昔から中国には文字にまつわるエピソードが多い。
唐代、ある日、一人の詩人が、ロバの背で揺られていて、詩句が浮かんだ。
「鳥宿池中樹( 鳥は宿る池中の樹 )
僧推月下門( 僧は推す月下の門 )」
ところが、詩句をひねっていて、「推す」は「敲(
たた)く」としたほうが良いなど考え込み、うっかりして、他のロバにぶつかってしまった。
詩人は非礼を詫び、事情を話すと、相手は、何と、中唐随一と言われた詩人で、しばらくして、「やはり〈 敲 〉としたほうがよいだろう」と答えてくださったという。
こうして、「 推敲 」という言葉が、文章を練るという意味に使われるようになったという。
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