新型コロナウイルスが大阪韓国総領事館の業務にも甚大な影響を及ぼしています。
第1に、パスポート・ビザなどの申請のため総領事館に訪れる人が感染しないように最善をつくしています。出入りする人全員にアルコールによる手の洗浄を案内し、体温を検温しています。民願の受付スタッフも全員マスクをして業務に当たっています。
新型コロナ感染を懸念し外部の活動を自粛しているため、通常1日に約250人いる民願受付の訪問者がほぼ半減しました。訪問者数が減って業務量が減ったと思われるかもしれませんが、そうではありません。感染対策に備えた緊張感を考慮すると、業務量は質的に増大したともいえます。
第2に、日本政府が急きょ3月9日から講じた韓国発の旅行者に対する入国制限措置に伴い、日本に入国する韓国国民の安全と不便の解消に対応する必要があります。韓国から日本への入国者が成田国際空港と関西国際空港の2ヵ所に限定されたので、所管の関西国際空港に出入国する韓国国民の状況を毎日点検しています。11日からは、チェジュ航空だけが仁川と関西国際空港の間を毎日1便往復しています。観光ビザ免除が停止されたため、ごく僅かな人数が出入国している状況です。
第3に、多くの人が集まる行事は実施していません。4月初めまでの行事はすべて延期または中止され、13日に予定していた総領事館の再建工事の起工式も中止しました。各地方の民団主催で開催される3・1記念日の行事も延期され、いつ行われるか未定です。
このような状況にあっても、すべての行事を中止することはできません。11日には関西地域の日韓の学者を招き、感染症などの越境協力をテーマに専門家による討論会を開催しました。ムン・ジェイン大統領は3・1記念日の101周年記念スピーチで新型コロナ問題を取り上げ、非伝統的安全保障(NTS)の脅威に対する両国の協力を提案しました。 日本のマスコミも関心を持ち大きく報道しました。この大統領提案を受けて討論会の開催準備を進めていたところ、安倍晋三首相が急きょ強力な入国制限措置を講じたゝめ、当初の開催企画より大幅に縮小されました。かえって意義深い行事になったとも思われます。
この日の討論会で、参加者たちは専門家と民間を中心とする協力の重要性を強調し、必ずしも根拠がはっきりしない入国制限措置は早く解消されるべきだと指摘しました。私は「新型コロナの国境を越えた世界的な拡散状況に鑑み、世界レベルの協力が最も効果的な対応策」だと述べました。
この日の会議において、ある出席者は現在世界で行われている新型コロナ対策には、中国型・韓国型・日本型の三つの類型があり、いずれの対応が最も効果的か近い将来明らかになるだろうとの見解を述べました。都市封鎖などの完全な統制を主とする中国型、症状のある人をできる限りすべて発見して積極的に検査する韓国型、重症患者を選別して検査する制限的な日本型があります。民主主義体制下において採用できる韓国型と日本型のいずれのほうが効果的か注目されることになるでしょう。
最近は週末の行事がなく、家で新型コロナ関連のテレビ番組をよく見ますが、日本国内では韓国のように調査を積極的にすべきだと主張する人は少数派のようです。大半は医療崩壊を防ぐために選別的な検査方法のほうがよいと考えています。
このような日本の現状が心配されます。時間が経てば明らかになるでしょうが、「最大(多数)検査」の韓国型と「選別(少数)検査」の日本型のコロナ対策のいずれがより効果的な対応策なのでしょうか。
Reuters: How Korea trounced U.S. in race to test people for coronavirus