皇室典範

昭和二十二(1947)年法律第三号

学習の便宜上一部編集しています。

第一章 皇位継承

第一条 皇位は皇統に属する男系男子がこれを継承する。
第二条 皇位は左の順序により皇族にこれを伝える。
 皇長子   皇長孫   その他の皇長子の子孫   皇次子及びその子孫
 その他の皇子孫   皇兄弟及びその子孫   皇伯叔父及びその子孫
 前項各号の皇族がないとき、皇位はそれ以上で最近親の系統の皇族にこれを伝える。
 前二項の場合においては、長系を先にし、同等内では、長を先にする。
第三条 皇嗣に精神若しくは身体の不治の重患があり又は重大な事故があるときは皇室会議の議により前条に定める順序に従つて皇位継承の順序を変えることができる。
第四条 天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。
第二章 皇族

第五条 皇后、太皇太后、皇太后、親王、親王妃、内親王、王、王妃及び女王を皇族とする。
第六条 嫡出の皇子及び嫡男系嫡出の皇孫は男を親王、女を内親王とし、三世以下の嫡男系嫡出の子孫は男を王女を女王とする。
第七条 王が皇位を継承したときはその兄弟姉妹たる王及び女王は特にこれを親王及び内親王とする。
第八条 皇嗣たる皇子を皇太子という。皇太子のないとき皇嗣たる皇孫を皇太孫という。
第九条 天皇及び皇族は、養子をすることができない。
第十条 立后及び皇族男子の婚姻は、皇室会議の議を経ることを要する。
第十一条 年齢十五年以上の内親王、王及び女王は、その意思に基き、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。
 親王(皇太子及び皇太孫を除く)、内親王、王及び女王は、前項の場合の外、やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。
第十二条 皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる。
第十三条 皇族の身分を離れる親王又は王の妃並びに直系卑属及びその妃は、他の皇族と婚姻した女子及びその直系卑属を除き、同時に皇族の身分を離れる。但し、直系卑属及びその妃については、皇室会議の議により皇族の身分を離れないものとすることができる。
第十四条 皇族以外の女子で親王妃又は王妃となつた者が、その夫を失つたときは、その意思により、皇族の身分を離れることができる。
 前項の者が、その夫を失つたときは、同項による場合の外、やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。
 第一項の者は、離婚したときは、皇族の身分を離れる。
 第一項及び前項の規定は、前条の他の皇族と婚姻した女子に、これを準用する。
第十五条 皇族以外の者及びその子孫は、女子が皇后となる場合及び皇族男子と婚姻する場合を除いては、皇族となることがない。
第三章 摂政

第十六条 天皇が成年に達しないときは、摂政を置く。 天皇が精神若しくは身体の重患又は重大な事故により国事に関する行為をみずからすることができないときは皇室会議の議により摂政を置く。
第十七条 摂政は、左の順序により、成年に達した皇族がこれに就任する。
 皇太子又は皇太孫   親王及び王   皇后   皇太后
 太皇太后   内親王及び女王
 前項第二号の場合は皇位継承順に従い同項第六号の場合は皇位継承順に準ずる。
第十八条 摂政又は摂政となる順位にあたる者に精神若しくは身体の重患があり、又は重大な事故があるときは、皇室会議の議により前条に定める順序に従つて摂政又は摂政となる順序を変えることができる。
第十九条 摂政となる順位にあたる者が成年に達しないため又は前条の故障があるために他の皇族が摂政となつたとき、先順位にあたつていた皇族が成年に達し又は故障がなくなつたときでも、皇太子又は皇太孫に対する場合を除いて摂政の任を譲ることがない。
第二十条 第十六条第二項の故障がなくなつたときは皇室会議の議により摂政を廃する。
第二十一条 摂政はその在任中訴追されない。但しこれがため訴追の権利は害されない
第四章 成年、敬称、即位の礼、大喪の礼、皇統譜及び陵墓
第二十二条 天皇、皇太子及び皇太孫の成年は十八年とする。
第二十三条 天皇、皇后、太皇太后及び皇太后の敬称は、陛下とする。 前項の皇族以外の皇族の敬称は、殿下とする。
第二十四条 皇位の継承があつたときは、即位の礼を行う。
第二十五条 天皇が崩じたときは、大喪の礼を行う。
第二十六条 天皇及び皇族の身分に関する事項は、これを皇統譜に登録する。
第二十七条 天皇、皇后、太皇太后及び皇太后を葬る所を陵、その他の皇族を葬る所を墓とし、陵及び墓に関する事項は、これを陵籍及び墓籍に登録する。
第五章 皇室会議
第二十八条 皇室会議は議員十人でこれを組織する。 議員は皇族二人、衆議院及び参議院の議長及び副議長、内閣総理大臣、宮内庁の長並びに最高裁判所の長たる裁判官及びその他の裁判官一人を以てこれに充てる。 議員となる皇族及び最高裁判所の長たる裁判官以外の裁判官は各々成年に達した皇族又は最高裁判所の長たる裁判官以外の裁判官の互選による。
第二十九条 内閣総理大臣たる議員は皇室会議の議長となる。
第三十条 皇室会議に予備議員十人を置く。 皇族及び最高裁判所の裁判官たる議員の予備議員には第二十八条第三項の規定を準用する。 衆議院及び参議院の議長及び副議長たる議員の予備議員は、各々衆議院及び参議院の議員の互選による。 前二項の予備議員の員数は、各々その議員の員数と同数とし、その職務を行う順序は、互選の際、これを定める。 内閣総理大臣たる議員の予備議員は、内閣法の規定により臨時に内閣総理大臣の職務を行う者として指定された国務大臣を以て、これに充てる。 宮内庁の長たる議員の予備議員は、内閣総理大臣の指定する宮内庁の官吏を以て、これに充てる。 議員に事故のあるとき又は議員が欠けたときは、その予備議員がその職務を行う。
第三十一条 第二十八条及び前条において衆議院の議長、副議長又は議員は衆議院が解散されたときは後任者の定まるまで各々解散の際衆議院の議長、副議長又は議員であつた者とする。
第三十二条 皇族及び最高裁判所の長たる裁判官以外の裁判官たる議員及び予備議員の任期は四年とする。
第三十三条 皇室会議は、議長が、これを招集する。 皇室会議は第三条、第十六条第二項、第十八条及び第二十条の場合は四人以上の議員の要求があるときはこれを招集することを要する。
第三十四条 皇室会議は六人以上の議員の出席がなければ議事を開き議決できない。
第三十五条 皇室会議の議事は第三条、第十六条第二項、第十八条及び第二十条の場合は出席した議員の三分の二以上の多数で決し、その他の場合は過半数でこれを決する。
 前項後段の場合において、可否同数のときは、議長の決するところによる。
第三十六条 議員は、自分の利害に特別の関係のある議事には参与できない。
第三十七条 皇室会議は、この法律及び他の法律に基く権限のみを行う。
附 則
 この法律は日本国憲法施行の日から施行する 現在の皇族はこの法律による皇族とし、第六条の規定の適用はこれを嫡男系嫡出の者とする。 現在の陵及び墓はこれを第二十七条の陵及び墓とする。 この法律の特例として天皇の退位について定める天皇の退位等に関する皇室典範特例法はこの法律と一体を成すものである。

附 則 (昭和二四年五月三一日法律第一三四号) 抄
 この法律は、昭和二十四年六月一日から施行する。

附 則 (平成二九年六月一六日法律第六三号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第一条並びに次項、次条、附則第八条及び附則第九条の規定は公布の日から、附則第十条及び第十一条の規定はこの法律の施行の日の翌日から施行する。 前項の政令を定めるに当たっては、内閣総理大臣は、あらかじめ、皇室会議の意見を聴かなければならない。
(この法律の失効)
第二条 この法律は、この法律の施行の日以前に皇室典範第四条の規定による皇位の継承があったときは、その効力を失う。
(政令への委任)
第九条 この法律に定めるもののほかこの法律の施行に関し必要な事項は政令で定める。
天皇の退位等に関する皇室典範特例法

平成29(2017)年法律第63号 最終改正:令和元(2019)年5月24日法律第10号

(趣旨)
第1条 この法律は、天皇陛下が昭和64年1月7日の御即位以来28年を超える長期にわたり、国事行為のほか全国各地への御訪問、被災地のお見舞いをはじめとする象徴としての公的な御活動に精励してこられた中、83歳と御高齢になられ、今後これらの御活動を天皇として自ら続けられることが困難となることを深く案じておられること、これに対し国民は御高齢に至るまでこれらの御活動に精励されている天皇陛下を深く敬愛し、この天皇陛下のお気持ちを理解し、これに共感していること、さらに皇嗣である皇太子殿下は57歳となられ、これまで国事行為の臨時代行等の御公務に長期にわたり精勤されておられることという現下の状況に鑑み、皇室典範(昭和22年法律第3号)第4条の規定の特例として天皇陛下の退位及び皇嗣の即位を実現するとともに天皇陛下の退位後の地位その他の退位に伴い必要となる事項を定めるものとする。
(天皇の退位及び皇嗣の即位)
第2条 天皇はこの法律の施行の日限り退位し、皇嗣が直ちに即位する。
(上皇)
第3条 前条の規定により退位した天皇は上皇とする。 上皇の敬称は陛下とする。 上皇の身分に関する事項の登録、喪儀及び陵墓については天皇の例による。 上皇に関し前二項に規定する事項を除き、皇室典範(第2条、第28条第2項及び第3項並びに第30条第2項を除く)に定める事項については皇族の例による。
(上皇后)
第4条 上皇の后は上皇后とする。 上皇后に関し皇室典範に定める事項については皇太后の例による。
(皇位継承後の皇嗣)
第5条 第2条の規定による皇位の継承に伴い皇嗣となった皇族に関し、皇室典範に定める事項については皇太子の例による。
附 則

(施行期日)
第1条 この法律は公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第1条並びに次項、次条、附則第8条及び附則第9条の規定は公布の日から附則第10条及び第11条の規定はこの法律の施行の日の翌日から施行する。前項の政令を定めるに当たって内閣総理大臣はあらかじめ皇室会議の意見を聴かなければならない。
(この法律の失効)
第2条 この法律はこの法律の施行の日以前に皇室典範第4条の規定による皇位の継承があったときはその効力を失う。
(皇室典範の一部改正)
第3条 皇室典範の一部を次のように改正する。附則に次の一項を加える。この法律の特例として天皇の退位について定める天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成29年法律第63号)はこの法律と一体を成すものである。
(上皇に関する他の法令の適用)
第4条 上皇に関し次に掲げる事項については天皇の例による。
 刑法(明治40年法律第45号)第2編第34章の罪に係る告訴及び検察審査会法(昭和23年法律第147号)の規定による検察審査員の職務  前号に掲げる事項のほか、皇室経済法(昭和22年法律第4号)その他の政令で定める法令に定める事項  上皇に関しては、前項に規定する事項のほか、警察法(昭和29年法律第162号)その他の政令で定める法令に定める事項については、皇族の例による。 上皇の御所は、重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(平成28年法律第9号)の規定の適用については、同法第2条第1項第1号ホに掲げる施設とみなす。
(上皇后に関する他の法令の適用)
第5条 上皇后に関しては、次に掲げる事項については、皇太后の例による。  刑法第2編第34章の罪に係る告訴及び検察審査会法の規定による検察審査員の職務  前号に掲げる事項のほか、皇室経済法その他の政令で定める法令に定める事項
(皇位継承後の皇嗣に関する皇室経済法等の適用)
第6条 第2条の規定による皇位の継承に伴い皇嗣となった皇族に対しては、皇室経済法第6条第3項第1号の規定にかかわらず、同条第1項の皇族費のうち年額によるものとして、同項の定額の三倍に相当する額の金額を毎年支出するものとする。この場合において、皇室経済法施行法(昭和22年法律第113号)第10条の規定の適用については、同条第1項中「第4項」とあるのは、「第4項並びに天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成29年法律第63号)附則第6条第1項前段」とする。 附則第4条第3項の規定は、第2条の規定による皇位の継承に伴い皇嗣となった皇族の御在所について準用する。
(贈与税の非課税等)
第7条 第2条の規定により皇位の継承があった場合において皇室経済法第7条の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物については、贈与税を課さない。 前項の規定により贈与税を課さないこととされた物については、相続税法(昭和25年法律第73号)第19条第1項の規定は、適用しない。
(意見公募手続等の適用除外)
第8条 次に掲げる政令を定める行為について行政手続法(平成5年法律第88号)第6章の規定は適用しない 第2条の規定による皇位の継承に伴う元号法(昭和54年法律第43号)第1項の規定に基づく政令  附則第4条第1項第2号及び第2項、附則第5条第2号並びに次条の規定に基づく政令
(政令への委任)
第9条 この法律に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は政令で定める。
附 則(令和元年5月24日法律第10号)(施行期日)

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