記憶の断片集としての小説

小説のテーマはひとことで言えば、老いであり認知症である。そもそも老いとは何か、認知症患者の生とは何か。それらをどう捉えるか、両親をみながらずっと考えてきたが、いまだによくわからない。だから、この小説は一つの仮説にもとづいて書かれた実験的な試みともいえる。

サイトのタイトル下に載せたとおり、<他界して魚になってしまう主人公が「ンヴィーニ」と呼ばれる人々とともに人間界にいたころの記憶をたどり「無宗教派」の信仰の形について語>った内容を時系列に整理した小説である。時期は第1部が1980年ごろ、第2部が1990年ごろ、第3部は2030年ごろで、全体として50年に及んでいる。ただし、記録は三つの時期だけに集中し、それらの前後にある空白の期間についてはまったく書いていない。認知症における記憶の断片化を意図したつもりだが、成功しているかどうか。

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