6月27日夕方、大阪城近くのニューオータニホテルでムン・ジェイン大統領と在日コリアンとの懇談会が開催されました。直前の韓中首脳会談が長引いたため、予定の6時30分より7分遅れて始まりました。
今回の在日コリアン懇談会は「在日コリアンの首都」と呼ばれるほど韓国国民が多数集住する大阪で8年ぶりに開催されることもあり、高い関心を呼びました。日韓の政府関係がよくない状況下、在日コリアンたちがどんな発言をし、大統領がどんなメッセージを送るかも大いに注目されました。
結果的に懇親会はとても和やかなムードのなかで行われました。行事中、参加者が大統領夫妻を背景に記念写真を撮ったり、数名が無遠慮に大統領の席に近づいて挨拶を交わそうとするなど、警護員たちが汗をかかされる場面もありました。これらすべてが権威主義的な政権下では想像できない「キャンドル政権」ならはの特徴ではないか、と私は肯定的に捉えています。
今回の懇談会のキーワードは、ハーモニーと未来だと思います。民団幹部を中心に行われた過去の懇談会とは異なり、いま各界で活躍するコリアンたちが等しく参加するハーモニーの場となったからです。軍事独裁政権時代に捏造されたスパイ事件で死刑又は無期懲役を宣告された在日韓国良心囚同友会の李哲(イチョル)代表と韓国又石(ウソク)大学の徐勝(ソスン)客員教授が大統領夫妻と共にメインテーブルに配席されたことがすべてを象徴しています。
白頭学院建国学校の伝統芸術部の生徒のきわめて印象的なパフォーマンスは参加者、殊にソウルからの代表団を感動させました。会場の背景に民族学校や民族学級の生徒たちが描いた「大韓民国」という文字をデザイン化したコリアンたちの肖像画は、次世代コリアンの明るい未来を示していました。
懇談会を支配したもう一つのキーワードはプライドではないかと思います。厳しい環境にあってもルーツを守り、祖国に物心両面の貢献をしてきた在日コリアンを支えたのは、まさに韓国出身というプライドだったと思われます。だからこそ「コリアンのみなさんが祖国の発展に誇りを持てるように努めます」というムン大統領の最後の激励の言葉に一層反響があったのです。
準備段階を通じて懇談会に参加して感じたことを<ソウル新聞(2019.7.1)>に寄稿しました。