9月18日(火)、継続している大学としては日本最古の大学である京都の龍谷大学を訪問しました。参考までに、継続性は別にして、日本最古の大学は弘法大師・空海(774-835)が作った綜藝種智院(828年)に淵源を持つ京都の種智院大学だそうです。
龍谷大学は、深草・大宮(いずれも京都)、瀬田(滋賀県)の3つのキャンパスに文学、法学、経済、農学など9つの学部を擁する大規模な仏教系大学です。1639年に浄土真宗本願寺派の本山である西本願寺の僧侶養成機関としてスタートしました。韓国の東國大學校(1906年設立、私学)のような大学でしょうか。
龍谷大学は、韓国関連の貴重な資料を所蔵していることでも有名です。安重根義士(1879-1910)の遺品の書や写真など88点を所有しています。これらは、2009年、安義士義挙100周年を迎え、安重根義士記念館の特別展に貸与されました。朝鮮時代(1392-1910)に作成された東洋最古の世界地図「混夷疆理歷代國都之圖」の模写本(原本は不在)も、同学の図書館に所蔵されています。
西本願寺の門主だった大谷光瑞氏(1876-1948)が1900年代初めに探検隊(大谷探検隊)を率いてシルクロードを探訪し、多くの仏教遺物を収集しました。これらの遺物は第2次大戦終戦とともに韓国の国立中央博物館、中国の旅順博物館、龍谷大学、東京大学など3ヵ国の機関に分散しています。
仏教美術専攻で、2005年のアフガン仏教遺跡学術大隊長も務めた入澤隆学長は、日中韓三ヵ国に分散している大谷探検隊の遺物を一ヵ所に集めて展示できたら、という意欲を強くお持ちです。そして仏教と関連の深い韓国や日本などの国々が研究ネットワークを形成し、共同の仏教研究をしたいとお考えです。
このようなネットワークを通じて地域の連帯を約束し、国連が提示した持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)を民間が率先して実行できないだろうか、とも考えています。学長のスーツの襟には持続可能な開発目標を象徴するバッジが付いていました。
江戸幕府の昌平坂学問所(1790年設立)が幕末に開成所となり、東京帝国大学に引き継がれたと理解していたが、1639年に設立された西本願寺の僧侶養成機関のほうがはるかに古いということだ。世界史ではヨーロッパの中世に大学の前身が複数のキリスト教会に生まれたと習ったが、龍谷大学が日本最古のしかも継続している教育研究機関だとすれば、同じく宗教団体が母体となったということで自然に納得がいく。小さな発見かもしれないが、大きな歴史認識の修正を迫るもので興味深い。
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