(詐欺又は強迫) 第96条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。 2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。 3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。 (代理行為の瑕疵) 第101条 代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。 2 相手方が代理人に対してした意思表示の効力が意思表示を受けた者がある事情を知っていたこと又は知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。 3 特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。 (取消権者) 第120条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。 2 錯誤、詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。 (悪意の占有者による果実の返還等) 第190条 悪意の占有者は果実を返還し、かつ既に消費し、過失によって損傷し又は収取を怠った果実の代価を償還する義務を負う。 2 前項の規定は暴行若しくは強迫又は隠匿によって占有をしている者について準用する。 (詐欺又は強迫による婚姻の取消し) 第747条 詐欺又は強迫によって婚姻をした者は、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。 2 前項の規定による取消権は、当事者が詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後3箇月を経過し又は追認をしたときは消滅する。 (配偶者の同意のない縁組等の取消し) 第806条の2 第796条の規定に違反した縁組は、縁組の同意をしていない者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、その者が縁組を知った後6箇月を経過し又は追認をしたときはこの限りでない。 2 詐欺又は強迫によって第796条の同意をした者は、その縁組の取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、その者が詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後6箇月を経過し、又は追認をしたときはこの限りでない。 (子の監護をすべき者の同意のない縁組等の取消し) 第806条の3 第797条第2項の規定に違反した縁組は、縁組の同意をしていない者からその取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、その者が追認をしたとき又は養子が15歳に達した後6箇月を経過し、若しくは追認をしたときはこの限りでない。 2 前条第2項の規定は、詐欺又は強迫によって第797条第2項の同意をした者について準用する。 (相続人の欠格事由) 第891条 次に掲げる者は相続人となることができない。 一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者 二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときはこの限りでない。 三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし撤回し取り消し又は変更することを妨げた者 四 詐欺又は強迫によって被相続人に相続に関する遺言をさせ撤回させ取り消させ、又は変更させた者 五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者 (撤回された遺言の効力) 第1025条 前三条の規定により撤回された遺言は、その撤回の行為が撤回され、取り消されさ又は効力を生じなくなるに至ったときであっても、その効力を回復しない。ただし、その行為が錯誤、詐欺又は強迫による場合は、この限りでない。 |