ムン・ジェイン大統領夫妻を激しい雨のなかで出迎え、曇り空の上天気のなかで見送りました。6月27日から29日、韓国大統領が出席した主要20ヵ国地域(G20)大阪首脳会議は、私にとって暴雨に始まり、曇り空で終わりました。
写真と映像、記事だけで見ていた首脳陣の華麗な外国訪問が、いかに多くの人々の準備と努力、緻密な段取りで運営されているか、まだ2年生の総領事としてありありと実感しました。例えば、首脳たちの到着と出発、出迎えと行事、歓送迎の準備にせわしく動き回る多くの人々が努力する姿は、単に舞台上の俳優のために動き回る舞台裏の人々のようには見えません。大型行事を遺漏なく推進するために汗水流す日韓双方の関係者の尽力と労苦に対し、改めて頭を垂れ感謝したいと思います。
約2ヵ月前から内部で準備してきた行事が終わったいま、疲労感と虚脱感が押し寄せてきます。総領事として在任中になかなか経験できない大型行事を無事に終え、達成感も感じます。
今回の韓国大統領の大阪訪問で総領事館が最も準備に苦心した行事は、27日夕刻に開催された在日コリアンとの懇談会でした。日韓関係がよくないなか、8年ぶりに開催される行事であり、とりわけ準備に力を注ぎました。
できる限り在日コリアン社会の全体を代表する各界各層の人々を招き、ハーモニーの場を提示しようと試みました。韓国人としてのプライドと日韓関係の友好の必要性が浮き彫りになるような集いになることを意図しました。
幸い、全体として満足のいく行事になったと確信しています。ムン大統領は激励の辞でコリアンの痛みを癒やし、これまでの貢献を賞賛しました。コリアンたちは日韓関係悪化のなかでの困難な生活を訴えながらも、大統領の言葉に大きな拍手で応え支持の意を示しました。白頭学院建国学校の伝統芸術部の迫力あふれる公演は、在日コリアンの未来が一枚岩であることを示唆するものだったと思います。
不十分だった点がないわけではありません。ムン大統領が「いかなる困難にも揺るがない日韓友好関係の構築」を強調したにもかかわらず、安倍晋三首相に無視され、今回の会議では略式会談さえ開催されませんでした。一方で5月から北朝鮮のキム・ジョンウン委員長に「前提条件なしの対話」を強調しているにもかかわらずです。
仔細に見ると、長い準備にもかかわらず脱落したこともあり、十分にできなかったと自責の念に駆られることもあります。人の営みに100%完璧なことはない、と痛感します。それを自覚しながら完璧を追い求める姿勢が最終的にミスを最小限に抑える方法ではないか、そんなことを悟った、短くも長い2泊3日でした。