第11回
歌樽先生:そんなに大変ですか。
詩子アナ:重大事件です。「2・8宣言書」や「3・1宣言書」のような国の独立を云々するような語彙や表現は見当たらないと思っていたのですが、ありました!
歌樽先生:見当たれば、すぐに捕まりますから、見当たらないようにした訳ですね。
詩子アナ:はい、これではなかなか見つかりません。「バンザイ」です。ばんざーい!
歌樽先生:急にどうしたんですか。大丈夫ですか。
詩子アナ:謎がだんだん解けてきた気がします。
歌樽先生:実際には目次も縦書きですから、右から左下に読むことになりますね。今までにない、鋭い視点が加わったようですね。
詩子アナ:褒めていただき、ありがとうございます。「萬里城」の「萬」と「樹芽」の「芽」の下の部分の「才」で「萬才」、つまり3・1運動で「独立萬歳」を叫んだことを思い起こさせます。
歌樽先生:「破字法」の爆発的な威力が発揮されていますね。「万歳」の「歳」は千字文では「閏餘成歳(윤여성세):閏月で1年を成す」(歳は28番目の文字) 、「才能」の「才」は「男効才良(남효재량):男は才徳をみならえ」(才は167番目の文字) のところにあります。もともと別の文字ですが、「才」の字が「歳」の代わりに用いられていましたね。
詩子アナ:「万歳」の「歳」と「才能」の「才」は確かに別の文字ですね。
歌樽先生:万一、これは「万歳」のことを言っているのではないかと問われたときには、「歳」と「才」は字が違うというふうに、弁明できる余地を作ったと言えるかもしれませんね。
詩子アナ:そういうことですか。AでもありBでもあるような形にしておいて、Aではないかと問い詰められた時に、AとBは違いますという訳ですね。
歌樽先生:仮にということで、実際にはそこまで問い詰められるようなところまでいかないような工夫をあちこちにしていたのでしょう。ところで、「失題」と「白頭山」との関連はどうなりましたか。
詩子アナ:ああ、そちらの方を忘れていました。いろいろ当てずっぽうで言っても構いませんか。
歌樽先生:おおよその流れが間違っていなければ、当てずっぽうも無視できない方法ですよ。
詩子アナ:では、当てずっぽでやってみます。
第18問:「失題」の「題」の字に「白頭山」の「頭」の右の「頁(おおがい)」があります。「失」の第一画と「題」の字の第1画から第4画の「日」を合わせれば、「白」になります。「頭」の字の右側の「豆」が見つかりませんが、「題」の左側の「是」から「日」を除いた「下+人」と「失」の字の第一画を除いた「二+人」でなんとか辻褄を合わせるというのでいかがでしょう。
歌樽先生:鋭いところもあれば、無理筋のものもありますね。
詩子アナ:やはり、無理筋ですよね。
歌樽先生:千字文で「白」の字を調べてみましょう。
詩子アナ:4字づつ句で区切ると33番目の句と34番目の句に「鳴鳳在樹(명봉재수 メイホウザイジュ)白駒食場(백구식장 ハククショクジョウ)」があります。「鳳凰が木に止まって鳴き、白馬が草を食む」といった内容のようですが。
歌樽先生:「白」の前にある文字は何ですか。
詩子アナ:「樹」です。あー、なるほど、この「樹」の字の真ん中に「豆」の字がありますね。これは面白いことになりました。
第18問:再挑戦です。「失題」の「題」の字に「白頭山」の「頭」の右の「頁(おおがい)」があります。「豆」の字は2つ手前の詩のタイトルの「樹芽」の「樹」の木偏と右端の「寸」を除いた形から「豆」をいただいて、「白」は千字文の流れで、「樹・白」ですから、この「白」を足せば「白+豆+頁」となり、「山」は本文からとれば「白頭山」になります。
歌樽先生:かなり大変な作業になりましたね。
第12回
詩子アナ:昔の人は千字文で「樹」の後ろが「白」だということがすぐに分かっていたんですか。
歌樽先生:もちろんです。では、こんな問題を。
第19問:「いろは歌」で「あ」の後ろの音は何ですか。
詩子アナ:ちょっとお待ちください。「いろはにほへと・・・あさきゆめみし」ですから。
第19問:「さ」です。
歌樽先生:千字文も同じで、昔の人は子供のころから諳んじていましたから、「鳴鳳在樹」は「울 명,봉황새 봉,있을 재,나무 수」,「白駒食場」は「흰 백,망아지 구,밥 식,마당 장」とすらすらでてきます。ですから、「樹」の後ろは「白」とすぐに分かります。
詩子アナ:昔の人はいろんな勉強をしていたんですね。
歌樽先生:実は、この詩の本文の中にも「白頭」があるんですよ。次の第3連を見ておきましょう。
- 동무들 보십시오 밤이 옵니다
- 박쥐가 발부리에 일어납니다
- 두 눈을 인제 그만 감으십시오
- 우리도 골짜기로 내려갑시다
詩子アナ:「보」「십」「밤」「옵」「박」「발」「부」「납」など「ㅂ」の文字が目立ちますが。
歌樽先生:確かに「ㅂ」が目立ちますね。1行目と2行目の頭音をつなぐと、どうなりますか。
詩子アナ:「동무」と「박쥐」の頭音をつなぐと「동박」となります。「동박꽃」は「동백꽃:ツバキの花」、「동박나무」は「동백나무:ツバキ」のことですから、「박」を「백 」に変えて3行目の頭音につなげると「백두(白頭)」となります。
歌樽先生:かなり深いところまで来ましたね。
詩子アナ:あの、これも、AでもありBでもあるような形にしておいて、Aではないかと問い詰められた時に、AとBは違いますという類の例のようですが。
歌樽先生:なるほど。仮に「백두(白頭)」とはけしからんと言われた時には「백」ではなく「박」ですといえるようになっていますね。では、次の問題です。
第20問:独立運動で歌われた愛国歌に出てくる海は次の内、どれでしょうか。
1)동해(東海) 2)서해(西海) 3)남해(南海) 4)북해(北海)
詩子アナ:これは間違いなく答えられます。
第20問:1)の 동해(東海)、です。「동해 물과 백두산이 마르고 닳도록」ですから。
歌樽先生:これは韓国に行くと聞く機会が多いですね。
第21問:では、この「동해」を「失題」から探しましょう。
詩子アナ:ここまでやってくるとすぐに分かります。
- 동무들 보십시오 해가 집니다
- 해 지고 오늘날은 가노랍니다
第21問:まず、「동무들 보십시오」の後ですぐに「해가 집니다」 と言って「동」と「해」に注目させてから、第1連の1行目と2行目の頭音を続けて読むと「동무」の「동」、「해 지고」の「해」で、「동해(東海)」となります。
歌樽先生:これで、「愛国歌」の「동해 물과 백두산이 마르고 닳도록」の「동해」と「백두산」が揃いましたね。
詩子アナ:でも、揃ったといっても、普通の人は分からないと思うんですが。
歌樽先生:普通の人が分かるようでは、すぐに捕まってしまいます。普通の人にも、普通でない人にも気が付かれないようにする必要がありますからね。
詩子アナ:国を失った悲しみの気持ちをどんな形であっても、残しておきたい、忘れないようにしたいという叫び声が「東海」を「동」と「해」に分けたところから聞こえるようです。
第13回
歌樽先生:かなり、詩の本題に入ってきたようですね。
詩子アナ:でも、一方でこの7番目の「失題」というタイトルの詩は国の独立とか愛国歌とかとはまったく無関係と考えている人も多いと思うのですが。
歌樽先生:詩の読み方はいろいろありますので、いろんな理解の仕方があっていいんじゃないですか。詩が一つの理解しかできないのでは窮屈ですからね。
詩子アナ:いろんな読み方ができる、それがAでもあり、かつBでもあるという形式をとっている理由なんですね。
歌樽先生:では、そこのところをもう少し考えてみましょう。
第22問:次の中で2つの意味にとれるものはどれでしょうか。
- 1) 동무들 보십시오 밤이 옵니다
- 2) 박쥐가 발부리에 일어납니다
- 3) 두 눈을 인제 그만 감으십시오
- 4) 우리도 골짜기로 내려갑시다
詩子アナ:二つの意味ですか。
歌樽先生:正反対の意味と言ってもいいでしょう。
詩子アナ:正反対ですか。
- 1) ごらんなさい。夜になります →ごらんなさい。朝になります
- 2) コウモリが足の方に起き上がります →頭の方に起き上がります
- 3) 二つの目を閉じましょう →2つの目を開けましょう
- 4) 山から下りましょう →さらに山の上に上がりましょう
こんな感じで探せばいいんですね。
歌樽先生:そうですね。
詩子アナ:あの、コウモリって目がありましたっけ?
歌樽先生:夜行性のコウモリは目がよく見えないので、超音波を出して餌の位置などを確認をしているといわれていますね。
詩子アナ:「2つの目」というのは誰の目ですか?
歌樽先生:それは考えてみてください。
詩子アナ:「ややこしや、ややこしや」の世界ですね。一緒に山に登った子供たちは目を閉じてはいないでしょうから、これが子供たちに言っているのであれば「目を閉じなさい」ということになりますが、これから山を下るのに目を閉じたままでは危ないですし、目を閉じなければならない理由も見当たりませんから、子供たちの目ではないようですね。コウモリの目だとしても、よく見えない訳ですから、目を閉じても開けても見るという点では大差はないですね。
歌樽先生:だいぶ整理がついたようですね。
詩子アナ:分かりました。
第22問:3) の 두 눈을 인제 그만 감으십시오、です。
寝ている人には「もう目を覚ましましょう」、起きていた人には「目をつむりましょう」と正反対の意味になるような表現になっています。
歌樽先生:不思議な文ですね。3)は真逆の意味にとれますね。
詩子アナ:「인제 그만」が微妙ですね。「인제 감으십시오」なら「つむりましょう」、「그만 감으십시오」なら「つむるのはやめなさい」ですから「覚ましましょう」になります。どちらの解釈をすればいいのですか。
歌樽先生:両方の解釈ができるような理解が必要ですね。
詩子アナ: これもAでもあり、かつBでもあるという形ですね。詩を訳すときにはどうするのですか。
歌樽先生:それはそれなりの工夫が必要でしょうね。
詩子アナ:あの、大変なことに気が付いたのですが。
歌樽先生:さきほどの重大事件ぐらい重大ですか。
詩子アナ:重大、重大、二重大です。
歌樽先生:何度も驚かされていますからね。二重大とかいうぐらいですから、どこかに数字が絡んでくるようですね。
第14回
詩子アナ:当たり、当たりの大当たりです。さっき「보」「십」「밤」「옵」「박」「발」「부」「납」など「ㅂ」の文字が目立つと思ったのですが、「ㅂ」の数が大当たりなんです。
歌樽先生:どう大当たりなんですか。
詩子アナ:「28」個あるんです。
동무들 보십시오 해가 집니다 1 2 3 해 지고오늘날은가노랍니다 4 윗옷을잽시 빨리입으십시오 5 6 7 8 우리도 山(산)마루로올라갑시다 9 동무들 보십시오 해가 집니다 10 11 12 세상의 모든 것은 빛이 납니다 13 14 이제는 주춤주춤 어둡습니다 15 16 예서 더 저문 때를 밤이랍니다 17 18 동무들 보십시오 밤이 옵니다 19 20 21 22 박쥐가 발부리에 일어납니다 23 24 25 26 두 눈을 인제 그만 감으십시오 27 우리도 골짜기로 내려갑시다 28 |
歌樽先生:つまり、それは?
詩子アナ:「독립:独立」の「ㅂ」が初声とパッチム合わせて「2月8日」の独立の「宣言書」の日にちの「28」と同じだと思いまして。
歌樽先生:なるほど、それはよく数えましたね。ほかに数えたものがありますか。
詩子アナ:32番目の詩の「失題」ですが、こちらは「ㅁ」が初声と終声合わせると29個あります。
歌樽先生:そうでしたか。その数合わせは偶然の一致でしょう。いろいろ探してみると、他の文字にも「3月1日」の数の31と一致するものは捜せると思いますよ。調べるのなら、何もかも徹底して調べてみると面白いですよ。
詩子アナ:ああ、そうなんですか。私、大発見だと思ったのですが。残念!
歌樽先生:でも、いろいろとやってみることは十分意味はありますから、それほど落胆することはありません。それに、「28」という数字はそれ自体特別な数字ですから、素月が興味を持った可能性は大いにあるでしょう。
第23問:「28」はどんな意味で特別な数でしょうか。
1) 素数 2)完全数 3)合成数 4)親和数
詩子アナ:それらは数学的にはそれぞれ意味のあるものなんですか。
歌樽先生:数学的にはそれぞれ独自の意味を持っている用語のようですよ。
詩子アナ:素数を除けば、約数と関連があるようですが。
第15回
歌樽先生:なかなかするどい方向に向かっていますね。
詩子アナ:完全数という言葉はどこかで聞いた覚えがあります。たしか、映画だったようですが。分かりました。
第23問:答えは、2) 完全数、です。
歌樽先生:いつもながら、なかなかの推理力ですね。
詩子アナ:推理ではなくて、思い出しただけです。映画のタイトルが「博士の愛した数式」だったようですが、中身はあまり覚えていません。
歌樽先生:なかなかいい映画でしたね。完全数というのはある数の約数の和がその数のちょうど2倍のものです。
詩子アナ:約数の和がその数のちょうど2倍ということは、自分の数を除いた約数の和がそのもとの数と一致するものですね。
歌樽先生:その通りです。例えば、「6」の場合の約数は「1,2,3,6」で、最大の約数の「6」を除くと、「1+2+3=6」で、これが元の「6」と一致していますから、完全数です。
詩子アナ:なるほど、そうですか。「28」は約数が「1+2+4+7+14」でこれが「28」ですから、完全数となる訳ですね。
歌樽先生:1桁の数では「6」、2桁の数では「28」、3桁の数では「496」、4桁の数では「8128」とそれぞれ1つずつしかないんです。この4つはしっかり覚えていてください。
詩子アナ:「6、28、496、8128」ですね。分かりました。では、5桁や6桁もひとつずつなんですか。
歌樽先生:5桁から7桁はひとつもなく、8桁の「33,550,336」まで跳びます。
詩子アナ:では、その次は?
歌樽先生:その次は少し先の10桁で「8,589,869,056」です。
詩子アナ:完全数はそれほど少ないんですか。下1桁が「6」か「8」のものが多いようですね。
歌樽先生:そうですね。現在まで見つかっているものの下1桁はすべてが「6」か「8」なんです。しかも「6」の前の数字は「奇数」、「8」の前の数字は偶数の「2」しか来ないんです。
詩子アナ:「2」と「8」がペア―になって、いつも「28」の形になっているんですね。
歌樽先生:そうです。完全数には実は面白い特徴があります。
第24問:2桁以上の完全数に現れる数字の一つ一つをすべて足し、合計が2桁以上だとそれをまた足して1桁になるまで繰り返すとその値は次のどれでしょうか。
1) 1 2)3 3)6 4)8
詩子アナ:意味がよく分かりませんが。
歌樽先生:仮にですが、31415926535897932384626433832795という数字があるとすると、一つ一つの数字をすべて足すと155になります。この数字を足すと「1+5+5」で「11」、これを足すと「1+1」で「2」になります。これで1桁の数字になりました。
詩子アナ:やり方は分かりました。では、先ほどの2桁の完全数からやってみます。「28」は「2+8=10」、これを1桁にすると「1+0=1」で「1」。「496」は「4+9+6=19」、「1+9=10」「1+0=1」で「1」、4桁の「8128」は「8+1+2+8=19」、「1+9=10」」、「1+0=1」で「1」、8桁の「33,550,336」だと、合計が「28」、これも「1」ということで、
第24問:答えは1) の「1」、です。
つまり、完全数の数字を一つ一つどんどん足していって、その結果をまた一つ一つ足していけば最後には「10」になって、これを1桁にすると「1」になるということなんですね。これは数字がいくら大きくなっても変わりませんか。
歌樽先生:変わらないようですね。実際の数字がかかれたサイトがありますから、あとで調べてみてみてください。
http://goodboone.com/izime/science/entry1247.html
詩子アナ:数学好きの素月は2月8日を完全数としての「28」とどこかでつながっていると認識していたかもしれませんね。
歌樽先生:完全数という言葉にも魅せられたところがあったのではないかと思われます。「28」とか「31」という数字について考えていたことは確かでしょう。
第16回
詩子アナ:「31」と完全数とは何か関連があるのですか。
歌樽先生:これは2つ目の「失題」とのかかわりを見直すといいですね。
詩子アナ:以前、2つ目の「失題」が32番目の詩として書かれていて、32は自分の数以外の約数の和が「1+2+4+8+16=31」となることをやりましたが、これとは違うのですか。
歌樽先生:それも踏まえて考えてみましょう。
第25問:「31」「32」と関連のあるのは次のどれでしょうか。
1) 397 2) 405 3) 496 4) 1425
詩子アナ:これはもう完全数との関わりでしょうから、躊躇なく、
第25問:答えは、3) 496、です。
歌樽先生:この496はどこから出てきた数でしょうか?
詩子アナ:どこからと言われても、ともかく496でなければ、この流れは止められません。先ほど先生から「6、28、496、8128」の4つは覚えておくようにと言われましたから。それで、ピンときました。それから、1から31までの数の総数は(31×32÷2=496)ですから。
歌樽先生:なるほど。実は『진달래꽃』の目次でタイトルに使われた文字数を数えてみたのですが、タイトルで使われた「( )」をセットとして一字分で計算すれば、「496」文字になるんです。別々に数えれば「498」となりますが。
詩子アナ:えっ?何とおっしゃいましたか?
歌樽先生:『진달래꽃』の目次のタイトルと本文のタイトルが一部一致しないものもあるのですが、目次にある一番初めの詩のタイトルの「먼後日」の3文字から最後の127番目の詩のタイトルの「닭은 꼬꾸요」の5文字までを全て足した合計が「496」文字になるんです。
表にしておきましょう。
字数 | タイトル | 個数 | 字数計 |
---|---|---|---|
1 | 밤など | 7 | 7 |
2 | 바다など | 34 | 68 |
3 | 먼後日 など | 36 | 108 |
4 | 千里萬里など、ただし( )は1字扱い | 18 | 72 |
5 | 닭은 꼬꾸요 など | 11 | 55 |
6 | 春香과 李道令など | 9 | 54 |
7 | 마른 江두덕에서 | 1 | 7 |
8 | 不運에 우는 그대요など | 2 | 16 |
9 | 예전엔 미처 몰랐어요 など | 2 | 18 |
10 | 해가 산마루에 저물어도 | 1 | 10 |
11 | 사노라면 사람은 죽는 것을 など | 3 | 33 |
13 | 바다가 變하여 뽕나무밭 된다고など | 2 | 26 |
22 | 바라건대는 우리에게 우리의 보습 대일 땅이 있었다면 | 1 | 22 |
総計 | 127 | 496 |
第17回
詩子アナ:これでは確かに完全数を意識していたとしか考えられませんね。
歌樽先生:では、こんな問題を出しましょう。
第26問:これらの詩はいくつのパートに分けられているでしょうか。
1) 12 2)14 3)16 4)18
詩子アナ:「パート」というのは何ですか。
歌樽先生:第1番目の詩の「먼後日」は「님에게」という大きなタイトルの中に入っている10の詩の内の1つです。『진달래 꽃』という詩集の127の詩はこうしたいくつかの大きなタイトルに分けられているのですが、この大きなタイトルの数はいくつでしょうか。
詩子アナ:「パート」の数とは、この大きなタイトルの数なんですね。目次をみればすぐに分かるのですが。ええと、数えました。
第26問:3) の16、です。
歌樽先生:その理由は何でしょうか。仮にあればということなんですが。
詩子アナ:仮にでよければ…、「16」は「4×4=16」でも「2×8=16」でもあるのですが、「2×8」とすれば、「28」は完全数で、2月8日の「28宣言」にも通ずるということでしょうか。
歌樽先生:それぞれのパートに入っている詩の数は少ないものでは1つ、多いものでは19とずいぶんばらついているのですが、こうした分け方には素月なりの考えからなのでしょう。
詩子アナ:「이팔청춘(二八青春)」という言葉を聞いたことがありますが。
歌樽先生:かつては「二八」つまり16歳といえば立派な大人でしたからね。『春香伝』の成春香も李夢龍も「이팔청춘(二八青春)」でしたね。ちなみに素月は「三五」15で結婚しています。
詩子アナ:そうなんですか。詩集の『진달래꽃』を作るときには大変でしたね。数字についてもいろいろ考えて「失題」を7番目に持ってきたんですね。1から7までの数字の合計が28で、これは2月8日の独立宣言書に格別な思いがあったからでしょうね。その流れからもう一つの「失題」を32番目に置いて、自分の数以外の約数の合計が「31」にしたことから、3月1日の独立宣言書への思いも推察できますね。
28とか31という数字をそのまま使うと独立運動家ではないかと疑われたり、怪しまれたりするので、約数と完全数という概念を使って表面的には分からないように配慮した、こんな風にも理解できるということのようですね。でも、一方で辻褄を合わせただけの解釈だと言われれば、そんな気もしてきますが、素月の気持ちはどうだったのでしょうか。
歌樽先生:Aでもあり、かつBでもあるという形式をとっているわけですから、少なくとも複数の解釈を拒否するというスタンスではなかったように思われます。
詩子アナ:時代が時代だっただけに大変な思いで詩作りをされていたんですね。でも、そうして詩を作っても、その意図が誰にも知られないままで終わる可能性だってある訳でしょう?
歌樽先生:その可能性はありますね。でも、その詩が残っている限り、いつか誰かがその詩の真意について語ってくれる日が来るに違いがない、こうした確信が詩を作る原動力にもなっていたのでしょうから。
詩子アナ:詩の本質に近づいたようでもあり、遠のいたようでもあるといった気持ちです。ところで、一つ気になっていたのですが、ずいぶん前に、ええと「제비:つばめ」の第1回で、すでに
- 동무들 보십시오 해가 집니다 みんなごらんよ 陽が沈む
- 해지고 오늘날은 가노랍나다 沈めば 今日とお別れさ
- 웃옷을 잽시빨리 입으십시오 何か羽織って さあ早く
- 우리도 산마루로 올라갑니다 僕らもお山に 登ろうよ
という訳詞が付けられていたのですが、この訳詞にはなにか秘密があるのですか。
歌樽先生:訳詞ですから、これに秘密があってもなくても原詩にはかかわりがないのですが…
詩子アナ:ということは、何か訳詞にも秘密があるということですね。
歌樽先生:そこまでいわれるとしかたがありません。では問題を出しましょう。
第27問:1行目の「みんなごらんよ 陽が沈む」の訳詩と最も関連の深いものは何でしょうか。
1) 東海 2)西山 3)南江 4)北天
第18回
詩子アナ:「みんなごらんよ 陽が沈む」ですから、これはもう2)の「西山」に違いないと思うのですが、これでは秘密になりませんね。
歌樽先生:秘密があると睨んだところはさすがですね。
詩子アナ:これで、秘密があることがはっきりしました。ということは、正解が2)ではないということですから、他を捜さなくては。以前「破字(파자)」を学びましたが、「破音(파음)」というのはあるのですか。
歌樽先生:聞いたことはありませんが、必要であれば作ることは可能ですよ。どういう概念かはっきりしていれば考えましょう。
詩子アナ:「破字」は漢字の字画の部分を利用しますが、この「破音」は一連の音のつながりから、その一部の「音」を利用するものなんです。
歌樽先生:それはずいぶん深みに入ってきましたね。
詩子アナ:ということは、これが正解のようですね。
第27問:1)東海、です。
歌樽先生:理由は?
詩子アナ:ローマ字で書いてみると分かりやすいです。
みんな ごらんよ ひが しずむ
MINNA GORAN’YO HIGA SHIZUMU
下線の部分を数字の順によむと「HIGA(1)SHI(2) U(3)MI(4)」つまり「東海」となって「東海」になります。ここに「東海」が隠れているとは驚きですね。
歌樽先生:なるほど、これが「破音」ですか。ここまでくると、もう一つやってみましょうか。
詩子アナ:もう一つですか?もう一つといえば「東海」の次ということでしょうから、「白頭山」を捜せばいいということのようですね。
歌樽先生:そのあたりはご自由に。
詩子アナ:ローマ字で書く以外に漢字で書く方法がありますね。
みんなごらんよ 陽が沈む → 皆(みんな)ご覧よ 陽が沈む
歌樽先生:それで?
詩子アナ:まったくこじつけですが、 「皆(みんな)ご覧よ 陽が沈む」の「皆」の下部に「白」があります。語頭にきているので、「語頭」の「頭」をいただいて、これで「白頭」、それから「みんなごらんよ 陽が沈む」は全部で3度繰り返されますから、この「さん」を繋げると「白頭山」の漢字をなんとか捜すことができます。
歌樽先生:確かにこじつけがOKだと、いろいろなことが言えますね。あちこちにこじつけのできる種を蒔いておくと、あれもこれもになってしまって、「AでもありBでもあるだけでなく、Cでもあり、Dでもある」となって、なにが真なのかわかりにくくなってきますね。ただ、「みんなごらんよ 陽が沈む」は試訳ですから、本文とは実は無関係です。
詩子アナ:それは理解できます。でも、あちこちに蒔いた種がそれだけ多いということですよね。
歌樽先生:では、こんな問題を出しておきましょう。完全数の「6、28、496、8128」の4つ目の数字の「8128」についてです。
第28問:完全数の「8128」は次のどれと深い関係があるでしょうか。
- 1) 7番目「失題」
- 2) 32番目「失題」
- 3) 105番目「진달래꽃」
- 4) 127番目「닭은 꼬꾸요」
詩子アナ:何番目かということですから詩のタイトルというよりも、どの数字が「8128」と関連があるかという問題のように思えますが。
歌樽先生:もう気が付いたようですね。
詩子アナ:127番目の「닭은 꼬꾸요」は詩集の最後の詩ですね。
歌樽先生:そうですね。「엄마야 누나야」の次の詩です。詩の数の総計を127ではなく、126とすべきだという学者もいるのですが、目次の通りに数えると「旅愁」が2つあって、127になります。
第19回
詩子アナ:素月は「Aでもあり、Bでもある」というスタイルですから、126のようにも、127のようにも見えるようにしたのかもしれませんね。それに「CでもDでもある」のでしたら、もうここでは126でも127でもどちらに理解されても構わないけれど、ただ127と理解できる余地を残しておきたかったのでしょう。だんだんそんな気になってきました。ということで、
第28問:答えは、4)127番目「닭은 꼬꾸요」。1~127までの総和が「127×128÷2=8128」です。
歌樽先生:いろんなところで完全数が出てきますね。目次の詩のタイトル表記と本文の詩のタイトル表記が違っているのですが、それを表にしておきましょう。
NO | 目次表記 | P | 本文表記 | P | 字数 | 記号 | 数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
4 | 山우헤서 | 8 | 山우헤 | 8 | 1 | ||
6 | 님외노래 | 12 | 님의노래 | 12 | 1 | ||
20 | 옌前엔 밋처 몰낫서요 | 37 | 예전엔 밋처 몰낫섯요 | 37 | 3 | ||
22 | 해가 山마루에 저믈어도 | 39 | 해가 산마루에 저므러도 | 39 | 2 | ||
無主空山 | 나의 金億씨에게。素月 無主空山 | 41 | 9 | 。 | 1 | ||
25 | 하늘끗(ㅅ+긋) | 45 | 하눌끗(ㅅ+ㄱ+ㅡ+ㅅ) | 45 | 1 | ||
計 | 17 | 1 |
1/2
NO | 目次表記 | P | 本文表記 | P | 字数 | 記号 | 数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
50 | 맛나려는 心事 | 87 | 맛나려는 心思 | 87 | 1 | ||
57 | 서름의 덩이 | 94 | 셔름의 덩이 | 94 | 1 | ||
녀름의 달밤『外二篇』 | 녀름의 달밤 外二篇 | 0 | 『 』 | 1 | |||
85 | 바라건데… 잇섯드면 | 145 | 바라건데… 잇섯더면 | 145 | 1 | ||
95 | 旅愁(一) | 169 | 旅愁一 | 169 | 0 | ( ) | 1 |
96 | 旅愁(二) | 169 | 二 | 170 | 4 | ( ) | 1 |
計 | 7 | 3 | |||||
総計 | 24 | 4 |
詩子アナ:異なっている文字と数字を合わせると「28」なんですか。目次からもう完全数をしっかり見つめていたとしか考えられませんね。国の完全な独立と自由の回復を「完全数」に託して詩集を完成させたという理解でいいのでしょうか。
歌樽先生:素月が目次と本文の詩のタイトルの違いを認識していたという証拠はありませんが、「Aでもあり、かつBでもある」という理解が基礎にあればそのように理解して差し支えないでしょうね。こうして「ぎりぎりの表現の『自由』」を勝ち取ったわけですから。では、この形式の発見を土台にして1つ目の「失題」を訳詩してみましょう。
詩子アナ:えっ?私が訳詩するのですか。もうほとんど出来ている状態ではないんですか。
歌樽先生:いえ、まだ肝心なところができていませんね。「두 눈을 인제 그만 감으십시오」の部分をどう訳すのかがまだ解決していませんし、全く新たに訳すことも可能ですから。
詩子アナ:私、今、目をつむってしまいたい気持ちですが…
歌樽先生:目をつむると夕日が見られませんよ。夕食は「メバルのメウンタン」をいただきましょう。
詩子アナ:「スンデ」ではなくて「メバル」ですか?
歌樽先生:メバルに似た魚です。「メバル」は「眼張」とも「目張」とも書くようですよ。しっかり目を開けて夕日を鑑賞しましょう。それから、明日は遊覧船で10景のうちの一つの「独立門岩」を見にいきましょう。