竹内民法03

□債権総論

債権とは特定人が特定人に対して一定の給付を請求する権利 ⇔ 物権

債権の譲渡性
第466条 債権は譲渡できる。ただし、その性質がこれを許さないときはこの限りでない
 当事者が債権の譲渡を禁止し又は制限する旨の意思表示(譲渡制限の意思表示をしたときであっても債権譲渡はその効力を妨げられない
 前項に規定する場合、譲渡制限の意思表示がされたことを知り又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対し債務者はその債務履行を拒むことができ、かつ譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗できる
 前項の規定は債務者が債務を履行しない場合、同項に規定する第三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行の催告をし、その期間内に履行がないときはその債務者には適用しない
不動産賃貸借の対抗力
第605条 不動産賃貸借を登記したとき不動産の物権取得者その他の第三者に対抗できる

□特定物債権

目的物の個性に着目しその目的物の引渡しを目的とする債権。世界に1枚の絵画の売買契約をした場合、売主は特定物を引渡す債務を負い買主は特定物を引渡させる債権を有する

善管注意義務発生
現状の引渡し
所有権移転

□種類債権

目的物の個性に着目しない種類物の引渡しを目的とする債権、米10k、ビール1ダース

品質の定めのないときは中等の品質を給付
特定されるまで調達義務を負う目的物が特定したときに所有権移転

特定物の引渡しの場合善管注意義務
第400条 債権の目的が特定物の引渡しであるとき、債務者はその引渡しをするまで契約その他債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない
債務不履行による損害賠償
第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務履行不能であるとき債権者は損害賠償請求できる。ただし、その債務不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰さない事由によるときはこの限りでない
 前項の規定により損害賠償請求できる場合、債権者は次に掲げるとき債務履行に代わる損害賠償を請求できる
 債務履行が不能であるとき。
 債務者がその債務履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
 債務が契約によって生じた場合、その契約が解除され又は債務不履行による契約解除権が発生したとき
特定物の現状による引渡し
第483条 債権の目的が特定物の引渡しである場合、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らしてその引渡しをすべき時の品質を定められないとき、弁済者はその引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければならない。

制限種類債権

種類債権のうち対象となる種類物が特定されているもの、たとえば、Aの倉庫にある魚沼産コシヒカリ10k→履行不能が生じる(限定されたものがなくなることがある)


□債務不履行

  • 履行遅滞 履行できるのにしない
  • 履行不能
  • 不完全履行

→それぞれ要件効果を確認

履行遅滞と履行不能との区別は履行の可否、この違いが要件の違いとなっている。不能概念につき条文の要件を確認 ★改正412条の2

※そのため、効果にも違いがある

  • 遅れたことの賠償→遅414
  • 履行に代わる賠償→填補賠償
履行期と履行遅滞
第412条 債務履行に確定期限があるとき、債務者はその期限到来時から遅滞責任を負う
 債務履行に不確定期限があるとき、債務者はその期限到来後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時いずれか早い時から遅滞の責任を負う
 債務の履行期限を定めなかったとき債務者は履行請求を受けた時から遅滞責任を負う
履行不能
第412条の2 債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるとき債権者はその債務履行を請求できない
 契約に基づく債務履行がその契約成立時に不能であったことは、第415条の規定によりその履行不能によって生じた損害賠償の請求を妨げない
受領遅滞
第413条 債権者が債務履行を受けることを拒み又は受けることができない場合、その債務の目的が特定物の引渡しであるとき、債務者は履行の提供をした時からその引渡しをするまで自己の財産に対するのと同一の注意をもってその物を保存すれば足りる
 債権者が債務履行を受けることを拒み又は受けることができないことによりその履行の費用が増加したとき、その増加額は債権者の負担とする
履行強制
第414条 債務者が任意に債務履行をしないとき債権者は民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定に従い、直接強制代替執行間接強制その他の方法による履行強制を裁判所に請求できる。ただし、債務の性質がこれを許さないときはこの限りでない
 前項の規定は損害賠償の請求を妨げない
債務不履行による損害賠償
第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務履行不能であるとき債権者は損害賠償請求できる。ただし、その債務不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰さない事由によるときはこの限りでない
 前項の規定により損害賠償請求できる場合、債権者は次に掲げるとき債務履行に代わる損害賠償を請求できる
 債務履行が不能であるとき。
 債務者がその債務履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
 債務が契約によって生じた場合、その契約が解除され又は債務不履行による契約解除権が発生したとき

□安全配慮義務

  • 雇用契約等の法律関係の付随義務として信義則上負う義務
  • 本来の債権履行(給付義務)に付随して発生する義務

□履行請求権 ★改正 

414条 条文の整理 

  • (1) 直接強制 国家権力が直接債権内容を実現させる強制執行 物や金銭の引渡し
  • (2) 代替執行 名誉棄損に対する謝罪広告掲載の確定判決に対し不掲載 代替的作為債務
  • (3) 間接強制 画家が似顔絵を描く契約をしたのに描かない 一定の金銭支払いを強制

→それぞれ対象債務を確認 ノート p. 192

民事執行法不動産執行の方法
第43条 不動産(登記できない土地の定着物を除く)に対する強制執行不動産執行は強制競売又は強制管理の方法により行うこれらの方法は併用できる
 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行については、不動産の共有持分登記された地上権及び永小作権並びにこれらの権利の共有持分は不動産とみなす
民事執行法執行裁判所
第44条 不動産執行はその所在地(前条第二項の規定により不動産とみなされるものはその登記をすべき地)を管轄する地方裁判所が執行裁判所として管轄する
 建物が数個の地方裁判所の管轄区域にまたがつて存在する場合、その建物に対する強制執行については建物の存する土地の所在地を管轄する各地方裁判所が、その土地に対する強制執行については土地の所在地を管轄する地方裁判所又は建物に対する強制執行の申立てを受けた地方裁判所が執行裁判所として管轄する。
 前項の場合、執行裁判所は必要があると認めるとき事件を他の管轄裁判所に移送できる
 前項の規定による決定に対しては不服を申し立てることができない。
民事執行法代替執行
第171条 次の各号の強制執行は執行裁判所が当該各号に定める旨を命ずる方法により行う。
 作為を目的とする債務の強制執行 債務者の費用で第三者に当該作為をさせること。
 不作為を目的とする債務強制執行 債務者の費用で債務者がした行為の結果を除去し又は将来のため適当な処分をすべきこと。
 前項の執行裁判所は、第33条第2項第1号又は第6号に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める裁判所とする。
 執行裁判所は第1項の規定による決定をする場合、債務者を審尋しなければならない。
 執行裁判所は第1項の規定による決定をする場合、申立てにより債務者にその決定に掲げる行為をするために必要な費用をあらかじめ債権者に支払うべき旨を命令できる。
 第1項の強制執行の申立て又は前項の申立てについての裁判に対し執行抗告できる。
 第6条第2項の規定は、第1項の規定による決定を執行する場合について準用する。
民事執行法間接強制
第172条 作為又は不作為を目的とする債務で前条第1項の強制執行ができないものについての強制執行は執行裁判所が債務者に対し遅延の期間に応じ又は相当と認める一定の期間内に履行しないときは直ちに債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を債権者に支払うべき旨を命ずる方法により行う。
 事情の変更があつたとき執行裁判所は申立てにより前項の規定による決定を変更できる。
 執行裁判所は前2項規定による決定の場合、申立ての相手方を審尋しなければならない。
 第1項の規定により命じられた金銭の支払があつた場合、債務不履行により生じた損害の額が支払額を超えるとき、債権者、その超える額について損害賠償請求を妨げられない。
 第1項の強制執行の申立て又は第2項の申立てについての裁判に対して執行抗告できる。
 前条第2項の規定は第1項の執行裁判所について準用する。
第173条 第168条1項、169条1項、170条1項及び171条1項に規定する強制執行は、それぞれ168条から171条までの規定により行うほか、債権者の申立てがあるときは執行裁判所が前条1項に規定する方法により行う。この場合、同条2項から5項までの規定を準用する。
 前項の執行裁判所は第33条2項各号(1号の2、1号の3及び4号を除く)に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該債務名義についての執行文付与の訴えの管轄裁判所とする。

□損害賠償 ★改正 

415条1項2項

要件

  • ①債務不履行の存在
  • ②損害の発生
  • ③①と②の因果関係
  • ④免責事由 →被告側債務不履行を否定したい人が自分に帰責事由がないことを主張立証

効果

  • 遅延賠償填補賠償
  • 損害賠償の範囲
  • 算定時期 債務者が遅滞の責任を負った最初の時点
  • 金銭債務の特則 債務者は不可抗力をもって抗弁とできない
  • 過失相殺
  • 必要的
  • 免除まで可能

⇔不法行為における過失相殺(比較して記憶)

債務不履行による損害賠償
第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務履行不能であるとき債権者は損害賠償請求できる。ただし、その債務不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰さない事由によるときはこの限りでない
 前項の規定により損害賠償請求できる場合、債権者は次に掲げるとき債務履行に代わる損害賠償を請求できる
 債務履行が不能であるとき。
 債務者がその債務履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
 債務が契約によって生じた場合、その契約が解除され又は債務不履行による契約解除権が発生したとき
金銭債務の特則
第419条 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは約定利率による
 前項の損害賠償について、債権者は損害証明をすることを要しない
 第一項の損害賠償について、債務者は不可抗力をもって抗弁とできない

□受領遅滞 ★改正 

413条 413条の2

受領遅滞
第413条 債権者が債務履行を受けることを拒み又は受けることができない場合、その債務の目的が特定物の引渡しであるとき、債務者は履行の提供をした時からその引渡しをするまで、自己の財産に対するのと同一の注意をもってその物を保存すれば足りる
 債権者が債務履行を受けることを拒み又は受けることができないことによりその履行の費用が増加したとき、その増加額は債権者の負担とする
履行遅滞中又は受領遅滞中履行不能帰責事由
第413条の2 債務者がその債務について遅滞責任を負っている間に当事者双方に帰責性のない事由によってその債務履行が不能となったときは、その履行不能は債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなす
 債権者が債務履行を受けることを拒み又は受領できない場合履行提供の時以後に当事者双方に帰責性のない事由によってその債務履行が不能となったとき、その履行不能は債権者の責めに帰すべき事由によるものとみなす
債権者代位権の要件
第423条 債権者は自己の債権保全のため必要があるとき債務者に属す被代位権利を行使できる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押え禁止権利はこの限りでない
 債権者はその債権の期限が到来しない間は被代位権利を行使できない。ただし、保存行為はこの限りでない
 債権者はその債権が強制執行により実現できないとき被代位権利を行使できない
債務者の危険負担等
第536条 当事者双方に帰責性のない事由によって債務を履行できなくなったとき債権者は反対給付の履行を拒むことができる
 債権者の責めに帰すべき事由によって債務履行できなくなったとき、債権者は反対給付の履行を拒むことができない。この場合、債務者は自己の債務を免れたことによって利益を得たときはこれを債権者に償還しなければならない
第541条 当事者の一方が債務を履行しない場合に相手方が相当期間を定めてその履行を催告し、その期間内に履行がないとき相手方は契約を解除できる。ただし、その期間を経過した時の債務不履行がその契約及び取引上の社会通念照らし軽微なときはこの限りでない
催告によらない解除
第542条 次に掲げる場合、債権者は前条の催告なく直ちに契約を解除できる
 債務の全部の履行が不能であるとき。
 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
 債務の一部履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部履行を拒絶する意思を明確に表示した場合に残存する部分のみでは契約の目的を達せられないとき
 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約の目的を達せられない場合に債務者が履行しないでその時期を経過したとき
 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約の目的を達するに足る履行の見込みがないことが明らかなとき。
 次に掲げる場合、債権者は前条の催告なく直ちに契約の一部を解除できる
 債務の一部履行が不能であるとき。
 債務者がその債務の一部履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
債権者の責めに帰すべき事由による場合)
第543条 債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるとき、債権者は、前二条の規定による契約の解除をすることができない

□責任財産の保全

趣旨:総債権者のための責任財産保全
実質的には債権回収手段として活用されている

□債権者代位権 ★改正 423条

要件確認

被保全債権
 1 保全の必要性→∴被保全債権が金銭債権の場合、無資力要件が必要
 2 被保全債権の存在
 3 被保全債権の履行期が到来
 4 強制執行によって実現できること
被代位債権
 1 一身専属権でないこと
 2 差押え禁止権利でないこと
 3 債務者が自ら権利行使していないこと

行使方法
裁判外でも可能詐害行為取消権
効果
総債権者のための共同担保となる。ただし、債権者に直接引渡し請求可、これにより相殺できる場合→事実上の優先弁済権 ※登記請求はできない

訴訟告知 ★改正 423条の6 
債務者の処分権は消滅しない ★改正 423条の5 判例変更
転用型 ★改正 423条の7
被保全債権が金銭債権でない場合には無資力要件は不要

債権者代位権の要件)
第423条 債権者は自己の債権保全のため必要があるとき債務者に属す被代位権利を行使できる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押え禁止権利はこの限りでない
 債権者はその債権の期限が到来しない間は被代位権利を行使できない。ただし、保存行為はこの限りでない
 債権者はその債権が強制執行により実現できないとき被代位権利を行使できない
代位行使の範囲
第423条の2 債権者は被代位権利を行使する場合、被代位権利の目的が可分であるときは自己の債権額の限度においてのみ被代位権利を行使できる
債権者への支払又は引渡し
第423条の3 債権者は被代位権利を行使する場合、被代位権利が金銭の支払又は動産の引渡しを目的とするときは相手方に対しその支払又は引渡しを自己に対して求められる。この場合、相手方が債権者にその支払又は引渡しをしたとき、被代位権利は消滅する
(相手方の抗弁)
第423条の4 債権者が被代位権利を行使したとき、相手方は債務者に対して主張できる抗弁をもって債権者に対抗できる
債務者の取立てその他の処分の権限等
第423条の5 債権者が被代位権利を行使した場合でも、債務者は被代位権利について自ら取立てその他の処分を妨げられない。この場合、相手方も被代位権利について債務者に対して履行を妨げられない
被代位権利の行使に係る訴えを提起した場合の訴訟告知
第423条の6 債権者は被代位権利の行使に係る訴えを提起したとき遅滞なく債務者に対し訴訟告知しなければならない
登記又は登録の請求権を保全するための債権者代位権
第423条の7 登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗できない財産を譲り受けた者その譲渡人が第三者に対して有する登記手続又は登録手続をすべきことを請求する権利を行使しないときその権利を行使できる。この場合、前三条の規定を準用する

 □詐害行為取消権 ★改正 424条

要件 ★改正 424条1項~4項

詐害行為取消請求
第424条 債権者は債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求できる。ただし、その行為によって利益を受けた者、受益者がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときはこの限りでない
 前項の規定は、財産権を目的としない行為には適用しない
 債権者は、その債権が第一項に規定する行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、同項の規定による請求(詐害行為取消請求)をできる
 債権者はその債権が強制執行により実現できないとき詐害行為取消請求をできない
【受益者を被告とするもの】

債務者側の要件
詐害行為であること
債権者を害することを知っていたこと
財産権を目的とする行為
債権者側の要件
被保全債権の存在
被保全債権が詐害行為前の原因に基づいていること
強制執行により実現できること
受益者側の要件
悪意

相当対価を得てした財産の処分行為の特則
第424条の2 債務者がその有する財産を処分する行為をした場合、受益者から相当の対価を取得しているとき債権者は次に掲げる要件のいずれにも該当する場合に限り、その行為について詐害行為取消請求をできる
 その行為が不動産の金銭換価他の当該処分による財産の種類変更により債務者による隠匿無償供与その他の債権者を害する隠匿等の処分をするおそれを現に生じさせるものである。
 債務者行為の当時対価として取得した金銭その他の財産について隠匿等の処分をする意思を有していたこと。
 受益者行為の当時債務者が隠匿等の処分をする意思を有したことを知っていたこと。
特定の債権者に対する担保の供与等の特則
第424条の3 債務者がした既存の債務についての担保の供与又は債務消滅行為について債権者は次に掲げる要件のいずれにも該当する場合に限り詐害行為取消請求をできる
 その行為が債務者が支払不能債務者が支払能力を欠くため、弁済期にある債務一般的かつ継続的に弁済できない状態の時に行われたこと
 その行為が債務者と受益者が通謀して他の債権者を害する意図をもって行われたこと。
 前項に規定する行為が債務者の義務に属せず又はその時期が債務者の義務に属しないものである場合、次に掲げる要件のいずれにも該当するとき債権者は同項規定にかかわらず、その行為について詐害行為取消請求をできる
 その行為が債務者が支払不能になる前30日以内に行われたこと。
 その行為が債務者と受益者が通謀して他の債権者を害する意図をもって行われたこと。
過大な代物弁済等の特則
第424条の4 債務者がした債務消滅行為で受益者の受けた給付価額がその行為により消滅した債務額より過大であるものが第424条の規定要件に該当するとき、債権者は前条第一項の規定にかかわらず、その消滅債務額の相当部分以外の部分について詐害行為取消請求をできる
転得者に対する詐害行為取消請求
第424条の5 債権者は受益者に詐害行為取消請求をできる場合、受益者に移転した財産の転得者があるとき、次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に定める場合に限り転得者にも詐害行為取消請求をできる
 その転得者が受益者から転得した者の場合 その転得者が転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていたとき。[転得者の悪意]
 その転得者が他の転得者から転得した者の場合 その転得者及びその前に転得した全ての転得者がそれぞれの転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていたとき。[すべての転得者の悪意]
【転得者を被告とするもの】★改正 424条の5

上記要件+下記要件が必要
受益者からの転得者転得者が転得時に債務者のした行為が詐害行為だと知っていた
転得者からの転得者全転得者が転得時に債務者のした行為が詐害行為だと知っていた
 
詐害行為の特則規定 ★改正424条の2~4
図表を参照に処理を理解
 
行使方法 裁判上の請求
 
訴訟告知 ★改正 424条の7

財産の返還又は価額の償還請求
第424条の6 債権者は受益者に対する詐害行為取消請求において債務者がした行為の取消しとともにその行為によって受益者に移転した財産の返還を請求できる受益者による財産返還が困難なとき債権者はその価額償還を請求できる
 債権者は、転得者に対する詐害行為取消請求において、債務者がした行為の取消しとともに転得者が転得した財産の返還を請求できる転得者による財産返還が困難なとき債権者はその価額償還を請求できる
被告及び訴訟告知
第424条の7 詐害行為取消請求に係る訴えは次の各号の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める者を被告とする。
 受益者に対する詐害行為取消請求に係る訴え 受益者
 転得者に対する詐害行為取消請求に係る訴え 詐害行為取消請求の相手方の転得者
 債権者は詐害行為取消請求に係る訴えを提起したとき、遅滞なく債務者に対し訴訟告知をしなければならない
債権者への支払又は引渡し
第424条の9 債権者は、第424条の6第一項前段又は第二項前段の規定により受益者又は転得者に対して財産返還を請求する場合、その返還請求が金銭の支払い又は動産の引渡しを求めるとき受益者にはその支払い又は引渡しを、転得者にはその引渡し自己に対しすることを求めることができる。この場合、受益者又は転得者は債権者に対してその支払い又は引渡しをしたとき、債務者に対しその支払い又は引渡しをすることを要しない
 債権者が第424条の6第一項後段又は第二項後段の規定により受益者又は転得者に対して価額償還を請求する場合も前項と同様とする。

効果 ★改正 425条
認容判決は債務者及び全ての債権者に効力を有する

受益者又は転得者が金銭の支払い又は動産の引渡しをしたときは債務者に対する義務を免れる ★改正 424条の9
425条の2、3も確認

転得者にされた取消の効果は転得者の前者(受益者等)に及ばない→転得者保護規定 ★改正425の4

期間制限 ★改正 426条
債権者が詐害行為を知った時から2年(主観的起算点)、行為の時から10年(客観的起算点)

認容判決の効力が及ぶ者の範囲)
第425条 詐害行為取消請求を認容する確定判決債務者及びその全ての債権者にその効力を有する
債務者の受けた反対給付に関する受益者の権利
第425条の2 債務者がした財産処分に関する行為(債務の消滅行為を除く)が取り消されたとき、受益者は債務者に対しその財産取得のためにした反対給付の返還を請求できる。債務者がその反対給付の返還が困難なとき、受益者はその価額償還を請求できる
受益者の債権回復
第425条の3 債務者の債務消滅行為が取り消された場合(第424条の4の場合を除く)受益者が債務者から受けた給付を返還し又はその価額を償還したとき受益者の債務者に対する債権は原状に復する
詐害行為取消請求を受けた転得者の権利)
第425条の4 債務者の行為が転得者に対する詐害行為取消請求によって取り消されたとき、その転得者は次の各号に掲げる区分に応じ、各号に定める権利を行使できる。ただし、その転得者がその前者から財産を取得するためにした反対給付又はその前者から財産を取得することで消滅した債権価額を限度とする
 第425条の2に規定する行為が取り消された場合 その行為が受益者に対する詐害行為取消請求により取り消されたとすれば、同条規定により生ずべき受益者の債務者に対する反対給付の返還請求権又はその価額の償還請求権
 前条に規定する行為が取り消された場合(第424条の4の規定による取消を除く) その行為が受益者に対する詐害行為取消請求により取り消されたとすれば、前条規定により回復すべき受益者の債務者に対する債権
第426条 詐害行為取消請求の訴え債務者が債権者を害すると知って行為したことを債権者が知った時から2年経過すると提起できない行為の時から10年経過したときも同様とする

多数当事者の債権債務
法令の規定や当事者の意思表示がない場合、原則、分割債権分割債務となる
 
不分割債権・債務
性質上、不可分である場合
例:共有物の賃貸借契約に基づき明渡請求する場合
 
不可分債権
①対外的効力、②債権者の一人に生じた事由→連帯債権の規定が準用される ★改正 428条
但し、433条(更改、免除)、435条(混同)を除く 
不可分債権は性質上分けられない債権であり、性質上可分であるのに債権者が合意によって連帯特約を結んだ連帯債権とは異なるから更改、免除、混同のときにまで絶対効とすることは適当でない。(債権者の一人に混同が生じても他の債権者は債務者に履行請求できる

不可分債権
第428条 連帯債権の規定(第433条及び第435条の規定を除く)は債権の目的がその性質上不可分である場合、数人の債権者があるときに準用する

不可分債務
①対外的効力、②債務者の一人について生じた事由、③求償ほか内部関係→連帯債務の規定が準用される ★改正 430条
但し、440条(混同)を除く
連帯債務の規定を準用するので、更改が生じたときは絶対効

不可分債務
第430条 連帯債務の規定(第440条の規定を除く)債務の目的がその性質上不可分である場合、数人の債務者があるときに準用する
連帯債権者による履行請求等
第432条 債権の目的がその性質上可分である場合、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債権を有するとき各債権者全ての債権者のため全部又は一部の履行を請求でき債務者全ての債権者のため各債権者に対し履行できる
連帯債権者の一人との更改又は免除
第433条 連帯債権者の一人と債務者の間に更改又は免除があったときその連帯債権者が権利を失わなければ分与される利益に係る部分について他の連帯債権者は履行請求できない
連帯債権者の一人との相殺
第434条 債務者連帯債権者の一人に対して債権を有する場合その債務者が相殺を援用したときその相殺他の連帯債権者に対しても効力を生ずる
連帯債権者の一人との混同
第435条 連帯債権者の一人と債務者の間に混同があったとき債務者は弁済したものとみなす
相対的効力の原則
第435条の2 第432条から前条までに規定する場合を除き連帯債権者の一人の行為又は一人に生じた事由は他の連帯債権者にその効力を生じない。ただし、他の連帯債権者の一人及び債務者が別段の意思を表示したとき、当該他の連帯債権者に対する効力はその意思に従う

連帯債権 ★改正 432条以下
性質上可分 
法令の規定、当事者の意思表示

対外的効力 債権者は単独で履行請求できる
債権者の一人について生じた事由
 原則相対効 ★435条の2
 例外絶対効 請求(★432条)、更改・免除(★433条)、相殺(★434条)、混同(435条)
内部関係 各持分割合に応じて利益の分与請求できる

連帯債務 ★436条以下
性質上可分
法令の規定、当事者の意思表示による連帯特約

対外的効力 債権者は債務者の一人に対し又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し全部又は一部の履行請求ができる
債務者の一人について生じた事由
原則:相対効 ★441条
    ★履行の請求、免除、時効の完成は相対効
例外: 絶対効 弁済 更改(★438条)、相殺(★439条1項)相殺援用をしない間、他の債務者は負担部分のみ履行拒絶(★439条2項)、混同(★440条)
内部関係
求償権 ★442条1項
趣旨:連帯債務者相互間の公平
事前の通知 
事後の通知
償還無資力者がいる場合の処理

連帯債務者に対する履行請求
第436条 債務の目的がその性質上可分である場合、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担するとき債権者はその連帯債務者の一人に対し又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し全部又は一部の履行を請求できる
連帯債務者の一人との更改
第438条 連帯債務者の一人と債権者の間に更改があったとき債権は全ての連帯債務者の利益のために消滅する
連帯債務者の一人による相殺等
第439条 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合その連帯債務者が相殺を援用したとき、債権は全ての連帯債務者の利益のために消滅する
 前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間その連帯債務者の負担部分の限度において他の連帯債務者は債権者に対して債務の履行を拒むことができる
連帯債務者の一人との混同
第440条 連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったとき、その連帯債務者は弁済をしたものとみなす
相対的効力の原則
第441条 第438条、439条第一項及び前条に規定する場合を除き連帯債務者の一人について生じた事由は他の連帯債務者に対してその効力を生じない。ただし、債権者及び他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示したとき、当該他の連帯債務者に対する効力はその意思に従う
連帯債務者間の求償権
第442条 連帯債務者の一人が弁済をしその他自己の財産をもって共同免責を得たときその連帯債務者はその免責額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず他の連帯債務者に対しその免責を得るために支出した財産額(その財産額が共同免責額を超える場合はその免責額のうち各自の負担部分に応じた額の求償権を有する
 前項の規定による求償は弁済その他免責があった日以後の法定利息及び避けられなかった費用その他の損害賠償を包含する
保証人の責任等
第446条 保証人は主たる債務者がその債務を履行しないときその履行をする責任を負う
 保証契約は書面でしなければその効力を生じない
 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたとき、その保証契約は書面によってされたものとみなし前項の規定を適用する。

保証債務
総論
人的担保
 ∴物的担保の典型である抵当権を思い出しながら、保証に特有のものだけ押さえればよい
補充性→催告の抗弁検索の抗弁

成立要件→書面で行う必要 要式契約  446条
財産法において要式性を要求するのはここだけ

債権者の情報提供義務 ★改正 458条

保証債務の効力
抗弁権(対外的効力)
保証人の抗弁権 催告の抗弁検索の抗弁
付従性に基づく抗弁
 主たる債務者の抗弁 ★457条2項
 主たる債務者の取消権・解除権・相殺権 ★457条3項
主たる債務者・保証人に生じた事由の効力 
主たる債務者に生じた事由の効力 ★457条1項 保証債務の付従性
保証人に生じた事由の効力 
内部関係(求償権)
委託を受けた保証人
事後求償権 弁済期後 ★459条1項 弁済期前 ★459条の2
事前求償権 460条
委託を受けない保証人
主たる債務者の意思に反しないとき ★462条1項、459条の2第1項
主たる債務者の意思に反するとき ★462条の2前段

主たる債務者について生じた事由の効力)
第457条 主たる債務者に対する履行請求その他の事由による時効完成猶予及び更新保証人にもその効力を生ずる
 保証人主たる債務者が主張できる抗弁をもって債権者に対抗できる
 主たる債務者債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を有するときこれらの権利行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において保証人は債権者に対して債務履行を拒むことができる
連帯保証人について生じた事由の効力)
第458条 第438条、第439条第一項、第440条及び第441条の規定は、主たる債務者と連帯して債務を負担する保証人について生じた事由について準用する。
主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務
第458条の2 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合保証人の請求があったとき債権者は保証人に遅滞なく主たる債務の元本及び主たる債務の利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない
主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務
第458条の3 主たる債務者が期限の利益を喪失したとき債権者は保証人に対しその利益の喪失を知った時から2ヵ月以内にその旨を通知しなければならない
 前項の期間内に同項の通知をしなかったとき債権者は保証人に対し主たる債務者が期限の利益を喪失した時から同項の通知をするまでに生じた遅延損害金(期限の利益を喪失しなかったとしても生ずべきものを除く)に係る保証債務の履行を請求できない
 前二項の規定は保証人が法人である場合には適用しない

物上保証 ⇔ 保証
物上保証人には債務はないため、事前求償権は認められない
債務者の被担保債権の承認があれば、担保権の付従性により、物上保証人が消滅時効更新の効力を否定することは許されない

連帯保証
対外的効力 催告の抗弁検索の抗弁分別の利益なし
連帯保証人に生じた事由
主たる債務者に生じた事由 ★457条 保証債務の付従性により、原則連帯保証人にも効力が生じる
連帯保証人に生じた事由 ★458条 
原則 主たる債務を消滅させる行為以外は相対効(主たる債務者に影響を及ぼさない)
例外 更改(★438条)、相殺(★439条1項)、混同(440条) 絶対効(主たる債務者に影響を及ぼす)

委託を受けた保証人の求償権
第459条 主たる債務者の委託を受けた保証人が主たる債務者に代わって弁済その他自己の財産をもって債務の消滅行為をしたときその保証人は主たる債務者に対しそのために支出した財産の額(その額がその債務の消滅行為によって消滅した主たる債務額を超える場合は消滅した額)の求償権を有する
 第442条第二項の規定は、前項の場合について準用する。
委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権)
第459条の2 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をしたときその保証人は主たる債務者に対し主たる債務者がその当時利益を受けた限度において求償権を有する。この場合、主たる債務者が債務の消滅行為の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するとき、保証人は債権者に対しその相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求できる
 前項の規定による求償は主たる債務の弁済期以後の法定利息及びその弁済期以後に債務の消滅行為をしたとしても避けることができなかった費用その他の損害賠償を包含する
 第一項の求償権は、主たる債務の弁済期以後でなければこれを行使できない。
委託を受けた保証人の事前の求償権
第460条 保証人は主たる債務者の委託を受けて保証をした場合、次に掲げるときは主たる債務者に対してあらかじめ求償権を行使できる
 主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ債権者がその破産財団の配当に加入しないとき
 債務が弁済期にあるとき。ただし、保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は保証人に対抗できない
 保証人が過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき
主たる債務者が保証人に償還する場合
第461条 前条の規定により主たる債務者が保証人に償還する場合、債権者が全部の弁済を受けない間、主たる債務者は保証人に担保を供させ、又は保証人に対して自己に免責を得させることを請求できる
 前項に規定する場合、主たる債務者は供託をし担保を供し又は保証人に免責を得させて、その償還義務を免れることができる。
委託を受けない保証人の求償権
第462条 第459条の2第一項の規定は、主たる債務者の委託を受けないで保証をした者が債務の消滅行為をした場合について準用する
 主たる債務者の意思に反して保証した者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する。この場合、主たる債務者が求償の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するとき、保証人は債権者に対しその相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求できる
 第459条の2第三項の規定は、前二項に規定する保証人が主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をした場合における求償権の行使について準用する。

根保証 
個人根保証契約の保証人 ★465条の2
 極度額(担保の上限)を定めなければ無効
 極度額書面に記載しなければ無効
個人貸金等根保証契約の保証人 ★465条の3
事業にかかる債務についての保証契約の特則 ★465条の6
 原則 個人による根保証を無効 
 例外 保証意思宣明の公正証書による場合
    経営者保証の場合
 主たる債務者の情報提供義務 ★465条の10

個人根保証契約の保証人の責任等)
第465条の2 一定の範囲に属する不特定債務を主たる債務とする保証契約根保証契約保証人が法人でないもの個人根保証契約の保証人は主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額についてその全部に係る極度額を限度に履行する責任を負う
 個人根保証契約は前項に規定する極度額を定めなければその効力を生じない
 第446条第二項及び第三項の規定は、個人根保証契約における第一項に規定する極度額の定めについて準用する。[2 保証契約は書面でしなければその効力を生じない、3 電磁的記録]
個人貸金等根保証契約元本確定期日
第465条の3 個人根保証契約で主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれる個人貸金等根保証契約において主たる債務の元本確定期日の定めがある場合元本確定期日が個人貸金等根保証契約の締結日から5年を経過する日より後のとき、その定めは効力を生じない
 個人貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがない場合(前項の場合を含む)、その元本確定期日は個人貸金等根保証契約の締結日から3年を経過する日とする
 個人貸金等根保証契約における元本確定期日の変更をする場合変更後の元本確定期日がその変更日から5年を経過する日より後のときは、その元本確定期日の変更はその効力を生じない。ただし、元本確定期日の前2ヵ月以内に元本確定期日の変更をする場合、変更後の元本確定期日が変更前の元本確定期日から5年以内となるときはこの限りでない
 第446条第二項及び第三項の規定は個人貸金等根保証契約における元本確定期日の定め及びその変更(個人貸金等根保証契約の締結日から3年以内の日を元本確定期日とする旨の定め及び元本確定期日より前の日を変更後の元本確定期日とする変更を除くについて準用する。
公正証書の作成保証の効力
第465条の6 事業のため負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業に負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、契約締結に先立ち締結日前1ヵ月以内に作成された公正証書で保証人になる者が保証債務履行する意思表示をしなければ効力を生じない
 前項の公正証書を作成は次に掲げる方式に従わなければならない。
 保証人になる者が次の契約区分に応じそれぞれに定める事項を公証人に口授すること
 保証契約(ロを除く) 主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の元本、主たる債務の利息違約金損害賠償その他その債務に従たる全ての定めの有無及びその内容並びに主たる債務者が債務を履行しないときその債務全額について履行する意思保証人になる者が主たる債務者と連帯して債務を負担する場合、債権者が主たる債務者に対して催告したかどうか、主たる債務者がその債務を履行できるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思を有していること
 根保証契約 主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の範囲根保証契約における極度額元本確定期日の定めの有無及びその内容並びに主たる債務者が債務を履行しないとき極度額の限度において元本確定期日又は第465条の4第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由その他の元本を確定すべき事由が生ずる時までに生ずべき主たる債務の元本及び主たる債務の利息違約金損害賠償その他その債務に従たる全ての全額について履行する意思保証人になる者が主たる債務者と連帯して債務を負担する場合、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行できるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思を有していること
 公証人が保証人になる者の口述を筆記し、これを保証人になる者に読み聞かせ又は閲覧させること。
 保証人になる者が筆記の正確なことを承認した後、署名し印を押すこと。ただし、保証人になる者が署名できない場合は公証人がその事由を付記し署名に代えることができる
 公証人がその証書は前三号の方式に従って作った旨を付記しこれに署名し印を押すこと。
 前二項の規定は、保証人になる者が法人である場合は適用しない
契約締結時の情報の提供義務
第465条の10 主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証を委託するとき、委託を受ける者に次の事項に関する情報を提供しなければならない
 財産及び収支の状況
 主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況
 主たる債務の担保として他に提供し又は提供するものがあるときはその旨及びその内容
 主たる債務者が前項各号に掲げる事項の情報を提供せず又は事実と異なる情報を提供したため委託を受けた者がその事項について誤認して保証契約の申込み又は承諾の意思表示をした場合、主たる債務者がその事項に関して情報を提供せず又は事実と異なる情報を提供したことを債権者が知り又は知ることができたとき、保証人は保証契約を取り消すことができる
 前二項の規定は、保証をする者が法人である場合には適用しない

債権譲渡 ★改正 466条2項~3項

債権譲渡: 債権をその同一性を失わせないで第三者に移転すること

原則: 自由譲渡

例外  

  • 性質 例) 自己に対する一定の教育の提供
  • 法律 扶養請求権、恩給請求権、健康保険給付請求権など
  • 意思表示譲渡制限特約

 →譲渡制限特約違反しても債権譲渡は有効(★466条2項 債権的効力説の採用)

 ただし、譲渡制限特約につき悪意重過失の第三者に対し履行を拒絶でき、かつ譲渡人に対する弁済その他の債務消滅事由をもって対抗できる(★466条3項)

 →債務者が履行拒絶権を行使すると譲受人は債務者に履行請求できない。また、債権譲渡が有効なため、譲渡人も請求できない。この場合、譲受人は債務者に相当の期間を定めて譲渡人に履行するよう催告でき相当期間内に履行されないとき、債務者は譲受人に履行しなければならない(★466条4項 膠着状態の回避)

デッドロック状態: 債務者は悪意重過失の譲受人に対し履行請求を拒むことができ、債権譲渡人は(債権譲渡が有効であるため)債務者に対し履行請求できない状態
債権の譲渡性
第466条 債権は譲渡できる。ただし、その性質がこれを許さないときはこの限りでない
 当事者が債権譲渡禁止又は譲渡制限の意思表示をしたときでも債権譲渡は有効である
 前項に規定する場合、譲渡制限の意思表示について悪意重過失の譲受人その他の第三者に対し債務者はその債務履行を拒むことができ、かつ譲渡人に対する弁済その他債務消滅事由をもってその第三者に対抗できる
 前項の規定は債務者が債務履行しない場合、同項に規定する第三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行を催告しその期間内に履行がないとき、その債務者には適用しない
assignment of chose in action

供託できる場合 ★466条の2

差押えされた場合 ★466条の4

 原則、債務者は対抗できない。∵私人間の契約によって差押禁止財産をつくれない

 例外 悪意又は重過失の譲受人の債権者が差し押さえた場合

預貯金債権の例外 ★466条の5

 悪意重過失の譲受人に対しては譲渡の効力が生じない債権者はなお譲渡人のまま

将来債権の譲渡 ★466条の6

譲渡制限の意思表示がされた債権に係る債務者の供託
第466条の2 債務者は、譲渡制限の意思表示がされた金銭給付目的の債権が譲渡されたときその債権の全額に相当する金銭を債務の履行地(債務の履行地が債権者の現在の住所により定まる場合は譲渡人の現在の住所を含む)の供託所に供託できる
 前項の規定により供託した債務者は遅滞なく譲渡人及び譲受人に供託の通知をしなければならない
 第一項の規定により供託した金銭は譲受人に限り還付請求できる
第466条の3 前条第一項規定の場合、譲渡人に破産手続開始の決定があったとき譲受人(同項の債権全額の譲受者でその債権譲渡を債務者その他の第三者に対抗できるものに限る)譲渡制限の意思表示について悪意又は重過失であっても債務者に債権全額に相当する金銭を債務履行地の供託所に供託させることができる。この場合、同条二項三項の規定を準用する。
譲渡制限の意思表示がされた債権の差押え
第466条の4 第466条第三項の規定(債務者の拒絶権)は、譲渡制限の意思表示がされた債権に対する強制執行をした差押債権者に対しては適用しない
 前項の規定にかかわらず、譲受人その他の第三者が譲渡制限の意思表示について悪意重過失の場合その債権者が同項の債権に対し強制執行したとき、債務者は債務履行を拒絶でき、かつ譲渡人に対する弁済その他の債務消滅事由をもって差押債権者に対抗できる
預金又は貯金債権に係る譲渡制限の意思表示の効力)
第466条の5 預金口座又は貯金口座に係る預貯金債権について当事者がした譲渡制限の意思表示は、第466条第二項の規定(債権譲渡の有効性)にかかわらず、その譲渡制限の意思表示につき悪意重過失の譲受人その他の第三者に対抗できる
 前項の規定は、譲渡制限の意思表示がされた預貯金債権に対し強制執行した差押債権者には適用しない
将来債権の譲渡性
第466条の6 債権の譲渡はその意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない
 債権が譲渡された場合その意思表示の時に債権が現に発生していないとき譲受人は発生した債権を当然に取得する
 前項に規定する場合、譲渡人が次条の規定による通知をし、又は債務者が対抗要件具備時までに譲渡制限の意思表示がされたときは、譲受人その他の第三者がそのことを知っていたものとみなして、第466条第三項(債務者の拒絶権)、譲渡制限債権が預貯金債権の場合は前条第一項(第三者に対抗権)の規定を適用する。
債権譲渡における債務者の抗弁
第468条 債務者対抗要件具備時までに譲渡人に生じた事由により譲受人に対抗できる
 第466条第四項の場合、前項の規定適用は同項中「対抗要件具備時」は「第466条第四項の相当の期間を経過した時(第三者が相当期間を定めて譲渡人に履行を催告)」、第466条の3の場合における同項の規定適用は同項中「対抗要件具備時」は「第466条の3の規定により同条の譲受人から(供託請求を受けた時)」とする。
債権譲渡における相殺権
第469条 債務者対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗できる
 債務者が対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債権であっても、次に掲げる債権のときは前項と同様とする。ただし、債務者が対抗要件具備時より後に他人の債権を取得したときはこの限りでない
 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権
 前号のほか譲受人の取得債権の発生原因である契約に基づいて生じた債権
 第466条第四項の場合における前二項の規定の適用については、これらの規定中「対抗要件具備時」は「第466条第四項の相当の期間を経過した時(第三者による履行催告)」、第466条の3の場合におけるこれらの規定の適用については、これらの規定中「対抗要件具備時」は「第466条の3の規定により同条の譲受人から供託の請求を受けた時」とする。
併存的債務引受の要件及び効果
第470条 併存的債務引受の引受人は債務者と連帯し、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する。
 併存的債務引受は債権者と引受人となる者との契約によってできる。
 併存的債務引受は債務者と引受人となる者との契約によってもできる。この場合、併存的債務引受は債権者が引受人となる者に承諾した時にその効力を生ずる
 前項の規定による併存的債務引受は第三者のための契約に関する規定に従う。
併存的債務引受における引受人の抗弁等
第471条 引受人は、併存的債務引受により負担した自己の債務について、その効力が生じた時に債務者が主張できた抗弁をもって債権者に対抗できる
 債務者が債権者に対して取消権又は解除権を有するとき、引受人はこれらの権利行使によって債務者がその債務を免れるべき限度において債権者に対し債務履行を拒むことができる。
免責的債務引受の要件及び効果
第472条 免責的債務引受の引受人は債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担し、債務者は自己の債務を免れる。
 免責的債務引受は債権者と引受人となる者との契約によってできる。この場合、免責的債務引受は債権者が債務者に対し契約した旨を通知した時にその効力を生ずる。
 免責的債務引受は債務者と引受人となる者が契約をし、債権者が引受人となる者に対して承諾をすることによってもすることができる。
免責的債務引受における引受人の抗弁等
第472条の2 引受人は免責的債務引受により負担した自己の債務について、その効力が生じた時に債務者が主張できた抗弁をもって債権者に対抗できる。
 債務者が債権者に取消権又は解除権を有するとき、引受人は免責的債務引受がなければこれらの権利行使によって債務者がその債務を免れることができた限度において、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。
免責的債務引受における引受人の求償権
第472条の3 免責的債務引受の引受人は債務者に対して求償権を取得しない
免責的債務引受による担保の移転
第472条の4 債権者は第472条第一項の規定により債務者が免れる債務の担保として設定された担保権を引受人が負担する債務に移すことができる。ただし、引受人以外の者がこれを設定した場合には、その承諾を得なければならない。
 前項の規定による担保権の移転はあらかじめ又は同時に引受人に対してする意思表示によってしなければならない。
 前二項の規定は第472条第一項の規定により債務者が免れる債務保証した者があるときに準用する。
 前項の場合において、同項で準用する第一項の承諾は書面でしなければ効力を生じない。
 前項の承諾がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その承諾は、書面によってされたものとみなして、同項の規定を適用する。

債務者に対する対抗要件
通知又は承諾

  • 通知をするのは誰か→譲渡人、代位はできない
  • ∵譲受人からの通知を認めると、詐称譲受人から虚偽の通知がなされるおそれがあるから。
    承諾をする相手は誰か→譲渡人又は譲受人
  • 債務者の抗弁権 ★468条1項
  • 債務者の総債権 ★469条1項

債務者以外の第三者に対する対抗要件
確定日付のある通知又は承諾

二重譲渡の場合の優劣関係
一方のみ確定日付→確定日付ある方が優先
双方に確定日付 

異時送達→先に到達した方
同時送達→いずれも全額弁済請求可能

債務引受 ★470条以下

  • 免責的債務引受
  • 併存的債務引受

図を再現し、相違点を確認

竹内民法04