산유화 [山有花]

第1回

ナレーター:詩には風景があります。それぞれの詩にどんな風景があるのか想像してみると、その詩の姿がはっきりと浮かび上がってまいります。今回のハングルの詩はどんな風景のどんな詩なのでしょうか。

独断と偏見でお馴染みの歌樽先生が詩のある風景の現場にすでに到着なさっているようです。では、現地の詩子アナウンサーを呼んでみましょう。詩子アナ、現地の模様はいかがでしょうか。

■■■

詩子アナ:はい、こちら詩子です。現地にきております。家族連れやカップルの方が多いようです。。早速、歌樽先生に伺ってみましょう。今回の詩のキーとなるハングルはずばり何でしょうか。

歌樽先生:ずばーり、、、難しいですね。

詩子アナ:その難しいところを何とか「ずばーり」お願いします。

歌樽先生:「갈 봄 여름 없이」でしょうかね。

詩子アナ:ずばーり、「갈 봄 여름 없이」、いただきました!
さて、今回の詩のキーハングル「갈 봄 여름 없이」の入った詩とはどんな詩でしょうか。まず詩の朗読を聴いてみましょう。

詩子アナ:「金素月」の詩「山有花」ですね。女性の朗読を聴いてみたいのですが。

歌樽先生:はい、では女性の朗読を聴いてみましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=sXtOFTUrxS0

詩子アナ:歌はないのですか。

歌樽先生:歌もありますよ。

詩子アナでは、歌を聴いてみましょう♪ (ここをクリックしてください)。

歌樽先生次は、合唱です。お聴きください♪ (ここをクリックしてください)。

산유화 (山有花)

산에는 꽃 피네
꽃이 피네
갈 봄 여름 없이
꽃이 피네.

산에
산에
피는 꽃은
저만치 혼자서 피어 있네.

산에서 우는 작은 새여
꽃이 좋아
산에서
사노라네.

산에는 꽃 지네
꽃이 지네
갈 봄 여름 없이
꽃이 지네.

歌樽先生:では、ここで問題を出しましょう。

第1問:金素月の「山有花」のハングルの詩はどんな文字に見えますか。
1)アルファベット  2)漢字  3)数字  4)サンスクリット

第2回

詩子アナ:棒グラフのように見えますが、これは選択枝にないので・・・分かりました。
正解は1)アルファベットです。

歌樽先生:では、そのアルファベットはなんという文字ですか。

詩子アナ:「E」です。

歌樽先生:たしかにローマ字のEに似ていますね。さっき、言い忘れましたが、原文は縦書きで書かれています。

詩子アナ:縦書きということは、いま横書きですから、これを横に倒して見れば、縦書きになりますから「E」ではありませんね。でも、何かに似ていますね。

歌樽先生:で、正解は?

詩子アナ:ばっちりです。
第1問:正解は2)漢字です。

歌樽先生:では、その漢字についての質問です。

第2問:その漢字は次のうち、どれですか。
1)凸  2)川  3)州  4)山

詩子アナ:1)の凸です。凹凸(おうとつ)の凸。

歌樽先生:凸ではなくて、この詩のタイトルは何でしたっけ?

詩子アナ:タイトルは「山有花」、ということは、分かった!

第2問:正解は4)「山」です。

歌樽先生:よくできました。

詩子アナ:ヤッター。「山有花」ですから、凸では味がありませんね。確かに山です。

http://m.zum.com/news/economy/9205473
ここは、乳母車でも登れるようですね。

歌樽先生:なかなかよく整備されていますね。さて、この詩の初めの4行を第1連といいますが、この第1連の頭の音を陰陽五行説の五行でいえば何にあたりますか。

詩子アナ:「산에는」の「산」は「ㅅ(シオット)」で始まっていますから、五行では「金」です。

歌樽先生:そうですね。紙上中継[LIVE]「ハングルの詩のある風景」「オンマヤ、ヌナヤ」の第6回で整理しておきましたね。もう一度見ておきましょう。

五行 五音 対応音   略式カナ表記
① 木:牙音   ㄱ/ㅋ/ カガ行
② 火:舌音  ㄴ/ㄷ/ㄹ/ㅌ タダナラ行
③ 土:喉音  ㅇ/ㅎ アヤワハ行
④ 金:歯音  ㅅ/ㅈ/ㅊ/ サザチャ行
⑤ 水:脣音  ㅁ/ㅂ/ㅍ パバマ行

詩子アナ:五行とそれに対応する音は覚えましたので大丈夫です。

歌樽先生:では、まず第1連から始めましょう。

第3問:第1連の初めの音、4つを対応する五行で言ってみましょう。

詩子アナ

산에는 꽃 피네……산は④の歯音で「金」
꽃이 피네 ……꽃は①の牙音で「木」
갈 봄 여름 없이……갈も①の牙音で「木」
꽃이 피네. ……꽃は①の牙音で「木」ということで、

第3問:正解は「金木木木」です。

歌樽先生:いい出だしですね。

詩子アナ:ヤッター!完璧の領域に入りました!

歌樽先生:では、同じようにやってみましょう。

第4問:第2連の初めの音を対応する五行で言ってみましょう。

詩子アナ

산에…… 산は④の歯音で「金」
산에……산は④の歯音で「金」
피는 꽃은 ……피は⑤の脣音で「水」
저만치 혼자서 피어 있네. …… 저は④の歯音で「金」

第4問:正解は「金金水金」です。

第3回

歌樽先生:なかなか好調ですね。では、次です。

第5問:第3連と第4連を同じようにやってみましょう。

詩子アナ

第3連は、
산에서 우는 작은 새여……산は④の歯音で「金」
꽃이 좋아……꽃は①の牙音で「木」
산에서……산は④の歯音で「金」
사노라네. ……사は④の歯音で「金」

第4連は、
산에는 꽃 지네……산は④の歯音で「金」
꽃이 지네……꽃は①の牙音で「木」
갈 봄 여름 없이 ……갈も①の牙音で「木」
꽃이 지네. ……꽃は①の牙音で「木」

第5問:第3連は「金木金金」で、第4連は「金木木木」です。

歌樽先生:素晴らしい!!これらは各行の初めの音ですので、これからは「頭音」と呼ぶことにしましょう。

第6問:では、各連の頭音の共通点は何でしょうか。

詩子アナ:第1連と第4連は「金木木木」、第2連は「金金水金」、第3連は「金木金金」ですから、ほとんどが「金」か「木」ですね。

歌樽先生:たしかにほとんどが「金」か「木」ですが、「水」もありますね。

詩子アナ:第1連と第4連は「金森」さんですね。

歌樽先生:なるほど、いいところに気が付きましたね。

詩子アナ:「木」が3つで「森」という訳です。森兄弟二人が行くのは、木が6つで「六本木」という謎々から考え付きました。

歌樽先生:今日は冴え渡っていますね。では、第2連の「金金水金」は?

詩子アナ:悩んでいます。ヒントがないと難しいですね。ハートの岩もあるようですね。
http://www.tvseoul.kr/news/article.html?no=1611

歌樽先生:この岩も遠めに見ればもっとハートらしく見えますよ。

詩子アナ:遠めにですか。「金木木木」「金金水金」「金木金金」「金木木木」、

第6問:どの連も5つの五行音のうち2つの音からなっています。

歌樽先生:正解です。

詩子アナ:大正解!でも、このことがそんなに重要なことなんですか。

歌樽先生:だんだんとこの重要さが分かってきます。今はそれほど深く考えなくてもいいでしょう。
では今度は各連の最後の音を調べて見ましょう。

第7問:第1連の最後の音を五行の音に分類してみましょう。

詩子アナ:산에는 꽃 피네……네は②の舌音で「火」
꽃이 피네 ……네は「火」
갈 봄 여름 없이 ……이は③の喉音で「水」
꽃이 피네. ……네は「火」
という訳で「火火水火」です。

歌樽先生:「없이」は原文では「업시」と書いてありますが、どちらも読むときには[업씨]となりますから、最後の音は「이」ではなく「씨」です。

詩子アナ:なるほど、言われてみると確かに「업씨」ですね。「씨」は「ㅅ」系列の音ですから、歯音で、五行音では「金」ですから、

第7問:正解は「火火金火」です。

歌樽先生:素晴らしいですね。では、応用問題です。

第8問:第2連の各行の最後の音を五行音でいうとどうなりますか。

詩子アナ: 応用問題ということは、「에/에/은/네」ではないということのようですね。
산에→[사네]……네は②の舌音で「火」
산에→[사네]……네は「火」
피는 꽃은→[꼬츤]……츠は④の歯音で「金」ですが、[츤]の
パッチムの「ㄴ」は火です。
저만치 혼자서 피어 있네. →[인네]……네は「火」
ということは、

第4回

詩子アナ:なんとかできました。

第8問:正解は「火火火火」です。

歌樽先生:応用問題も解けたようですね。「에/에/은/네」の初声だけ見れば「土土土火」ですが、発音から見れば、「네/네/츤/네」で確かに「火火火火」ですね。

詩子アナ:ということは、完璧という訳ですか。

歌樽先生:ええ、完璧ということで、次に花について考えてみましょう。

第9問:花はどこにありますか。

詩子アナ:ちょっと見渡してみましょう。あまり、花が見えませんね。
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歌樽先生:このあたりではなく、「山有花」の詩の中の話なんですが。

詩子アナ:ああ、詩の中でのお花探し、分かりました!!

第9問:花がお山のどこにあるかを探しだしました(太字で示しました)。

山有花

산에는 꽃 피네
꽃이 피네
갈 봄 여름 없이
꽃이 피네.

산에
산에
피는 꽃은
저만치 혼자서 피어 있네.

산에서 우는 작은 새여
꽃이 좋아
산에서
사노라네.

산에는 꽃 지네
꽃이 지네
갈 봄 여름 없이
꽃이 지네.

歌樽先生:調子が上がってきましたね。ずいぶんあちこちに花がありますね。

詩子アナ:はい、咲く花も散る花もあります。

歌樽先生:こうして太字にしてみると、山のあちこちに花があることがよく分かりますね。

第10問:では、山はどこにありますか。

詩子アナ:山ですか。この「山有花」の詩、全部が山という訳ではないのですか。第2問の正解が「山」ということですから。

歌樽先生:確かにそういえばそうですが、では富士山について考えて見ましょう。遠くから見ていれば、「あれが富士山です」といえますが、五合目あたりで「富士山は?」と聞かれると、どうしますか。

詩子アナ:困りましたね。今立っているところも富士山ですが、頭上に聳えている山頂を指して、「あれが富士山です」というかも知れませんね。ということは、ここは山かと聞かれたところは全て山ですね。

歌樽先生:そのあたりに山の秘密があるようですね。ちなみに原本では「산」は「山」と漢字で書かれています。

詩子アナ:「산」ではなく、「山」ですか。

歌樽先生:山だけが漢字で書かれているんです。もっとも、「山」以外の語で漢字になるものはありませんが。

詩子アナ:ああ、そういうことでしたら、わかりました。

第5回

歌樽先生:分かったようですね。

詩子アナ:つまり、花がどこにあるかを探したようにして、

第10問:山がどこにあるかを探しだしました(太字で示しました)。

山有花

山에는 꽃 피네
꽃이 피네
갈 봄 여름 없이
꽃이 피네.

山에
山에
피는 꽃은
저만치 혼자서 피어 있네.

山에서 우는 작은 새여
꽃이 좋아
山에서
사노라네.

山에는 꽃 지네
꽃이 지네
갈 봄 여름 없이
꽃이 지네.

歌樽先生:山が強調されている様子がよく分かりますね。

第11問:鳥に関するものは別にして、山と花とを一緒にするとどうなりますか。

詩子アナ:こんな感じです。
第11問:「갈 봄 여름 없이」が残りました(太字で示しました)。

山有花

산에는 꽃 피네
꽃이 피네
갈 봄 여름 없이
꽃이 피네.

산에
산에
피는 꽃은
저만치 혼자서 피어 있네.

산에서 우는 작은 새여
꽃이 좋아
산에서
사노라네.

산에는 꽃 지네
꽃이 지네
갈 봄 여름 없이
꽃이 지네.

歌樽先生:なかなか興味深いですね。何か分かりましたか。

第6回

詩子アナ:山の中央がスーと右に延びていますから、これを90度右に回すと、山が手前にグッと迫ってくるようですね。

歌樽先生:なるほど、いい所に気が付きましたね。

詩子アナ:前に迫った山の頂を両側の峰と谷がしっかり支えている感じです。

歌樽先生:なかなか素晴らしい! 絵の素養があるようですね。

詩子アナ:画家ですか。

歌樽先生:がっかりしましたか。

詩子アナ:いえいえ、そういわれましたから、山に咲いた花を描いている気分です。

歌樽先生:それでこそ、詩子さんですね。

第12問:では、「山」と「花」の共通点は何でしょうか。

詩子アナ:漢字で1文字、カナで2文字。

歌樽先生:ほかに何かありませんか。

詩子アナ:英語では mountain と flower、「o」が共通に使われています。

歌樽先生:ローマ字で書くと分かるかもしれませんね。

詩子アナ:yama と hana ですか、分かったー!

第12問:正解は全ての母音が「a」、つまり「あ」であーる。

歌樽先生:では「산」と「꽃」の場合はどうでしょうかね。

第13問:「산」と「꽃」の共通点は何でしょうか。

詩子アナ:そういう流れでしたか。
第13問:正解は「산」の母音も「꽃」母音も陽母音であーる。

歌樽先生:よく思い出しましたね。今度は母音について調べてみましょう。

第14問:次のうち陽母音だけのグループを挙げましょう。

  • a) 아야와위
  • b) 웨요외에
  • c) 어으오우
  • d) 와왜애야

詩子アナ:「아야오요」が陽母音と覚えていましたが、複雑な母音が加わると、ややこしいですね。

歌樽先生:ヒントにはなりませんが、「ややこしい」を「야야코시이」とハングルで書くと、ここには陰母音はありませんね。

詩子アナ:もうすこしヒントらしいヒントがあれば嬉しいのですが。

歌樽先生:それぞれの3番目の音は陽母音扱いとしましょう。

詩子アナ:これは嬉しいヒントですね。「오」とその要素を持つ「와/외/왜」の各母音は陽母音という訳ですね。分かりました。

第14問:正解はd)です。

歌樽先生:よく分かりましたね。

詩子アナ:ヤッター!「陽母音扱い」という説明がヒントになりました。「이+아=야」は「아」が陽母音で、その線上で「야」が陽母音と考えれば、同様に「아/오」を基本に持つ母音は陽母音と考えた訳です。「이」はどうなるんですか。

歌樽先生:「이」は中性母音と考えられています。陽母音にも陰母音にもつきますからね。

第15問:「山有花」の第1連の各行の初めの音(太字)の特徴は何でしょうか。

詩子アナ:では、その部分を読んでみます。

에는 꽃 피네
이 피네
봄 여름 없이
이 피네.

歌樽先生:なかなかいい調子ですね。

詩子アナ:各行の最初の音は「頭音」と呼ぶことにしましたが、各行の終わりの音はなんと呼ぶのですか。

歌樽先生:「脚音」と呼んでおきましょう。

詩子アナ:漢詩の「頭韻」「脚韻」とは違うのですか。

歌樽先生:韻を踏んでいるかどうかは別として、ただ各行の最初の音と最後の音を指すものとして、ここでは「頭音」「脚音」という語を使うことにしましょう。

詩子アナ:はい、分かりました。

第15問:答は、全ての行の頭音は陽母音であーる。
「산」と「갈」は「아」、「꽃」は「오」でどれも陽母音ですから。

歌樽先生:「であーる」が口癖になったようですね。

第7回

詩子アナ:完璧なときに「であーる」というとなぜか気持ちがいいですね。

歌樽先生:「であーる」がよくでるようになればいいですね。では、先に進みましょう。

第16問:第1連の4行の「脚音」の母音の特徴はなんでしょうか。

詩子アナ:[피네]の[네]と[업씨]の[씨]ですから、[에]は陰母音、[이]は中性母音、つまり

第16問:第1連の4行の「脚音」の母音は全て「非陽母音」であーる。

歌樽先生:正解です。頭音については、第3問から第6問で扱いましたね。

詩子アナ:はい、確か「金-木-木-木」で「金森」さんと名付けた気がしますが。

歌樽先生:しっかり覚えていますね。それを覚えていれば大丈夫でしょう。

第17問:「山有花」の第1連の「頭音」と「脚音」を子音の五行音と母音の陰陽をそれぞれ表にして整理してみましょう。

詩子アナ:はい、わかりました。

第17問はこんな感じにまとめてみました。

1行目 산에는 꽃 피네
2行目 꽃이 피네
3行目 갈 봄 여름 없이
4行目 꽃이 피네.

歌樽先生:頭音と脚音の並びが対照的ですね。子音の場合、頭音が「金-木-木-木」、脚音が「火-火-金-火」。このような音の並びを「2種3同」と呼ぶことにしましょう。4つの行の頭音か脚音など特定の位置の音が五行音のうち2つの種類の音からなっていて、そのうちの一方の音が3つ、もう一つが1つだけの場合です。

詩子アナ:頭音は「金-木-木-木」で、五行音は「金」と「木」の2つの種類、「木」が3つ、「金」が1つだけなので、つまり「金森」さんタイプが「2種3同」という訳ですね。

歌樽先生:そういうことですね。脚音の子音はどうなっていますか。

詩子アナ:脚音は「火-火-金-火」で、五行音は「金」と「火」の2つの種類、「火」が3つ、「金」が1つだけなので、これも「2種3同」です。

歌樽先生:母音の場合は陽音の数を数えることにします。頭音は全て「陽」ですから、これを「4陽」と呼ぶことにしましょう。脚音は「陽」がありませんから「0陽」としましょう。

歌樽先生:では、第2連を同様に見ておきましょう。

第18問:「山有花」の第2連の「頭音」と「脚音」を子音の五行音と母音の陰陽をそれぞれ整理してみましょう。

詩子アナ:第18問は第17問と同じようにしてみました。

1行目 산에
2行目 산에
3行目 피는 꽃은
4行目 저만치 혼자서 피어 있네.

歌樽先生:はい、これもなかなか面白いですね。第2連は「頭音」も「脚音」も「2種3同」ですね。母音の方は「頭音」が「2陽」、「脚音」は「0陽」となっていますね。

第8回

歌樽先生:では、この調子でどんどんやっていきましょう。

第19問: 次は第3連を整理しておきましょう。

詩子アナ:はい、「山有花」の第3連の「頭音」と「脚音」を子音の五行音と母音の陰陽をそれぞれ整理してみました。

1行目 산에서 우는 작은 새여
2行目 꽃이 좋아
3行目 산에서
4行目 사노라네.

歌樽先生:では、この特徴をまとめてください。

詩子アナ:第3連の頭音の子音は「金」3つ、「木」が1つの「2種3同」ですが、脚音は「土」が2つ、「金」と「火」が1つずつです。これは何と呼べばいいんですか。

歌樽先生:五行音が3種類で同じ音が2つありますから、「3種2同」と呼んでおきましょう。もっとも「3種」といえば、4つのうちにどれかの音が2つある訳ですが、確認の意味で「2同」を付けておくことにしましょう。

詩子アナ:はい、母音の方は頭音が「4陽」、「脚音」が「1陽」です。次に第4連もやります。第4連の頭音と脚音は第1連と同じです。

1行目 산에는 꽃 지네
2行目 꽃이 지네
3行目 갈 봄 여름 없이
4行目 꽃이 지네.

詩子アナ:第4連は子音は「2種3同」で、母音は頭音が「4陽」、「脚音」が「0陽」です。
全体的にみてもこの傾向があるようです。

歌樽先生:では、「갈 봄 여름 없이」について見ていきましょう。第11問(第5回)で「山有花」の詩に色を付けた時、「갈 봄 여름 없이」は無色でしたね。

詩子アナ:はい。山は緑、花は赤、鳥は青で塗りました。「갈 봄 여름 없이」は山でも花でも鳥でもありませんから、色は付けていませんが、季節のイメージが浮かびます。

歌樽先生:どんなイメージですか。

詩子アナ:季節ですから、時の流れと時の巡りの両方が頭に浮かびます。

歌樽先生:「山有花」の詩碑も季節の花と一緒に撮られていますね。

  • ■■■
  • ■■■

詩子アナ:この「山有花」の詩碑はどこにあるのですか。

歌樽先生:図書館がすぐ近くにあって、昔、「목멱산(木覓山)」と呼ばれた山にあります。

第20問:「목멱산(木覓山)」とはどこにある山でしょうか。
a) ソウル  b) 釜山  c) 慶州  d) 醴泉

詩子アナ:「覓」というのは難しい漢字ですね。

歌樽先生:あまり見ないかも知れませんが、地図には「覔」と書かれているものもあります。

第9回

詩子アナ:よく知っている山の名前にしてもらえると分かるかも知れませんが。

歌樽先生:では問題を少し変えてみましょう。

第20問改:「목멱산(木覓山)」とは次のどの山でしょうか。

a) ソウルの南山  b) 釜山の南山峰  c) 慶州の南山  d) 醴泉の南山

詩子アナ:全て南山ですか。

歌樽先生:南山と呼ばれている山や地名はあちこちにありますからね。因みに金素月は子供の頃南山里というところに住んでいたようですよ。

詩子アナ:そうですか。答はあてずっぽでいいですか。

歌樽先生:いいですよ。あてづっぽも才能ですから。

詩子アナ:安心しました。

第20問改:答は、a) ソウルの南山。

歌樽先生:正解です。「목멱산(木覓山)」はソウルの南山のことですね。「山有花」の詩碑は南山図書館正面入り口の近くにあります。

詩子アナ:詩碑の回りには花が植えられていて、季節を強く感じさせますね。

歌樽先生:その通りですね。「갈 봄 여름 없이」は原本には「갈 봄 녀름업시」と書かれています。

詩子アナ:「갈 봄 여름 없이」と「갈 봄 녀름업시」では意味が変わってくるのですか。

歌樽先生:意味は変わりませんが、季節が変わってきますよ。五行の「木・火・土・金・水」は季節も表していますから、「여름」と「녀름」は「夏」という意味は変わりませんが、「여」と「녀」では季節が変わってきます。

詩子アナ:音が季節を表しているのですか。五行は5つで、四季は4つで、数が合わないのですが。

歌樽先生:なるほど、鋭いところを突いてきましたね。ここで、手短に五行と季節について整理しておきましょう。

五行  五音      対応音            季節
① 木:牙音  ㄱ/ㅋ/ㄲ…… 春
② 火:舌音  ㄴ/ㄷ/ㄹ/ㅌ/ㄸ…… 夏
③ 土:喉音  ㅇ/ㅎ…… 土用
④ 金:歯音  ㅅ/ㅈ/ㅊ/ㅆ/ㅉ…… 秋
⑤ 水:脣音  ㅁ/ㅂ/ㅍ/ㅃ…… 冬

最近『訓民正音』解例本が覆刻されたというニュースがありました。

実は、『訓民正音』解例本というのはハングルが出来てから約500年後の1940年に発見されたのですが、この<解例本>ではハングルを詳細に解説しています。

その説明では、「③土:喉音」と「⑤水:脣音」が入れ替わっていて、「③土:脣音」、「⑤水:喉音」となっています。

詩子アナ:では「土用」が秋の次に来るのですか。

歌樽先生:いえ、五行と季節には変わりがなく、五音とそれに対応する「喉音」と「脣音」が入れ替わるだけです。

詩子アナ:では、「土用」は夏と秋の間の期間ですか。

歌樽先生:日本では「土用」といえば立秋の前の「夏の土用」を指すことが多いですね。「土用」を「季夏:계하」といって晩夏をさすという考え方もあるようですが、本来は、立春、立夏、立秋、立冬の前の18日か19日間のことなんです。

第10回

詩子アナ:「土用の丑(うし)の日」にウナギを食べる「夏の土用」だけではないんですね。

歌樽先生:そうですね。四季それぞれに土用がありますから。

詩子アナ:韓国では「土用の丑の日」のような日はあるのですか。

歌樽先生:「복날:伏の日」とか「삼복:三伏」と呼ばれる日がありますね。夏至の日から数えて3番目と4番目の「庚(かのえ)」にあたる日と立秋のすぐ後の「庚」の日で、それぞれ「초복:初伏(しょふく)」「중복:中伏(ちゅうふく)」「말복:末伏(まっぷく)」といって、暑さ負けしないように体に良いといわれるものを食べています。

詩子アナ:それはどんな食べ物ですか。

歌樽先生:代表的なものは犬料理で「ポシンタン(보신탕:補身湯)」とも「ヨンヤンタン(영양탕:営養湯)」とも言っていましたが、最近は「サチョルタン(사철탕)」と呼んでいますね。「サチョル」とは「四季」のことで、季節にかかわらずいつでも食べられるという意味で名付けられたといわれていますね。

詩子アナ:「갈 봄 여름 없이」という訳ですか。「山有花」とは無関係なのに、こんなところで回り回ってドッキングですか。「初伏」「中伏」「末伏」の「伏」の字には「犬」がありますね。これもドッキングでしょうか。

歌樽先生:それは気がつきませんでした。では、「갈 봄 녀름업시」に戻って、季節について考えてみましょう。

第21問:「갈 봄 녀름업시」を一文字ずつ読んで、その音に対応する季節を調べてみましょう。

詩子アナ:はい、五行と五音、それに対応する音と季節を整理しておきます。

五行 五音 対応音 季節
① 木:牙音  ㄱ/ㅋ/ㄲ …… 春
② 火:舌音  ㄴ/ㄷ/ㄹ/ㅌ/ㄸ …… 夏
③ 土:喉音  ㅇ/ㅎ …… 土用
④ 金:歯音  ㅅ/ㅈ/ㅊ/ㅆ/ㅉ …… 秋
⑤ 水:脣音  ㅁ/ㅂ/ㅍ/ㅃ …… 冬

第21問:こんな感じです。

初声:季節   終声:季節  意味
「갈」 ……가:春    ㄹ:夏  秋
「봄」 ……보:冬    ㅁ:冬  春
「녀」 ……녀:夏
「름」 ……르:夏    ㅁ:冬   夏
「업」 ……어:土用   ㅂ:冬
「시」 ……시:秋

一文字ずつ初声と終声の季節と意味も付け加えました。

歌樽先生:これで、何か分かりましたか。

詩子アナ:はい、五行音の季節でいえば、「갈」の「가」が春、「ㄹ」が夏となって、「갈」は「가을」、つまり秋ということですから、この順に季節を考えると、これで「春→夏→秋」、次の「봄」の「보」が冬となって、季節が巡っています。
つまり、「春→夏→秋→冬→春」が「갈 봄」で表わされているということでしょうか。

歌樽先生:そうですね。これを「봄」から始めると意味は春から始まりますが、音から見ると「봄」の「보」も、パッチムの「ㅁ」も冬になってしまいます。

詩子アナ:では、「갈 봄 녀름 없이」を「秋春夏なく」と訳さなくてもいいのですか。

歌樽先生:「秋春夏なく」では順序がおかしいですからね。
詩子アナ:なるほど、音と意味から「春夏秋冬」と理解できるような仕組みを考えたところがすごいですね。それで「갈 봄 녀름업시」がキーワードという訳ですか。

歌樽先生:もちろんリズムも忘れてはいけませんが。

詩子アナ:ところで、金素月は「陰陽五行説」について知っていたのでしょうか。

第11回

歌樽先生:陰陽五行の基本については当時は漢文の教養のある人はほとんど知っていたと思われます。当時の伝統的な勉強といえば、「四字小学」「千字文」から始めます。

素月は祖父から習ったようですね。「千字文」は九九を暗唱するように、「하늘 천 따 지」といいながら覚えたようです。

■■■

詩子アナ:「하늘 천 따 지」というのは何ですか。

歌樽先生:千文字は「天地玄黄(てんちげんこう)」で始まるのですが、これを「空の天、土地の地、黒い玄、黄色い黄」と暗唱しながら覚えていたのです。「하늘 천 따 지」はその初めの二文字の天地の覚え方です。

詩子アナ:「玄黄(げんこう)」はどう覚えるのですか。

歌樽先生:「검을현 누를황」といいます。

詩子アナ:これで千文字全てを覚えたのですか。

歌樽先生:そうです。どこの「書堂(서당)」でも同じです。

詩子アナ:「書堂(서당)」というのは何ですか。

歌樽先生:では、問題を出しましょう。

第22問:「書堂(서당)」のことを他の言葉でなんと言っていたでしょうか。

a) 학교(学校)  b) 사자옥(寺子屋)  c) 서방(書房)  d) 글방(クル房)

詩子アナ:a) とb) は違うようですので、c) か d) のどちらかが正解のようです。

第22問:d) 글방(クル房)が正解です。

歌樽先生:よく分かりましたね。他にも「서숙(書塾)」「서옥(書屋)」「학방(学房)」「학당(学堂)」などとも呼ばれたようです。

第23問:「글」とは「文字、文章、学問」などの意味がありますが、「書堂」では普通何を学んだのでしょうか。

a) 漢文  b) ハングル  c) 読み・書き・そろばん  d) 書道

詩子アナ:ここはハングルといいたいところですが、先ほどの千字文から答が分かりました。

第23問:答は、a) 漢文です。

歌樽先生:これはこれはすばらしい推理ですね。「千字文」は漢文を読むための基礎の基礎とされています。

詩子アナ:では、「千字文」のつぎは何を勉強をするのですか。

歌樽先生:「童蒙先習(동몽선습)」という子供向けの漢文の教材です。

■■■

これを教材に儒教思想の基本を学ぶことになります。

詩子アナ:それからどんな勉強をするのですか。

歌樽先生:これからが本当の勉強といえるのですが、『史略 사략』『通鑑 통감』『小学 소학』『四書 사서』『三経 삼경』などが教材とされたようですね。

第24問:次のうち『四書 사서』に含まれていないものはどれでしょうか。

a) 中庸 중용  b) 礼記 예기  c) 論語 논어  d) 孟子 맹자

詩子アナ:『礼記』は『五経』の方だったと思います。

第24問:答は、b) 礼記 예기 です。

歌樽先生:正解です。『礼記』ではなくて『大学 대학』が『四書』に含まれますね。

第25問:次のうち『三経 삼경』に含まれないものはどれでしょうか。

a) 詩経 시경  b) 書経 서경  c) 周易 주역  d) 春秋 춘추

詩子アナ:『四書五経』というのはよく聞きますが、『三経』がどれかといわれると難しいですね。何かヒントがあればうれしいのですが。

歌樽先生:ヒントになるかどうか分かりませんが、歴史書は『三経』には入っていませんね。

詩子アナ:ということは、歴史書を探せばいいので、分かりました。

第25問: 答は、d) 春秋 춘추 です。

ところで、金素月が漢文を学んだことが分かる資料はあるのですか。

歌樽先生:漢詩をいくつもハングルで訳詩していますね。有名なものでは、孟浩然の「春暁」、杜甫の「春望」、李白の「烏夜啼」なども訳詩の中に入っています。

詩子アナ:私、実は漢詩、ほとんど忘れてしまって、

歌樽先生:杜甫の「春望」を「봄(春)」のタイトルでハングルで訳詩したものの紹介があります。

http://blog.daum.net/oksun3363/8704903

この投稿は、ブログ「兼若博士の一緒にハングル1000万」にも掲載しています。

第12回

詩子アナ:成績表のようなものは残っていないんですか。

歌樽先生:残っているものがあります。

詩子アナ:えー! あるんですか。

歌樽先生:培材高等普通学校の学籍簿があります。

『正本素月全集上』김종욱 2005 도서출판 명상

詩子アナ:明治や大正もありますね。

歌樽先生:当時は「日韓併合」で朝鮮は日本に属していましたからね。では、学籍簿を見てみましょう。

第27問:金素月の本名と住所を捜しましょう。

詩子アナ:分かりました。姓名のところに名前があります。住所に番地はありませんね。

第27問:金廷湜(김정식)が本名で、住所は平北道定州郡郭山面です。

歌樽先生:金廷湜の「廷」の字はもとは「珽」だったようで、従兄弟に「珽郁」「廷七」「廷燦」さんがいます。後に「王」偏をとって「廷」としたといわれています。また、住所は「原籍及戸主職業」の欄にありますが、この学籍簿では洞名も番地も書かれていません。住所は平安北道定州郡郭山面南端洞569番地だったと、素月の叔母さんの桂熙永著『私の育てた素月』の第一章の初めに記されています。

詩子アナ:ずいぶん省略されていますね。「戸主」の名も「職業」も記入されていませんし。

歌樽先生:この学籍簿は金素月の本人と成績確認のために必要なところだけを写してもらったもののようですね。ハングルのスタンプで「原本と相違なきを確認す」とあるところからも、原本でないことが分かりますね。

詩子アナ:なるほど、しっかり見る必要があるんですね。

歌樽先生:では、しっかり見ていきましょう。

第28問:欄外にどのような注意書きがかかれているでしょうか。

詩子アナ:欄外ですか。ありました。

第28問:※단,연구・교육목적이외의 사용을 금합니다. 但し、研究・教育目的以外の使用を禁じます。

第13回

歌樽先生:空欄が多いのも、研究・教育目的以外の目的で使われることがないようにするためのようですね。ほかに気になったところはありませんか。

詩子アナ:生年月日が明治33年というのは合っているのですか。

歌樽先生:明治33年は1900年ですから、少し違いますね。

詩子アナ:確か金素月は1902年だったようですが。

歌樽先生:そうですね、1902年生まれです。転記する時に間違えたのか、もともと違っていたのかもしれません。

詩子アナ:月日が書かれていませんが。

歌樽先生:陰暦の8月6日生まれです。陽暦では9月7日になっていますね。

第27問:素月はいつ入学して、いつ卒業したでしょうか。

詩子アナ:入学年度をみればいいですね。

第27問:大正11年4月1日入学、大正12年3月1日卒業です。

歌樽先生:大正11年は1922年です。1年間勉強して卒業していますね。

詩子アナ:1年で卒業したのですか。

歌樽先生:五山中学校に4年間通いましたので、5年次に編入して、1年で卒業しました。

『正本素月全集上』김종욱 2005 도서출판 명상

歌樽先生:では、右上から各科目の点数を見ていきましょう。

第28問:90点以上の科目名を挙げましょう。

詩子アナ:ええっ!? すごい成績ですね。参ったー!

第28問:国語講読が100点、漢文講読98点、歴史90点、地理90点、幾何90点、三角98点、物理95点、化学98点、体操91点です。

ここの、「三角」というのは何ですか。

歌樽先生:当時の数学のジャンルは「算術、代数、幾何、三角法」でしたから、三角法、つまり三角関数のことを言っているのでしょう。

第14回

詩子アナ:サイン、コサイン、タンジェントですか。国語もすごいですが、理数系も強いですね。ところで、「漢文講読」が98点で「朝鮮語及漢文」が73点というのはどうしてでしょうか。

歌樽先生:「朝鮮語及漢文」の点数の低さは不思議なくらい、他の科目が優秀だということですね。

詩子アナ:ともかく、漢文をしていたというのは分かりました。ちょっと計算をしてみたのですが、点数の合計948点と平均の87点がうまく合わないようなのですが。

歌樽先生:合計948点平均87点ということは、科目数は11で計算していますね。上から番号を付けて点数を計算してみましょう。

詩子アナ:はい、①修身75、②国語及漢文99(国語100、漢文98、平均99)、③朝鮮語及漢文73、④英語75(講読87、作文など63、平均75)、⑤歴史90、⑥地理90、⑦数学(幾何90、三角98、平均94)、⑧物理・化学(物理95、化学98、平均97)、⑨法制及経済85、⑩図画80、⑪体操91の11科目とすると、合計は949点になります。その平均は86.3点です。

歌樽先生:平均点は、少数点以下を切り上げたのでしょうかね。

詩子アナ:⑧の物理・化学98の平均の96.5を96点で計算すると、948点で、平均86.2、切り上げると87点となりますが。

歌樽先生:⑧の平均は「97」と書いてありますから、1点は計算違いでしょう。全部の科目の平均点はどうなりますか。

詩子アナ:最後の科目の「操行」の90を足すと、科目数は計16で、合計は1403点、平均は87.7点、これを切り上げると88点です。ちなみにこの16科目の上位5科目の平均は97.8点、上位10科目の平均は94点となります。

歌樽先生:もっとも得意のはずの朝鮮語や英語の科目が平均点を下げていますね。

詩子アナ:英語も得意だったのですか。

歌樽先生:英語は得意だったようですよ。金素月は「詩魂」という詩論をかいているのですが、その中に英語の詩があって、この詩のハングル訳がなかに入っています。

学生が分かりやすい文にしたものが下のサイトにあります。

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詩子アナ:漢文の詩も英文の詩もハングル訳詩をしているんですね。

歌樽先生:それだけではなく、日本語でもいくつか詩を書いていますよ。写真が届いたようですね。「山有花」に戻りましょう。

KimSW14a
KimSW14b

第29問:上の詩碑とソウル南山の詩碑(下)とを比べて違うところを一つ指摘しましょう。

詩子アナ: 第29問、上の詩碑は横書きで下は縦書きになっています。

歌樽先生:素晴らしい!なかなかよく見えないところをよく見ましたね。横書きのほうは石が縦に長く、縦書きの方は石が横に長くなっているのもそのためですね。

第30問:他の違うところを挙げてみましょう。

詩子アナ:下は詩がなんとか見えますが、上は文字がよくみえません。下はソウルの南山(第8回)のもののようです、上はどこにある詩碑ですか。

歌樽先生:ヒントはこの詩碑の下の方にありますが、このままではよく見えませんね。

第15回

詩子アナ:もっと大きくしてもらえるといいのですが。

歌樽先生:わかりました。下の部分を大きくして見てみましょう。

KimSW15a

詩子アナ:「培材人 素月 김정식」とありますね。

歌樽先生:その下にもなにかありますよ。

詩子アナ:「제15회 졸업생일동」、「第15回 卒業生一同」、ということは、分かりました。

第30問:上の写真は培材の校内で、下は南山です。

歌樽先生:正解としましょう。上は培材大学校の校内にあります。

第31問:詩碑の「山有花」のはじめの詩の部分を比べて違ったところを探してみましょう。

詩子アナ:同じ詩の詩碑ですから、同じではないかと思うのですが。

歌樽先生:なんでも確認をしてみることが必要ですね。

詩子アナ:あっ!ありました!

第31問:第1行目が培材大のものは「山에는 꽃이 피네」、南山のものは「山에는 꽃 피네」となっています。

どちらが正しいのですか。

第16回

歌樽先生:では、原本をみてみましょう。

詩子アナ:第1行目は6文字で、助詞の「이」はありませんね。ということは南山の詩碑の方が正しいんですね。

歌樽先生:助詞についてはそのうち誰かが気づくでしょう。では、問題です。

第32問:もし、助詞の「이」を入れていたとしたら、その表記はどうなっていたでしょうか。

詩子アナ:この写真のような書き方は不慣れでなのですが、第2行目が「꽃이 피네」の部分のようですから、

第32問:助詞の「이」が入っていれば「치」です。

歌樽先生:ハングルの表記法が確立する前ですので、いろいろと書き方を工夫していたようですね。「꽃이 피네」の部分は、まず初声が「ㅺ」、中声は「ㅗ」、パッチムは「ㅅ」で、これに「치픠네」が続いています。助詞の「이」がパッチム「ㅊ」と一緒になって、2行目、4行目、10行目、14行目、16行目では「치」となっていますね。

詩子アナ:9行目の「적은 새요」のままでは「少ない鳥」になっしまいますが。

歌樽先生:素月の住んでいた地方の方言では「작은:小さい 」を「적은」と言ってもおかしくないという話を定州に住んでいたおじいさんから聞いたことがあります。素月の詩には方言のまま書かれているものがいくつかあるようですね。

では、ここで、各連の頭音と脚音を五行の季節で表してみましょう。

詩子アナ:はい。「새여」は「새요」、「좋아」は「죠와」となっていますので、ここでは「요」「와」としてみました。

歌樽先生:なかなかすっきりしていますね。

詩子アナ:すっきりしているということは素月が韻を踏んでいるということでしょうか。

歌樽先生:もちろんそういうことになりますね。

第33問:「山有花」で韻を踏むことと最も関係の深いのは次のどれでしょうか。

a) 改行の名手  b) 縮約の名手  c) 心象の名手  d) 五行の名手

第17回

詩子アナ:「縮約」のお話は以前「オンマヤヌナヤ」で伺ったような気がします。

歌樽先生:そうでしたね。「갈잎」は「갈댓잎:葦の葉」を縮約したものでしたね。

詩子アナ:「山有花」の「갈」は「가을 秋」を縮約した形でますが、「가을」でも「갈」でも頭音はどちらも「가」ですから、韻を踏むという点では変わりありませんから、「b) の縮約は関係がないのであーる」と見ましたが、いかがでしょうか。

歌樽先生:久しぶりに「であーる」が出てきましたね。

詩子アナ:ここまでの推測は当たっているようですね。次に五行については「山有花」だけではないようですから、「d) の五行は無関係であーる」と見ました。

歌樽先生:これで心象と改行が残りましたね。

詩子アナ:心象はいわばイメージですから、これもこの「山有花」だけには限りませんから、

第33問:答は a) 改行の名手であーる。

歌樽先生:やっと正解に辿りついたようですね。

詩子アナ:そういえば、詩全体が山に見えるのですから、これだけで改行に気づくべきでしたね。

歌樽先生:いえいえ、なかなかするどい推理でしたよ。素月のすごいところは、「改行の名手」でありながら、同時に「改行の魔術師」でもあったんです。

詩子アナ:「改行の名手」と「改行の魔術師」とはどのように違うのですか。

歌樽先生:「改行の名手」とは改行の技のすばらしさをいったものですが、「改行の魔術師」というのは、マジックのレベルにまで達しているといっていいでしょう。

詩子アナ:では、「改行マジシャン」という訳ですか。

歌樽先生:なるほど、面白い言い方ですが、当たっていますね。

詩子アナ:何がマジックになっているのですか。

歌樽先生:こんな風にあっちもこっちも改行して16行の詩になっていますが、この詩全体では8行詩にも4行詩にもなっているのです。

詩子アナ:4行詩と8行詩ですか。16行なのに?

歌樽先生:そこが素月のすごいところですね。4連の詩をそれぞれまず2行で書いてみましょう。

詩子アナ:わかりました。

에는 꽃 피네 꽃이 피
봄 여름 없이 꽃이 피.

에 산에 피는 꽃
만치 혼자서 피어 있.

에서 우는 작은 새
이 좋아 산에서 사노라.

에는 꽃 지네 꽃이 지
봄 여름 없이 꽃이 지.

歌樽先生:各連の1行目と2行目の頭音と脚音を調べてみましょう。

詩子アナ:1行目は同じですが、2行目は頭音が変化しているのに、2種3同で五行の季節は変わらず、脚音は全て夏ですから、頭音も脚音も1種4同か2種3同となっていて韻が揃っています。

■■■

歌樽先生:では、4行詩と見た場合はどうなりますか。

詩子アナ:上の8行を4行にすればいいんですね。やってみます。

  • 에는 꽃 피네 꽃이 피 봄 여름 없이 꽃이 피.
  • 에 산에 피는 꽃은 저만치 혼자서 피어 있.
  • 에서 우는 작은 새요 꽃이 좋아 산에서 사노라.
  • 에는 꽃 지네 꽃이 지네 갈 봄 여름 없이 꽃이 지.

第18回

詩子アナ:頭音は全て「산」、脚音は全て「네」ですから、いずれも1種4同です。なるほど、改行をどこでしても韻を踏む形になっているんですね。手品のようですね。これが「改行の名手」であり、かつ「改行の魔術師」といわれる所以ですか、驚きました。

歌樽先生:では、驚いたところで、「オンマヤヌナヤ」との共通点を考えてみましょう。

詩子アナ「オンマヤ・ヌナヤ」(第15回)で「フラクタル*」のお話がありましたが、今回も関連があるのですか。 *fractal: 自己相似性

歌樽先生:ええ、もちろんありますね。「オンマヤヌナヤ」(第2回)がサンドイッチタイプの詩だといいましたが、「山有花」も大きくみれば、サンドイッチタイプの詩といえるでしょう。

詩子アナ:第1連と第4連がサンドイッチの外側で、第2連と第3連を挟んでいる訳ですね。だんだん分かってきました。

歌樽先生:「フラクタル」に気づいたり、サンドイッチの構造をすぐに理解したり、なかなか素晴らしいですね。

詩子アナ:そんなに誉めてくださっても、いい訳詩ができる力は持ち合わせていませんよ。

歌樽先生:いえいえ、そう謙遜しなくてもいいですよ。「オンマヤ・ヌナヤ」の詩碑の写真が届きました。この写真の手前に漢川(한천)が流れています。

kanewaka018a「オンマヤ・ヌナヤ」詩碑(醴泉 漢川辺)

■■■ スンデタウン(新林駅)

詩子アナ:そろそろお腹がすいてきましたが。

歌樽先生:近くにスンデタウンと呼ばれているところがあるんです。そこに行ってみましょう。

http://bass007.tistory.com/661

詩子アナ:スンデがお好きなようですね。

歌樽先生:「オンマヤヌナヤ」の詩碑を見て、スンデを思い出しました。建物全体がスンデのお店という、韓国でもそうそうないスンデタウンですよ。

詩子アナ:「オンマヤ・ヌナヤ」と「山有花」がどうして「スンデ」でつながっているのですか。

歌樽先生:それを問題にしたいぐらいですね。では、こんな問題でどうでしょうか。

第34問:「オンマヤ・ヌナヤ」と「山有花」と「スンデ」のかかわりを述べなさい。

詩子アナ:答がありそうにありませんが。ヒントを御願いします。

歌樽先生:ヒントは詩の中にありますね。

詩子アナ:「엄마야 누나야 강변 살자」と「산에는 꽃 피네 꽃이 피네」でしょ。降参です。

歌樽先生:「강변 살자」は正解ですね。

詩子アナ:「川辺に住もうよ」ですか。「山有花」は「산에서 사노라네」だから、「住むんだよ」といった感じなので、あっ!分かりました!

第34問:答、「スンデ」を「住んで」に掛けているから。

歌樽先生:大正解、ということで、訳詩には期待していますよ。

詩子アナ:今回は訳詩のお話はもう済んでいたのかと思って、安心していましたが。

歌樽先生:私も「すんで」のところで訳詩の話をするのを忘れるところでした。いろんな方がすでに詩を訳していらっしゃいますから、参考になりますよ。もちろん、独自の訳を試みるのもいいでしょう。

詩子アナ:キーハングル「 여름 없이」をしっかり踏まえて訳詩してみます。

わきびとたち

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