
4820 沢沿さわぞいや柳やなぎたのみに川かわをとぶ 文政句帖 政7 「添」→「沿」
4821 づぶさしの馬除うまよけ柳やなぎ青あおみけり 文政句帖 政7
4822 ずん切ぎり際ぎわより一ひとすぢ柳やなぎ哉 文政句帖 政7 「じ」→「ぢ」
4823 そよ〳〵と江戸気えどけに染そまぬ柳やなぎ哉 文政句帖 政7
4824 田たのくろや馬除うまよけ柳やなぎ馬うまがくふ 文政句帖 政7
4825 流ながれ来きて門かどの柳やなぎと成なりにけり 文政句帖 政7 (出)『自筆本』
4826 陶すえになる下地したぢをくねる柳やなぎ哉 文政句帖 政8
4827 門柳かどやなぎしだるゝ世事せじはなかりけり 発句鈔追加
4828 先せんたくの婆々ばばへ柳やなぎの夕ゆうなびき 希杖本
4829 水みずまして蝦えび這はいのぼる柳やなぎ哉 遺稿
4830 柳やなぎからまね〳〵出でたり狐面きつねづら 希杖本
4831 是これからも未まだ幾いくかへりまつの花 真左古 天7

松の花

 石宝殿に参るに高二丈六尺方三間半ありとなん是や大己貴の石屑投給ふ石と也上に松の二三本生たり
4832 十とがへりの花はないくかへりの石室いしむろかよ 西国紀行 寛7
 鹿島
4833 大おおなゐにびくともせぬや松まつの花はな 八番日記 政4 「へ」→「ゐ」

松の緑

4834 江北こうほくに植うえても松まつのみどり哉 七番日記 化9