零れ話: 落語家の小道具

東京の落語家の高座の小道具は、“扇子”と“手ぬぐい”だけである。
芸界用語では、扇子を「カゼ」、手ぬぐいを「マンダラ」というらしい。
カゼはあおげば風だ出ることから、マンダラはいろいろな色が混じって、斑(まだら)というところに語源があるようだ。
扇子は「高座扇」といって平手打ちの白扇に限る。
開いた場合、絵や文字があると、其処に客の視線が集まって、効果が薄れるからだといわれる。
例えば、閉じたままの扇子 → 刀、槍、杖、釣竿、煙管、筆、お銚子、等
ちょっと開いて、きしませると舟の艪(ろ)の音まで出る。
順に開くと手紙になり、開き切った扇子は大盃になるという重宝さだ。
但し、無理をさせると、扇骨が折れることがあるので、金属疲労には注意してあげたいものだ。

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