10月7日、1446年のハングル公布から573周年に当たる2019年ハングルの日を二日後に控えた夜、大阪総領事館主催によるハングルの日記念レセプションを大阪帝国ホテルで開催しました。
従来、大阪総領事館は毎年10月3日に開天節の記念レセプションを開催してきました。ことしはその日程と名称を変更し、ハングルの日記念レセプションとして開催しました。数千年前の神話時代の建国神話について説明するより韓国の最も誇る発明というべきハングルについて説明するほうが、日本の人々の理解を得やすいし有意義だというのが変更の最大の理由です。
今回のレセプションには歴代の行事のなかで最も多い700人余りが参加し、参加者の構成も多様でした。以前とは違って日本人が多く、在日コリアンも所属や年齢層がきわめて多彩でした。6月末に行われたムン・ジェイン大統領と在日コリアンの懇談会の際に顕著だった多様性と開放性が今回の行事にもみられたのです。
受付に名刺を置いて入場した人だけで昨年より100人以上多く、職員や家族など名刺を置かずに出席した人を含め 800人に達したと思われます。出席した他の国々の総領事も参加者の多さに驚いていました。日本人参加者も、日韓関係が凍てついた状況にあって驚くべきことだと言い、萎縮していた在日コリアンも安堵したようでした。
日韓関係が難局にあるなかで多くの参加者を得た理由を考えるに、日韓交流の幅と深さが政府関係の変動に揺るがないほど広く深いことが最大の要因だと、私は判断しています。また、困難な時だからこそ多くの人が参加し、日韓関係を改善する力を結集しようという熱望を反映しているとも推測されます。実際、日本側参加者の面々には著名な名士よりも草の根交流の中間リーダーが圧倒的に多くいました。
ことしは式典のアトラクションとして韓国から大佛大学のテコンドーチームを招聘し、撃破と攻守のデモンストレーションを披露して大喝采を得ました。撃破と攻守中心のデモでは、高さ 2-3 m の上空撃破、連続撃破、目隠し撃破など難度の高い技を披露し、観客を釘付けにしました。撃破で割れた松の板の端切れが舞台前に飛び散る臨場感および迫力満点の動作と喊声に、観客はみな呆気にとられ見入っていました。
記念レセプションを通じて「日韓関係が難局にあっても有意義な交流は続けなければ」というメッセージを伝えたいと思いましたが、その目的は達したようです。私とオヨン大阪民団団長による韓国側の祝辞に続いて、日本側の祝辞に立った滋賀県の三日月大造知事は滋賀県と朝鮮半島の古代からの縁、2001年の新大久保駅における李秀賢氏の死、2002年のワールドカップ日韓共催、2018年の平昌(ピョンチャン)五輪における李相花選手と小平奈緒選手の友情を取り上げ、交流の重要性を強調しました。
2017年の末、朝鮮通信使のユネスコ記憶遺産登録に多大な貢献をされた京都造形芸術大学の中尾寛客員教授は乾杯の辞で、滋賀県出身の江戸期の朝鮮専門外交官、雨森芳洲(1668-1755)の「互いに欺かず争わず真実をもって交わる」誠信外交の精神を強調しました。そして、韓国人は「カンパイ」、日本人は「コンベ」と相手側の言葉による乾杯を提案し、会場のムードを盛り上げました。
舞台行事が終わった後、参加者たちは2時間近く焼肉とチャプチェ、マッコリなど韓国料理を楽しみながら話を交わし、名残惜しそうに会場を後にしました。