진달래꽃

第1回

ナレーター:詩には風景があります。それぞれの詩にどんな風景があるのか想像してみると、その詩の姿がはっきりと浮かび上がってまいります。今回のハングルの詩はどんな風景のどんな詩なのでしょうか。

独断と偏見でお馴染なじみの歌樽先生が、詩のある風景の現場にすでに到着なさっているようです。では、現地の詩子うたこアナウンサーを呼んでみましょう。詩子アナ、現地の模様はいかがでしょうか。

http://bucheon.tistory.com/1657

詩子アナ:はい、こちら詩子です。現地には連翹レンギョウとツツジが満開です。家族連れも多いですね。歌樽先生に伺ってみましょう。今回の詩のキーとなるハングルは、ずばり何でしょうか。

歌樽先生:ずばーり……難しいですね。

詩子アナ:その難しいところを何とか「ずばーり」お願いします。

歌樽先生:「사뿐히 즈려 밟고 가시옵소서. 」でしょうかね。

詩子アナ:ずばーり、사뿐히 즈려 밟고 가시옵소서.、いただきました!

さて、今回の詩のキーハングル「사뿐히 즈려 밟고 가시옵소서.(直訳)軽く踏みしめお行きください」の入った詩とは、どんな詩でしょうか。まず詩の朗読を聴いてみましょう。

詩子アナ:金素月の詩「진달래꽃 つつじの花」ですね。男性の朗読も聴いてみたいのですが。

歌樽先生:はい、では男の子が暗唱しているのを聴いてみましょう。

詩子アナ:歌はないのですか。

歌樽先生:歌もありますよ。

詩子アナ:なかなかすばらしい歌ですね。

歌樽先生:韓国人が最も好きな詩の1つですからね。

http://blog.daum.net/skynaerin/6048296

詩子アナ:金素月の詩には、何度も作品を手直ししているものがあると聞いていますが、この「つつじの花」も何度か手を入れているのですか。

歌樽先生:今回はなかなか鋭い突込みから入ってきましたね。ずいぶん進歩しましたね。

詩子アナめられると、先が思いやられます。お手柔てやわらかにお願いします。

歌樽先生:実は、先ほどの「사뿐히 즈려 밟고 가시옵소서.」ですが、1922年の『開闢かいびゃく』25号(pp. 146-147)には「고히나 즈려밟고 가시옵소서.」となっているんです。「사뿐히 즈려 밟고 가시옵소서.」のほうは1925年の『진달래꽃』初版本のものです。

詩子アナ:고히나 ですか。

歌樽先生:「고히」に関心があるようですね。「고히나」だけではなく、他にも「말없이 고이 보내 드리우리다. (直訳)黙ってそっとお送りいたしましょう」の「고이」が『開闢』25号では「고히고히」となっています。

詩子アナ:これは「恋」でしょうかね。

歌樽先生:さすが、目の付け所が違いますね。

詩子アナ:ヤッター!幸先さいさきよし‼

歌樽先生:ではここで、問題をだしましょう。

第1問:「고이」にはいろんな意味があります。次の内どの意味を持つでしょうか。

1)僧侶   2)尼   3)僧侶の出家前の妻   4)尼の出家前の夫

詩子アナ:えっ?「こい」が出家の話ですか。まいりました!少々お待ちを。

http://stdweb2.korean.go.kr/main.jsp

第1問:答えは3)です。「比丘(비구)が出家する前の妻」とあります。「比丘」は男の僧侶で、「比丘尼(비구니)」は女の僧侶ですから。

歌樽先生:今回はいろいろと調べてみることにしましょう。

第2回

詩子アナ:「こい」という音から「恋、故意、請い、来い」などを思い浮かべましたが、そういうことではなかったんですね。

歌樽先生:素月は日本語でも詩を書いていますし、英語やフランス語もできたようですから、いろんな言語で考えることはマイナスではないと思いますよ。

まず、第1連の部分を確認しておきましょう。

詩子アナ:はい。第1連をみてみます。

나 보기가 역겨워
가실 때에는
말없이 고이 보내 드리우리다

歌樽先生粗訳あらやくをつけてみましょう。

詩子アナ:直訳型でまずやってみます。

私に会うのがおいやになり
去ってお行きになる時は
黙ってそっとお送りましょう

歌樽先生:これで意味が分かりますね。

詩子アナ:やや無理がありますが、7・5調にしてみました。では、意訳型でやってみます。

会うもお嫌の
別れなら
黙ってそっとお見送り

歌樽先生:原詩は7-5-5-7で、訳は7-5-7-5ですから、全体では原詩の文字数に合わせていますね。「가실」の意味を考えてみましょう。

第2問:2行目の 가실 は 가시다 (お行きになる)+ㄹ ですが、仮りに 가실 を名詞と見た場合に生じる意味のうち、一つだけ違うものがあります。それはどれでしょうか。

1)夫   2)妻   3)家庭   4)家族

詩子アナ:これは難題ですね。第1問の流れからすると、「妻」がポイントのようですから、答えは夫か妻かになるようですね。

歌樽先生:ということは?

詩子アナ: 가실「家室」で「家内」といった意味のようですから、分かりました。

第2問:一つ違うものは1)夫、です。

歌樽先生:なかなかいい調子ですね。가실「佳実」で「味も質もよい果物」という意味もあります。

第3問:3行目の 말없이 の 말 にもいろんな意味がありますが、次のうち一つだけ違うものがあります。それはどれでしょうか。

1)馬   2)言葉   3)将棋の駒   4)餞(はなむけ)

詩子アナ:1)~3)は知っていますから、、、

第3問:答えは4)はなむけです。

歌樽先生:そうですね、말 には餞という意味はありませんね。

第4問:本来、「はなむけ」の「はな」とは何のことでしょうか。

1)鼻   2)花   3)端   4)華

詩子アナ:「つつじの花」という題ですから、ここは「花」との関連以外は答がないような問題のように思えるのですが、そこが落とし穴かもしれないという気もしますが。「はなむけ」の「むけ」は「向け」でしょうから、これに合ったものを探す必要があるようですね。

詩子アナ:ヒントを少しいただければ、、、

歌樽先生:ヒントですか、第4問の選択肢と関係があります。

詩子アナ:ああ、思い出しました。

第4問:答えは1)鼻、です。

歌樽先生:よく思い出しましたね。

詩子アナ:はい、土佐日記に「船路なれどむまのはなむけす」というのがあったような気がします。「むま」とは「馬」のことですから、「鼻」です。

第3回

歌樽先生:「馬の鼻向け」というのは、旅に立つ人の安全を祈り、乗っていく馬の鼻を進む方向に向けることを言うのですが、道中の安全祈願を込めて宴会や餞別をしたり、詩歌も送ったようで、これが「餞(はなむけ)」とか「餞別せんべつ」という言葉として残っているんですね。

詩子アナ:では、「말없이」というのは、別れに当たって「言葉なく」つまり「ぐだぐだ言わず、静かに、そっと」という意味の他に「餞別なしに」といった意味を掛けている訳ですか?

歌樽先生:そうではないでしょうが、「馬の鼻向け」という言葉を知っていれば、「말없이」の「말」から「別れ」を連想することはできるかもしれませんね。

では、第2連の部分を確認しておきましょう。

詩子アナ:はい。第2連をみてみます。粗訳あらやくをつけてみます。

  • 寧邊(녕변)에 薬山(약산)     寧邊に薬山
  • 진달래꽃    つつじ花
  • 아름따다 가실 길에 뿌리우리다    
  •  いっぱいお道に撒きましょう

歌樽先生:寧邊(녕변)の近くに薬山東台というつつじの名所があります。

第5問:日本で古くから歌にうたわれた名所は何といわれるでしょうか。

1)枕詞   2)序詞   3)歌枕   4)掛詞

詩子アナ:百人一首で山とか川とかがあったようですが、分かりました。1)、2)、4)は習った覚えがありますので・・・

第5問:答えは3)歌枕、です。

薬山は歌でまれていたのですか。

歌樽先生:「寧邊歌」という歌がありますね。

http://music.bugs.co.kr/newPlayer?trackId=185715&autoplay=true

노자 에 노자 노자 아하 아하 젊어서 노잔다  
(遊ぼや、さ、遊ぼや、遊ぼや、そやそや、若いうっちや遊ぼや)
나이 많아 병이나 들며는 못 노리로다
(老いて病気にでもなりゃ遊べん遊べん)
영변에 약산에 동대로다 아하 아하 아하 아하・・・
(寧邊にゃ薬山東台があるやん、そやそやそやそや・・・)

詩子アナ:東台というのが薬山にあるようですね。

歌樽先生:下の地図の縦書きの「藥山(약산)」の右に、「東臺」と右から書いてあるのが薬山の東台です。ここがつつじの花の名勝地とされています。   

http://panzercho.egloos.com/v/10077275

第6問:この寧邊の薬山東台は北緯でいうと日本のどの市に近いでしょうか。

1)札幌市   2)盛岡市   3)水戸市   4)金沢市

第4回

詩子アナ:ソウルが新潟あたりと聞いていますから、寧邊はソウルより北ですよね。

歌樽先生:つつじの花は「かおりも」いいですね。

詩子アナ:つつじの蜜を子供の頃吸いました。匂いはよく分かりませんが。これ、ヒントですか?

歌樽先生:ヒントですよ。

詩子アナ:「かおり」がヒントですか。

歌樽先生:「かおり」ではなく「かおりも」がヒントです。

詩子アナ:「かおりも」ですか。なーるほど、強烈なヒントですね、やっと調子が出てきました。逆から読めばいいのであーる。「かおりも→もりおか」なので、

第6問:答えは、2)盛岡市 です。

素月は詩の中で寧邊以外の地名が出てくるのですか。

歌樽先生:『つつじの花』という詩集では、10ほどの詩に地名が使われていますね。仁川、平壌、定州、ソウル、南原などが出てきます。

ここでタイトルの「つつじ」関連のことについて少し考えてみましょう。

第7問:「つつじ」と最も関連の深い鳥は何でしょうか。

1)ふくろう   2)つばめ 3)おしどり   4)ほととぎす

詩子アナ:「松に鶴」「梅に鶯」のように考えればいいのでしょうか?

歌樽先生:それは花札ですね。花札には「ふくろう」と「おしどり」は出てきませんが、「つばめ」と「ほととぎす」は出てきますね。

詩子アナ:ネタバレですね。このあいだ京都で小野道風ゆかりの柳というのを見つけました。

歌樽先生:東寺の入り口を入ってすぐ左にある池ですね。浄瑠璃や歌舞伎で演じられた小野道風おののとうふう青柳硯あおやぎすずり蛙飛かえるとびの場」を指しているようですね。ではここで問題を出しましょう。

第8問:日本の花札と韓国の花札では花の月が違うものがあります。それは次のどれでしょう。

  • 1) 2月と3月が逆   
  • 2) 4月と5月が逆
  • 3) 8月と9月が逆   
  • 4) 11月と12月が逆

詩子アナ:まだ第7問が終わっていないんですが。

歌樽先生:では、出しついでにもう一問、続けましょう。

第9問:日本の花札と韓国の花札では絵柄が違うものがあります。それは次のどれでしょう。

1)鶴のくちばしの向き   2)鶯の向き 3)雁の数   4)小野道風の履物

詩子アナ:「つつじ」とはあまり関係のない問題のようですが・・・・

歌樽先生:直接関係のないようなものも知っていて、損はありませんよ。

詩子アナ:損はありませんか。確かにそういわれると反論はしにくいですね・・・・

第5回

歌樽先生:「ソン」にもいろんな「ソン」がありますね。

詩子アナ:これがヒントらしいですね。では第7問から順にいきます。

第7問:答えは、4)ほととぎす、です。

第8問:答えは、4)11月と12月が逆、です。

第9問:答えは、4)小野道風の履物、です。

歌樽先生:全て正解です。

詩子アナ:ヤッター‼

歌樽先生:どんな道から答えに近づきましたか。

詩子アナ:まず第7問ですが、「ほととぎす」の漢字を調べたところ、「杜鵑、不如帰、時鳥、杜宇、子規、郭公、蜀魂、沓手鳥、霍公鳥」などいろいろでした。

「そんなにあるのか」というほどあって、驚きました。また、「杜鵑花(とけんか)」というのが「つつじ」のことのようですから、これはもう間違いないということで、「ほととぎす」に辿り着きました。

歌樽先生:「そんなにあるのか」ということですか、なるほど。

詩子アナ:第8問ですが、11月と12月は「柳」と「桐」ですが、どちらも「そんなはずがない」季節に割り当てられているので、これは逆になっても大丈夫ではないかと思いました。

歌樽先生:「そんなはずがない」ということですか、なるほど。

詩子アナ:第9問ですが、「ソン:손」、つまり「手」かと思いきや、「ソンではなく」、「足」ではないかと、そうすると、履物になります。

歌樽先生:推理の根拠は正しくなくても、答えに近づけるというのは不思議ですね。

金素月は「ほととぎす」という詩を書いていますので、機会があれば読んでみましょう。継母に苛められて亡くなった姉のお墓からはつつじが咲き、姉はホトトギスになって残された9人の弟たちのことを思って啼くという伝説があります。

詩子アナ:そういう伝説があったのですか。それで「杜鵑(ほととぎす=とけん)」が「花」となって、「杜鵑(ほととぎす)の花」、つまり「杜鵑花(つつじ=サツキツツジ)」となるわけなんですね、なるほど、深いですねー。

歌樽先生:問8は日本の花札では「ピンからキリまで」の「キリ」最後なので、12月を「桐(きり)」にしたという話があります。韓国では「柳」のほうが「桐」よりも早いので、順序を代えたという説がありますね。

詩子アナ:「ピンからキリまで」ですか、昔の人は考えましたね。では、1月が「ピン」ですか?

歌樽先生:そうですね、「섣다 ソッタ」という花札2枚合わせのゲームでは9月と1月の組み合わせを「구삥 クッピン」と呼んでいますが、日本の「おいちょかぶ」からきているようですね。

詩子アナ:履物は日本と韓国ではどう違うのですか。

歌樽先生:左の3つの日本の花札では小野道風が高下駄を履いていますが、右の韓国のものはゴムシンと呼ばれる「ゴム靴」を履いています。       

http://indoor-mama.cocolog-nifty.com/turedure/2010/12/post-1702.html

http://happynomad.egloos.com/561435

詩子アナ:韓国のものは「光」の字が書かれていたり、同じようでもいろいろと違うんですね。

歌樽先生:実は花札としてはもっと根本的に違うところがあるんですが、これは実際に花札をやってみないと分かりません。

第6回

詩子アナ:それは何ですか。

歌樽先生:では、それを考えてみましょう。

第10問:現在一般に使用されている日本の花札と韓国の花札の根本的な違いとはなんでしょうか。

  • 1) 裏面の色   
  • 2) 側面のぎざぎざ感   
  • 3) カードの材質
  • 4) サイズの多様性

詩子アナ:色やサイズは見れば分かりますから、やってみなければ分からないのは、2)か3)ですね。どういう感じでプレイするんですか。

歌樽先生:韓国の花札遊びはカードを合わせるという風ではなく、叩くという感じですね。

詩子アナ:「つつじ」関連のことを知るのに、花札で足踏みしていいんでしょうか?

歌樽先生:それはまたなかなか鋭い指摘ですね。まず、第10問を済ませてからにしましょう。二種類の花札で実際にやってみましょう。下のカードに叩き付けるようにしてみてください。

詩子アナ:側面のぎざぎざ感はどちらもありませんね。カードをぶつけたときの音が違いますね。

第10問:答えは、3) カードの材質、です。

日本の花札は紙ですが、韓国の花札はパチンと音がしますから、紙ではないようです。

歌樽先生:しっかり音が出たほうが迫力がありますね。

第10問:では、つつじを漢字でかいてみましょう。

詩子アナ:つつじ、つつじ、と、漢字が出てきました。

第11問:「躑躅」です。

歌樽先生:これはすぐにさがせたようですね。では、次です。

第12問:「躑躅」の音読みはなんでしょうか。

詩子アナ:えっ?!音読みがあるんですか。音読み、音読み、足偏をとれば、「てい」「しょく」と読む字ですが・・・・

歌樽先生:では、二つの文字を別々にさがしてみましょう。

詩子アナ:漢和辞典で調べてみます。

「躑」→画数22、音読み:テキ 訓読み:たちもとお(る)
 意味: たちもとおる。行きつ戻りつする。立ち止まる。たたずむ。
「躅」→画数20、音読み:チョク 訓読み:ふ(む)
 意味: 立ち止まる。足ぶみする。たたずむ。

第12問:「躑躅」の音読みは「テキチョク」です。

歌樽先生:やっとさがせたようですね。

詩子アナ:「躑:テキ」も「躅:チョク」も同じような意味ですね。「躑躅:つつじ」はその漢字の「立ち止まる、たたずむ」などの意味とどんな関係があるんですか。

歌樽先生:「躑躅:テキチョク」に「足踏みすること、ためらうこと、躊躇すること」などの意味があります。

第12問:「テキチョク」と読めたところで、もう1つ別の「テキチョク」と読む漢字をさがしてみましょう。

詩子アナ:ありました。「彳:テキ」と「亍:チョク」の「彳亍」で「たたずむこと、少し行くこと」とあります。では「躑躅:テキチョク」と「彳亍:テキチョク」が漢字は全く違うのにほぼ同じような意味をもっているんですか、知りませんでした。

歌樽先生:調べついでに、もうひとつやっておきましょう。

第13問:「寧邊」と同じ発音の単語で、意味が異なるものをさがしましょう。

詩子アナ:それはすぐに調べられます。

第13問:「寧邊(녕변)」と同じ発音の言葉は「佞辯(녕변)」、意味は「へつらって、口先が巧みなこと、おべっかを使うこと」

歌樽先生:ツツジの別称についてみておきましょう。

第14問:「진달래꽃(つつじの花)」には別の呼び名があります。それは次のどれでしょうか。

1) 참꽃    2) 순꽃    3) 식꽃   4) 진꽃

詩子アナ:「つつじ」と同じ漢字の「躑躅花(척촉화)」は「진달래꽃」とは違うのですか。

歌樽先生:よく似ていますね。

第7回

詩子アナ:どこが違うんですか。

歌樽先生:例えれば「つつじ」と「さつき」の違いといったところでしょうかね。

「躑躅花(척촉화)」は「철쭉:クロフネツツジ」といわれています。「진달래」は食べられますが、「철쭉」は食べられません。葉よりも花が早く咲くのが「진달래」、葉が出てから花が咲くのが「철쭉」です。

진달래꽃  http://blog.daum.net/jshga/279

철쭉  http://itowa.tistory.com/941

詩子アナ:つつじは「連翹(れんぎょう)」や「さくら」のように花から先に咲くようですね。辞書で調べてみると、2) 순꽃、3) 식꽃、4) 진꽃の3つはありませんでした。

第14問:答えは、1) 참꽃、です。

「참」には「本当の、本物の」といった意味がありますが・・・・

歌樽先生:ここでの「참꽃」は「本当の花」という意味よりも「食べられるつつじ」のことを言っているようですね。

第15問:では、「참꽃」に対して、食べられないつつじは何というでしょうか。

1) 배꽃    2) 개꽃    3) 갈꽃     4) 불꽃

詩子アナ:1) は梨の花、3) は葦の花、4) は火花で、つつじとは関係がないようですから・・・・

第15問:答えは、2) 개꽃、です。

歌樽先生:そうですね、2) の「개꽃」は「食べられないつつじ」、つまり「철쭉」のことですね。あちらこちら遠回りしましたが、詩のほうに戻りましょう。

詩子アナ:はい。金素月が後に手直しをしたところはどこですか。

歌樽先生:1922年の『開闢』と1925年の初版本の『진달래꽃』と第2連を比べてみましょう。

寧邊엔 薬山(약산)
그 진달래꽃을
한아름 따다 가실 길에 뿌리우리다 (1922)

寧邊에 薬山(약산)
진달래꽃
아름 따다 가실 길에 뿌리우리다 (1925)

歌樽先生:1922年の『開闢』のものを粗訳してみましょう。

詩子アナ:「寧邊엔」と「寧邊에」、「그 진달래꽃을」と「진달래꽃」、「한아름 따다」と「아름 따다」の3箇所が違いますね。

寧邊には薬山
そのつつじ花を
一抱え摘みお道に撒きましょう

第8回

歌樽先生:では、1925年の初版本の『진달래꽃』のものを粗訳してみましょう。

詩子アナ

寧邊は薬山
つつじ花
摘んでは道に撒きましょう。

歌樽先生:いろんなことを考えて粗訳したようですね。

詩子アナ:ヤッター!先生に褒めていただけると嬉しいですね。

歌樽先生:「한아름 따다」を「아름 따다」に直した理由を考えてみましょう。

詩子アナ:ヒントなしですか?

歌樽先生:では問題を出しましょう。

第16問:「한아름 따다」を「아름 따다」に変えると連想しやすい言葉は次の内どれでしょうか。

  • 1) 아름거리다(うやむやにする)   
  • 2) 아름답다(美しい)
  • 3) 아름드리(一抱えに余る)       
  • 4) 아름차다(手におえない)

詩子アナ:これは「掛詞」という感じで考えればいいようですね。とすると、

第16問:答えは、2)아름답다(美しい)、です。

掛詞とすれば「美しいツツジの花を両手いっぱいに摘み取って」といった意味になります。

歌樽先生:では、そこをおさえて、3連を見ておきましょう。1922年の『開闢』と1925年の初版本の『진달래꽃』の中の「진달래꽃」とを比べてみましょう。

가시는 길 발걸음마다
뿌려노흔  그 꽃을
고히나 즈려밟고 가시옵소서. (1922)

가시는 걸음걸음
놓인 그 꽃을
사뿐이 즈려밟고 가시옵소서. (1925)

詩子アナ:1922年のものと1925年のものはずいぶん違いますね。

歌樽先生:3連の粗訳を付けておきましょう。

詩子アナ:まず、1922年のものから

お行きの道の歩みごと
撒いて置いた花
優しく踏みつけお行きください。 (1922)

行く歩みごと
敷きし花
軽く踏みつけ行きなされ。(1925)

歌樽先生:1922年の『開闢』と1925年の初版本の『진달래꽃』の「진달래꽃」との違いを確認しておきましょう。

第17問:つぎのうち、「가시는 길 발걸음마다」を「가시는 걸음걸음」と変えた理由と無関係のものはどれでしょうか。

  • 1) 第2連の「가실 길」との重複を避けた      
  • 2) 音数律の乱れを避けたかった
  • 3)「거름발:肥やしの効果」との連想を避けた   
  • 4)「발걸음마다」という説明調を避けた

詩子アナ:3)の「거름발」は「발걸음」からの連想ということですか?

第17問:答えは、3)です。詩の作り方とはあまり関係がないように思えますから。

歌樽先生:なるほど、初版本の『진달래꽃』では「걸음걸음」を「거름거름」と表記しています。

詩子アナ:「肥やし肥やし」と「歩ごとに」が同じ書き方なんですか。

歌樽先生:昔は「歩み」を「거름」と書いていましたね。では、こんな問題を出しましょう。

第18問:花とか植物にかかわりのある語と同じ音の語句をこの詩からさがしましょう。

第9回

詩子アナ:同じ音で花や植物にかかわりのあるものですね。分かりました。強力な辞書がありますから、いろいろさがしてみます。

http://stdweb2.korean.go.kr/main.jsp

第18問

  • ①약산の약と同じ音の「약:葯(やく)、雄しべの先の部分。꽃밥」
  • ②가시는の가시と同じ音の「가시:樫(かし)の木の実、どんぐり」
  • ③가시는の가시と同じ音の「가시:棘(とげ)」
  • ④뿌리우리다の뿌리と同じ音の「뿌리:根(ね)」

この中にどれか歌の理解や解釈に必要なものがあるのですか。

歌樽先生:今回は何でも調べて見ようという訳ですので、調べた結果が全て意味のあることかどうかは分かりません。でも、調べなければ分からない訳ですから、決して無駄ではないと思いますよ。

何もないということになれば詩子さんに貸しを作られることにもなりますし、ここは何か見つけてほしいところですね。

詩子アナ:貸しを作るだなんてとんでもありません。ともかく、何かしっかりしたものがあるようですので安心しました。

歌樽先生:そうですね。まずはいろいろと調べてみることが大切ですね。

では、この辺で初版本の『진달래꽃』の第4連を見ておきましょう。

나보기가 역겨워
가실때에는
죽어도아니 눈물흘리우리다

詩子アナ:では、粗訳をしてみます。

直訳型でまずやってみます。

私に会うのが嫌になり
去ってお行きになる時は
死んでも涙は流しません

次に意訳型でやってみます。

会うもお嫌の
別れなら
涙なんぞは見せまいぞ

歌樽先生:訳詩はあとでまた考えてみることにしましょう。

第19問:この詩の音韻の陰陽をまず調べておきましょう。

詩子アナ:分かりました。

第19問:連別に各行の頭音と脚音を整理してみます。

第1行第1行第2行第2行第3行第3行
 頭音脚音頭音脚音頭音脚音
第1連나 陽워 陰가 陽는 陰말 陽다 陽
第2連녕 陰산 陽진 中꽃 陽아 陽다 陽
第3連가 陽름 陰놓 陽츨 陰사 陽서 陰
第4連나 陽워 陰가 陽는 陰죽 陰다 陽
特徴3陽1陰1陽3陰3陽1中1陽3陰3陽1陰3陽1陰

歌樽先生:なかなか手際よくなりましたね。各行の頭音と脚音のどれにも陽か陰かが3つずつありますね。

詩子アナ:きれいに揃っていますね。驚きです。

歌樽先生:今度は各連の音を五行で表してみましょう。

詩子アナ:全部ですか。

歌樽先生:では、こうしましょう。

第20問:各連の前の4つの音と後ろの4つの音を五行で表して比べてみましょう。

第10回

詩子アナ:各連の前の4つの音と後ろの4つの音ですね。

第20問:こんな表にしてみました。

前部
4つ
前部
4つ
前部
4つ
前部
4つ
後部
4つ
後部
4つ
後部
4つ
後部
4つ
第1連나:火보:水기:木가:木리:火우:土리:火다:火
第2連녕:火벼:水네:火약:土리:火우:土리:火다:火
第3連가:木시:金는:火거:木시:金옵:土소:金서:金
第4連나:火보:水기:木가:木리:火우:土리:火다:火
特徴3火1木3水1金2木2火3木1土3火1金4土3火1金3火1金

歌樽先生:なかなか分かりやすい表ができましたね。

第21問:この表の特徴を挙げてみましょう。

詩子アナ:はい。以前「ハングルの詩のある風景」の「山有花」第7回でやったのを参考にします。

第21問:上の表で前の4つの音と後ろの4つの音を縦に各連で比べると、4つの内、同じものが3つあるもの、つまり五行音のうち2つの種類を使い、3つが同じの2種3同タイプが6つ、全てが同じ五行音の1種4同タイプが1つ、2種類のものが2つずつの2種2同タイプが1つで、いずれも金素月が好んで用いるタイプになっています。

歌樽先生:よく覚えていましたね。実は後ろの部分の4つは同じ連の中でどの連も「2種3同」になっているんです。1連、2連、4連の「-리우리다」はこれで「火水火火」の「2種3同」ですが、3連の「가시옵소서」の「시옵소서」が「金土金金」と「2種3同」になっていますね。

詩子アナ:横に見る訳ですか、ということは縦も横も韻を考えているんですね。驚きました。

歌樽先生:今回はよく驚いていますね。

詩子アナ:驚くというより、驚嘆です。

歌樽先生:驚くほうの驚嘆ですか、敬うほうの敬嘆(きょうたん)ですか?

詩子アナ:敬うほうの「敬嘆」があるとは知りませんでした。こちらにします。

歌樽先生:ああ、そちらに行きますか。「가시는 걸음걸음」の「가시는」は「가시다(お行きになる)+는」ですが、ここでは全く別な語を考えてみましょう。

第22問:「가시」を接頭辞とする次の言葉のうち「가시」の意味が他のものと違うものはどれでしょうか。

1)가시아비   2)가시어미   3)가시집    4)가시나무새

詩子アナ:どれも難しい言葉ですね。辞書で調べてみます。1)は「장인:妻の父」、2)は「장모:妻の母」、3)は「처가:妻の実家」の俗っぽい言い方、4)は「가시나무:棘のある木、새:鳥」ですから、これが違うようです。

第22問:答えは、4)가시나무새(茨の鳥)、です。

歌樽先生:正解です。「가시」には「妻または妻の実家」という意味があります。

詩子アナ:こういう言葉をみんな使っているんですか。

歌樽先生:現在はあまり使われていないようですね。知っている人も少ないようですし。

詩子アナ:ということは、「가시」には他に秘密がありそうですね。

歌樽先生:実は「가시리」という高麗時代の歌謡があるんですよ。

詩子アナ:どんな関連があるんですか。

歌樽先生:「가시리」と「진달래꽃」とは深い関連があるといわれていますね。まず、「가시리」のいろんな歌のバージョンを聞いてみましょう。

이명우  
https://www.youtube.com/watch?v=j5b3lKynPF8

양하영  
https://www.youtube.com/watch?v=0gxTIf_Hago

서산시 여성 합창단
https://www.youtube.com/watch?v=4SlTp1j0rts

평택시여성합창단
https://www.youtube.com/watch?v=QZGLl7QtLs4

第11回

詩子アナ:「가시리」の歌詞を書いたものはないんですか。

歌樽先生:昔の表記のものと今の表記に直したものと解釈したものがあります。いろいろと難しいところもあるのですが、まずは第1連を書き直した歌詞を見ておきましょう。

가시리 https://namu.wiki/w/%EA%B0%80%EC%8B%9C%EB%A6%AC
가시리 가시리잇고 나는
버리고 가시리잇고 나는
위 증즐가 大平盛代 (대평성대)

詩子アナ:書き直したものでも難しいですね。

歌樽先生:現代語に直したものもありますから、そちらを見てみましょう。

第23問:「가시리」の現代語訳のものを新しく訳してみましょう。できれば、音韻数をそろえられるといいですね。

詩子アナ:確かに古い歌のようですね。

第23問:現代語訳のものを会話風に粗訳してみます。

가시렵니까? 가시렵니까?       行っちゃうの? 行ちゃうの?
버리고 가시렵니까?            私を捨てて行っちゃうの?

나더러는 어찌 살라하고         どう生きろっておっしゃるの
버리고 가시렵니까?            私を捨てて行っちゃうの?

붙잡아 두고싶지만              私のそばにいてほしいけど
서운하면 아니올까 두렵습니다.   嫌になられたら恐いから

서러운 임 보내드리니           辛いけれどもお送りするわ
가시자마자 곧 돌아오십시오     着いたらすぐに帰って来てね

歌樽先生:気持ちが伝わってきますね。一味も二味もちがいますね。

詩子アナ:古いものも当時は新しかったはずですから、思い切って新しく訳してみました。

歌樽先生:「古いものは新しい」ということですね、なかなかの着想ですね。

詩子アナ:いえいえ、それほどでも。「가시리」と「진달래꽃」は確かに相通ずるものがありますね。

歌樽先生:「아리랑」という歌があるのですが、これを聞いてみましょう。

詩子アナ:この歌は聞いたことがあります。

歌樽先生:では、詩を書き取ってみましょう。

詩子アナ:「가시리」に比べると分かりやすい詩のようですね。

          아리랑 아리랑 아라리요.    
          아리랑 고개로 넘어간다.    
          나를 버리고 가시는 님은    
          십 리도 못 가서 발병 난다.

歌樽先生:地方に残っている「アリラン」とは違って、古くからある民謡という感じはしませんね。「新アリラン、本調(본조)アリラン、変則(변칙)アリラン」などとも呼ばれています。

詩子アナ:地方の「アリラン」があるんですか。

歌樽先生:「旌善(정선)アリラン」「珍島(진도)アリラン」「密陽(밀양)アリラン」などが特に有名ですね。https://www.youtube.com/watch?v=s0cHt_S4EjU

第12回

詩子アナ:地方によって歌にも特徴があるようですね。「십 리도 못 가서 발병 난다」の「10里」というのはマラソンの距離ぐらいのことを言っているのですか。

歌樽先生:では、これを問題にしましょう。

第24問:「10리(里)」とはどのくらいの距離でしょうか。

1)2km位   2)4km位   3)8km位   4)16km位

詩子アナ:1里はおよそ4キロですが、選択肢の最大値が16kmということですから、日本の里とは単位が違うようですね。

歌樽先生:「십 리도 못 가서 발병 난다」は「10里も行けないうちに足が痛くなる」といった意味ですから、これを参考にしてみてください。

詩子アナ:普通に行ける距離なのに、私を置いて行くので、その距離さえ行かないうちに足が痛くなってしまうといった意味合いなんでしょうか。

歌樽先生:そういった意味ですね。今でも田舎のお年寄りは20里とか30里などという表現をしていますよ。つい最近まで、2-3時間歩くのはなんでもありませんでしたからね。

詩子アナ:はあ、そうですか。大ヒントですね。分かりました。

第24問:2)4km位、です。

時速4キロだとすると、2キロだと往復しても1時間ですし、8キロだと片道で2時間、往復で4時間ですから、これはちょっと大変なので、4キロがぴったりかなと思いました。

歌樽先生:ヒントを言い過ぎましたね。

詩子アナ:ヒントで助かりました。「십 리도 못 가서」は言い換えれば「1時間も歩かないうちに」と言う意味なんですね。

歌樽先生:では、この詩の最大の難関に挑んでみましょう。

詩子アナ:ウワー!最大の難関ですか。

歌樽先生:そうですね。1996年、当時ソウル大学の先生だった金容禝(김용직)教授は「사뿐이 즈려밟고 가시옵소서.」の「사뿐이:軽やかに」と「즈려밟고:力を入れて踏みつける」は表現のバランスが合っていないという指摘をしています。(김용직『김소월전집』서울대학교출판부 1996 p.167)

また、それよりも10年以上前に、当時誠信女子大学で教鞭をとられていた李姓教教授 は「진달래꽃」と「변칙<아리랑>(新アリラン)」の歌詞を引用し、「表面的には極めて消極的なようであるが、内には鋭い匕首(あいくち)が込められている」という指摘をしています。(『金素月研究』새문社 1983 p. Ⅳ 43)

これをヒントに今回の詩のキーハングルの「사뿐히 즈려 밟고 가시옵소서.:(直訳)軽く踏みしめお行きください」の真意を探してみましょう。

詩子アナ:ようやく今回の詩のキーとなるハングルに到達ですか。この部分は1922年の『開闢』では「고히나 즈려밟고 가시옵소서」となっていたところですよね。

歌樽先生:そうです。そこのところをもう一度見ておきましょう。(第8回参照)

A: 가시는 길 발걸음마다
뿌려노흔  그 꽃을
고히나 즈려밟고 가시옵소서. (1922)

B: 가시는 걸음걸음
놓인 그 꽃을
사뿐이 즈려밟고 가시옵소서 (1925)

詩子アナ:1922年のAと1925年のBは詩の構造が少し違うようですが。

歌樽先生:いいところに気が付きましたね。これを問題にしてみましょう。

第25問:「가시는」が修飾するものは何でしょうか。

詩子アナ:「가시는 길」と「가시는 걸음걸음」ですから、これは分かります。

第25問:Aは「가시는」が「길」を修飾しているのに対して、Bは「가시는」が「걸음걸음」を修飾しています。

歌樽先生:ということは?

第13回

詩子アナ:ということは、ということは?

歌樽先生:詩の構造と関連させると?

詩子アナ:ああ、そういうことですか。Aは「가시는」と「발걸음」の間に「길」があるので、「발걸음」とはワンクッション置いてありますが、Bは「가시는」が直接「걸음걸음」に掛かっています。このBの文型であれば、「가시」を「棘(とげ)」と訳しうる条件を作っているように思います。

歌樽先生:なるほど。「가시는 길」では、「お行きになる道」としか理解されないけれど、「가시는 걸음걸음」では「お行きになる一歩一歩」という意味と、「棘は一歩一歩」と言う風に読めるということですか?

詩子アナ:そ、そうです。そういうことを言いたかったんです。

歌樽先生:では、この「棘」はどこにいったのでしょうか。ヒントになるかも知れませんので、ここで気分をかえて「가시나무새」という歌を聞いてみましょう。

詩子アナ:歌っているのは패티김のようですが。

歌樽先生:そうですね。こんな歌詞です。

Screenshot_20180530-235010_1

「離別(이별)」「サランへ(사랑해)」などでも有名ですね。

別の歌手のものも聞いてみましょう。

詩子アナ:歌唱力がすばらしいですね。アリという歌手ですか。「가시나무(茨の木)の새(鳥)」というのはどんな鳥ですか。

歌樽先生:下のサイトにでていますから、チェックしてみればわかりますよ。

http://goodwhmakers.tistory.com/242

詩子アナ:はい。オーストラリアの作家のコリーン・マッカラの小説「The Thorn Birds」、1977年の作品に出てくる伝説の鳥で、生まれて一度だけ歌を歌う時に、棘の木を探し、最も鋭い棘を体に刺し、地上で最も美しい声で歌いながら死んでいくという話のようですね。さっきのアリの歌の最後は歌いながら死んでいく鳥の様子だったんですね、ジーンと来ました。

生まれは1937年ということは金素月が亡くなった3年後に生まれた方なんですね。

歌樽先生:すこし、気分転換になりましたか。では、本題に戻りましょう。

第26問:「가시는」「사뿐이」の意味の二重性をヒントに、「見送る人」の本心と「去る人」への心情を説明してみましょう。

詩子アナ:「見送る人」の本心と「去る人」への心情は同じことではないんですか?

第14回

歌樽先生:それは微妙に違うでしょうね。微妙以上に違うこともありますね。

詩子アナ:微妙以上もですか。では、前回と前々回の内容をもう一度整理してみます。

  • ①「見送る人」の本心と「去る人」への心情を分けて考える。
  • ②「가시」が棘の意とすると、生と死を担っている。
  • ③「가시는」の修飾関係が1925年の修正で変わっている。
  • ④「사뿐이 軽やかに」と「즈려밟고 力を入れて踏みつける」のバランスが悪い。
  • ⑤表面的には消極的だが、内に鋭い匕首(あいくち)が込められている。

歌樽先生:では、この調子でどんどんすすめましょう。

詩子アナ:まず、「가시는」では「去る人」には尊敬語「가시다:お行きになる、去られる」の連体形を用いつつ、一方「見送る人」の本心としては「가시는」が「心に刺さる棘」とも読めるようにしていることが挙げられます。

歌樽先生:「가시」が「棘」と読める根拠は?

詩子アナ:以前、私に「貸しを作られることにもなりますし」とおっしゃったのですが(第9回参照)、この「貸し」は実は「가시」のことだったんですね。

歌樽先生:それで?

詩子アナ:花とか植物とのかかわりをもつ言葉と同じ言葉を第18問(第9回)でやりましたが、タイトルの「진달래꽃」の「꽃」だけからも、「가시」から「棘」を連想することは可能だと思われますが。「棘」は使い方によっては「匕首」にもなりますし。

歌樽先生:では「사뿐이」の方は?

詩子アナ:これが分かれば、第26問の答えになりますか。

歌樽先生:ほぼ、できるでしょう。

詩子アナ:では、お言葉に甘えてそうさせていただきます。

第26問:「死」の文字は「죽을 사」といいますから、「사뿐이」は「死だけ」と同じ音になっています。

「見送る人」の側では「あなたが去ってしまえば私に残るのは生きる望みのない「死」だけのように感じられるのですが、「去る人」への心情は、見送る人の分身であるつつじの花には私の心に棘が刺さっているように棘があるので、「사뿐이:軽やかに」踏んでいかないと去るあなたに深く刺さってしまう、これは自分の本意ではないけれどといった心の葛藤が上の「사뿐이:軽やかに」と「즈려밟고:力を入れて踏みつける」のバランスが悪いという指摘を受けることになったと思われます。

歌樽先生:なるほど、これで第26問の答の軸はおおよそできたようですね。こうしたことを踏まえて訳詩することができればいいですね。では、やってみましょう。

詩子アナ:えっ!私が? 無理、無理、無理の十八里ですよ。

歌樽先生:久しぶりに無理、無理、無理の十八里が出てきましたね。18番のようですね。

詩子アナ:いえ、その2倍の無理、無理、無理、無理、無理、無理の36里の気持ちです。

歌樽先生:粗訳したものをまず並べてみましょう。

詩子アナ:並べるだけなら、すぐにできます。まず、1連です。

나 보기가 역겨워
가실 때에는
말없이 고이
보내 드리우리다

私に会うのが嫌になり 会うもお嫌の
去ってお行きになる時は 別れなら
黙ってそっと送りましょう。 黙ってそっとお見送り

歌樽先生:では、この調子で、2連のほうもやってみましょう。

詩子アナ:2連の短いほうの粗訳はまだやってなかったんですが。

歌樽先生:では、これをしていただきましょう。

第27問:2連以下も1連のように粗訳をしてみましょう。

第15回

詩子アナ:はい、わかりました。

第27問:2連以下、一緒にやってみます。

寧邊에 薬山(약산)  
진달래꽃
아름 따다 가실 길에 뿌리우리다

寧邊は薬山 / 寧邊にゃ薬山
つつじ花 / つつじ花
摘んでは道に撒きましょう / 摘んで花道作ります

가시는 걸음걸음
놓인 그 꽃을
사뿐이 즈려밟고 가시옵소서

行く歩みごと / 一歩行くたび
敷きし花 / 敷かれた花を
軽く踏みつけ行きなされ / しかと踏み踏み行きなされ

나보기가 역겨워
가실때에는
죽어도아니 눈물흘리우리다

私に会うのが嫌になり / 会うもお嫌の
去ってお行きになる時は / 別れなら
死んでも涙は流しませぬ / 涙なんぞは見せまいぞ

歌樽先生:では、右側の粗訳を中心にもう一度みて、直してみましょう。

詩子アナ:ああ、ややこしや、ややこしや!すこし新しい感覚でやってみます。

逢うもお嫌の
お別れ話
何も言わずに見送るわ

寧邊、薬山
つつじの花を
摘み採りお道に撒きましょう

一歩行くたび
敷かれた花を
しかと踏みしめお行きなさい

逢うもお嫌の
お別れ話
涙なんかは流しませんよ

歌樽先生:掛詞もいくつか入っているようですね。

詩子アナ:はい、いろいろ考えてみました。

歌樽先生:いろいろと考えた跡が見えますが、詩という感じがしないのはなぜでしょうかね。

詩子アナ:そろそろ限界、玄海灘です。もう先が見えません。お腹も空きました。

歌樽先生:スンデのおいしいお店に行きましょう。訳詩はその後にしましょう。

わきびとたち

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