僕の楽観主義と하면 된다

2015年の秋だったろう。当時、一室を使わせてもらっていたW社の代表から「資金移動業の登録申請を手伝ってくれないか」と言われた。資金移動業者として登録されれば国際送金サービスを提供できる。ただ、その申請業務はかなりむずかしそうに思われた。

就労外国人の増加に伴い、彼らが本国の家族ほかに送る国際送金の需要が高まったのを受け、2010年に資金決済法が施行された。地下バンクの不法行為が長年続き、市場規模の拡大を黙過(もっか)できなくなったことが法規制の背景にある。法施行から11年経った現在、登録業者数は約80社だ。外国為替(かわせ)関連の業務だから、当然ながら登録申請手続きは(きび)しい。専門性を要することから専門の弁護士や行政書士に委託する会社が多いようだ。

W社も資金移動業の登録をしようとして行政書士事務所に申請業務を委託したが、うまくいかなかった。その業務を引き継ぐなど、金融分野の業務経験がない僕にできるわけがない。そう考えて(ことわ)ったのだが、事務所を借りていることもあり、結局は手伝うことにした。W社には日本人スタッフが少なかったから、文章編集能力や多様な業務経験が役に立つかもしれないと考えた。要するに、僕の楽観主義がそうさせたのだ。

申請業務には関連法令や金融分野の知識が必須(ひっす)で、それを補いながら仕事をしなければならなかった。そんな僕の都合(つごう)とは関係なく申請業務はどんどん進んでいった。()(しょう)ということもあり、関連知識の習得に努めたが、知識不足を痛感することも多々(たた)あった。財務局の担当官から「(申請を)取り下げるという選択肢もあるよ」とまで言われた。

いまふり返ると、この嫌味(いやみ)な一言が発奮(はっぷん)するきっかけになったかもしれない。W社代表とともに何度も所管(しょかん)の財務局に通い、2017年春には資金移動業の資格を取得することができた。ひとえに代表の終始(しゅうし)変わらぬ自信と韓国人らしい 하면 된다(なせばなる)という発想のお(かげ)である。学ぶところが多かった。

ウェブサイトの立ち上げ、業界団体への参加など、一連の作業が一段落すると、行政書士試験の勉強をしようと思うようになった。()()きではある。ただ、いざ取りかかると、法律の初学者にはかなりむずかしい。19年夏から専門塾に通い、翌年はコロナ禍もあり、途中で動機を見失い意欲を失ってしまった。21年に講座を変え、三度目の受験をめざしている。これが、70歳にして行政書士試験の勉強をすることになった経緯(けいい)である。

ここ10年におけるスマホの普及とフィンテックの進歩などの影響もあり、2020年には資金決済法が大きく改定された。それに伴う社内規程の改定や新たな登録申請業務に(たずさ)わりながら、試験勉強を通じて(つちか)ったものが少なくないことを感じている。

僕の楽観主義は要するに「いい加減(かげん)」「()()きしだい(되어가는 대로)」ということだ。하면 된다(なせばなる) の否定は、(何も)しなければ(何も)できない、ということは間違いないと思うのだが。

3 thoughts on “僕の楽観主義と하면 된다”

  1. 잘못 보내신 덕분에 재미있는 글 잘 읽었습니다.
    형님만의 낙관주의라기보다는 형님의 자신감에 바탕한 도전의식, 일단 시작하면 중단하지 않으려는 오기와 끈기…이들 모두의 결합의식이겠지요.
    늘 부럽고 존경스러운 모습이었습니다.
    끝까지 잃지 마십시오.

    譬如厚石…

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  2. この投稿を読んだ友人から「器用貧乏」ならぬ「多才貧乏」といわれた。いずれも同じ意味だろう。71歳にしてそう自覚してどうにかなるわけでもないが。みんなから重宝がられて、用が済めば、文字どおり無用の存在になるのだ。

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