書き上げたつもりでプリントアウトして読み返すと、ぼろぼろ垢が落ちるように書き直したいところが目につく。何が最終校閲だ、いい加減にしろ、そんな声がどこからか聞こえてくる。単に優柔不断とか完全主義とかといったことではなく、どこか自分の粘着質の性格に関わる問題があるようにも思う。
自分は小説書きに向いている。まったく根拠がないものの、そんな自信があったが、間違っていたようだ。百枚足らずの短篇を書くのに、こんなに時間を要していては仕事としては到底成り立たない。テーマが小説向きではない、そもそも文章力の不足だろう。今さらそんなことをいってもどうしようもないのだが、自問自答を繰り返している。
ヒューポーヒューポーヒュー、ポーヒューポーヒューポーヒューポーヒュー、ポーヒューポーヒュー、ポーヒューポーヒュー、
家の近くに病院があるので、一日に一回は救急車のサイレンを聞かされる。たったいま、家の前の道路を通った。その音を上のとおり文字にした。すると、小説の末尾に書いた文字列を確認したくなり、すぐ修正することにした。こんなふうに延々として修正作業が続いていく。