竹内民法02

≪物権≫

□物権法総説

物権の直接支配性と排他性
一物一権主義
物権の消滅事由

□物権の混同

原則と例外確認
例外として混同しない場合の共通点は、第三者の権利の目的になっている場合

□物権的請求権

妨害排除、妨害予防、返還
占有訴権と比較しつつ、要件を確認

□物権的請求権の相手方

原則、現に目的物の支配を妨げている者
判例は、登記名義人に対する請求も認めている

□物権変動

物権変動の時期  契約時 意思主義(176条)

□公示の原則と公信の原則

不動産→公信の原則なし 第三者保護は94条2項類推適用にて

□177条の第三者

当事者若しくはその包括承継人以外の者であって、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者

□第三者に当たらないもの

①実質的無権利者

②不法行為者・不法占拠者

③不動産登記法5条所定の者

④転々譲渡の前主

⑤差押えをしていない一般債権者

⑥背信的悪使者

□背信的悪意者から善意者ないし単純悪意者が譲り受けた場合

相対的構成

□善意者ないし単純悪意者からの譲受人が背信的悪意者の場合

絶対的構成(通説※判例はない。)

□中間省略登記

原則 許されない

例外 登記名義人及び中間者の同意

□第三者との関係

~と登記では、常に第三者がいつ登場したのか、という視点で考えること

事例は、ノート若しくはレシピを参照。

□取消しと登記

取消前第三者登場→96条3項 ∵96条3項は取消しの遡及効を制限し、善意無過失の第三者を保護するための規定だから。

取消後第三者登場→177条  ∵取消しによって復帰的物権変動が生じ(巻き戻し)、あたかもBを起点とする二重譲渡事例と同視し得るため、両者は対抗関係となるから。

□解除と登記

解除前第三者登場→545条1項但書 ∵同条は解除の遡及効を制限し、第三者を保護するための規定だから。第三者の善意悪意は問わないが、権利保護資格要件としての登記が必要(判例は、対抗要件としての登記としている)。

解除後第三者登場→177条 ∵解除により復帰的物権変動が生じ(巻き戻し)、あたかもBを起点とする二重譲渡事例と同視し得るので、対抗関係として処理できるから。

□取得時効と登記

時効完成前第三者登場→譲受人は当事者であるので、対抗関係にない

時効完成後第三者登場→177条 ∵時効完成により、あたかも譲渡人(元所有者)を起点とする二重譲渡事例と同視し得るので、両者は対抗関係として処理される。

□相続と登記

共同相続(共同相続人が勝手に単独登記を行った場合)→自己の持分につき、登記なくして主張可能

遺産分割

(遺産分割前に共同相続人が自己の持分を第三者に処分し、その後単独相続の協議が行われた場合)→909条但書

∵同条は遺産分割の遡及効を制限し、第三者を保護するために規定だから。

(遺産分割後に、共同相続人が自己の持分を第三者に処分した場合)→177条

∵遺産分割によって新たな権利変動が生じ、共同相続人を起点とする二重譲渡事例と同視し得るから。


□占有権

事実上の支配権
本権たる所有権と占有権は、通常重なることが多いが、別々のこともありえる(例:盗人の占有)

□自主占有と他主占有

所有の意思(所有者として占有する意思)による区別
 
他主占有から自主占有への転換 判例

□自己占有(直接占有)と代理占有(間接占有)

占有の態様による区別

□要件

①自己のためにする意思(占有意思)
物の所持による利益を自己に帰属させる意思 客観的に判断される
②物の所持

□占有権の効力 条文を確認

①権利推定
②善意占有者の果実収受権
③損害賠償請求権
④費用償還請求権
⑤占有訴権…占有保持、占有保全、占有回収
※物権的請求権と比較対応させながら理解
占有の訴えと本権の訴えについては、それぞれ別の請求権なので、別の訴訟で行う
両方を請求することも、片方を請求することも可能。ただし、占有権に基づく請求において、抗弁として所有権を主張することはできない(202条2項)、反訴なら(別の訴訟なので)可能(判例)。

□所有権

承継取得 →売買等の契約、相続等

原始取得→時効取得、即時取得等

□添付

付合(不動産、動産)、混和、加工

それぞれ111頁の図表で、条文を整理。
※強行規定ではないことに注意(当事者の合意があれば、それに従う)

□相隣関係

隣地関係の利害調整のための規程。
∴登記不要

囲繞地通行権
210条~213条確認
袋地の所有権に付随する権利
→公道に出られない土地の所有権を保護するために、法律上設定された権利であること。
 ☆当事者の契約によって設定する「通行地役権」とは、この点において異なる。

□共有

所有権の量的な割合
そのため、合有や総有と異なり、持分権の使用収益処分が認められている。
(116頁の図表確認)

□共有物の変更、管理、保存

意義と要件を図表で確認
※特に、管理行為は、持分価格の過半数であることに注意(頭数ではない)

□共有物の内部・外部関係

判例は、基本的には、持分権に基づく使用収益処分は認めるが、それを超える部分についての請求は認めていない。
そのかわり、侵害された持分権についての不当利得返還、損害賠償請求は認めている。

□共有者死亡

①相続人 → ②特別縁故者 →③他の共有者

□共有物分割請求

原則 可能
例外 不分割特約(5年以内)

□分割方法

①現物分割 ②代金分割 ③価格賠償
協議➜まとまらなければ裁判所が決定

とりわけ、協議が整わず、裁判所に請求した場合、その分割方法として③(全面的)価格賠償を認めることは、共有者間の実質的公平を害さないと認められる場合にのみ認めるするのが判例。
なぜなら、③価格賠償は、一人若しくは複数の者に共有物を所有させ、その他の共有者には代金を支払うこととなるため、共有者が有していた価値と同じ代金を得られないリスクを負う可能性があるから。

□地上権

賃貸借との比較
(地上権は物権であることとの差異)
賃貸借やったらまた戻って確認

□永小作権

□地役権

通行地役権 
(囲繞地通行権との比較)


□担保物権総論

前提

債権者平等の原則 …按分比例による弁済

例外 ➜担保(人的・物的)…優先弁済

※人的担保については、債権で。

□担保物権の通有性(性質)

付従性…発生・消滅

随伴性…移転

不可分性…全部

物上代位性…物の上に代わりに位置(成立)する

□留置権

法定担保物権

付従性・随伴性・不可分性あり 

優先弁済効なし ∵その物に交換価値が及んでいるのではないから(留置権は、物を留置することで間接的に優先弁済を強制する権利であり、物自体の価値を押さえているわけではない)

成立要件

①他人の物を留置していること

②物との牽連性

③被担保債権が履行期であること

④占有が不法行為によって始まったものでないこと

特に牽連性に注意(判例が認めなかったものを平成27年の過去問を参照しつつ、整理理解)

ポイントは、被担保債権発生時の債務者と物の引渡請求権者が同一か →同一なら牽連性あり、違うなら牽連性なし

∵留置権は物を留置して被担保債権の弁済を促すものであるのだから、物を留置することによって被担保債権の弁済を受けられる立場にないといけないため。

効力

目的物留置

引換給付判決

留置権者の義務と権利

条文確認

留置権の消滅

留置権の行使は、消滅時効の進行を妨げない

➜被担保債権が消滅すれば、付従性によって留置権も消滅する

ただし、留置権を抗弁として提出した場合、150条催告と同じ効果

その他、条文確認

□先取特権

法定担保物権

付従性・随伴性・不可分性・物上代位性あり

※一般先取特権には物上代位性なし 

∵一般先取特権は債務者の総財産の上に存在するものなので、特定の物が観念しえないため。

種類

一般先取特権

動産先取特権

不動産先取特権…保存 ➜工事 ➜売買

□質権

約定担保物権

付従性・随伴性・不可分性・物上代位性あり

留置的効力・優先弁済的効力あり

権利質(債権質)には、留置的効力はない ∵留置する物が観念しえないから

要物契約(物の引渡しによって契約発生の効力が生じる) ⇔抵当権

種類

対抗要件とセットで

動産質…継続占有 

※占有改訂は「引渡し」に含まれない ∵外形上移転がないため 

※占有回収の訴えによる質物の回復可能

不動産質…登記

権利質…第三債務者への通知又は承諾

被担保債権の範囲

346条により、かなり広い範囲で認められている⇔抵当権

質権には留置的効力があるため、後順位の権利者を保護する必要がない

※不動産質権は、使用収益権が認められているため、利息の請求はできない(358条)

∵使用収益の利益は、利息と同等と考えられている

※不動産質は強い権利 → ∴存続期間10年に制限

流質の禁止  ⇔商事留置権

∵弱者保護の観点

転質

条文確認


□抵当権

性質

約定担保物権

付従性・随伴性・不可分性・物上代位性あり

優先弁済的効力あり

留置的効力なし ∵非占有担保物権 

諾成契約(当事者の合意による) ⇔質権

対象

①不動産 ②地上権 ③永小作権

抵当権は非占有担保物権であるため、公示方法が必要➜登記ができるもののみその対象とされる

対抗要件

登記

抵当権の効力

付加一体物に及び

Q.抵当権の効力が及び付加一体物とは?

・付合物→○

・従物→×

しかし、従物は主物の処分に従う(87条2項)から、抵当権の設定を「処分」とすると、抵当権設定時に存在していた従物には87条2項の効果として、抵当権の効力が及ぶ(判例・物理的一体性説)

・従たる権利→〇

・果実→債務不履行後〇

・分離物→通常の使用収益を超えた場合〇

【発展】抵当権の効力が及んでいた物が不動産から分離し、搬出された場合

レシピ参照 

□物上代位

372条→304条準用

代位の対象

「債務者が受けるべき金銭その他の物」

 =抵当不動産の所有者

・損害賠償請求権 ・火災保険金請求権 ・賃料債権

×転貸賃料債権 ∵「債務者」が受ける金銭でないから

転貸賃料債権を受け取るのは、転貸人(賃借人)であって、賃貸人(抵当権設定者=債務者)ではない

要件

「払渡し又は引渡し前の差押え」が必要

∵第三債務者の二重弁済の危険を守るため

☆第三債務者が二重弁済の危険にさらされていないか否かという視点で要件、判例を押さえる

判例①~③(当該趣旨を強調し、抵当権設定登記があれば、基本的には抵当権者を保護する=物上代位権行使を優先させる方向)

④敷金充当の判例で、この流れが少し制限される方向へ

(明渡しがされた場合には、未払い賃料は敷金充当によって当然に消滅する→∴抵当権者は、ないものに物上代位を行使することはできない)

物上代位の判例は、少しややこしいので、上記趣旨を念頭に置きながら、図解しつつ整理すると理解しやすいですよ。

□抵当権侵害

抵当権が侵害された場合に、抵当権者ができること

①抵当権設定者の所有権に基づく妨害排除請求権の代位行使

②抵当権に基づく妨害排除請求権

ポイント

☆抵当権は非占有担保物権

∴通常の使用の範囲内であれば設定者の使用は可能

そこで、抵当権に基づく妨害排除請求が許されるのは、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるとき、はじめて抵当権が「侵害」されたと言える。

さらに、直接自己に抵当不動産の引渡しを請求できるためには、抵当不動産の所有者が抵当不動産を適切に維持管理することが期待できないことが必要となる。

平成11年、17年の判例は順を追って理解。

□抵当権の処分

抵当権の譲渡・放棄 → 一般債権者との関係

抵当権の順位譲渡・順位放棄 →後順位抵当権者との関係

□抵当不動産の第三取得者の保護

抵当権が付着した物権を取得した第三取得者ができること

・第三者弁済(474)→第三取得者が弁済 ※債権法上の「第三者弁済」

・代価弁済(378)→抵当権者の請求により、抵当権者・第三取得者の合意によって行う

・抵当権消滅請求(379)→第三取得者の請求により行う

 ※第三者弁済は、債権の消滅に関する条文であるから、条文は債権総論の箇所に位置する。抵当不動産の第三取得者も第三者に該当するため、474条に基づく弁済をして、付従性による債権消滅をさせることが可能である。

□抵当不動産の賃借人の保護

抵当権に劣後する賃借人ができること

・同意の登記による賃借権の対抗制度

・明渡猶予制度

□法定地上権

制度趣旨

抵当権者の保護を図りつつ、社会経済上の不合理を回避するため、土地利用権を確保する制度

要件確認

※その制度趣旨を守るためにこれらの要件が必要とされている、という意識を忘れずに

以下、テキストに挙げられている各ケースはこの視点を通して整理していくと一貫性が保たれて理解記憶しやすい。なぜそのような結論になるのか、理由をきちんと自分の頭で考えながら各ケースを処理してみること。

※ノートに出てきた判例は全て理解

たとえば、一番抵当権設定当時別人所有・二番抵当権設定時同一所有である場合

なぜ、土地抵当の場合と建物抵当の場合で結論が異なるのか

誰の利益・信頼を守ろうとしているのか

自分の言葉で説明できるようにしておくこと。

共有の事例も同じ。

□共同抵当

異時配当の際の、処理手順確認

□根抵当権

極度額の枠内で継続的に発生する債権債務を担保する抵当権

元本が確定すれば通常の抵当権と同じ

元本確定前の根抵当権と通常の抵当権と比較してノートに書いてることだけ押さえれば十分


□譲渡担保

所有権の「譲渡」という方式を使用して、債権の担保をする制度

物権の所有権が移転する(登記上も)が、通常の売買契約による譲渡のような純粋な所有権移転ではなく、担保目的による所有権の移転だと考えられている。

譲渡担保権設定契約による(諾成・不要物)

対象
不動産・動産、集合動産、集合債権
 

効果
弁済期到来後に弁済がなければ、譲渡担保権者に目的物の所有権が移転する
譲渡担保権者は、裁判所による執行を経ずに自ら担保価値の実現ができるので、担保権者にとっては有利。

差額が生じた場合には、清算が必要。
(目的物が被担保債権を超過していれば、担保権者に清算義務が課され、設定者に清算金を支払わなければならない。)


【判例】
・譲渡担保権設定者は、清算金の支払いがあるまでは、譲渡担保権者からの目的物の引渡請求に対し、同時履行の抗弁を主張することができる(533条類推適用)
 

・譲渡担保権設定者は、譲渡担保権の実行として譲渡された不動産を取得した者からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができる
 


Shaws and Goolees

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