零れ話: 日本酒の始まり

酒をつくることを「醸(かも)す」という。
これは「噛(か)む」が語源である。 つまり、もっとも原始的な酒は、米を口で噛んだものを吐き出し、それを一定期間蓄えてつくったものらしい。
こういった口噛みの酒づくりは、すべて女性によって行われた。
更に、神の祭りで供える「神酒(みき)」は、若い未婚の女性が噛んでつくった酒でなければならなかった。
ところで、酒づくりに携わる人を「杜氏(とうじ)」というが、もともとは、「刀自(とじ)」といい、古語では戸主(とぬし)とし、家事一般をとり仕切る主婦のことを指し、働く男を指したという“刀禰(とね)”の対語にあたる。
このように、酒づくりの風習の裏には、日本人独特の女性崇拝の信仰があったのだろう。

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