自宅近くにある雪ヶ谷八幡神社に行った。何度か鳥居前を通り過ぎたことはあるが、境内に入った記憶はない。こじんまりした神社だと思ったら、なかなか奥深い。わざわざ行ったわけではなく、散髪しに行く途中で立ち寄ったのだが、ひっそりした境内に七五三を祝う女の子を連れた母親と祖父らしい人の姿をみて、なつかしい気分になった。
少年時代を過ごした善福寺川沿いにあった家からほど近いところに井草八幡宮があり、よく境内で遊んだ。源頼朝が植えたとされる松があり、数年に一度行われる流鏑馬(やぶさめ)の人馬一体がよぎる姿を鮮やかに覚えている。少年が一番好きだったのは夏の祭礼だった。ろくろっ首の見せ物やお化け屋敷は不気味で入らなかった。
七五三の儀礼もそこで行った記憶がある。写真で覚えているのかもしれない。小石を敷きつめた境内とくるぶしの上でボタンをとめる黒い革靴を履いていた。僕はあの革靴が気に入っていた。