大津絵の筆のはじめ

「大津絵の筆のはじめは何佛(なにぼとけ)」は芭蕉(1644-94)48歳のときの句だという(訳: 大津絵にはさまざまな仏の絵があるが、仕事初めは何の仏を描くのだろうか)。唐突になぜ大津絵かというと…数十年ぶりに酒井好古堂のご主人、酒井雁高(がんこう)氏にお会いしたのだ。同サイトにあった大津絵の画像(酒井好古堂版、写真下)に引かれ、右上に書いてある芭蕉の句に遭遇した。

(c)浮世絵・酒井好古堂

70年代初め、書店員だった僕は『歌舞伎評判記集成』の配本のたびに、帝国ホテル前の酒井好古堂に届けに行った。浮世絵の裏話などを聞くのが楽しみで、わざわざ届けに行ったのだ。その後、氏は日本浮世絵博物館設立(1982年、長野県松本市)のために東京を離れることが増え、僕が転職したこともあって遠のいてしまった。

きのう、たまたま近くに行き、お店の前を通りかかったとき、ドアを開けたら、氏がむかしと同じようにこちらを向いてすわっていた。しばし、互いに見つめ合った。そのあいだに記憶が再生されたのだろう、隣りのコーヒー店のカウンターからお店を見ながら1時間以上話し込んだ。50年近い年月がまたたく間に飛んでいった。小説のテーマそのままだ。

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