行政書士試験の自己採点で不合格が判明したあと、気分転換に大型書店に行った。資格試験、民法、行政法、叢書、新書の棚を順に回って、二冊の新書を購入した。いずれも、以前の僕は決して読まなかった本である。
池田真朗著『民法はおもしろい』(講談社現代新書 2012年12月)と大浜啓吉著『法の支配とは何か: 行政法入門』(岩波新書 2016年2月)である。二冊を平行して読み始めたところ、これまで試験勉強で覚えた内容が次々と出てきて、おもしろいように理解できる。いずれの本も文中に問いがいくつか入っているが、すらすら解ける。
両書に共通するのは、初学者にわかりやすく書きながら専門用語を付していること、歴史的な洞察に貫かれ、明治期と戦後の断絶を明解に指摘していること、豊富な国際的視野に裏づけられていることなどである。
過去問を解くような義務感がなく楽しく読める。負け惜しみと言われそうだが、試験勉強がむだではなかった、と実感することができた。来年も挑戦できるような気がしてきた。
追記: 『法の支配』は明治時代から1945年までの<法治主義>に基づく立憲君主制国家(天皇主権)と戦後の<法の支配>に基づく民主主義国家(国民主権)が根本的に異なることを、さまざまな角度から説明する。僕らが小中学校を通じて学んだように明治期から令和期を連続的に捉えるのは間違いなのだ。