この小説で訴えたいこと

三部の構成は次のとおりである。この小説が訴えたいことを明らかにするため、各部の要旨と連関性をもう一度整理しておく。一ヵ月前の文章と比べると興味深い。→第二部を挿入した理由

  1. 隠れンヴィーニ: 認知症患者だと自覚している主人公の観察にもとづいて隠れンヴィーニの生態を明かす。主人公によるンヴィーニ批判の展開
  2. 交錯する風景: 主人公の心象風景と列車の窓から見える光景との交錯が示す認知症の初期症状。実は主人公による独白は認知症の治療の一部でもあり、列車で出会った女性は彼の担当医に重ねられ、老人は記録係に重ねられる→序文
  3. 二〇三〇年: 2020年と30年という時間軸の揺らぎは認知症の症状が進行していることを示す。主人公と記録係の時間軸のずれが、それを傍証している。自覚症状のない記録係には理解できないが、その意識の揺らぎは彼と主人公や老人たちとの境界を曖昧にし、彼の人格の輪郭を曖昧にしている。

問題は隠れンヴィーニと認知症患者の共通点と違いをどこに見いだすかだが、両者はほとんど重なっている。ヒトだった主人公と魚(うを)になった彼の違いを認める記録係は、しっかり自我を持っているかに見えるが、その人格は崩れ始めている。

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